フルカラータテスクコミック『ELDEN RING Become Lord』が本日連載開始!
大型ダウンロードコンテンツ『ELDEN RING SHADOW OF THE ERDTREE』の発売を2024年6月21日に控えているアクションRPG『エルデンリング』。その世界を舞台にしたフルカラータテスクコミック『ELDEN RING Become Lord』が、本日3月29日よりカドコミにて連載開始となった(ほか、国内電子書籍ストアでも順次配信開始予定)。
そこで本作の第1話公開を記念して、漫画を担当する手撃拳氏にメールインタビューを実施。ゲーム『エルデンリング』に触れたときの想いや、その世界を描くにあたっての意気込みなどをうかがった。ぜひ第1話とあわせてチェックしてほしい。
『ELDEN RING Become Lord』作品情報
漫画:手撃拳(てげきけん)
原作:ELDEN RING(株式会社フロム・ソフトウェア)
脚本:21g
企画・編集:角川青羽
『ELDEN RING Become Lord』あらすじ
『ELDEN RING』エルデの王を目指す褪せ人の冒険譚
アクションRPG『ELDEN RING』の、ある冒険者の戦いを描いたカラー版コミックが登場。 祝福に導かれ、狭間の地に至った褪せ人は、エルデの王となるため旅に出る――。道中で出会う魅力的なキャラクターや様々なダンジョン探索、強大なボスとのバトルなど、ゲームの壮大な冒険を描いたコミカライズ。
『ELDEN RING Become Lord』作者・手撃拳氏インタビュー
手撃拳(てげきけん)
北京電影学院アニメ学部卒業の、双子の兄弟ユニット。オリジナル漫画作品『極熱進化(极热进化)』が、「第3回オールKADOKAWAによるタテスクコミック大賞」と同時開催された「The 1st TATESC COMICS Global Awards」にて、中国語簡体字金賞と“日本における翻訳出版賞”銀賞を同時受賞しKADOKAWAでのデビューを果たす。2024年3月29日より『ELDEN RING Become Lord』連載開始。
――まずは読者に向け、自己紹介をお願いできますでしょうか。
手撃拳こんにちは! 私たちは中国出身の新人漫画家・手撃拳(てげきけん)で、双子の兄弟です。漫画家になることは私たちの長年の夢で、道のりは遠く困難がありましたが、今も努力を重ねています。私たちにとって“漫画家”という職業には崇高な意味があり、いつか自信をもって「私たちは漫画家です!」と言えるようになりたいです。
――「The 1st TATESC COMICS Global Awards」にて『極熱進化』が中国語簡体字部門の金賞を受賞いたしました。あらためて受賞の感想と、この作品に込めた想いをお聞かせください。
手撃拳まず『極熱進化』が受賞できたことは、本当に私たちに大きな自信と創作意欲をもたらしてくれました。当初大賞に応募した目的は、正直に言うと“賞を取ること”でした。なぜなら、受賞自体が、私たちの作品を認めてもらえたことだと思ったからです。しかし創作にのめり込むうちにその目的は忘れていました。『極熱進化』の創作は本当に私たちを心から楽しませてくれました。
この作品を書き始めた当時、私たちの境遇は本当に苦しいものでした。お金も仕事もない引きこもり生活で、ペンと画用紙で自分を表現することしかできませんでした(笑)。そのとき、私たちはこの作品にすべてを賭けることを決意し、脚本を練って、ネームを何度も何度も直し、キャラクターの心の奥にある欲望を探るためにロールプレイまで行いました。
上海の40度を超す猛暑の中、狭い作業スペースで自分たちも溶けて作品と一体化したかのような気分になりました(笑)。多くの読者に共感してもらえるはずだと心から思い、そう考えるたびに嬉しくなりました。そして本当に幸運にも受賞できました! たぶん、全身全霊をこの作品に捧げたからこそ、夢に一歩近づけたのだと思います。
今でも当初の思いを胸に、後続の創作に取り組んでいます。素晴らしい作品を皆さんにお届けできると信じています。
――ゲームに関して、これまでどのような作品を好んでプレイされてきましたか? また『エルデンリング』以前のフロム・ソフトウェア作品ではどのようなゲームをプレイしてきましたか?
手撃拳ゲームは本当に幅広くプレイしていました。アクションゲームやFPSはほとんどプレイしたことがありますが、オープンワールドのゲームがとくに好きで、『レッド・デッド・リデンプション 2』や『ウィッチャー3』といった作品が気に入っています。最近の弟は空き時間にまだ『ウィッチャー3』の世界を探索しています。
そして、大学時代に『ダークソウルIII』と出会って以来、フロム・ソフトウェアのゲームの虜になりました。その後、『デモンズソウル』や『SEKIRO』もプレイしました。残念ながら大学卒業直後は生活が非常に厳しく、ゲームに費やす時間が限られていました。
ソウルライクと呼ばれるジャンルを生み出したフロム・ソフトウェアの作品は、従来のストーリー展開を捨て去り、各シーンにおいてプレイヤー自身が世界観やストーリーを探求・構築する必要があります。アイテムの説明文にさえ、秘密が隠されています。そこに描かれたのは常に人間の闇と悲しみ、そして複雑さであり、そこにこそ、現実と非現実が入り交じったゲーム世界の真実があるのだと気づかされます。
そしてフロム・ソフトウェアは進化を続け、作品ごとに異なる体験を提供してくれます。このフロム・ソフトウェアの姿勢が私たちの最も敬服するところです。
――『エルデンリング』をプレイしたときの感想をお聞かせください。可能ならゲームファンとしての視点と、コミック作家としての視点の双方からうかがえると幸いです。
手撃拳ファンとしては、攻略意欲と恐怖心が同居していました。マップの隅々までを見渡したい一方で、つぎの瞬間に命を落とすのではないかと怖くもありました。また強大なボスを倒した時の達成感、それは一瞬の解放感と自己の成長を感じさせてくれます。これこそがこのゲームの大きな魅力です。ボスに何度も殺されれば、運は尽きていると気づかされ、勝利できるのは技術を磨き続けた自分自身しかいないのだと実感します。
フロム・ソフトウェアのゲームのファンがよく言うように、成長するのは主人公ではなく、プレイヤー自身です。オープンワールドの傑作は多数ありますが、ストーリーとRPG性が中心なのが一般的です。『エルデンリング』はオープンワールドとソウルライクを融合し、最小限のガイドしか与えられないため、思う存分、自由に探索できます。あの時間を思い返すと、まだまだ遊び足りない気がしてなりません。
一方で漫画家という立場から『エルデンリング』をプレイすると、キャラクターのアクションや背景の観察、これまで見逃していた物語やNPCの掘り下げ、世界観や設定の深堀りなど、作品の素材を探ることが目的になります。常に新たな驚きを用意してくれていることも、このゲームの素晴らしいところかもしれません。
――『エルデンリング』でお気に入りのキャラクターを教えてください。
手撃拳星砕きのラダーンです。悲壮であり、かつロマンチックな存在。彼を倒したあと、流れ星に涙が出るかと思うほど感動しました。このようなキャラクターを生み出した人も、やはり優しい心を持っているのでしょう。
――今回『ELDEN RING Become Lord』を描くことになった経緯をお聞かせください。
手撃拳『エルデンリング』やフロム・ソフトウェアのゲームついて、あくまでもファンとして担当編集さんとよく話をしていました。そんなとき『エルデンリング』のタテスクコミック漫画化プロジェクトの作画をKADOKAWAさんから打診され、本当にびっくりしました。同時に大きなプレッシャーもありました。うまく描けなければ読者を失望させてしまうのではないかと不安もありました。
――本作では、『エルデンリング』のどのような部分をコミックで表現したいと考えていますか?
手撃拳本作ではバトルシーンを中心に表現することを意識しています。探索シーンを多く描いてしまうと、読者が飽きてしまう恐れがあります。また、ゲームの重要な内容をネタバレしないよう、細心の注意を払っています。
漫画では単にゲームを再現するだけでなく、主人公の存在を際立たせることが重要だと思います。主人公はすべてのプレイヤーを表していて、経験豊富な褪せ人なのです。読者に当時のゲームでの冒険の様子を思い浮かべてもらえるよう、対ボス戦の描写には力を入れました。まだゲームをプレイしていない読者にも、この漫画を通して「挑戦してみよう」と思ってもらえれば幸いです。
――今後の連載にあたって、最も描いてみたいと考えているシーンがありましたらお聞かせください。
手撃拳最も印象深く、そして今後の連載で描きたい戦いは、星砕きのラダーンとの戦いです。
この戦いを的確に描写するため、私たちはゲームをもう一度プレイし、多くの関連資料を調べ直しました。この戦いにはNPCが多数登場するため、作画は非常に難しいと思われます。しかし、戦いの光景が頭から離れません。ラダーンの巨大な体躯が最初から強烈な威圧感を与えます。遠くから襲ってくる大矢は、まるで耳元を掠めたかのようです。
そしてラダーンが地面を叩き、火の玉になってプレイヤーを襲うシーンや、最後に彼を倒すと、流星が空を走るシーンなども非常に印象的でした。この戦いには感情を込めずにはいられないと思います。ゲームでの衝撃的な光景を漫画で表現し、読者にも感じ取ってもらえたらと願っています。
――最後に、連載開始にあたっての意気込みと、読者に向けてのメッセージをお願いいたします。
手撃拳『エルデンリング』のタテスクコミックを描かせていただける機会を得て、本当に光栄でなりません。漫画家として、全身全霊をこの作品に捧げ、自分たちの現時点での最高の作品を作り上げたつもりです。プレイヤーの皆さん、読者の皆さんにその想いが伝わることを心から願っています。皆さんからのフィードバックも心待ちにしています!
まだまだ私たちには未熟な点が多くあり、日々切磋琢磨を重ねていくことで、さらなる飛躍が可能になると信じています。ソウルライクゲームが教えてくれたように、困難を乗り越えれば必ず光明が訪れるはずです。最後になりましたが、このインタビューの機会を設けてくださり感謝します。連載を楽しみにしていてください!
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