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『FF2 ピクセルリマスター』レビュー。あの個性的な育成システムもブーストでラクラク! 最強魔法アルテマも『ピクセルリマスター』版なら……!?

byリプ斉トン

更新
『FF2 ピクセルリマスター』レビュー。あの個性的な育成システムもブーストでラクラク! 最強魔法アルテマも『ピクセルリマスター』版なら……!?
 『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)の第1作から『VI』までの6作を、グラフィックを一新して移植した『FF ピクセルリマスター』。本稿では、『FFII ピクセルリマスター』のプレイレビューをお届けする。
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※本記事にはネタバレ要素がありますので、ご注意ください。

 レベルの代わりに“熟練度”を入れるなど、シリーズの中でもとくに個性的な育成システムでおなじみの作品。パーティメンバーが固定だった第1作とは異なり、ストーリーの進行で4人目の仲間が入れ換わっていくのも特徴だ。

 登場キャラクターとの死別が表現されるなど、前作から進化したドラマティックなストーリーが展開し、より主人公たちに感情移入しながら物語を堪能できるのがポイント。

 前述の通り、キャラクターにレベルの概念がなく、ただ戦うだけでは強くなれない独特の育成システムに若干の難しさを感じる人もいたはず。しかし、『ピクセルリマスター』版では追加システムやブースト機能のおかげで、非常に育成がしやすくなっている。

 いまプレイすればサクサクと攻略できるはずなので、当時のプレイで「ウボァー!」まで到達できなかった人は、ぜひリベンジしてほしい!
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『FF ピクセルリマスター』シリーズ紹介

 『FF ピクセルリマスター』シリーズは、オリジナル版のドット絵を現代風にリファインし、さまざまなシステムに改修を行って現世代機に移植したタイトル。

 『FFI』~『FFVI』の6タイトルともにファミコンとスーパーファミコンで発売されたオリジナル版の内容がベースとなっており、キャラクターやモンスターのドット絵、背景、攻撃や魔法などのエフェクトなど、すべてのグラフィックが現代クオリティーに一新されている。
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 BGMはオリジナル版の作曲を手掛けた植松伸夫氏が全曲監修を務めるアレンジ版が収録されているほか、オリジナル版にいつでも変更できるのがポイント。アレンジ版で楽しみつつ、印象深いBGMが流れるシーンではオリジナル版に切り換えたりと、2種類のBGMを自由に変更して楽しむことも可能だ。
※Nintendo Switch、PS4、Steam版のみの対応で、スマホ版は非対応[IMAGE]
 そのほか、ゲームを快適にプレイするための便利システムの追加搭載も見逃せない。バトル終了後に手に入る経験値やゴールドなどの倍率を任意に増減できるブースト機能や、敵とのエンカウントをオンオフできる機能、移動速度をアップする機能、バトルスピートをアップしつつ自動でコマンドを入力させるオートバトル機能などが用意されている。

 上記機能を利用すれば、ゲームを非常にサクサク進められる。「改めてプレイしたいけど、もう一度イチからやるだけの時間は……」という人は、この機能を利用して育成などはサクっと行い、ストーリーだけを追体験するといった遊びかたもできるわけだ。
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『FFII』の熟練度や『FFVI』の魔法修得値などの獲得倍率も、しっかりと変更できる。
 『FF ピクセルリマスター』シリーズは、スマホ(iOS/Android)/Steam版が2021年に、Nintendo Switch/プレイステーション4(PS4)版が2023年に発売。

 エンカウントのオンオフや経験値とギルのブースト機能といった一部機能はNintendo Switch/PS4版から追加されたもので、後日のアップデートによって、スマホ/Steam版にもエンカウントのオンオフ、ブースト機能が追加された。

 ちなみに経験値やギルのブーストは2倍、4倍といった増加に加え、0.5倍、0倍とあえて減らすこともできる。これは低レベルクリアーなどを目指したい人向けの機能。オリジナル版では難しかったやり込みに挑戦するチャンスでもあるわけだ。

 さらに、Nintendo Switch、PS4、Steam版のみ、オリジナル版のイメージに近いピクセルフォント(ドットのようなフォント)やオリジナル版BGMへの切り換え機能を実装。スマホ版の追加要素としては、ゲームパッドでプレイできる機能が加わっている。

 細部は異なるが、基本的なゲーム内容やお助け機能は共通なので、好きなハードのものを購入していいだろう。

『FF ピクセルリマスター』注目機能一覧(一部)

  • ダッシュ機能:通常時の移動速度がアップできる機能。作品によっては“ダッシュ”や“ダッシューズ”をセットするとさらに加速
  • エンカウントのオンオフ:オンにすればボスやイベント戦闘以外のエンカウントバトルが発生しなくなる(一部例外あり)
  • ブースト機能:経験値やゴールドなどの獲得倍率を0倍、0.5倍、1倍、2倍、4倍から選択できる
  • オートバトル:前回入力したコマンドを自動入力させつつ、バトルスピードをアップさせる機能
  • ピクセルフォント:オリジナル版のフォントと、今回用に作成されたピクセルフォントを好きなタイミングで切り換えられる
  • BGM切り換え機能:オリジナル版とアレンジ版のBGMを好きなタイミングで切り換えられる
  • マップ機能:好きなタイミングで世界地図や街・ダンジョンのマップを確認できる。そのマップで獲得できる宝箱や隠されたアイテムも表示される
  • モンスター図鑑:バトルで出会ったモンスターの詳細データが確認できる
  • サウンドプレイヤー:その作品に登場するBGMが聴ける機能
  • イラストギャラリー:設定資料などのイラストがチェックできる。天野喜孝氏監修
  • オートセーブ:画面が切り換わったタイミングなどでオートセーブが行われるように。バトルで全滅した場合、そこから再開できる。ちなみにセーブデータの個数は各タイトル最大20個まで

ブースト機能でラクラク育成! 味方を殴る手間なし!

 ゲームとしては黎明期だった1980年代。RPGの続編といえば前作を踏襲したゲームシステムが採用されることが多かったものですが、『FF』は第2作でまったく異なるゲームに変化したことに驚きました。

 シナリオ面では、第1作では過去と現在のふたつの時間が関係する物語だったのに対し、
『FFII』では悪の帝国軍と皇帝という純粋悪が世界を支配しようと画策し、それを主人公たちが阻止するというわかりやすい内容になっています。

 パーティの4人目がストーリーの進行とともに入れ換わるのが特徴ですが、悲劇的な展開を迎えるキャラクターが登場するなど、ドラマティックなシナリオが展開することも印象深いものでした。
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それぞれの使命のため、命を賭してフリオニールたちを救う戦友たち。
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これもよく語られますが、ゲームが負けイベントから始まるというのも衝撃。なかなかに珍しい演出だったのでは。

 ちなみに、これは単なる筆者の思い出話なのですが、ゲーム開始時にキャラクターの名前を決める際、ガイのグラフィックを見て「こいつはガイじゃなくてヨーゼフだな」と瞬時に思いつき、ガイの名前をヨーゼフに変えました。

 しかし、物語中盤で本物のヨーゼフが出てきてしまい、どっちがどっちのヨーゼフかわからなくなるということがありました。

 自分はデフォルトネームからあまり名前を変えるタイプではないのですが、なぜこのときだけ「こいつはガイじゃなくてヨーゼフだな」と思い立ってしまったのかは、いま考えても謎です。

 そのため、ヨーゼフ(本物)の加入中は、
  • フリオニール
  • マリア
  • ヨーゼフ
  • ヨーゼフ
 とたいへん気持ちの悪いメニュー画面になってしまい、ヨーゼフ(本物)が離脱したときには、本人には申し訳ないのですが、ほっと胸を撫で下ろしたことを覚えています。いや、ヨーゼフ(本物)は1ミリも悪くないんですけど。

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すまんヨーゼフ。
 あと、これは『ピクセルリマスター』版ではじめて知ったのですが、飛竜を守っていた子どもは、名前がカインらしいです。これはオリジナル版にはなく、のちの移植作で追加されたものらしい。
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ここでもカインが!

独特な育成システムもブースト機能で楽々!

 さて、『FFII』といえば、レベル性ではなく戦闘中の行動によって武器や魔法、ステータスが個別に上昇するという独特すぎる育成システムでおなじみの作品。

 HPやMPは、戦闘で減少すれば上がることがあるという仕様上、味方を殴るパーティアタックや、“アンチ”の魔法でMPを減らしてバトルを終了するというテクニックが鉄板でした。
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 序盤に仲間になるミンウはレベルの高いアンチを覚えているので、フリオニールとガイはミンウの加入中にMPを育成しておくというのも定番でしたね。

 今回のプレイではブースト機能を活用したため、一度も魔法を使ったことないガイのMPがモリモリ成長してしまうといういびつな成長を遂げてしまいました。まあ、中盤以降で活躍するからいいか。
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 また、オリジナル版にはない仕様でしたが、『ピクセルリマスター』版ではブースト機能に“HPアップ補正”という項目があります。この項目をオンにすると、HPを減らさずとも、戦闘をくり返すだけで一定戦闘回数ごとにHPが上昇するようになります。

 そのため、味方を殴ってHPを育成する必要はありません。パーティアタックをするのが面倒という人は、この項目をオンすれば快適な育成が楽しめるようになります。
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 最大HPを上げすぎると、一部のモンスターとのバトルが対処しにくくなるといった弊害もあるようですが、今回はそのほかのブースト機能もオンにしてモリモリ育成していたため、クリアーまで気になることはありませんでした。

 オリジナル版と同じようなプレイがしたいという希望がなければ、この項目は最初からオンにしておくのがおすすめです。
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“HPが高すぎると体力が上がらなくなる”という情報も目にしますが、自分はそれほど上がりにくさを感じませんでした。ブースト機能のおかげかも?

 そのほか、武器や魔法の熟練度の育成速度をブーストできるのも非常に快適。魔法熟練度の獲得量を4倍にブーストしておけば、ファイア、ブリザド、サンダーあたりを交互に使って戦闘するだけでどんどんレベルが上がります。
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本作の詰みポイント。セミテの滝のランドタートル戦も魔法を鍛えておけば怖くありません。ダンジョンの最奥の宝箱から出てきて全滅させてくるこいつを、俺は許さない。

 移動中に魔法を使うことでも熟練度は溜まるので、フリオニールとガイにケアルを覚えさせておくと、移動中に連発するだけで簡単にレベルが上昇するのも快適です。

 オリジナル版ではなかなかレベルが上がりませんが、ブースト機能を使えばポンポン上昇してくれます。これは気持ちがいい!
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ミンウとブースト機能のおかげで、立派な回復役になれたガイ(移動中限定)。
 また、『ピクセルリマスター』版では、『FFII』独特のパラメータである装備品の“魔法干渉値”が表示されるようになったのも、大きなポイントです。

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盾は軒並み魔法干渉値が高く、魔法役は装備しづらい。

 “魔法干渉値”は
『FFII』の装備品に設定されたパラメータで、魔法干渉値が高いものを装備していると、魔法の威力が低くなるという仕組みになっています。ファミコン版などでは知らず知らずのうちに魔法干渉値が高い装備で固めていたため、レベルは高いのになぜか魔法の威力が出ない、という人も多かったのではないでしょうか。

 基本的には戦士用の装備は魔法干渉値が高く、魔道士用の装備は魔法干渉値が低い傾向がありますが、オリジナル版ではなんとなくでしか感じ取ることができなかったので、これはナイスな調整点だと思っています。

 そのほかの装備品の付加効果もわかりやすく表示されるようになっているので、前衛と後衛で装備を切り分けやすくなったのも非常にグッド!

 あのころはとにかく守備力優先の最強装備で! と考えていましたが、目先の防御力ではなく、役割に応じて賢くカスタマイズするべし。こういう判断ができるようになると、やっと大人になれたなと自覚した気分になれるのは、自分だけではないはず。……ですよね?

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魔法干渉値が低い装備で揃えたいマリア。ぶっちゃけ素手でいいレベル。

最強魔法アルテマ! ……はどうなった?

 『FFII』でよく語られるのが、最強魔法アルテマの存在です。シリーズでは、ホーリー、フレア、メテオに並ぶ強力な魔法として頼れる存在ですが、初登場の『FFII』では、少しかわいそうな扱いだったことを覚えていますでしょうか。

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ミンウが命を懸けて手に入れてくれたのに……というのもネタになっていますね。

 これは、アルテマはほかの魔法とは異なり独自のダメージ計算式になっているため、ただレベルを上げるだけでは威力を発揮できないという理由に起因しています。

 オリジナル版でもしっかりと育成すれば名実ともに最強になれるのですが、その育成が非常にたいへんだったので、アルテマの効果を発揮することなくクリアーしてしまったという人が多いはずです。ふつうにプレイしていたら、ファイアのほうが強い。

 しかし、
『ピクセルリマスター』版ではその計算式が若干シンプルになり、ダメージが与えやすくなるようになりました。

 最後に仲間になるレオンハルトにアルテマだけを覚えさせてレベルを上げると、なかなかの威力を発揮してくれます(アルテマはそのキャラクターが覚えている魔法の熟練度の平均が適応されるため、アルテマだけを覚えさせておくと威力を上げやすい)。

 オリジナル版では茨の道でしたが、
『ピクセルリマスター』版では急ごしらえでもなかなか頼れる存在になってくれるアルテマ。ミンウの犠牲もこれで報われる……かも?
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アルテマを覚えた直後でもなかなかの威力。これでも高いほう。

子どもではわからなかった色恋模様

 『FFII』では、フリオニールに関連した色恋が少しだけ描かれています。その演出を『ピクセルリマスター』版で見たとき、「当時はなんとも思わなかったな~」という感想を持ちました。
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有名なのは「ゴクッ…。」のシーンですが、これがどういうシーンなのかわかりませんでした。

 大人になったいまでは、どういうシーンなのかバッチリわかります! そのイベントで発せられるマリアのセリフにも、彼女の葛藤を感じられるほどに成長しました。
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本当はフリオニールをひとりにしたくないんでしょうね。
 そのほか、明言はされていないですが、フリオニールとマリアは想いあった関係なのだろうとか、レイラがフリオニールに好意を持っていたんだろうとか、直接的には語られない感情の機微みたいなものをメッセージから感じ取れます。
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 ヒルダとゴードンの関係性なども、「あ、恋人どうしだったんだ」と今回のプレイで気がつきました。オリジナル版プレイ時は“なんか急にヒルダの横に座って偉そうにしてきた弱い人”くらいの印象でしたが、高貴な血統の人だったんですね……。
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 いま振り返ってもかなり複雑でやり込み甲斐のある育成システムが特徴の『FFII』。オリジナル版はクリアーまでに必要な育成がたいへんという人が多かったのではと予想しますが、『ピクセルリマスター』版ではブースト機能のおかげで本当にサクサクとプレイできるようになっています。

 荒削りだった部分はかなりブラッシュアップされ、非常に遊びやすくなりました。
『ピクセルリマスター』のタイトルすべてに言えることですが、グラフィックがキレイになっただけの移植作ではまったくなく、この令和の時代に遊んでもストレスなく遊べるやり応えのある内容になっています。

 当時は子どもだったため、育成や戦闘が難しくてクリアーまでプレイできなかったという人も、現在までに培ってきたゲームテクニックとブースト機能の両方を活用することで、きっとエンディングまでたどり着けるはずです。

 レベル上げのために集中して使うべきという攻略方針から、オリジナル版では一度も使わなかった魔法もあると思いますが、
『ピクセルリマスター』版では、そういった魔法の効果を確かめてみるのも楽しいかもしれません。クラウダはけっこう強いらしいですよ。
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関係ないですが、一度しか登場しないけど専用グラフィックのあるジャイアントビーバーが好き。モーグリのようになれなかったのが残念。

ピクセルリマスター版『FF』シリーズレビューはこちら

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