アトラスより、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PCで2024年2月2日に発売予定の『ペルソナ３ リロード』（Xbox Game Passにも対応予定）。
『ペルソナ5 タクティカ』とともにPVなどさまざまな情報が公開され、多くの注目を集めている両タイトル。発売日も発表されて、どのような仕上がりになっているのだろうか？ 本記事では『P3R』体験版を試遊したプレイリポートをお届けする。
『ペルソナ3 リロード アトラスDショップ限定版 ファミ通DXパック』の予約・購入はこちら（アトラスDショップ） 『ペルソナ3 リロード』(PS5版)の購入はこちら (Amazon.co.jp) 『ペルソナ3 リロード』(PS4版)の購入はこちら (Amazon.co.jp)最新の演出で生まれ変わった『ペルソナ3 リロード』
『ペルソナ3』は2006年に発売され、それまでの『ペルソナ』シリーズから連なるダークな世界観や雰囲気はそのままに、洗練されたデザインのUIや、当時はまだ珍しかったボーカル入りのBGMを採用するなど、ポップでスタイリッシュな演出を取り入れたことで多くのゲームファンから注目を集めた作品だ。
以降の作品でも受け継がれている、“昼は学生生活、夜はダンジョン探索”といった二重生活の構図や、さまざまなキャラクターと絆を深めていく“コミュ”といった重要なシステムも、ここで確立されたもの。
そして現在人気を不動のものとしている『ペルソナ』シリーズのターニングポイントとも言えるこの作品を、現在のP-STUDIOがみずからフルリメイクしたのが『P3R』である。シナリオや登場キャラクターなどはそのままに、現行ハードに合わせてグラフィックを一新し、さらに操作性の向上など環境面が改善されているという。
多少乱暴にまとめてしまうと、“『ペルソナ3』を『ペルソナ5』のグラフィックと操作性で作り直した”作品だと言える。なお、メインストーリーはボイスを新録しただけでほぼそのまま収録されているが、各キャラクターの日常や、ふだん見せない一面が垣間見えるイベントなども多数追加されているという。
今回の体験版には、ふたつのモードが収録されている。ひとつは“NEW MOON”で、タルタロス潜入から初めての中ボスとのバトルあたりまでを楽しめる初心者向けのモード。もうひとつは“FULL MOON”と銘打たれた経験者向けのモードで、本編では5月に発生するモノレールでのボス戦までのイベントが楽しめるというもの。
『ペルソナ』恒例の初心者潰しの洗礼に耐えられるか？
まずはNEW MOONモードから。
こちらではタルタロスの探索が体験できる。ゲームはエントランスから始まり、そこにいるパーティーメンバーの、ゆかりや順平に話し掛けることもできる。ただ、表示される選択肢では彼女たちをパーティーから外すこともできてしまうので、うっかり外してひとりで挑むハメになる……なんてことのないように。
奥にある階段を上って光るゲートを調べると、ダンジョン探索へと突入する。
本作では会話時に表示される2Dイラストから3Dモデル、背景デザイン、UIなどすべてのグラフィックが一新されている。オリジナル版をプレイしたことがある人は、今回主人公の頭身が上がったことで、敵シンボルにフィールドアタックを仕掛けるときの間合いが変わってしまい、慣れるのに少し時間が掛かるかもしれない。
また、ダッシュやオートリカバーの機能が追加されていたりと、全体的に見やすく、動かしやすくなっている印象がある。
道中は、点在する破壊可能なオブジェクトを壊したり、宝箱の中身を回収しながら、タルタロスを上へ上へと進んでいく。一部の宝箱には、開けるのに特定のアイテムが必要なものがあるのだが、この体験版ではそのアイテムを所持しているのでガンガン開けてどんなアイテムが手に入るのか見てみるといいだろう。
さらに行く手を阻むシャドウのシンボルと接触するとバトルが始まるが、シャドウに気付かれていない状態で、こちらから“アタック”で斬りつけると先制攻撃が可能となる。反対に、シャドウのほうから接触してこられると敵に先制されてしまうのだ。
なお、フィールド上でシャドウがこちらの存在に気付くと“！”のアイコンが表示されるので、気付かれてこちらに近づいてきたら、接触する直前にアタックボタンを押すと先制はされずに済む。
バトルでは、スキルを使って敵の弱点を突いてダウン状態にし、“1MORE（その場で再行動できるようになる）”を発生させて“攻撃させずに勝つ”ことを目指すのが基本方針となる。
敵全員をダウン状態にすると、パーティー全員で大ダメージを与えられる“総攻撃”が実行可能となる。ちなみに、のちのシリーズ作品でもすっかりおなじみとなったこのシステムは『ペルソナ3』が始まりである。
弱点属性は敵によってさまざまなので、敵全員からダウンを取るには、弱点に応じてさまざまな属性のスキルで攻撃する必要がある。そこで活用したいのが、自分の行動順を他のメンバーに渡す“シフト”や、主人公のみが使える“ペルソナチェンジ”といった機能。これらもシリーズ作品ではおなじみの要素だが、NEW MOONモードではチュートリアルが用意されているので、初めてという人も安心だ。
NEW MOONモードの最初の目標は、5Fにいるゲートキーパー（中ボス）のアイスレイヴンを倒すこと。『ペルソナ』シリーズの伝統である、最初のボス敵であっても容赦なくこちらを全滅させに掛かってくる骨太の難度は、令和の世になっても健在だ。道中のシャドウといちいち戦っていたら、消耗が激しくなってボス戦がきびしくなると思った（制限時間も不安）。そこで、ある程度バトルのコツをつかんだら、あとは戦わずに素通りして奥を目指すことにした。
5Fに到着したら、あらかじめオートリカバーでHPを全回復して、いよいよボス戦に挑む。アイスレイヴンはとにかく攻撃が容赦ないので、バトルが長引けばそれだけ倒される危険度が上がる。基本的に主人公のスキルで弱点を突き、総攻撃を連発して戦うことになるのだが、運悪くミスが発生してしまうと、敵のターンで強烈な攻撃を食らって一発でやられてしまうことも。
記者は惜しみなく復活アイテム（反魂香、地返しの玉など）を使いつつ、それらが切れて「ピーンチ！」となりながら、運よく倒すことができた。見た目こそ今風になったが、中身のシビアさはまったく変わっていなくて安心（？）した。
描き込まれたグラフィックに感動！
FULL MOONモードでは、タルタロスの外で起こる最初の大型イベント、モノレールイベントに挑むことになる。
NEW MOONモードと同様、パーティーは主人公とゆかり、順平の3人だが、順平はいきなり離脱して途中で再合流するのでしばらくふたりでの行動となる。
舞台はモノレール内で、タルタロスと異なり完全な一本道。道中、何度かザコ戦を経て順平と合流し、最終的にボスのプリーステスと戦うことになる。こちらはバトルをメインとしつつ、会話やイベントムービーを楽しむという構成になっている。
こちらのモードを実際にプレイする人は、グラフィックの進化がより肌で感じ取ることができるだろう。キャラクターモデルはもちろん、モノレール内の描き込みの細かさは、オリジナル版を知っていると感動モノである。描き込まれているだけでなく、窓の外を景色が流れていく描写もきちんと表現されており、作り手のこだわりが感じられた。
こちらはチュートリアルが用意されていない経験者向けのモードではあるが、順平が属性スキルを使えるようになっていたり、主人公のペルソナも充実している。さらにボスのプリーステスは、アイスレイヴンほど致命傷になる攻撃を多用してこない。原作経験者ならこちらのほうが安全にクリアーできるかもしれない。
ここで出現する敵は、似たような外見のシャドウが多く、それぞれ弱点が異なるので相手をするのが面倒。ただ、ボスのプリーステスがバトル中にそれらを召喚してくるので、ボス戦の前にそれぞれの弱点を把握しておくと、最後にグッと戦いやすくなるという仕組みになっている。
シリーズから脈々と受け継がれている骨太の難度だが、こういうさり気ない攻略法が用意されているのが『ペルソナ3』以降の『ペルソナ』シリーズのやさしさだな……と、改めて感謝しながら奥へ奥へと進んでいく。
イベント後、プリーステス戦が始まると、いきなり制限時間が発生する。しかも、最初は30分と言っておきながら、すぐに15分、8分……と短縮されていく。「ズルいぞ！」と言いたくなったが、体験版だからというわけではなくもともとこういう仕様なのだから受け入れるしかない。
プリーステスは、ヴィーナスイーグルのように一撃が致命傷になるような攻撃はしてこないが、そのぶんHPがかなり多め。制限時間も気にしつつ、いかに攻守のバランスを取るかがカギとなる。単純に攻撃を行うだけでなく、回復やバフ、デバフスキルを活用していけば問題なく勝てる。
NEW MOONモードでもFULL MOONモードでも、ザコ敵を倒すと“シャッフルタイム”が発生することがある。選んだカードに応じて、金銭やアイテムが手に入ったり、回復してもらえたり、ペルソナが手に入ったりする。道中、そこまで消耗することはないと思われるが、消耗が気になるようならこれを活用してみてもいいだろう。
そしてここまで触れてこなかったが、じつは本作ではボイスがすべて新録されているとのこと（コロマルは新たに声優を起用）。当時のキャストは、いまでも第一線で活躍している大物ばかりで、よくぞ実現できたなと思ったが、新たに吹き込まれた声を聞くと「本当に新録？」と疑ってしまうほど当時のままの瑞々しさが感じられ、それ以上の驚きを味わった。
グラフィックは前述したとおりの気合の入りようだし、今回はダンジョン探索がメインのためそこまで目立たなかったがサウンド面も既存曲はリファインされ、新曲も多く収録されているとのこと。ただのリメイク作とは言えない、もはや新作と表現すべきクオリティーである。
『ペルソナ3』未プレイの人はぜひ本作でデビューしてほしいし、原作経験者も改めて本作をプレイしてみてほしいと思った。
