AIとゲームデザインの調和

 1998年(平成10年)8月27日は、エニックス(当時)から『アストロノーカ』が発売された日。本日で発売から25周年を迎えた。

『アストロノーカ』が発売25周年。宇宙一の農夫を目指して野菜作りと害獣バブー退治に奔走する、AIとゲームデザインが融合した画期的なシミュレーションゲーム【今日は何の日?】

 『アストロノーカ』は宇宙一の農夫を目指すシミュレーションゲーム。害獣バブーとのトラップバトルにAIが用いられ、その優れたゲームデザインは当時多くのマニアを唸らせて一躍話題となった。筆者が編集部にいた当時、その魅力にハマった多くの編集者が本作を趣味でプレイしていたことを覚えている。同年7月30日に発売された『スターオーシャン』に体験版が付属していたので、そこで本作を知ったという人も多いかもしれない。

 ちなみに、AIについては、本作を手掛けたゲームクリエイターの森川幸人氏、スクウェア・エニックス 取締役執行役員の齊藤陽介氏らが登壇した本作の発売20周年記念トークイベントのレポートに詳細が記されている。とても興味深い話ばかりなので、ぜひ目を通していただきたい。

 主人公は、ニッカポッカ星系のデンガロン地区にある小惑星に降り立った農夫。ヘルパーロボットのピートとともに、最初は小さな畑で野菜を育てていくことになる。主人公の仕事はおもに3つ。ひとつ目は野菜作り、ふたつ目は畑の野菜を狙う害獣バブーを撃退すること、そして3つ目はできた野菜をコンクールに出品して優勝をすることだ。

『アストロノーカ』が発売25周年。宇宙一の農夫を目指して野菜作りと害獣バブー退治に奔走する、AIとゲームデザインが融合した画期的なシミュレーションゲーム【今日は何の日?】

 野菜を作るといっても、種を畑に植えて終わりというわけではない。何しろ、目指すは宇宙一の農夫。野菜の種を”交配マシン“で交配し、どんどん改良をしていいものを作らなければならない。交配で重要なのが野菜の属性。属性には重さ、模様、栄養、風味、音色などがあり、交配することで属性を変化させたり、新種を生み出すことができたりする。出来上がった種は、畑に撒いて収穫のときを待つ……のだが、ここで脅威となるのが畑を荒らしにやって来る害獣バブーの存在だ。

 バブーを追い払うためには、畑の前にトラップを仕掛けることが肝心。しかし、バブーは何度も同じトラップに掛かると順応して進化をするという特徴があり、撃退するのがどんどん難しくなっていく。たとえば、落とし穴に何度も引っかかると脚力が鍛えられたり、羽が生えたりして落とし穴を容易に越えるように。トラップを置ける数は限られているので、バブーの行動を予測してどこに何を配置するかを熟考する必要がある。

『アストロノーカ』が発売25周年。宇宙一の農夫を目指して野菜作りと害獣バブー退治に奔走する、AIとゲームデザインが融合した画期的なシミュレーションゲーム【今日は何の日?】

 筆者は手塩にかけて育てた野菜をバブーに食い荒らされると発狂してこっそりとリセットをしたものだが、バブーが畑を荒らしたあとにたまにレアアイテムが手に入ることがあるので、じつは憎めない存在だったりもする。余談だが、筆者がいちばん好きなトラップはとりもち。とりもちに引っかかり、ペタペタと足止めを食らっているバブーの姿はなかなかにかわいい。

 いろいろな難関を乗り越えて育った野菜は、定期的に開催されるコンクールに出品。いい成績を収めるとどんどん名を馳せ、行ける場所が増えたり、ほかの農家からの評価が上がったりする。ときに、主人公を応援するメールが届くことも。そうして、伝説の野菜“アストロキング”を作り、宇宙野菜コンクールでの優勝を目指すのだ。

『アストロノーカ』が発売25周年。宇宙一の農夫を目指して野菜作りと害獣バブー退治に奔走する、AIとゲームデザインが融合した画期的なシミュレーションゲーム【今日は何の日?】

 いまなお、移植や続編を求めるユーザーが多い『アストロノーカ』。ぜひ、何かしらの新しい動きがあることを期待したい。

これまでの今日は何の日?