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『サイバーパンク2077』レビュー第2弾。世界観、演出、選択の自由が噛み合ったとき、人はゲームとシンクロする。
公開日時:2020-11-20 02:30:00
“サイバーパンク”といえば、フィクションのジャンルのひとつ。しかしいま、この言葉はゲームファンのあいだでは発売を控えた大作『サイバーパンク2077』を指すと言っても過言ではありません。
世界中が首を長くして発売を待ちわびているこの作品は、数度の発売延期を経てもなお、ユーザーからの期待を一身に集めています。
本作を手がけるのは、日本でも高い人気を誇る『ウィッチャー3: ワイルドハント』を制作したCD PROJEKT RED。サイバーパンク世界の巨大都市を丸ごとオープンワールドにするという新しいチャレンジは、発表当初から大きな注目を浴びていました。
そして発売日の2020年12月10日までひと月を切ったいま、再び体験プレイの機会を得られることに……! しかも今回は、いっさい制限なくプレイできるビルドとのこと。本記事では、過去に発表されたゲームの要素やプレビュー記事で判明しているものも含め、2日間15時間にもわたるハンズオンを経て感じた本作の魅力について語っていきます。
※解説動画はこちら
【サイバーパンク2077】最新4K映像公開!ゲーム内容はこれで学べ【CP2077】
会話や行動が、その後の展開に与える影響が果てしない!†
『サイバーパンク2077』は、『サイバーパンク2.0.2.0.』というテーブルトークRPGを原作とする、オープンワールドRPGです。原作版とは背景を共有しているものの、現代の基準に合わせて設定の変更や追加が行われています。また、原作では2020年の世界、本作ではその約50年後の未来が描かれています。もちろん原作を知っていれば楽しめる要素はあるものの、物語は本作独自のものとなっているため、原作を知らないからといって尻込みする必要はありません。
本作の舞台となるのは“ナイトシティ”と呼ばれる都市。監視体制を敷く巨大企業と、それに抗い独自の縄張りを持つギャングたち。輝くネオンや、いたるところに掲げられる胡散臭い日本語混じりの看板。そして頭にチップを埋め込み、体のすみずみまで機械に入れ替えた人々の群れ。そんな我々の思い描く“ザ・サイバーパンク”というイメージを具現化したような街です。
プレイヤーは、ナイトシティで名をあげようとする新進気鋭の傭兵・V(ヴィ―)をみずからの分身とし、さまざまな依頼をこなしていくことになります。その過程で、不老不死の鍵を握るチップ<Relic>をめぐる陰謀へと巻き込まれていく……というように物語は展開していきます。
この<Relic>には、キアヌ・リーブス氏演じるキャラクター、ジョニー・シルヴァーハンドの人格が宿っています。ジョニーは、作中の時代から何十年も前に活躍した伝説的ロックバンド“Samurai”のフロントマン。企業による支配体制に抗った超有名人でもあり、すでに亡くなったと思われていました。しかし、成り行きでそのチップをセットすることになったVは彼を認識し、会話することができるのです。
ここでは物語の内容について深くは触れませんが、“伝説になった人物(ジョニー)”と、“伝説になりたい人物(V)”がひとつの体に共存し、反発しながら……ときには軽口を叩き合いながら事件を追っていくというシチュエーションは、サイバーパンクならでは。ジョニーはかなり自分勝手な性格をしているため、プレイヤーとしても彼の発言にはたびたびツッコミを入れたくなることが多く、それがいっそう“ジョニーのことをウザがるV”とのシンクロに一役買っているのがおもしろいところです。
話を進めるにつれ、巨大な陰謀に絡め取られていくような薄気味悪さもあり、どんどんと物語に惹き込まれます。誰もが自分の利益のために行動するナイトシティという場所だからこそ、登場人物たちの真意も先の展開もまったく見えません。何度「えっ!?」となったことか……。
ちなみに今回のプレイで触れられたメインストーリーの進行具合は、「中盤に入ったくらい」とのこと。寄り道も多分にしていたとはいえ、15時間で中盤……しかも寄り道要素も網羅し切れていなかったことを考えると、総合的なボリュームはかなりあると言っていいでしょう。CD PROJEKT REDによると、本作ではメインストーリーに影響を及ぼす大型のサイドストーリーがたくさん用意されており、よりどっぷりと世界観に浸りたい場合は、サイドストーリーをプレイするのがいいとのこと。
『ウィッチャー3』をプレイ済みの方はご存知かと思いますが、CD PROJEKT REDは重厚なストーリーテリングを得意とするだけではなく、プレイヤーに選択を突き付けてくるゲーム作りが得意な会社。プレイヤーが選んだ選択肢や行動によって物語の展開が変わるという要素は、本作でも健在です。
まず最初に訪れる大きな選択が、ゲーム開始時に選ぶ“ライフパス”。ライフパスはいわゆる出自のようなもので、Vがどのようにして傭兵の道を歩むことになったかを選択する要素です。ナイトシティ育ちで、ギャングに近しい生きかたをしてきた“ストリートキッド”、ナイトシティの外、バッドランズと呼ばれる郊外から大都会へとやってきた“ノーマッド”、巨大企業アラサカのエージェントとしてエリートの道を突き進んでいる“コーポレート”の3つから選ぶことになります。
どのライフパスを選んでもストーリーは途中で合流しますが、プロローグの展開はまったく別。描かれる事件はもちろん、傭兵稼業の相棒となるジャッキーとの関係性が、ストリートキッドでは初対面なのに対し、コーポレートでは旧知の仲であるなど、大きく異なってくるのです。さらに、ストーリーの合流後にも、各ライフパス専用のクエストが用意されているとのこと。
ライフパスの影響がとくに大きいのは会話での選択肢。今回のプレイではストリートキッドを選んだのですが、ギャングの事情に精通していることを活かして相手ギャングを言いくるめたり、相手とギャングのつながりを見破ったり、という場面で活用できました。もしノーマッドやコーポレートで始めていた場合は、そもそもこの選択肢は表示されず、別の手段で切り抜けなければなりません。もちろん、ほかのライフパスはそれぞれ役に立つ場面があります。
また、ライフパスのみならず、Vの能力値(※能力値については後述)も会話で活用できることがあります。例えば“肉体”が高ければ、相手を痛めつけて情報を吐かせることができたり、“知力”や“技術”が高ければ、専門的な話をして情報を聞き出せる、という具合です。
返答に制限時間が設けられる会話もありました。その場合は、無言を貫くのも選択肢のひとつ。ただ、制限時間がある場合は、たとえば銃の引き金をまさに引かんとするような切羽詰まった状況であることが多く、無言を貫くことによって銃弾が発射され、戦闘になだれ込むといったことも。
筆者の前回プレイ時とは違い、今回はメイルストロームというギャングとの交渉中に選択肢を選ばずにいたら、そのまま銃撃戦に発展。会話を進めていればロイスというキャラクターが登場するはずでしたが、登場しないまま物語が進んでしまいました。ちなみに、ここでロイスが登場しない場合は、別のシーンで出てくることになります。
加えて言えば、このシーンではメイルストロームとは敵対せず、続く第三勢力との戦いで共闘を行うルートなども存在します。
このように、プレイヤーの返答ひとつで展開が大きく変わるのが本作の魅力であり、その選択肢の多さや展開の幅広さには驚きを隠せません。細かい点では、同じジョブ(ミッション)での会話内容が、特定の人物が生きているときと死んでいるときで変化するとのこと。すべてのパターンを見ようと思ったら、いったい何周すればいいのでしょうか。
ちなみに個人的な感想ですが、初回プレイのライフパスはノーマッドがよさそうに思えました。というのも、ノーマッドのVはナイトシティ育ちではないため、ナイトシティの知識がない……つまり、プレイヤーと同じ状態ということ。プレイヤーの驚きはそのままVの驚きになり、それがより強い一体感を生み出してくれるはずです。もしライフパスに迷っている人がいたら、ひとまずノーマッドで始めてみるのも手かもしれません。
主観視点であることの意味と、そのパワーを感じたエピソード†
長時間プレイしてもっとも印象に残ったもの……それは意外にも、“主観視点がもたらした感情の大きさ”でした。キャラクターカスタマイズができるゲームでは、三人称視点で自分の作ったキャラクターを見ながらプレイしたいという欲求を、多くの人が持つのではないでしょうか。個人的にも、主観視点にした意図はわかる一方で、「やっぱり三人称視点でも遊びたいな」と思っていました。しかしいまでは、本作を堪能するのであれば、主観視点以外に考えられなくなっています。
その理由のひとつはもちろん、主観視点であればサイバーパンクという世界観を表現するための演出がしやすいこと。画面に表示されるUIを“Vがセットしたインプラントが視覚に映したもの”として表現する、というものです。そしてこれは、ただUIを映すだけに留まりません。
たとえばパワー系の銃器は、弾丸が壁などに当たると一定確率で跳弾するという特徴を持ちますが、跳弾の軌道を予測するのは、ただの人間には不可能でしょう。しかし、弾道予測インプラントをセットすることで、弾がどのように跳弾するのかを視覚情報として確認できるようになるのです。Vが戦闘の効率化のために取り入れたインプラントの効果が、そのままゲームプレイとしてもプレイヤーに恩恵をもたらす構造になっています。
ほかにも、依頼の仲介役であるフィクサーから仕事の情報を受け取る際、現場の写真などが眼前にポップアップされたり、敵のネットランナーにハッキングを仕掛けられた際に視界にノイズが走ったりと、本作ではさまざまなものが視界を通して伝えられます。
画面を単なるゲームの情報を見るスペースとして使うのではなく、Vが見ている風景そのものとすることは、間違いなく没入感の強化に一役買っていると言えるでしょう。眼球のインプラントを交換する際に、新しく取り換える眼球の視点から自分の体を眺められるシーンなどは、サイバーパンクの世界観を実感するうえで非常にわかりやすい体験となるはずです。
このように、ゲームと現実との相互関係が非常に美しく構築されていて、よりいっそう“自分がVになる”ことを手助けしていると感じました。
そして、主観視点が最適と思うもうひとつの理由が、視界が限られるがゆえに、イベントシーンや会話シーンで現実感を感じたことです。個人的には、敵を前にしたときより、もっと静的な何気ない会話のときに強く感じることがありました。
たとえば、相棒のジャッキーはすでに面識がある(ゲーム内でいっしょに行動する場面が多い)ぶん、彼の顔を見ると安心感が湧いてきます。
また、あるイベントで、唯一無二の友人を失い悲嘆にくれた人物と会話をするシーンがありました。会話中は、当然その人物が視界内に収まるのですが、悲しむ彼の姿がいたたまれなくてあまり注視できず、思わず視線を横にずらしてしまいました。このとき、自分の感情によって視線を動かしたという事実に、ふと現実感を覚えたのです。
本作のNPCの会話や身振り、表情というものがリアルに作り込まれているということもありますが、大きく作用したのは、その場の空気感とも呼べるもの。ゲームという仮想世界の中に、リアルな空気感を作り出すことが本当にうまいと感じます。
ほかにも、街を歩いているとき、ふと気になる場所に視線を送ると思います。理由はわからないけど気になる看板だったり、最新ニュースを流している街頭ビジョンだったりするかもしれませんが、こういった“気になるもの”への誘導も巧みで、主観視点のカメラをさまざまな場所に向けることで「まさにいま、自分はナイトシティで生きている」という実感が湧いてきます。
このように『サイバーパンク2077』では、人間の感情を揺さぶるシーンや、何か気になるものが視界をかすめたときに、ふと“主観視点での意味”を感じることができました。さまざまな感情が渦巻き、喧騒に溢れるナイトシティにおいて、主観視点というのはこの世界のリアルさを想像以上に映し出してくれる舞台装置なのだと感じます。
別の人物の記憶を体験できるブレインダンスも、主観視点の恩恵を受ける要素と言えるでしょう。ゲームの要素としてのブレインダンスは、対象の記憶を俯瞰視点で見て、その空間に残された手がかりを調べるためのツールですが、映像を主観視点のまま見ることも可能です。
物語の都合上、ブレインダンスを見ることになるタイミングはいろいろな意味で衝撃的なシーンであることが多いので、ぜひ一度は主観視点のまま通して見て欲しいところ……。まさに、自分がブレインダンスを使っているかのような体験ができるはずです。
Vが見ていないところでも、街の住人たちは蠢いている†
ナイトシティがこれまでのオープンワールドゲームの街並みと違うと感じたのは、その活気。街自体もかなり細かく作り込まれているのですが、それとは別に“街としての存在感”に圧倒されました。たとえば、大通りは比較的キレイに整備されているものの、少し外れた裏通りに入れば、ゴミが積み重なるスラムのようになっていたり、飲食店が多く立ち並ぶ繁華街のようなところには大勢の人が集まっていたりと、都市内部でメリハリがきっちり付けられています。
ちょっとアングラな場所ではギャングがたむろしており、一見平和に見える場所でも、その平和がギリギリの秩序の上に成り立っていることが見て取れました。ちなみに、ギャングたちは彼らの縄張り内でない限りは、すぐに襲ってくることはありません。しかし、肩がぶつかるなどして機嫌を損ねてしまうと……言わずもがなですね。
戦闘は、ナイトシティのどこででも発生する可能性があります。むしろプレイヤーとは関係ないところで銃声が聞こえることも珍しくはなく、クルマが暴走して事故を起こしていたのも一度や二度ではありませんでした。こういったプレイヤーが関わらないところで何かが起きているというのも、ナイトシティらしいというか、混沌とした街らしさを感じさせます。
街頭ビジョンはつねに番組や宣伝を流し続け、人々の喧騒は途切れることなく、とにかく騒がしい。現実世界の歓楽街を歩いているような賑やかさ(それと、ある種の小汚さ)がナイトシティには溢れています。
目と耳に対して雑多な情報量をぶつけることで世界を形作っているような感覚です。実際のところ、サイバーパンクの世界観にとても合っており、世界としての説得力が増しているように思えました。
なお、街ではいたるところで依頼を受けられるので、どこへ行っても退屈することはありません。傭兵は基本的にフィクサーから依頼を受けるのですが、中にはフィクサーを通さないで直接相談してくる人も。依頼のほとんどはマップ画面に表示されるため、自分で依頼を探すこともできますが、近くで受けられる依頼をフィクサーが教えてくれることもあり、ブラブラしているだけでも依頼に困ることはありませんでした。……むしろ人手不足なのかと思うほどにメッセージが飛んできます。
加えてナイトシティには、ギャングをちょっと懲らしめたり、賞金首を狙ったりというような、直接その場に行くことで発生するアクティビティも点在。依頼と合わせると、膨大な数のコンテンツが用意されています。
本作はオープンワールドなので、ある程度ストーリーを進めることで、移動できる範囲が一気に拡がります。しかし一方でRPGでもあるため、装備が整っていないと勝つのがとても困難そうな敵も多く存在しました。マップで依頼やアクティビティにカーソルを合わせると危険度が表示されるため、現時点で難しい依頼は避けることも可能。無鉄砲な人間はナイトシティでは生き残れないのです。
ちなみに、本作にはファストラベル機能はありますが、移動できるのは街に設置されたターミナル間のみ。一度近寄らないとターミナルを解放できないため、まずは一通りナイトシティを巡る必要があります。ただ、ナイトシティは地区によって雰囲気がガラッと変わるので、散歩しているだけでも楽しめるでしょう。恐らく、フィクサーからの依頼メールが山ほど到着すると思いますが……(笑)。
■誰もが理想のVを作れる、キャラクター育成の自由さ†
陰に潜んで進み、いざとなれば刀で敵を切り裂くV。敵の弾をものともしない頑強な肉体を備え、正面突破を狙うV。ハッキングを駆使して敵をかく乱し、スマートに物事を運ぶV。どんなキャラクターも実現できる育成要素の奥深さも、本作の醍醐味のひとつです。
もちろん、戦闘、ステルス、ハッキングの3要素をくっきり分ける必要はありません。銃で戦いつつハッキングで優位を築く戦闘スタイルもできますし、すべてを平均的に扱えるオールラウンダーとして成長させることだって可能です。
まるでテーブルトークRPGにおけるキャラクター作成の自由さを、そのままビデオゲームに落とし込んだかのように、プレイヤーが望む姿(見た目的にも能力的にも)のVを生み出すことができます。
むしろ、できることが多すぎてどうすればいいのか戸惑うほど。15時間プレイしたいまですら悩むくらい、多くの可能性が開かれています。そして、キャラクターを個性付ける要素としては、おおよそつぎのものが挙げられます。
■1.能力値
能力値は“肉体”、“反応”、“知力”、“技術”、“意志”の5項目があり、レベルアップ時に得られるポイントを割り振っていきます。たとえば“肉体”なら、体力やスタミナ、所持重量の上限値、近接武器の威力などに影響します。“知力”を伸ばせばハッキングがやりやすくなるため、ネットランナー(ハッキングを得意とするクラスの呼称)プレイをしたければ“知力”を重視する、というように、プレイスタイルに応じて伸ばす能力値を決めたいところ。
最初のほうでも少し触れましたが、“肉体”が高いと会話時に相手を殴って情報を吐かせたり、ドアを力任せに開けたりと、能力値が行動の幅を幅を広げることもあります。
■2.スキル
スキルは能力値に連動している要素ではあるものの、能力値とは違い、アクションをくり返すことでレベルアップします。たとえば“反応”の能力値には“ハンドガン”、“ブレード”、“アサルト”という3つのスキルが存在し、ハンドガンで敵を倒すと“ハンドガン”のスキルが上昇していく、という仕組みです。加えてスキルが上昇すると、それに応じた“スキル進行報酬”を獲得することができます。
■3.パーク
パークは、各スキルごとに用意された特殊技能。ツリー形式になっていて、“ハンドガン”のパークツリーでは、おもにハンドガンを使用したときに受けられるパッシブ効果や、新アクションなどを習得することができます。
パークの習得にはパークポイントが必要になり、ポイントはレベルアップ時や、前述のスキル進行報酬でも手に入ります。また、パークによっては一定の能力値(たとえば知力が10以上など)が必要になることもあります。その場合、そのパークを習得できるだけの能力値まで成長させなければなりません。
■4.装備品
武器や衣服といった装備品にはステータスが設定されているため、よりいい装備品を身につけることでもVの能力を向上させることができます。また、装備品にはレアリティがあり、希少なものほど性能も高く、特別な効果が付与されているものも……!
■5.サイバーウェア
サイバーウェアは装備品とは違い、Vの肉体を機械に置き換えるものです。目や手足、臓器や骨など、さまざまな部分を機械化することにより、身体機能の強化や内蔵武器の使用ができるようになります。
■6.サイバーデッキ
ハッキングに使用するクイックハック(ハッキングプログラム)をセットできるサイバーウェア。すべてのサイバーデッキには各種デバイスを誤作動させたり、遠隔操作を可能にしたりするクイックハックがあらかじめインストールされており、その種類は各デッキによって異なります。また、デッキには敵に直接使用するクイックハック用のスロットがあり、視界を奪う、通信を乗っ取る、あるいは強制的に自死させるプログラムなどをインストールし、カスタマイズすることができます。
これらの項目を調整して、自分だけのVを作り上げていくことになるのですが、何を基準に考えるかはプレイヤーしだい。
たとえば、敵の攻撃を食らいながらも接近してなぎ倒すというイメージから考えるならば、体力を増加させる“肉体”とアーマーを増強する“技術”に能力値を多く割り振り、その範囲内で習得できるパークを選ぶ、という育成方針が取れます。
また、成長方針を使う武器から選ぶという方法もあります。本作に登場する銃は、パワー、スマート、テックという3系統に分類可能。パワーは、跳弾を活かして身を隠しながら別の敵にダメージを与えられる可能性があるのが特徴です。スマートは、敵を自動でロックオンしてくれるため、銃で敵を狙うのが苦手な人でも使いやすい点がうれしい。また、テックはチャージすることで障害物を貫通して敵を攻撃することができる。……というように、それぞれ異なる特性を持っています。
ただしこれらの特性は、その効果をしっかり活かそうとすると、パークやサイバーウェアによるバックアップが必要。たとえば、パワー武器はそのまま使うだけではほとんど跳弾しないため、跳弾発生率を高めたり、跳弾の軌跡を視認できるサイバーウェアを導入しなければ、跳弾を狙って当てることも難しいでしょう。近接武器に関しても同様で、敵に素早く近づける能力や、耐久力を上げる手立てがないと近づくことすら困難です。このように、使いたい武器を定めれば、自然と育成方針が決まってくる場合もあるでしょう。
サイバーウェアは導入することでアクションが追加されたり、炎や毒への耐性を得られたりと、目に見えて効果が出るものが多いですし、腕から刃が飛び出すマンティスブレードのような、華やかな見た目のものもあります。人間離れした動きができるようになるため、アクション要素を楽しみたい人にはうってつけです。
ネットランナーとしてハッキングを駆使したい人は、良質なサイバーデッキと、使いたいクイックハックを軸に割り振りを考えるという手もあります。初期のサイバーデッキで使えるクイックハックは限られますが、十分に成長したネットランナーであれば、ハッキングのみで窮地を切り抜けることも不可能ではありません。
割り振れるポイントや、一度に装備できるサイバーウェアの数など、育成にはつねに何かしらの制限が付きまといますが、この限られたリソースをどう生かしてVを強化していくのかを考えるのが悩ましくも楽しいところ。
そしてこの自由な育成を気兼ねなく楽しめるのは、本作のミッションそれぞれが、何通りものクリア方法が用意されているからでもあります。
目標の人物がいる建物に入る際に、“肉体”能力値を生かして無理矢理ドアをこじ開けるのか、“技術”でロックを解除するのか。周囲を観察すれば、思いもよらない入り口が用意されていることもあります。誰かに賄賂を渡すことで進めることもありました。極めつけは、ギャングのボスを隠密行動でスルーすることができるなど、本当にプレイヤーの取る行動がそのまま結果に結びつくということに驚きを禁じ得ないし、遊びかたとしてこれ以上ない夢があります。
余談ですが、サイバーウェアは基本的にとても高価なアイテムで、ゲーム序盤では依頼をたくさんこなして、ようやくひとつふたつ購入できるほどのものほとんどでした。サイバーウェアはあまりチェストなどから手に入らないこともあって、お金を貯めて買うのが基本となりそうです。ただしリパードクによっては1000エディーや2000エディーなどお小遣い程度で購入できるものを取り扱っている場合もあるため、いろいろなお店を巡ってみるのもよいかもしれません。
依頼をこなしていくと、クレド(傭兵としての評判)が上昇し、クレドが高くなると上等な品を売ってくれるようになるといった恩恵もあるため、余計に依頼をどんどんこなしたくなります。
新しいサイバーウェアを買うためにせっせと依頼に勤しむ自分の姿が、作中のVの「名前を売ってビッグになりたい!」という気持ちと重なるように感じてきて、ここでもまた少し一体感を感じました。
依頼で稼いでだ金で装備を更新し、さらに依頼をこなしていくうちに評判が上昇。よりいい装備が手に入るようになる……といったゲームフローが、まさにナイトシティの傭兵としての在りかたと一致しているというのは、なかなかニクイ演出ではないでしょうか。
今回のハンズオンではPC版を使用しましたが、最後にレイトレーシングなどを有効にした、高スペックPC用の画面も見せてもらうことができました。ガラスや床に移った反射や、服に対するライトの照り返しなど、とりわけ光まわりの描画力が格段に向上しており、またゲームビジュアルのクオリティが一段階上がったことを認識させられました。
光り輝くネオンや、ガラス、レザーといった反射しやすい素材が多く使われるサイバーパンク世界は、レイトレーシングによる美しさの恩恵を受けやすい題材だと感じます。開発中だというフルチューンされたPS5版がどの程度のグラフィックになるのかは不明ですが、そちらもいまから楽しみでなりません。とはいえ、まずはPS4やPS5の後方互換機能でナイトシティにジャックインできる日を楽しみにしましょう!
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※画面は開発中のものです。
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- <目次>「俺はナイトシティで生きる」――プロローグにさえ、没入度MAXのゲーム体験が詰まっている
- <キャラクター作成>この世界だからこそのキャラクリの幅の広さ
- <ナイトシティへ>新たな発見に満ち溢れた街歩き
- <最初の任務とブレインダンス>クセしかないヤバいやつらが物語を盛り上げる
- <クエスト紹介>よくある“自分だけの物語”どころじゃない
- <キャラクター育成>思いのまま過ぎるカスタマイズ要素がすごい
- <まとめ>体験プレイを終えて
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