Devolver Digitalが11月3日に発売するパズルアドベンチャーゲーム『Talos Principle 2』のレビュー版をプレイしたので、その内容をご紹介しよう。
本作の対応プラットフォームはプレイステーション4/5、Xbox One/Series X|S、およびPCで、テキストで日本語ローカライズされている。
限定された空間の中で与えられたギミックを駆使して解くパズル
『Talos Principle』は、クロアチアのゲームスタジオCroteamが開発した一人称/三人称視点の3Dパズルゲームシリーズ。プレイヤーは人類が滅亡した後の世界で生きるアンドロイドとして、さまざまなパズルに挑んでいく。
パズルはお題ごとに区切られた空間の中で行われ、与えられたギミックを駆使してゴールを目指すというのが基本的な形だ。
ギミックには、光のビームを伝達・加工する機器やジャミング装置などの移動可能なものや、上に物が置かれている時に有効になる圧力板、エネルギーが入力されていないと通行を遮断するバリヤーなどのマップ固定のものがあって、それらの配置とマップ構造が設計のキモとなっている。
プレイヤーは全体の構造をチェックして「赤のビームをこっちに発射しなきゃいけないのに、そのためには青のビームをこのバリヤーに入力して解除する必要があって……」とか、「この機器をこっちに持っていきたいけど、まずそのためには手前の圧力板に置かないとそもそも反対側に行けない」みたいな問題にウンウン悩みつつ、じっくり一個ずつ取り組んでいくこととなる。
構成としてはValveの名作アクションパズル『ポータル』シリーズともある意味近いのだが、『ポータル』のような俊敏な操作や細かいジャンプ制御などは必要ない。基本的にはシンプルに解法がわかるかだけで勝負できるようになっているフェアな作りも特徴と言えるだろう。
前作のスマッシュヒットを受けてさらに洗練された続編
ところで初代『Talos Principle』は、もともと同スタジオのFPS『シリアス・サム4』のためのパズル要素の模索から企画がスタートし、大きな手応えが得られたために独立したゲームへと発展したという経緯を持つ。
なのでマップの作りが『シリアス・サム4』の素材を流用して作ったかのような感じがあるし、最序盤ではガトリングガンや浮遊地雷などのFPSっぽいギミックをどう無効化するかで始まったりする。
それに対して『Talos Principle 2』は前作のスマッシュヒットを受けて最初からフルゲームとしてスタートしており、全体的に大きく洗練されているのが特徴だ。その違いはそれぞれのゲーム序盤をプレイするだけでも如実に感じられる。
たとえば序盤の設計。このシリーズはその性質上、パズルを通じて各ギミックの特性や使い方などを把握していくのがポイントとなるのだが、初代では最序盤に出てくるのが攻撃兵器なので、試行錯誤している最中にやられてリスタートという展開になりがち。正直これはあまり気分のいいものではないだろう。
しかし2ではそもそも序盤に兵器タイプのギミックが出てこないので、わからないことだらけの中で変なプレッシャーを受けることなく、ピュアに謎解きに没頭できる。
また前作では、各パズルの報酬としてゲットしたテトリミノを使って新たな領域やギミックをアンロックしていくという仕組みがあったが、今作ではゲームの進行もよりシンプルな形に整理。各エリア8面+オプション2面のうち計8面をクリアーすればひとまず話を進行できるという形になっている。
グラフィック・物語体験も大きくパワーアップ
グラフィックも大きく成長していて、前作のオマージュっぽい作りのチュートリアル面を抜けると、すぐにSF的なイマジネーションが刺激される壮大な光景を目にすることになる。
これはパズルに悩まされて煮えきった頭をリラックスさせるのにちょうどいいし、ギリシャ神話などのモチーフを散りばめつつ「人間とはどんな存在なのか」とか「知性とは何か」といった大掛かりな哲学的な問いがテーマとなっている本作の物語にもふさわしい空間になっていると思う。
物語面では、他のキャラクターとのやり取りが増えていたり、残された過去の記録の描写などもパワーアップしているのがポイント。かなりクセの強い話ではあるけども、パズルの添え物ではなくじっくり味わえるものとなっている。
序盤から数多く登場するキャラクターの個性の描き分けがはっきりしているので愛着が湧くし、一緒に行動する仲間以外の連中もオンライン掲示板的なシステムでワチャワチャやり取りしている様子が見られて楽しい。
前作をプレイしていなくてもオーケー
ところで、シリーズ物ということで「前作をプレイしてないと駄目なの?」と思う人もいるだろう。基本的には前作をプレイしていなくても問題なくプレイできるはずだ。
一応世界観が繋がっている作品なので強大な存在“エロヒム”などの要素は引き続き出てくるが、物語はアンドロイドたちが暮らす円状都市“ニューエルサレム”に誕生した新顔“1K”の視点から語られていくので、前作のストーリーを知っていなくても1Kとしてイチから学んでいける。
ちょっと引っかかりがあるとすれば、むしろパズルのギミックの部分だろう。先に少し触れたように各機器の使い方を把握しているかが序盤のパズルのキーになっていたりするので、“わかっていれば割と簡単だけど、勘違いしていると必要以上に詰まる”といったことがしばしば起こる。
うまく進めていく秘訣は、「各パズルのタイトルがテーマのヒントになっている」「必要なものは常にエリアの中に用意されている」「あまりトリッキーな操作は要求されない」といった基本を信じて、先入観にとらわれずにいろいろ試行錯誤していくこと。「あ、このギミックはこういう使い方ができるのね」とわかってしまえばこっちのものだ。
まとめ: じっくりと取り組みたい大作パズル
というわけで本作、続編として正しくあらゆる面がパワーアップした、洗練された大作パズルアドベンチャーゲームとなっている。
クセはちょっとあるし決して簡単ではないのだが、間違いなくやりごたえがあり深みのある作りで、さらなる挑戦を求める人には各エリアに1面ずつ“ゴールド”パズルや、手掛かりを集めることで挑むメタ的な謎解きも用意されている。この手のパズルが好きなら、ぜひじっくり腰を据えて取り組んでみてほしい内容だ。