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【特別企画】『新サクラ大戦』田中公平氏が楽曲に込めた思いとは? 秘蔵エピソードを交えて語る!
公開日時:2019-12-17 12:00:00
『サクラ大戦』の魂はここにあり!†
2019年12月12日、新作を要望するファンからの圧倒的な声に後押しされながら、ついに『サクラ大戦』シリーズの完全新作『新サクラ大戦』が発売となった。すでに多くの人がプレイし、本作の魅力を堪能していることだろう。
本稿では、『サクラ大戦』シリーズのオリジナルメンバーのひとりにして全楽曲を手掛ける、田中公平氏へのインタビューをお届けする。“アニソン界の巨匠”であり、キレキレのトークでも有名な田中氏だが、今回も出し惜しみすることなく『サクラ大戦』復活の経緯や、各ボーカル楽曲について収録時のエピソードを交えて聞かせてくれた。誰よりも『サクラ大戦』を愛してきた、その熱き魂を感じていただきたい。
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田中公平氏 |
草の根活動が実を結び『サクラ大戦』涙の復活へ†
――あらためて『サクラ大戦』復活について、ご自身の思いをお聞かせ願えないでしょうか。
田中 いろいろありましたね……言えることと言えないことが(笑)。復活につながった直接のきっかけは、2008年8月31日、銀河劇場での『紐育星組ラストショウ』の千秋楽、これで『サクラ大戦』のすべてのコンテンツが終わるというその舞台でした。
終演後もお客さまが誰も帰らずに『サクラ』の続行を願ってくれたあの場所から、今回の復活が始まったのだと思っています。
――終了を宣言されたその日から、復活への第一歩が刻まれていたのですね。
田中 そのときの話は私のブログ(※2019年9月16日公開『あの時から、、、新サクラ大戦へ』)にも書いているので読んでください。
※外部リンク:田中公平氏ブログ
その後、関係者の偉い人に直訴したり、私なりにいっぱい動きました。表立っては言えない問題もあり、話はそう簡単には進みません。でも、そのあいだも横山智佐さんを始め『サクラ』に携わったさまざまな人が、そしてもちろん私も、『サクラ』の火を絶やさないようにいろいろな活動を続けてきました。
国内だけでなく、海外でも歌ってきたりしたのですが、たとえばドイツでもお客さまが皆『サクラ』を知っていてびっくりしました。
――今回の復活を、海外のゲームファンもすごく歓迎してくれているようですね。
田中 台湾や欧州で、『新サクラ大戦』をどのくらいの人が遊んでくれるのかが楽しみです。セガの内部でも西野(陽)さん、寺田(貴治)さんといった当時のメンバーがずっと動いてくれていて、会うたびにいつも「もう少し待っていてください」と言っていました。
――そしてついに復活が決定したときは……。
田中 西野さんから「復活が決まりました」という連絡をもらったときは、本当にうれしかった。決定打となったのは、2016年11月のセガフェスで復活を望むファン投票でぶっちぎり1位になったことで、あれでセガ社内の空気がガラッと変わりましたよね。ファンも含め、本当にたくさんの人に支えられてこの時を迎えることができたんだなと思います。
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“『サクラ大戦』復活”が一般に公表されたのは2018年4月。セガフェス2018のステージ上で、製作総指揮・里見治紀氏がみずから復活を宣言した。 |
――復活が決まったとき、楽曲に関して何か話はあったのでしょうか?
田中 それほど時間を置かずに正式なオファーもいただきました。その時点で「こういう内容の楽曲を作ってほしい」というメニューというか要望も届いていて、「(スタッフのやる気が)すごいな」と思いました。
――そのメニューをもとに、スタッフと相談して具体的な内容を固めていったわけですね。
田中 いえ、私は昔から『サクラ大戦』についてはゲームそのものはもちろん、楽曲の内容についても口出しをしたことはないんですよ。いつも通り、いただいた要望をそのまま譜面に起こしていきました。
――そうなんですか!? 現場でバチバチ火花を散らしているようなイメージを勝手に抱いていました。ということは、要望には作りやすいよう細かく指示があるのでしょうか。
田中 まぁ、まぁ……ですね……(笑)。広井(王子)さんの時代から「この曲はルンバでやりましょう」とか、そのくらいの指示でした。
――清々しいまでにアバウトですね(笑)。
田中 劇伴というのは全体を見ながら作るものなので、1曲1曲ああだこうだ言うのではなく大まかなところだけ決めていただくくらいのほうがいい曲を作れるんです。
今回はキャラソンに関しては「さくらは昭和のアイドル歌謡、初穂はお祭りロック」といった具合に、大まかなイメージだけいただいていました。
――作業はいつごろされていたのでしょうか。
田中 2017年の11月~12月くらいでBGM約100曲にボーカル曲と、ほぼすべての曲を作りました。収録は2018年5月ごろから進めています。
――そんなに短期間で作っていたんですか!?
田中 じつは同時期にアニメ版の作曲だとか、ほかの某海賊アニメだとかの仕事もあったので、2017年11月から2018年7月ごろまで、196日間で1日も休みがないという事態になっていたんですよ。だから『新サクラ大戦』の作曲も2ヵ月という短期間でがんばりました。ゲームの作曲は早めにしないといけないんですよ。曲に合わせてイベントを作ったり、アニメの入れ込みなどもありますから。まぁでも『サクラ』の作曲は楽しいので何とかなりましたね。
――サラッとおっしゃっていますが、楽曲内容の指示といい、すごい話です……。それも『サクラ大戦』をいちばんよく知る公平先生だからこそ、開発チームも信頼してまかせられたということなのでしょうね。
田中 もともと『サクラ』は、いちばん初めは私と広井王子さんだけで始まったんですよ。あるREDのスタッフが変な(笑)シミュレーションゲームの企画書を持ってきて、それを読んだ広井さんが「このままじゃ売れないだろう」と思ったものの、「確か田中さんがミュージカルをやりたいと言っていたなぁ」ということで、ふたつの企画をくっつけて、新たなゲームの企画書を作ったのが始まりでした。でも、最初はキャラクターの絵を始め『サクラ大戦』とは似て非なるゲームだったんです。
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記念すべき第1作『サクラ大戦』(1996年発売) |
――あのビッグプロジェクトも、出発点はそんなところにあったんですか。
田中 それを持ってセガでプレゼンしたものの、あまり反応が芳しくなくて、「じゃあ先に曲を作ってそれで再度説得しよう」と、ビクターのスタジオで『檄!帝国華撃団』と『花咲く乙女』を収録することになりました。予算がどこから出ていたのかはいまも不明なのですが(笑)。
それはともかく、その2曲の効果もあって偉い人の説得に成功し、開発が始まったんです。だから『サクラ大戦V』までに関しては、広井さんと私が誰よりもよく知っていると自負しています。
ただそこから14年も空いてしまい、制作体制を始めたくさんの人や物が変わった今回は、楽曲以外はあまり把握していません。最初は楽曲担当から外されても仕方がないとも思っていましたし。
――いや、公平先生以外の音楽など考えられないですよ! でも、開発の主体がセガゲームスとなるなど、制作体制が大きく変わった今回は、楽曲制作についても環境は変わったのではないですか?
田中 ファンの皆さんに見えない部分では、本当に大きく変わりました。何がどう変わったのかは、いろんなところに怒られちゃうので言えませんが(笑)。
ただ、楽曲作りの環境に関しては、何も不満なくやらせていただきました。最初に予算の見積もりを出したときは「この額だと絶対にオーケーは出ないだろうな……」と内心つぶやいていたのですが、快くゴーサインを出してくれて。
しかもその後すぐ、アニメもやります、舞台もやりますと、つぎからつぎへと企画も立ち上がっていきましたし、セガさんの本気を感じましたね。
多くのファンが唸った衝撃の仕掛け――『新ゲキテイ』に込められた技術と思い†
――それではそろそろ今回の楽曲について伺っていきたいと思います。まずは“新ゲキテイ”こと『檄!帝国華撃団<新章>』の聴きどころを教えていただけないでしょうか?
田中 当初、私からは「新しい曲も書きますよ」と伝えていたのですが、先の西野さんから「今回は『ゲキテイ』でお願いします」と野太い声でお願いされまして(笑)。
ただの焼き直しにはしたくなかったんですが、かといって『ゲキテイ』らしさを残したまま変えるのもなかなか難しかったですね。
――イントロやサビ、間奏など“お約束”が多いですものね。
田中 そうなんです。それで、まずイントロ1ではトランペットのファンファーレを一小節挿入しました。これで「“新”だぞ」という宣言をしているんです。そしてイントロ2は以前と同じで安心させておいて、Aメロで「ひ~きさいた~」ではなく、「砕け散る~」といきなり速いテンポの歌い出しにして裏切るという……。
――最初に聴いたときは、いつも通りに始まるかと思いきや急にテンポが変わってAメロが始まったのでびっくりしました。
田中 Aメロではとにかく「あ、変わった!」と思わせようとしました。その後サビで「は~し~れ~」とおなじみのメロディーに戻ったと思わせて、「はし~れ~」と追わせるサプライズを盛り込んでまた驚かせる(笑)。佐倉さんはE(ミ)の音が裏声でなく表で出せることを知って思いついた仕掛けでした。
――公式生放送では、今回初めて“曲先(※曲を歌詞よりも先に作ること)”で作ったということも話しておられましたね。
田中 私は、ボーカル曲を作るときはいつも“詞先”で進めているのですが、今回だけは作詞の広井さんにお願いして“曲先”でやらせてもらいました。そうしたら、広井さんはさすがというべきか、「♪夢は甦る帝国華撃団」、「♪我ら新章(あらた)なる帝国華撃団」という歌詞を作ってきて……。長い付き合いですが「ようわかっとんな、このオッサン」と感服しました(笑)。
――個人的な印象ですが、『檄!帝国華撃団』は真宮寺さくらのテーマ曲でしたが、『檄!帝国華撃団<新章>』は5人で歌う“花組のテーマ曲”なのかな、と思いました。
田中 その通りです。今回は新花組の結束を歌った楽曲ですからね。難しいのは、ひとりでは歌えない曲になったということでしょうか。裏メロもたくさんありますし。だから、今回はカラオケでも皆で歌ってほしいなと思っています。じつは振り付けについてもだいたい頭の中でできているんです。
――それは楽しみです! 初お披露目は舞台版でということになるでしょうか。
田中 そうですね。(天宮さくら役の)関根優那さんが披露してくれると思います。
限界突破の難度!? “田中公平の挑戦状”とは……†
――それでは引き続き、キャラソンのお話も伺いたいと思うのですが。今回は初回限定版の“歴代歌謡集”に収録されている楽曲の解説をお願いします。
田中 じゃあ天宮さくらから順番に行きましょうか。『乙女なんですよ』は昭和アイドル歌謡です。それは天宮さくらがこれまでの『サクラ大戦』にいなかった妹キャラクターだということがあります。
よく「アイリスは妹キャラちゃうんかい!」とツッコまれるのですが、アイリスは大神を「お兄ちゃん」と呼んではいますけど、“妹”ポジションではないですよね(笑)。
それで作詞のイシイジロウさんと「妹キャラクターってどういうイメージだろう?」と話して“自分のことをわかってほしいが素直になれない”という感じかなと、このような曲になりました。メインヒロインの楽曲なので、そこまで冒険はしていませんが、正統派アイドルソングとなっています。
――続いて、東雲初穂の『女!!祭りの心意気』についてお願いします。
田中 これは“お祭りロック”です。和楽器がいっぱい入ってきて、太鼓をドンドン叩くイメージも最初からありました。ただ、あまり演歌には寄せないように、かといって世の和楽器バンドがやっているようなオシャレすぎるものにもしたくなかった。それで、これまでありそうでなかった感じの曲になりました。
聴きどころの「オイサー!」は、セガの社員や私も含めたスタッフの叫び声が入っています。本当は里見(治紀)会長にも声を掛けたかったんですが、さすがに自粛しました(笑)。
内田(真礼)さんも歌ったことがないような曲だと苦労していましたが、収録を通じて技術を身に付けていって、いい歌になったと思います。
――あざみの曲はちょっと毛色が違いますね。
田中 『忍者あざみ』はコミックソングで、花組の5曲ではいちばんの変化球でしたが、じつに堂々と歌ってくれましたね。ほかのキャストにはほぼ地声で歌ってもらいましたが、山村(響)さんだけは、あざみの声で歌っています。
曲が出来上がったとき、最初は地声で歌ってもらったらかなり大人っぽい印象になってしまって、それではと全力で声を作ってもらったら、今度はかわいくなりすぎた。その後も「山村7:あざみ3で……」など、少しずつ調節してもらった結果「山村6:あざみ4」でちょうどよくなっていまの歌になりました。
彼女はとにかく歌がうまくて、まさに“プロ”。5人の中では、早見(沙織)さんと並んでスムーズに収録が進んだかもしれませんね。
――そしてアナスタシアは、一転してしっとりとした曲調になっています。
田中 『帰れる場所』は昭和歌謡やシャンソンの雰囲気をまとう曲で、福原(綾香)さんが「こんな曲は人生で1曲でも歌えるとは思っていなかった」と言うくらい、歌いたかった曲調のものだったようです。それだけに、歌ったことはないので苦戦していました。
スタジオの灯りを消して収録した、という話は知っている人も多いと思いますが、そこに至るまでもいろいろやりましたからね。福原さんの歌声には特徴があって、自然に“グイン”(※こぶしのような表現)が出ることがあるんです。ただ、意識して入れることができなくて、それでまた苦労することになりました。
この曲ではそこまで入っていませんが、エンディング曲ではけっこう入っているので、一度注意して聴いてみてください。
――花組の最後はクラリスの『輪舞』です。
田中 早見さんは、こういった清純系の歌いかたをさせたら当代随一ですね。音程のコントロールも完璧で、収録もすぐに終わりました。『鉄の星』と並んで映える曲で、本当に難しいのですが、サラッと歌い上げてくれています。一応いくつも収録していちばんいいものを採用することになっているのですが、全部完璧だから逆に困るという(笑)。
楽曲としては、映画的な作りにしました。クラリスは性格的に情報をたくさん与えたいキャラクターだったので。『サクラ大戦V』のダイアナもそうでしたが、ああいう系統は歌も使って個性付けをしないと埋没しますから。
――続けて、世界の華撃団のキャラソンについてもお願いします。それぞれ、各地の特色が感じられる楽曲になっていますね。
田中 伯林華撃団、エリスの『鉄の星』は、私が子どものころから聴いてきたさまざまな楽曲のイメージを具現化したもので、水樹奈々さんに対する挑戦状と言っていいものです。
おそらくこんな曲は歌ったことがないと思うし、とくに2番のアリア(※オペラなどで挿入される独唱歌のこと)などは絶対に経験がなかったはず。収録でも開口一番「難しい!」と言っていました。最後のロングトーンもなかなか成功しなかったんですよ。
――キャラクターソングと思って聴いてみたら、完全にオペラでビックリしました。
田中 幼いころからのワグネリアン(ドイツの作曲家リヒャルト・ワグナーのファンのこと)としての、私の“イズム”を全部込めました。ベートーヴェンとワグナー、私の音楽のルーツをいつか形にしたいと思っていましたが、それを水樹奈々さんと達成できたのは幸運でしたね。
なお、作詞は藤林聖子さんが書いてくださったのですが、“詞先”で作ってうまくハマるかなと思ったら、見事にハマって曲もすぐに書くことができました。かかった期間は作曲1日、アレンジ2日くらいです。
――あれだけの曲を、そんな短期間で作られたとは、驚きです……! 続いては上海華撃団、ユイの『虹の彼方』についてお願いします。
田中 難しい曲になりました。簡単に言えば“中華ロック”なのですが、おきゃんな中国娘の雰囲気を残しながら力強く歌うのですから、上坂(すみれ)さんもただ者ではないですね。
本人はすごく自信なさそうにしていますが。この曲はぜひ中国の人に聴いてもらって、感想を伝えてもらいたいと思っています。
――いまはブラウザに翻訳機能もありますし、直訳ではあっても感想を伝えられますからね。沼倉(愛美)さんの、倫敦華撃団・ランスロット『円卓の騎士』についてはいかがでしたか?
田中 まずはご結婚おめでとうございます(笑)。彼女もここまで歌える人だとは思っていなくて、Trident(※渕上舞さん、山村響さんと組んでいた声優ユニット)での歌を聴いていて、もっとかわいらしく歌うイメージがありました。
グラムロックとヘンデルの『メサイア』(※ドイツ出身でイギリスに帰化した作曲家ヘンデルの代表曲。第2部の“ハレルヤコーラス”で有名)を融合させた曲なのですが、カッコよく歌い上げてくれました。
――ポップスにコミックソングにオペラにロックに……本当に多彩な楽曲が揃いましたね。これを全部約2ヵ月で作られたのが信じられません! では、あと2曲『スタァ誕生』と『狂い咲け帝都に』についても教えてください。
田中 『スタァ誕生』はシリーズではおなじみの、「劇場へ行こう!」という呼び込みの歌ですが、神崎すみれが歌うということで非常に込められた意味の多い楽曲になったと思います。
今回のすみれは、花組にあって唯一取り残された悲哀を漂わせるキャラクターになっていますから、これまでのように脳天気に高笑いするような歌にはせず、そのあたりも考慮して作りました。
――ゲームをプレイしてその意味を知ってから聴くと、また違った印象がありそうです。
田中 作詞の藤林さんも、あまり説明せずともそのあたりは汲んでくれて詞を書いてくれています。結果としていちばん『サクラ大戦』らしい楽曲になりました。ぜひ皆で歌ってください。
――それでは、最後の『狂い咲け帝都に』についてお願いします。
田中 ユイ、ランスロット、エリスの歌も上海、倫敦、伯林における『ゲキテイ』として作ったものなのですが、じつはこの歌も降魔たちの『ゲキテイ』なんです。
皆さんがひと通りゲームを遊び終えたであろうタイミングで、どのように改変していったのか、どんなテクニックを使ったのかをあらためて明かしていきたいと考えています。
音楽的にはものすごく考えました。横山(智佐)さんの歌いかたでかなりの“圧”を感じてもらえると思うのですが、強さと恐怖を強調した楽曲です。
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――ここまで11曲ものボーカル曲について解説いただいたのですが、ゲーム全体ではBGMも含めて何曲くらい作られたのでしょうか?
田中 全部で100曲以上ですね。ボーカル入りは14曲です。ゲームの楽曲を作ってすぐにアニメの曲も40以上作っていて、これからさらに舞台の曲もあったりするので、『新サクラ大戦』全体ではいったい何曲くらいになるのか、まだわかりません(笑)。
――BGMでは、バトルの楽曲がかなり変わった印象があるのですが……。
田中 今回はアクションになって、「テンポが必要なんです」とスタッフにもお願いされて、全部テンポの速い曲になりました。カッコイイですよ! 通常バトルの曲はゲーム中でいちばんよく耳にするものですから、いいものにしなければ、と気合入れて書いています。
ただ、ラスボス戦のBGMはゲーム中1回しか流れないのに、ものすごく壮大な曲を作らなければいけない。だから「もったいない!」っていつも言っているんです(笑)。
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――今回チャレンジしたこと、これまでの耳が肥えているファンも驚くような仕掛けがあれば、教えていただけないでしょうか?
田中 戦いは本来、脳天気に敵を倒して「やったー!」となるだけのものではなく、どこか悲しみだとかジレンマだとかを感じながらするものですよね。漫画版でも描かれていましたが、女性ばかりが戦う花組に対して軍人が陰口を叩いたりもして、それに「なにくそ」と感じたりだとか、いろいろな感情があるはずなんです。
だから、曲にも感情を乗せられないかと思って、それらを想起させるようなフレーズを盛り込んでいます。ただ明るいだけの曲なんていくらでも書けるんです。でも、あえてどこか悲哀を感じさせることで、もっと多くのことを感じてもらえるのではないかと思っています。
じつは私も、『サクラ大戦』を始めたばかりのころはそれがわかっていなかったんですけどね。
――ゲームをクリアーした後、あらためて意味を考えながら楽曲を聴いてみたら、また違う感情が湧いてくるのかもしれませんね。それでは最後に、『新サクラ大戦』について、そして今後のシリーズ展開について、ファンに向けてメッセージをお願いします。
田中 やるべきことは全部やりたいですね。今回はとにかくセガさんが前のめりになってやってくれているので、その本気を受け止めたいと思っています。全部のコンテンツに関わっていい曲を書いていくと宣言いたしますので、皆さんも期待していてください。
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(C)SEGA
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- タイトル
- 新サクラ大戦
- メーカー名
- セガゲームス
- 価格
- 通常版・ダウンロード版 8800円[税抜](9680円[税込])
初回限定版・デジタルデラックス版 14800円[税抜](16280 円[税込]) - ジャンル
- アクション・アドベンチャー
- CERO
- 15歳以上対象
- 備考
- メインキャラクターデザイン:久保帯人、ゲストキャラクターデザイン:堀口悠紀子、BUNBUN、島田フミカネ、杉森建、いとうのいぢ、副島成記、音楽:田中公平、ストーリー構成:イシイジロウ、原作:広井王子、脚本:鈴木貴昭、キャラクタービジュアル設定:工藤昌史、メインメカニックデザイン:明貴美加、プロデューサー:片野 徹、ディレクター:大坪鉄弥、製作総指揮:里見治紀
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