Valveは2023年11月9日、ポータブルゲーミングPC『Steam Deck』有機EL(OLED)モデルを発表した。11月17日 (金) 午前3時発売予定で、予約期間は設けていない。
『Steam Deck』有機ELモデル主な特徴
- HDR OLEDディスプレイを採用
- バッテリー持続時間が30~50%向上
- 1TBモデルが登場
- 専用ケースが小型化して持ち運びやすい
『Steam Deck』有機ELモデル発表
OLEDでHDRに対応
有機ELを採用したことでより鮮やかな色彩表現を実現。また、HDR(ハイダイナミックレンジ)にも対応しており、1,000,000:1のコントラスト比で暗部の表現もより明確となる。リフレッシュレートは90Hz(60Hzから向上)で、ピーク輝度は1000ニト(400ニトから向上)となっている。また、狭額縁化によりディスプレイサイズが7インチから7.4インチに大きくなった。
ストレージも増量!
これまでのラインアップは液晶(LCD)モデルで64GB、256GB、512GBだったが、今回の発表からは液晶モデルは256GBのみで価格は79800円から59800円と大幅値下げ。
有機ELモデルは512GB、1TBのラインアップとなる。オープンワールド系のタイトルはストレージ容量が多くなりがちなので、1TBモデルの登場はうれしいポイントだろう。
1TB有機ELモデルが512GB液晶モデルと同じ価格で購入できるのは、円安諸々の事情のさなかでよく調整してもらえたと感じる。
バッテリーは大幅強化
バッテリー持続時間が30~50%向上したとしている。バッテリー容量が40Whrから増加して50Whr。電力効率が向上したAMD APUを採用し、有機ELとなったことで電力効率が向上したことも要因だ。Valveスタッフによるとアクションゲーム『Bastion』で試したところ、プレイ時間が7.5時間が9.5時間になったとしている。
外観はほぼそのまま
ディスプレイ以外は液晶モデルとほぼ変わらないデザインとなっている。端末の重さは約640gで、669gのLCDモデルから約5%の削減。サイズは298mm x 117mm x 50mmでアナログスティックが再設計により高さが1mm高くなった。
アナログスティックは指が収まる先端のくぼみ部分の素材がグリップ感が向上した素材に変更されている。
ケースはちっちゃく、ケーブルは長く
液晶モデルユーザーの意見を取り入れたアップデートが施されている。まずは専用ケース。1TBモデルのケースは内側のシェルが取り外し可能だ。薄くなってもコントローラー部とディスプレイは十分保護される。
充電ケーブルが1.5mから2.5mに延長されている。これによりソファーやベッドでケーブルの長さに捕らわれることなく遊ぶことができるだろう。
通信面ではWi-Fi 6Eモジュールを搭載。 2.4Ghzと5Ghzに加えて、6Ghzスペクトラムにもアクセス可能となった。ルーターなどの環境によっては、ダウンロードが2~3倍の高速化を実現した。
専用アクセサリーのドッキングステーションとも互換性はある。
発表にあたって行われたValveのハードウェアエンジニアのピエール=ルー・グリフェ氏への事前インビューでは、本モデルは“1代目Steam Deckの決定版”という位置づけで、「次世代『Steam Deck 2』(仮)は技術のアップデートに合わせる形で、有機ELモデル発表後の2年後くらいにリリースできれば」とコメントしていた。なので、ポータブルゲーミングPCデビューや買い替えを検討しているのであれば、有機EL搭載でバッテリーやストレージも向上している本モデルは魅力的な選択肢であろう。
そのほかのアップデートも以下に記載する。
以下、発表資料より引用
パフォーマンスと排熱
- 節電のためAPUを7nmから6nmに微細化
- 6400 MT/s メモリにより遅延を改善し、電力管理を強化
- ファンを拡大することで排熱性能を改善
- 再開速度を30%向上
タッチスクリーン
- 応答性が大幅に向上
- ポーリングレートが向上(180Hz)
- 遅延が改善され、精度と一貫性が向上
Bluetooth
- 専用アンテナ付のBT 5.3モジュールにより、BluetoothとWiFiを同時に使用する際のエクスペリエンスが向上
- 接続性が向上(とくにドッキング中)
- Aptx HDやAptx低レイテンシーなど、より多くのオーディオコーデックに対応
- Bluetoothコントローラによるスリープ解除対応
ハプティクス
- 改良され、より忠実度の高いハプティクス
- 再設計されたトラックパッドにより、忠実度とエッジ検出が向上
オーディオ
- 低音が改善された大音量スピーカー
- オンボードマイクはヘッドフォンジャックとして同時に使用可能
エルゴノミクス(人間工学)
- 30グラム(約5%)の軽量化
- サムスティックの質感と形状を改善し、快適性と操作性を向上
電源
- 再設計により長くなった電源ケーブル(1.5mから2.5mに延長)
- バッテリーの化学的特性を改善し、充電を高速化(約45分で20%から80%まで
- の充電が可能)
- WRGB充電LED
修理可能性
- より確実に分解/再組み立てを行えるように、背面カバーを金属ボス付き機械ネジに変更
- 上部の剥離を防ぐトルクスネジ
- システム全体で使用するネジの種類を削減
- 一般的な修理に必要な手順の簡素化
- バンパースイッチをジョイスティックボードに搭載し、修理の容易化を図り、バンパーショックの信頼性を向上
- ディスプレイ交換時に背面の取り外しが不要
ソフトウェア
- 引き続きSteamOSとSteamのアップデートを行い、それらはSteam Deck OLEDとSteam Deck LCDの両方の改善にもつながる
- 2022年2月に(海外で)Steam Deckをリリースして以来、300を超えるソフトウェアアップデートをリリース。今後も改善を続けていく予定
技術仕様
コンピューティング
- プロセッサー:
- AMD APU / 6nm
- CPU:Zen2 4c/8t、2.4-3.5GHz(448 GFlops FP32)
- GPU:8 RDNA2 CUs、1.6GHz(1.6 TFlops FP32)
- APUパワー:4-15W
- RAM:16 GB LPDDR5オンボードRAM(6400
- MT/sクアッド32ビットチャンネル)
- ストレージ:Steam Deck 512GB NVMe SSD、Steam Deck 1TB NVMe SSD、両機とも高速microSDカードスロット搭載
コントロールと入力
- ゲームパッドコントロール:ABXYボタン、十字キー、L&Rアナログトリガー、L&Rバンパー、ビュー&メニューボタン、割り当て可能な背面ボタン(4個)
- サムスティック:静電容量方式フルサイズアナログスティック(2本)
- ハプティクス:HDハプティクス
- トラックパッド:30mmハプティクスフィードバック付き角型トラックパッド(2
- 個)、4msフレームタイミング
- ジャイロ:6軸IMU
ディスプレイ
- 解像度:1280x800xRGB
- タイプ:HDR OLED
- ディスプレイサイズ:7.4インチ(対角)
- 最大輝度:1,000ニトのピーク輝度(HDR)、600ニト(SDR)
- コントラスト比:> 1,000,000 : 1
- 色域:110% P3
- リフレッシュレート:90Hz
- レスポンスタイム:< 0.1 ms
- タッチ対応:高性能タッチスクリーン
センサー
- ライト:デュアル環境光センサーALS
接続
- Bluetooth Bluetooth:5.3(コントローラ、アクセサリ、オーディオに対応)、Bluetooth専用アンテナ
- WiFi:トライバンド6E無線Wi-Fi、2.4GHz、5GHz、および6GHz 2x2、MIMO、IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax
オーディオ
- 電源:5W
- チャンネル:没入感のあるリスニング体験を実現するDSP内蔵ステレオ
- マイク:デュアルアレイマイク
- ヘッドフォン/マイクジャック:3.5mmステレオヘッドフォン/ヘッドセットジャックデジタル:ディスプレイポートまたはUSBC経由のマルチチャンネルオーディオ
電源
- 入力:2.5m PD3.0タイプC電源ケーブル、45W
- バッテリー:50Whrバッテリー、3~12時間のゲームプレイ(コンテンツによって異なります)
その他
- microSD:UHS-IはSD、SDXC、SDHCに対応
- コントローラディスプレイ用の外部接続:タイプC端子のディスプレイポート、最大60Hzで8K、または120Hzで4K。第2世代のUSB3