2023年9月21日(木)~24日(日)に、千葉家・幕張メッセ国際展示場で開催される“東京ゲームショウ2023”(TGS2023。※9月21日、22日はビジネスデー)。
東京ゲームショウ2023の会期に合わせる形で、Virtuosは9月21日に記者発表会を開催し、東京に開発スタジオを設立することを発表した。本稿では記者発表会の模様をお届けする。
記者発表会では、VirtuosのCEOによる挨拶、Virtuos東京の立ち上げメンバー紹介、パネルディスカッションが行われた。
日本市場にマッチしたゲーム制作を行う新スタジオ設立
Virtuosは、シンガポールに本社を置く、世界屈指の開発会社。アジア、ヨーロッパ、北米に22拠点を所有している。これまでに『FINAL FANTASY X | X-2 HD Remaster』や『FINAL FANTASY XII THE ZODIAC AGE』などの開発にも携わっている。
まずは、VirtuosのCEOであるジル・ランゴリ氏がスピーチ。10年以上にわたって提携してきたコンサルティング会社のカイオスにお礼を述べるとともに。東京スタジオを設立しても、同社と引き続き提携していくことを明らかにした。
Virtuosの設立からこれまでについて紹介したのち、Virtuos東京の代表者であるギジャロ・ピエール氏からスタジオについて紹介された。
Virtuos東京の設立時のメンバーはピエール氏を含めて5人。メンバーはゼネラルマネージャーのギジャロ・ピエール氏、プロダクションマネージャーの中川亮氏、ビジネス開発マネージャーの荒井綾氏、カイオスの記野直子氏、三浦歩氏。
Virtuos東京では、コミュニケーションができるようなハブとして活動しながら、日本市場にマッチしたサービスやゲーム制作を行うとのこと。日本のゲーム開発会社とのパートナーシップ強化も目的のひとつ。また、Virtuos東京の設立前にVirtuosが提携していた開発会社との提携は、これからも継続するそうだ。
今後の展望については、2024年には10人規模を目指しており、アートディレクションやエンジニアなどの部門を任せられるようなコアなメンバーを募集するそうだ。そういったメンバーを採用後にさらに優秀な人材を募集して2025年には25人前後、5年後の2028年には30人ほどの規模を目指す。
ただ、Virtuos東京だけでゲームを一本作るというよりは、ディレクションしながら海外のVirtuosスタジオと連携して開発を進めることになる。
これからの日本のゲーム市場について語る
設立の経緯を紹介後、ゲストを招いてのパネルディスカッションが実施。Virtuos東京の設立時メンバーの記野直子氏が進行するなか、ジル・ランゴリ氏に加え、フォワードワークス取締役会長の橋本真司氏、ゲームジャーナリストの小野憲史氏の3人が日本のゲーム業界について語った。
ひとつ目のテーマは“Game as a Service(GaaS)”。売り切り型のゲームとは違い、継続的なアップデートなどで1本のゲームのサービスを長期的に行うモデルのことだ。
世界的に見て、日本初のGaaSタイトルがほとんどない理由について、橋本氏は自身がこれまで携わってきたジャンルに触れつつ、「RPGは続編を作るのに時間がかかり、そのあいだをどうするのかとしたときにMMOといったジャンルに着手したが、コストやサーバーなど先行投資がかかるのでカジュアルなMOタイプが増えている」と分析。
小野氏は「ひとつのゲームを作って世界中でサービスできれば効率はいいと思うが、実際は地域によってユーザーのニーズが違うことが背景にあるのでは」と語った。
世界から見た視点としてGilles氏は、「日本と世界で抱えている問題はあまり変わらない」として、大切なのは各国のニーズに合わせることと、コンテンツの追加や変更に対応できる組織を持つことを挙げた。
つぎのテーマは“Transmedia Ips”。いわゆるメディアミックスのことだ。
ゲームIPがドラマや映画などに広がっていることについて、小野氏は「昔は映画やドラマIPがゲームになることが多かったが、いまでは、逆にゲームIPからドラマや映画になることが増えている」とこれまでの変遷を振り返れば、ジル氏が「ゲーム産業がほかのエンタメ産業と対等な地位を確立している」と開発者側の意見を語る。
さらに、「収益面で見ても引けをとらないものになっているので、映画化などをするときに以前よりもやりやすくなっている」と事業面に触れて総括した。