2023年7月1日より放送が開始したアニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』。1時間拡大スペシャルで放送された第1話“錬金術士”の感想と、原作ゲームファン目線での注目ポイントをお届け。

原作ゲームの『ライザのアトリエ』を知らなくても大丈夫!

 本アニメの原作である『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』は、コーエーテクモゲームスのガストブランドが贈るRPG『アトリエ』シリーズの中の1作品。『アトリエ』シリーズの中で、“秘密”シリーズ(※)と呼ばれる作品群の1作目にあたる。

※副題に“秘密”という言葉が入っていることから、こう呼ばれる。

 この“秘密”シリーズ1作目では、“等身大の少年少女のほんのちょっとの成長”をコンセプトに、主人公のライザと仲間たちによる、まだ見ぬものを見つけるためのひと夏の冒険が描かれた。キャラクターデザインは、イラストレーターのトリダモノ氏が担当。

 今年の3月には、ライザの冒険がひとつの区切りを迎える3作目『ライザのアトリエ3~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』が発売。先日、“秘密”シリーズの世界累計出荷数は200万本を突破し、『アトリエ』シリーズ最大のヒットを記録している。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
2019年に発売された“秘密”シリーズ1作目『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』。

 そんな人気シリーズの原点が今回アニメ化されたわけだが、最初に伝えておきたいことは、「ゲーム未経験の人にこそぜひ見てほしい」という点。いわゆる“お約束がわかっている”ことを前提にしておらず、キャラクターの設定や世界観がていねいに描写され、全体的にとてもていねいに作られている。そのため、置いてきぼりになることはなく、視聴を重ねていくにつれて、きっとゲームも遊びたくなるはずだ。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

 ちなみに、筆者は“秘密”シリーズ3作目までプレイ済みで、最終的にライザたちがどんな成長を遂げたのかを見届けた立場だが、未来を知ったうえであらためて彼女たちの始まりを見返せるのは純粋にうれしい限り。「初々しいな~」と思わず保護者目線になっていることもしばしば(笑)。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

 先ほど、ゲーム未経験でも楽しめるとお伝えしたが、一方、原作を知っていることで見えてくるポイントも多くあり(原作の再現度や、アニメならではの物語の膨らませかたなど)、毎話で楽しませてくれそうだ。

 そこでファミ通.comでは、アニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』を何倍も楽しむための掘り下げ企画をスタート。本記事を皮切りに、約3ヵ月にわたり更新していく予定だ。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

“なんてことのない”日々の暮らしに飽いていたライザの心境

 第1話のプロローグ~Aパートでは、「代わり映えのしない日々をただ過ごすのはつまらない!」と思いを胸に抱きながら、両親の農作業を手伝うライザが描かれている。彼女が暮らすのは、クーケン島という島の、ラーゼンボーデンという村。ライザは島の特産品であるクーケンフルーツの収穫をするが、この実は水分が多くて柔らかく、取り扱いが難しい。ライザは実を潰してしまうという失敗を何度もしていた。この失敗は、単純にライザの熟練度が足りていないだけではなく、彼女がこの“なんてことのない”日々に飽いていて、仕事に集中できていないことも影響していそうだ。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

 ちなみに、収穫に慣れない娘に対して、父は「5年も続ければ自分のようにうまく収穫できるようになる」と穏やかに告げるが、ライザはその言葉にあ然。単に時間がかかるからショックを受けたのもあるが、5年もこのたいくつな日々が続くのかという未来に、やり切れない思いがこみ上げたからにも見える。

子どもたちの歌は今後の大きなフラグ!?

 母からお使いを頼まれてボーデン地区に向かうライザ。そんな彼女のそばを「東の城には竜がっ住みー」、「西は悪魔の野っが迫るー」と、無邪気に歌いながら子どもたちが通り過ぎる。そのわらべ歌を何度も聞いてきたライザは、「いいなあ子どもは。なーんにも悩みとかなくって」と、とくに気に止める様子もなかった。

 だが、この歌にはのちの物語にかかわるキーワードが入っており、この時点で“なんてことのない”日々を覆す大きなフラグが立っている点は見逃せない。

しきたりに支配された島の暮らしに辟易

 お使いの最中に幼なじみのレント、タオと合流したライザは、フレッサの店前で島の古老がしきたりを破って外部から商人を招くことに反対する姿を目撃する。いままではそのしきたりが当たり前と受け入れていたライザたちだったが、彼女は「当たり前のように島に閉じこもっていてはダメだ」と指摘。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

 これまでにないライザの発言に驚くタオとレントだが、そんな考えを口にしたのは、王都から商人が来るという大きな変化に刺激を受けたからに違いない。ちなみに、その後3人はライザの自室で島の外へ冒険に出る計画を練るのだが、イケイケなライザに対して、レントとタオはしきたりを破ることにまだ及び腰。冒険心を燃やして盛り上がるライザを前に、タオは「ひと晩寝て鎮火するといいんだけど……」とつぶやくのだが、いつも彼女に振り回されているんだなという彼の気苦労がここからうかがい知れるはず(苦笑)。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

アンペルとリラの関係性が見える何気ないやり取り

 ミステリアスな雰囲気をまとっているアンペルとリラは、Bパートで初めて登場。そのときのちょっとしたやり取りで、その関係性が見えてくるのも見逃せない。

 たとえば、アンペルとリラが護衛として荷馬車に乗っているとき、アンペルが食べようとした菓子をリラが横から奪って食べてしまうシーン。最後のひとつを取られて恨みがましい様子から、彼が甘いもの好きということがわかるし、その後に返したリラの軽口からは、ふたりとの距離感がかなり近いことがうかがえる。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

商人・ロミィの商魂たくましい姿を描く演出

 “秘密”シリーズでは、パーティメンバーとなるライザたち以外にも、魅力的なサブキャラクターが多数登場する。1話では、ライザたちの幼なじみでクーケン島の有力者の息子であるボオスと、その子分のランバー、村の護り手(自警団のような存在)のアガーテ、女性商人のロミィなど、さまざまな面子が顔を見せている。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

 もちろんアニメでは彼らも活躍するが、なかでも存在感をより発揮していたのはロミィ。来客を迎えにいく船に密航し、彼らと渡りをつけて何かしらの便宜を図ってもらおうと画策するも、アガーテたちに阻止されるという、商魂たくましい姿が描かれている。ちょっとした顔見せながらも、彼女らしさを印象づけるには十分なエピソードだ。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

クラウディアと運命的な出会いを果たしたライザ

 後にライザと無二の親友となるクラウディア。Cパートではそんな彼女との出会いが描かれるのだが、ゲームと異なるのが、その出会い方。魔物に襲われているところを助けに入ったゲームとは異なり、アニメではライザがピクニック気分で探索をしていたところ、魔物から逃げるために茂みから飛び出してきたクラウディアとぶつかるという展開に。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
こちらはゲーム版の出会い。

 出会いがしらにぶつかったふたりだが、この後、もはや親友という枠には収まらないほどの絆を結ぶことを知っている自分からすると、「“運命的な出会い”をここで果たしたとも言えるかも……」と感じた。

ゲームでは知ることができなかった、アイテムの具体的な使用方法

 クラウディアと合流後にピンチに陥ったライザたち。そんな一行を救ったのはアンペルとリラだった。錬金術士であるアンペルは調合アイテムで攻撃し、リラは華麗な身のこなしで魔物を一掃する。注目したいのは、彼らに保護されて、安全な場所に避難したあとのシーン。

 薄暗い森の中を歩くためにリラは青い灯を掲げ、レントは魔物を寄せ付けない“退魔のブローチ”を掲げているのだが、ゲームではアクセサリーをどのように使うかは表現されていないので、「なるほど。こう使うのか」と、実際に使う様子を確認できた点にあらためて感動。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない
こちらはゲーム版の退魔のブローチ。

斬新なスタイルで度肝を抜かれた錬金釜での調合

 個人的に1話でいちばん度肝を抜かれたのは、アンペルから“中和剤”の調合手本を見せてもらうシーン。液体を保存する入れ物はあとから用意するのだと思っていたので、まさか錬金釜に材料といっしょに試験管をぶち込むとは。その衝撃的な光景に「え、錬金術ってパネェ!」と思わず身を乗り出したほど(笑)。

 でも、よく考えたら錬金釜の中の液体はいろいろ混ざっていて状態は謎だし、そこから中和剤の中身だけすくって取り出すのは難しいから、これは理にかなっているなと納得。いや、むしろこの摩訶不思議さこそ「これぞ錬金術!」という感じでよかった。

アニメ『ライザのアトリエ』第1話は、「え!? 錬金術ってパネェ!」と思わず口に出るほどの演出に釘付け! ライザ推しなエンディングも見逃せない

とことんライザ推しなエンディングはいさぎよし!

 このように見どころ満載で大ボリュームの1話だったが、最後まで期待を裏切らないのがこのアニメのいいところ。ライザといえば、やはり健康的なかわいさの印象が強いだけに、劇中でもそこを意識したカットシーンも多く見られたが、エンディングでは「いさぎよし!」と言えるくらい、そのかわいさをプッシュ! ライザファンは、きっと満足できるのではないだろうか。

放送情報

TOKYO MX、群馬テレビ、とちぎテレビ、BS11:2023年7月1日より毎週土曜24時00分~
読売テレビ:2023年7月3日より毎週月曜26時29分~
テレビ愛知:2023年7月3日より毎週月曜26時05分~
AT-X:2023年7月4日(火)20時00分~(※再放送:毎週木曜8時~/月曜14時~)

※放送日時は変更となる場合があります

配信情報

dアニメストア、DMM TVにて、毎週土曜24時30分~ 先行配信
ほか各配信サービスでも毎週火曜12時00分より順次配信開始

配信先一覧

  • dアニメストア
  • dアニメストア ニコニコ支店
  • dアニメストア for Prime Video
  • DMM TV
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  • アニメ放題
  • ABEMA
  • バンダイチャンネル
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