『SAND LAND』は、『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』など、数々の代表作を持つ、巨匠・鳥山明先生による漫画作品。週刊少年ジャンプで短期連載され、1巻完結の作品ながら高い人気を博し、数カ国で翻訳出版も行われている。

 そんな本作は、ゲーム化やアニメ映画化やといった、さまざまな媒体での展開を発表。期待が高まる作品となっている。

 今回、開発中のゲーム版の試遊と、プロデューサーの南敬洙氏へインタビューする機会をいただけたため、試遊にて体験できた内容を交えながら、開発の経緯やゲームの詳細について詳しくうかがっていく。

Beelzebub driving car
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砂漠と化した世界を旅する人間と魔物たち

 『SAND LAND』は人間と魔物が共存し、世界のほとんどが砂漠となった世界を舞台にした冒険ファンタジー。悪魔の王子・ベルゼブブとお目付け役の魔物・シーフ、人間の保安官・ラオの3人による、“幻の泉”を探す壮大な旅が描かれる。
 
 本作ではそのストーリーを体験できるだけでなく、広大な砂漠の探索や、ベルゼブブの強化といった、ゲームならではの要素が展開される。

Beelzebub_Rao_Thief

 本作のジャンルは、アクションRPG。ベルゼブブを操作して爽快なアクションを繰り出し、ゆく手を阻む人間やモンスターと戦える。

 また『SAND LAND』の象徴的な乗り物である“戦車”を、自由に乗り回せるのも本作の特徴。魔物のスピーディーな体術と戦車の重厚感溢れる動き。この両方が体験できるのが、本作の大きな特徴だ。

Tank 4

プロデューサーにインタビュー。まだ明かされていない情報まで根掘り葉掘り聞いてみた

ここからは、本作のプロデューサーである南敬洙さんへのインタビューの内容をお届けする。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

南敬洙(みなみけいしゅう)

ゲーム『SAND LAND』プロデューサー

『SAND LAND』をより多くの人に届けるためのプロジェクト

――『SAND LAND』のゲーム化企画は、どのように始動したのでしょうか?

鳥山先生といえば『ドラゴンボール』などのビックタイトルが有名です。しかし、その他にも、魅力あふれる漫画作品がたくさんあります。『SAND LAND』もそのひとつで、“圧倒的完成度を誇る名作”と称される漫画です。この作品が持つ独自の世界観やストーリーを、より多くの人たちに届けたいという気持ちから、今回のプロジェクトが始まりました。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃
試遊では、漫画でも印象深かった“ゲジ竜”からの逃走劇を体験。迫り来るゲジ竜の迫力はもちろんのこと、攻撃を喰らったときの車の動きにまでこだわりを感じられた。

――8月18日にはアニメ映画も公開されます。ゲームと映画、どちらのプロジェクトが先に動き始めたのでしょうか?

どちらが先にということもなく、タイミングに差はないと思いますね。映像作品の方も拝見していますが、映像ならではの引き込まれる表現がたくさんありました。

どちらのプロジェクトも「『SAND LAND』の魅力を伝える!」という根本をチーム全員が持ち、ゲームと映画、それぞれの良いところを生かして製作しています。

映画『SAND LAND(サンドランド)』60秒予告

原作漫画の世界観に奥行きを拡張

――ゲームの流れとしては、原作漫画の物語をベースに進んでいくのでしょうか?

そうですね、原作漫画のストーリーを一通りカバーしています。また、世界観により広がりを持たせるために、ゲームオリジナル要素も用意しました。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

――オリジナル要素というと、どのようなものが?

たとえば、人々が住む村や廃墟などですね。人間と魔物がどちらも存在する世界感の中で、それぞれの生活や営みがありますから、そのような人間との交流が体験できるようなギミックを用意しています。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃
人々と会話し、行商人から買い物をするといった要素も体験できた。この世界では魔物は恐れられているため、最初は警戒されてしまうといった世界観も忠実に再現されている。

――ちなみに、魔物側の活躍はどうでしょう?

カマイタチなどの印象深い魔物たちはもちろん登場します。どのように物語に関わってくるかは、今後の情報を期待して、お待ちいただければと思います!

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

時間経過や寄り道など……変化のある砂漠の旅

――本作は、オープンワールドの砂漠を探索するような内容なのでしょうか?

定義にもよりますが、どこまでも続く終わりのいく「オープンワールド」ではないですが、広大なフィールドでマップは作っています。基本的にはメインの目標地点を目指しながら、さまざまなエリアを移動していくという流れになります。ただ1本道ではなく、各所にサブクエストやダンジョンが用意されています。

――できることの幅が広い感じですね。

そうです。どのように進めるかはプレイヤー次第で、ひたすらメインシナリオを進めるもいいし、道を外れてサブクエストに熱中してもいいという。自由度は高いほうだと思いますね。道から少し離れた場所に宝箱があったり、強いモンスターがいたりなど、探索することでなにかしらのアクションが起こるようにしています。

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広大な砂漠のさまざまな場所にダンジョンがあり、つい寄ってしまいたくなるようになっている。また、戦車で岩を崩してショートカットを作るといったギミックも用意されていた。

――砂漠というと、常に色味が同じになりそうな気がしますが、なにか工夫などはありますか?

時間経過による昼と夜の表現によって、見た目が変わるように工夫していますね。また、高低差のあるマップ作りを工夫して意識していて、景観に受ける印象や行えるアプローチの広さに幅を出しています。あとは岩肌やところどころにある枯れた草木、砂漠に息づくモンスターや野党などもこだわっているので、ぜひ注目してみていただきたいです!

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ベルゼブブによる魔物らしい多彩なアクション

――本作のアクション要素について、お教えいただきたいと思います。

本作のアクションパートは、ベルゼブブと戦車のふたつに分かれています。ベルゼブブを操作する際は、洞窟や廃墟を探索したり、魔物としてのパワーを生かして敵と戦ったりすることになります。

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ベルゼブブは、弱攻撃や強攻撃、ジャンプや回避などを駆使して敵と戦う。弱・強攻撃のコンボやジャンプとの組み合わせにより繰り出させる技が変化するため、戦闘のバリエーションは非常に多彩だ。

――本作はRPGということで、ベルゼブブに成長要素はありますか?

成長要素はもちろんあります。スキルツリーを解放して、さらなるステータスの強化だったり、コンボの種類を増やすことができます。ここぞという時に使用できる必殺技も用意していて、スキルツリーで使用可能な種類を増やせます。

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試遊時に発動できた必殺話は、漫画で見られた闇のパワーを解放して周囲を攻撃するという、原作漫画でも見られた技だった。

――第1弾トレーラーでは、ステルス要素らしきものもありましたね。

砂漠の各所には軍事拠点が設置されていて、密かに侵入することができるようになっています。敵に気づかれないように後ろに回り込んで1発で仕留めたり、原作漫画にも戦車を盗むシーンがあるように、配置された戦車やメカに乗り込むといったアクションが楽しめるようにしました。

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おなじみの戦車に加えてオリジナルメカも多数登場

――続いて、もうひとつのアクション要素である戦車についてお聞きしたいです。

砲撃やマシンガンといった銃火器による攻撃など、ベルゼブブの時とは大きく違ったアクションになっています。戦車っぽい動きになるように挙動にこだわったり、戦闘時以外の移動中には、ハッチを開けて3人がちゃんと映るようにしていますね。実は戦車内部まで細かく作りこんでいるので、是非見てみてほしいです。

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戦車からはいつでも下車可能なため、戦車で敵のメカを壊した後、人間相手はベルゼブブで戦う、といった切り替えができる。

――戦車のカスタマイズ要素は、どのようなものがありますか?

メインウウェポンやサブウウェポンをベースとして備えられていて、探索やダンジョン攻略で手に入れたパーツを組み込むことで強化したり、別の武器を装備させることもできます。プレイヤーの好きなようにカスタマイズすることが可能です。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

――トレーラーに登場していた、戦車以外のメカの詳細もお聞きしたいです。

ゲーム性の幅をより広げてくれる、原作漫画では登場しないオリジナルメカです。たとえば、高い跳躍力があるジャンプメカで行けなかった場所に進んだり、バイクで速く移動したりなど、多くのバリエーションを用意しています。

――戦車と同じような、カスタマイズ要素もあるのでしょうか?

もちろんあります! 基本的にはどのメカにも2種類の武器が備えられていて、戦車と同じようにパーツを使用して強化や装備の変更などが行えますよ。

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漫画のイラストが動くようなグラフィックへの徹底したこだわり

――本作のグラフィックは、漫画のイラストがそのまま動いているかのようで、非常に強いこだわりを感じました。

やはり「鳥山先生が描かれたテイストを再現したい!」というものが根幹にあって。単にアニメチックにするのではなく、影の部分に斜線が入っているアウトラインの入れ方といった、世界観に合うような表現にこだわりました。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

――特に、オリジナルメカは“鳥山先生デザインのメカ”の雰囲気が完璧に表現されていました。どのように造形を作っていったのですか?

鳥山先生が描かれたメカのデザインを参考にさせていただきながら着想を得て、モデルを作りこんでいきました。最終的に『SAND LAND』の世界にあうようなメカになるように調整しています。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

原作ファンと初めて触れる人、どちらにも楽しめる作品に

――ちなみに、南さんが好きな『SAND LAND』のキャラクターは誰ですか?

やっぱり、主人公のベルゼブブですね! ラオやシーフたちと冒険をしていく中で、ベルゼブブが物語の中心人物になっていく部分が好きです。本作もベルゼブブの視点で描かれていて、そのような過程が見られるので、プレイしていくとよりベルゼブブが好きになると思います。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃

――「悪いことする!」と言いながら、するのがいたずらレベルなのも良いですよね。

「歯を磨かないで寝てやった!」みたいな(笑)。そういうかわいらしさもあるところが憎めないですよね! また、愛着の沸くキャラクターデザインも好きになる要素のひとつだと思います。

ゲーム版『サンドランド』プロデュ―サーにインタビュー。開発経緯や詳しいシステム、ゲームオリジナル要素などについて直撃
無理を言ってベルゼブブっぽいポーズをしてもらったところ、バッチリ決めてくれた。

――では最後に、原作ファンの皆さんと、これから始めて作品に触れる人に向けて、それぞれメッセージをお願いします。

まず、ずっと『SAND LAND』をファンでいてくださった方々にとって、映画とゲームというふたつの大きなコンテンツを届けられるのは嬉しい限りです。原作の世界観を丁寧に再現させていただきつつ、それを超えられるような、ファンの方々の期待を裏切らないようなコンテンツ作りに注力していますので、是非大きな期待を持ってお待ちいただければ嬉しいです。

 そしてファンの方はもちろんですが、原作を知らない方にも自信を持って楽しんでいただけるゲームにしていきたいと考えていますので、ぜひ手に取ってもらってプレイしていただけると嬉しいなと思います。

――ありがとうございました!

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