無料で配信中の追加コンテンツ『ディスカバリーツアー』（※）。皆さんはもう遊びましたか？

　『アサシン クリード オリジンズ』の舞台である古代エジプト、その広大なオープンワールドを自由に探索できるという、おまけと呼ぶにはあまりにやりごたえのあるアクティビティです。文化や歴史を学べる音声ガイドも収録されており、教育や学術の分野での利用も視野に入れられて開発されています。

※Steam版は『ディスカバリーツアー』単体でも購入が可能

　そんなディスカバリーツアーですが、やはり気になるのは「詳しい人から見ても、古代エジプトがちゃんと再現されてるの？」という点ではないでしょうか？

　そんな折、ユービーアイソフトから「教えてやるからちょっとツラ貸しな」というお誘いが届いたので、指定された現場にノコノコやってきました。

　エジプト料理レストラン・ネフェルティティ東京です。席に着いた途端、コフタ（羊と牛のハンバーグみたいなやつ）が出てきました。右上の白いソースは、まろやかなのにスパイシーという新感覚のおいしさ。挟んで食べるためのピタパンも、もっちりした食感とほどよい塩気の相性が抜群です。お昼にラーメン食べた直後でしたが5分で完食しました。最高の料理でメディアを籠絡する作戦かもしれません。ユービーアイさん、内部に知能犯がいますね。

ガチの詳しい人、登壇†

　筆者がおかわりを要求しようとしたちょうどその時、ゲストが登壇してイベントが開始しました。古代エジプト美術館の創始者である菊川匡さんと、クレオパトラの遺跡の発掘に参加した経験をお持ちの女優・酒井美紀さんです。

　ガチの詳しい人、登場です。

　菊川さんは、質・量ともに日本一と呼んで差支えない古代エジプトコレクター。所蔵しているミイラのラインナップも、人の頭、腕、脚、ネコ、ハヤブサ……とバラエティに富んでいます。そもそも“ミイラのラインナップ”なんて表現が必要になるのは日本で菊川さんくらいではないでしょうか。

　酒井さんもまた、テレビ番組の企画で2017年11月にエジプトを訪れたばかり。アレクサンドリアの光景や雰囲気は記憶に新しいとのこと。

　イベントでは、実際に『ディスカバリーツアー』のゲームプレイ映像を流しながら、おふたりによるトークがくり広げられました。『アサシン クリード オリジンズ』の古代エジプトは、詳しい人から見てもちゃんと再現されていたのでしょうか？

　

アレクサンドリアの空気感と、身体能力がすごいクレオパトラ†

　まずは、酒井さんが滞在したというアレクサンドリアの街を探索。ディスカバリーツアーの特徴としてプレイヤーが操作するキャラクターを、主人公バエク以外のさまざまな登場人物から選べるというものがあります。今回のイベントでは、操作キャラクターとしてクレオパトラが選択されました。

　アレクサンドリア大図書館のようなランドマークや、姿勢の街並みを順番に巡っていきます。

　高所からアレキサンドリアを見下ろす場面では、酒井さんから「今のアレキサンドリアは大きな道路を車が走っている近代都市だけど、地中海沿岸の空気感は同じものを感じます」とのコメントが。

　続いては、音声ガイドのひとつ『古代エジプトのファッション』をプレイ。ゲーム中のアクセサリー工房を訪問し、3Dモデルのネックレスやブレスレッドと菊川さんのコレクションを見比べながらトークが進行しました。

　これは、かなり似ているといえるのではないでしょうか！ 菊川さんによれば古代エジプトではアクセサリーが人気で、クレオパトラは真珠のネックレスを好んだといわれているそうです。

酒井さんは、色とりどりのスカラベのネックレスがお気に入り。

　ちなみに、ディスカバリーモードでも本編と同じ移動アクションを行えるので、壁や柱をものすごいスピードでよじ登る女王が観られます。さすがにこれは「クレオパトラとは思えないですね！」とゲストも爆笑してました。

最古のピラミッド内部は、菊川さんも驚きの再現度†

　ロケーションは大きく変わり、最古のピラミッドである“ジョゼルの階段ピラミッド”へ。なんとこの場所は、菊川さんが驚くほど忠実に再現されているのだそう。

　というのも、この遺跡の内部には青色のタイルで装飾されている壁があるのですが……

　そのタイルの質感が、古代エジプト美術館に所蔵されている実物とそっくりそのままだったのです。菊川さんの口からは「よくここまで再現できましたね」、「細部まで手を抜いていないのがわかる」と、称賛に近い言葉が飛び出しました。

「ミイラ作りには“デラックスコース”と“エコノミーコース”がある。これはデラックスのほう」†

　最後に訪れたのはミイラの製作現場。菊川さんいわく、古代エジプトの宗教では人間は魂と肉体から構成されており、復活のために肉体を死後も保存する必要があったのだそう。今回プレイしたガイドツアーでは、その“肉体の保存”の方法を学ぶことができました。

　菊川さんによれば、ミイラ作りにはエステのような“デラックスコース”と“エコノミーコース”があり、ゲーム中に描かれているミイラ作りは、かなりデラックス寄りとのこと。とくにツタンカーメンのような棺に収納するのは超スーパーデラックスで、これはかなり位の高い人物なのではないかと予想。

その道の権威が語るゲーム考察、おもしろすぎます。

知的好奇心を刺激するきっかけに†

　おふたりのあいさつでトークセッションは終了しました。本作の『ディスカバリーツアー』は、詳しい人から見ても古代エジプトの魅力がたしかに再現されていたようです。

菊川さん「私の目から見ても当時の再現が忠実で、とくに映像の質感は想像を越えるほどでした。細部まで手を抜いていないと思います。ゲーム的なワクワク感もあっておもしろいですし、今後これを使って学ぶ方が多くなるとうれしい」

酒井さん「あたりまえですが、私が訪れた現代のエジプトと古代エジプトは全然違いました。遺跡の発掘に参加して、古代の人の知恵や工夫を強く感じたのですが、こうして当時の様子を目の当たりにしたことでさらに実感できました。自分は小学生の息子がいるのですが、実際に旅をさせるのは難しいので、こうしたソフトで知的好奇心を刺激できたらいいなと思いました」

　ユービーアイソフト側も、教育事業に関する窓口を新たに設置するなど、この面白い取り組みに本格的に力を入れ始めています。

　古代オリエント博物館では、2018年3月31日までの期間に無料体験会も実施しています。興味のある方は、ぜひ脚を運んでみてはいかがでしょうか。