ユウ、ノビ、タケ。が2016年を振り返る!

 2016年、人気対戦格闘ゲーム『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』をメインとするプロゲーマーが複数人誕生した。そこで2016年年末特別企画として、『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』をメインにプレイするプロゲーマーたちの座談会を2部構成で掲載する。今回は後編として、山佐とプロ契約を結ぶユウ、ノビ、タケ。選手による座談会の様子をお届け。(聞き手:豊泉三兄弟(次男)、まさかり仁、ゲンヤ)

※座談会前編はこちら

『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』プロゲーマー座談会後編 ユウ、ノビ、タケ。が2016年を振り返る!_01

■ユウ(写真右)
 2015年6月よりパチスロメーカー山佐のスポンサードを受けるプロゲーマー。『鉄拳5』からフェンを使用。プレイスポットはおもに新宿、秋葉原、巣鴨。積極的に講習会を開くなど、『鉄拳』の普及に力を入れている。

■ノビ(写真中央)
 2016年1月より山佐からスポンサードを受けるプロゲーマー。World Cyber Games 2011 、EVO2015、THE KING OF IRON FIST TOURNAMENT 2015で3度世界一に輝いている。namco巣鴨店を中心にプレイ。夢は情熱大陸に出ること。

■タケ。(写真左)
 2016年12月より山佐からスポンサードを受けることになったプロゲーマー。もともとは渋谷を中心にプレイしていたが、ホームゲーセンが閉店してしまったことをきっかけに、現在はnamco巣鴨店をホームしている。

3人がともに行動するようになったきっかけは?

『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』プロゲーマー座談会後編 ユウ、ノビ、タケ。が2016年を振り返る!_04

――3人は昔からいっしょにプレイしていたのでしょうか?

ユウ いえ、そもそもノビとタケ。がいっしょにプレイしていて、そこに俺も行くようになったんだと思います。

ノビ もともとは俺とタケ。君、俺とユウさんみたいな感じで行動していたよね。

タケ。 そうそう、だから最初は俺とユウさんはぜんぜん仲よくなくて、顔は知っているけど話したことがなかったよね。

ユウ 当時はタケ。のこと、渋谷のヤツみたいなイメージしかなかった(笑)。

タケ。 でも何でだろうね、3人で行動するようになったのは。何かきっかけとかあった?

ユウ マスターカップにいっしょに出るようになってからじゃない? そのあと、3ON3のチーム戦とかでも組むようになって、という流れだったはず。それで俺らが山佐のスポンサードを受けることになり、タケ。のことを紹介し……実績が認められて2016年の12月から正式に、という。

ノビ 3人の連帯感が強まったのは、いっしょにEVOへ行ったことが大きいかな。国内のどこかに行くのと違って、一気に距離が縮まったと思う。あとは『鉄拳』抜きで3人で旅行に行ったりすると、グっと仲よくなった感じがしたね。

プロゲーマーとしての活動

『鉄拳7 FATED RETRIBUTION』プロゲーマー座談会後編 ユウ、ノビ、タケ。が2016年を振り返る!_03

――プロゲーマーになってから変わったことはありますか?

ノビ プロゲーマーとして恥ずかしくないように、いつでも人に見られていることを意識するようになりました。とくにゲーセン内での行動は慎んでいます(笑)。

ユウ 俺はノビみたいに気をつける必要はない(笑)。

ノビ 確かにユウ君はふだんからしっかりしているから、変える必要はなさそうね。

タケ。 俺はまだプロになったばかりだから、何も変わっていないですね。変えようという意識もいまのところありません。

ユウ でも、これからは“台パン”できなくなるよ(笑)。

タケ。 まあでも、人との接しかたは変わってきそうだと思う。

ノビ あとは、プロゲーマーってかっこいいなと思ってもらって、俺らのことを目指してくれるようになりたいよね。そこはできる限り全力でやっていますね。

――プロゲーマーとしてどういった活動をしていきたいですか? そもそもユウさん、ノビさんの場合は、講習会などに力を入れていますが、そういった企画は山佐さんとユウノビさんのどちら側からの発案なのでしょうか?

ユウ 流れとしては、山佐さんから「何かやりたいことがあれば教えてください」という話がありまして、そこで俺が「地方で講習会をやりたい。岡山で大会を開きたい」といった具体的な企画書を作成して、実現させてもらっています。今度新たにタケ。が加わったから、また新しいことをやっていきたいですね。

――2016年に行われたイベントの数々は、ユウさんが企画書を作成していたんですね。プレイヤーをやりつつ、それはこなすのはすごいこと。イベントを行ううえでどういったことを意識しているのでしょうか?

ユウ 俺らが活動していくうえで念頭に置いているのは、「俺たちの『鉄拳』のノウハウを活かして、『鉄拳』プレイヤーの総人口を増やすこと」です。まだ『鉄拳』をプレイしたことのない人たちにも興味を持ってもらえるように、ストリーム媒体だけではなく、実際に現地へ行って手取り足取り教えることで、人口の増加に貢献できたらと考えています。2017年はさらにイベントが増える見込みで、1月、2月だけでさっそく地方巡業が4件も予定されています。家庭用が発売されれば、EVO以外にも世界中で大会が開催されると思いますので、そういったイベントにも積極的に参加したいですね。

――確かに、家庭用が発売されると一気に広がりが出そうですね。新しいことをやっていきたいとのことですが、具体的にすでに決まっているものはありますか?

ユウ 2017年3月19日に、僕らが企画しているケロットカップという3ON3の大会を、アミパラ岡山店でやらせていただきます。それに向けて、1月、2月にアミパラ岡山店さんで講習会や組手イベントを、さらに高知、鳥取、兵庫、広島、奈良の5県でケロットカップの宣伝を兼ねたイベントを行う予定です。また、家庭用発売後は、山佐さんの東京分室で定期的に生放送を行いたいと考えています。

――講習会の反響はいかがですか?

ユウ イベントを開催したゲームセンターさんからは「ありがとうございました」とお礼を言ってもらえます。俺らがイベントを行ったあとは、地元プレイヤーのモチベーションが上がって連日人が集まるようになるそうです。ただ、当然ですけど、そういったモチベーションはずっとは続かないので、たとえばSNSや生放送を使ってフォローすることで、遠くから支えてあげる必要があると思っています。

ノビ 講習は教えてもらったから強くなるというより、俺らに教えてもらったということがモチベーションになるんですよ。講習のあとに段位が上がると、僕らに教えてもらったから強くなれたと思ってくれて、それが自信につながっていく。そういった助けになれているとは思います。

ユウ 単純にゲームセンターの売り上げだけで言うと、アミパラ岡山店さんは俺らがイベントをするようになってから売り上げがすごく増えたようですね。俺らが最初にお話をしていた課長の方が、いまは奈良に異動することになったので、じゃあそこでもやりましょうと。

――これまで目立った聖地のなかった中国地方に、“聖地”を作ったというのはすごいですね。

ノビ まだまだ足りないですけど、“聖地”化する運動は大切だと思っています。

ユウ これまで中国地方にはどういう人たちがいるのか知られていなかったんですけど、いまでは聖地化して知名度も上がったと思います。それで言うと、今度高知でイベントを行うのですが、四国は『鉄拳』業界的に未開の地なので、どんなすごい奴がいるのか楽しみですね。ぜひ、高知でのイベントには四国4県から集まっていただけたらと思います。

――『鉄拳』はユウ・ノビさんの積極的な活動もあり、地方が盛り上がっているイメージがありますけど、実際にはどのように感じていますか?

ノビ いまはオンライン対戦があるので、地方も対戦は盛り上がっていますよ。ただ、都内に比べるとオフの対戦相手や、オフで教えてくれる人・支えてくれる人が少ないんですよね。だからそういう面では、講習会をやるのはすごく必要なことだと感じています。

――講習会でプロゲーマーに求められるものは、もう技術力だけではないですよね。

ノビ そうですね。「世界一のプレイヤーに教えてもらった」ということだけでも喜ばれますね。

ユウ 俺らの知名度が上がったこともあり、最近は「俺らと会いたい、写真をいっしょに撮りたい」という、技術を教えてもらう以外の目的の人たちが増えましたね。ニコ生を見てくれている視聴者は若い人が多いので、地方に行くとそういう子たちが話しかけてくれてかわいいんです(笑)。

――『鉄拳』はシリーズが長く続いているから年齢層が高いのかと思いましたが、そういった若いプレイヤーもいるんですね。

ユウ 若いプレイヤーはすごく多いですよ。イベントに来ている若いプレイヤーたちも、あと2~3年するとけっこう強くなってると思いますが、全国レベルで活躍するにはまだ時間がかかりそうです。『鉄拳』シリーズは、読み合いの質が昔から変わっていないので、おじさんたちが経験で闘えてしまう部分があるんですよ。若いプレイヤーたちはその部分を吸収しないと勝てないので、世代交代が進みにくいんじゃないかと。''

タケ。 2D格闘ゲームで言うと、『ストリートファイターV』に近いかもしれませんね。大会で活躍するのはベテランが多いので、外から見ると若い人が少ないように見えてしまうかもしれませんが、若いプレイヤーは多いですよ。

ノビ そうは言うけど、本当のトッププレイヤーでいられる期間は、ほかの格闘ゲームに比べたら異常に短いと思いますよ。おそらく、長いことトッププレイヤーでいるユウ君は異例中の異例だよ。昔の印象でいったら、闘劇で活躍したミシマスターさんとかメンストリュウさんとかじゃないですか。ユウ君はそういった時代からずっとトッププレイヤーで居続けているから例外。

ユウ 確かにその当時からすると、メンツは変わっているのかな。いまのプレイヤーの中には、昔活躍したプレイヤーを知らない奴も増えているし。

ノビ だから日本は入れ替わってると思うよ。それに比べて韓国はKneeを始めとして、トッププレイヤーが変わっていないじゃないかな。