ゲームの概要を端的に書けば、ゲーム内に収録されたミステリ小説を読み、トリックと犯人を当てるという単純なもの。しかし、豪華な著名推理作家陣が用意したミステリ小説はそんなに簡単に解けるものではない。そこで、文章内の注目すべきポイントをキーワードとして抽出しつつ、小説内に仕掛けられたトリックはどういうものなのかを明らかにしていく。そして、最終的にトリックと犯人を明かす仮説を提示し、それが正しいかを検証して、すべての謎を解けばクリアーとなる。ミステリ小説を数多く読んだ熟練者はもちろん、ミステリ小説を読んだことのない初心者も、キーワードをきっかけに推理の楽しさが味わえる内容になっているのだ。
←ゲーム内に収録された小説は、いずれもこのゲームのための書き下ろし。誰もが、初めて読む"犯人当て小説"に挑むのだ。
事件ファイルNo.1
盗まれたフィギュア
我孫子武丸
マニア垂涎、時価300万円のフィギュアが盗まれたのは、合鍵を作ることが不可能な南京錠で閉ざされた蔵の中。マニアが集まる例会で厳重な持ち物検査が行われるなか、フィギュアは忽然とその姿を消してしまった。誰が、どうやって、フィギュアを盗み出したのか。
 
事件ファイルNo.2
明かりの消えた部屋で
竹本健治
楽しかった韓国旅行を終えて自宅に戻った彼女を待っていたのは恋人の死体。帰宅直前にすれ違った怪しい女性は、彼女にしつこくつきまとっている元カレの現在の彼女だった。さらに、恋人に恨みを持つ男も捜査線上に浮上し……。誰もいないはずの真っ暗な部屋で、いったい何が起こったのか。
事件ファイルNo.3
雪降る女子寮にて
麻耶雄嵩
冬の朝、女子寮でひとりの女学生が背中に包丁を突き立てられて死んでいた――。同じ女子寮に住み、恋人を奪われた恨みから彼女をもっとも憎んでいた女学生も、同じ日に北海道で事故に巻き込まれ――。残されたダイイング・メッセージとは? 北海道で起きた事件、果たしてその関係とは?
 
事件ファイルNo.4
切断された五つの首
大山誠一郎
離婚した元亭主の動向を見張ってほしい。失敗続きの冴えない探偵が受けた簡単なはずの依頼は、殺人事件へと発展。監視していたはずの男は、いつ、誰によって殺されてしまったのか? そして、犯人はなぜ、被害者の"五つの首"を切断したのか。探偵は第一発見者の女子大生とともに、事件解決に奔走する。
事件ファイルNo.5
亡霊ハムレット
黒田研二
大邸宅で行なわれた仮装パーティー。その最中に厳重なセキュリティ管理がなされた屋敷内のギャラリーで、ひとりの男が射殺される。撃ったのはハムレットが着用していたという伝説のある甲冑。しかも、甲冑の中には誰も入っていなかった。監視カメラが見守るなかで起きた、この不可思議な事件の真相は?
 
事件ファイルNo.6
ブラッディ・マリーの謎
竹本健治
雪に閉ざされた温泉ホテルに泊まっていた人嫌いで有名なミステリ界の大御所作家が、包丁で刺し殺されてしまった。現場は一面血まみれで、犯人も相当の返り血を浴びたと思われたが、宿泊客や従業員にもそんな人物はいなかった。血の付いた衣類が捨てられた形跡さえないのだ。外部からの侵入が不可能な状況のなか、姿なき犯人が潜んでいる……。
事件ファイルNo.7
ライフリング・マーダー
麻耶雄嵩
湖の中に浮かぶ小島に建てられた小さなログハウスで、高名な幻想小説家がライフルで射殺されてしまう。容疑者は、作家の息子を含むライフル部の4人とその友人ふたり。弾道を調べてみると不思議なことがわかった。犯人は天空から作家を撃ったとしか、思えない状況だったのだ。
 
事件ファイルNo.8
目の壁の密室
大山誠一郎
土曜の商業ビルの玄関ホール。監視カメラは、ビルのオーナーやテナントを借りている人たちの動向を映し出し、警備員はそれを見つめていた。その状況下で、ビルのオーナーが自室で死んでいるのが見つかる。しかし、監視カメラを再生すると、オーナーが殺されたと思われる時刻に彼の部屋に入った者はいなかった。誰がどうやって監視カメラに映ることなく、彼を殺害したのか……。
事件ファイルNo.9
Yの標的
綾辻行人&有栖川有栖
太陽へ祈りをささげている最中に殺されたのは、太陽を拝む教団"拝陽"の導師。彼は誰からも尊敬されていた開祖の跡を継いだ二代目で、最近は幹部たちと教義の変更を巡って揉めていた。居合わせた元教徒の取材記者と女性カメラマン、金銭にあやしい噂のある教団の顧問弁護士、導師との過去がある使用人……。錯綜する人間関係に、事件は謎を深めていく。
 
事件ファイルNo.10
完全無欠のアリバイ
我孫子武丸
高級感とリーズナブルな価格を売り物にしたスーパーマーケット"プレミアムデリSAEKI"の創立20周年パーティーはつつがなく終わったように見えた。しかし、その夜、社長が何者かに殺害されてしまう。容疑者は、それぞれ支店を任されている社長の4人の息子たち。その誰もに、鉄壁のアリバイがあるのだが……。
※辻はしんにょうに点ふたつです。 
『TRICK×LOGIC(トリックロジック)』は、大きく分けて3つの要素で構成されている。ひとつはゲーム全体を通じて語られる天才検事・芳川樹の物語。なぜ芳川がビルから突き落とされたのか。この事件については『シーズン1』、『シーズン2』を通じたブリッジストーリーとして語られる。そしてふたつ目が、芳川樹(=プレイヤー)が、現世の未解決事件を記したアカシャ(=ゲーム内に収録された推理小説)に挑む推理編。これはアカシャを読み、アカシャ内のキーワードからトリックと犯人を推理するもの。そして最後の解決編は、トリックと犯人を特定して作った仮説をもとに、仮説の検証を成功させることを目指すパート。解決編で無事に検証が成功すれば、つぎのシナリオへと進むことになる。
天才検事として名を馳せる芳川樹。とある夜、彼はビルの屋上で何者かに突き落とされた。芳川は冥界でヤマの手伝いをしつつ、現世に戻って自身の事件を解決することを目論む。芳川自身にまつわる物語は、アニメーションムービーを中心に展開。美麗なムービーの中にも、芳川が襲われた真相へのヒントが隠されている……。なお、アニメーション制作は『鋼の錬金術師』や『CANAAN』などのテレビアニメを手掛けるピーエーワークスが担当。
アカシャ内のキーワードを組み合わせて、仕組まれたトリックと犯人を見つけ出す推理編。ヒントはあるものの、基本的に頼れるのはみずからの推理力のみ。真相がわかるまで、何度でもアカシャを熟読し、隠されたトリックを読み解かなくてはいけない。
何はなくとも、事件の全貌を知るためにもアカシャを通読する必要がある。初めて読むアカシャではキーワードなどが表示されないため、まずは最後まで読み切ろう。そのあいだに気になるポイントがあったら、しおりを挟んで置くこともポイントだ。1度アカシャを読んだら推理スタート。いくつものキーワードが赤く光り出す。
アカシャ内にいくつも登場する赤く光ったキーワード。その中から気になったキーワードをピックアップして"推理実行"のボタンを押すと、事件の論点とすべき"ナゾ"が浮かび上がる場合がある。ただし、まったく関係ないキーワードもあれば、ナゾの中にもミスリードを誘うダミーが存在する。当てずっぽうではなく、しっかりとした推理が必要だ。
↑文中で赤く光るのがキーワード。気になるキーワードを抜き出そう。
↑→キーワードを組み合わせると、ナゾが浮かび上がる場合がある。
↑むやみにキーワードを組み合わせても、推理に関係ないものではナゾも出てこない。
浮かび上がったナゾを、さらに別のキーワードと組み合わせると、事件の調書を作成するのに必要な"ヒラメキ(仮説)"が生まれることがある。ヒラメキもナゾと同様にいくつも生まれるため、すべてが正しいものではない。無数に生まれるダミーの中から、調書に当てはめる正しきヒラメキを見つけ出すのだ。
↑→キーワードとナゾを組み合わせて、ヒラメキができる瞬間。確信を持ってヒラメキを見つけられたときは、非常に気持ちいい。
←論点が同じであれば、ひとつの組み合わせから複数のヒラメキが生まれる場合がある。だが、この中の大半が間違ったヒラメキ。正しいものを見抜けるか。
事件解決に必要な調書は書式が決まっており、当てはめるべきヒラメキだけが空いた状態になっている。正しいヒラメキを発見できたと思ったら、調書にヒラメキを当てはめて検証を開始しよう。
↑→トリックを見抜くヒラメキを当てはめ、最後には事件の犯人の名前を選択する。
調書を完成させると、芳川自身が事件を整理し、順序立てて検証していく。ひとつひとつの問題を提唱し、調書に当てはめたヒラメキが正しいかを、天野つかさや丸ノ内慶次らとの対話方式で検証していくのだが、当てはめたヒラメキが違った場合、どこが間違っていたのかを反証で説明しつつ、検証は終了してしまう。当てはめたヒラメキ、犯人の名前が正しければ、事件解決となる。
↑調書に当てはめたヒラメキを持ち出し、自問するように検証する。
当てはめたヒラメキが間違っていた場合は、検証はそこで終了。何が間違っていたのかを教えてくれる。また、ほかに当てはめていたヒラメキなども含めて、芳川が調書の自己採点を行うため、どれくらい正しかったのかを判断する材料にできる。
当てはめたヒラメキが正しかった場合は、芳川による検証もスムーズに進んでいく。ときおり推理の裏付けを示すための選択肢などが出現する場合もあるので、それも間違えないように。すべてを正しく答えれば検証終了となり、ヒントを見た数などにより推理ランクが決定される。
何度も推理に失敗していると、ヒント代わりになる"解決への糸口"が見られる。"解決への糸口"を見ると、ヒントの内容と同時にヒラメキ欄に"黒のヒラメキ"が追加される。これはいわばギブアップに使うアイテム。どうしても事件が解決できない場合、調書のすべての項目を黒のヒラメキで埋めれば、事件の真相が明らかになり、つぎのシナリオへと進められるようになる。
どうしてもアカシャの真相がわからない場合がある。そんなときには、事件に関する資料を見て推理する視点を変えたり、気分転換をして頭を切り替えることが必要だ。『TRICK×LOGIC(トリックロジック)』では、小説だけでなく、そういったプレイヤーを補助する要素も用意されている。これらを活用すれば、すぐに推理も閃く!?
←アカシャ内に登場する容疑者などの人物を記したもの。登場人物が多い場合などに頭で整理するのに活用できる。
→事件現場の見取り図。どこで事件が起こり、そのとき容疑者はどこにいたのかといったことがわかりやすくなる。
←いわば事件のヒント。何度も推理に失敗していると見られるようになるが、開くと推理ランクが下がってしまう。
→ヒントはどんなヒラメキが必要になるかといった内容に加え、ヒラメキを入手するためにどのキーワードが必要になるかということなども教えてくれる。
→容疑者や担当刑事として推理に協力する天野つかさと、丸ノ内慶次が独自の推理を披露するショートストーリー。どこが間違っているかを反証する推理要素も入っている。
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