2022年3月24日に、角川ゲームスより発売予定のプレイステーション5、プレイステーション4用ソフト『Relayer(リレイヤー)』。本作は、特殊能力に目覚めた人類と知的生命体“リレイヤー”の壮絶な戦いを描いたロボットシミュレーションRPG。制作を手掛けるのは、タクティクスRPG『GOD WARS』の開発チームだ。

『リレイヤー』新作ロボットSRPGをレビュー。育成とキャラビルドが楽しい。気になる方はまず体験版を

 本記事では、ロボットシミュレーションRPGが大好物の記事担当ライター、ジャイアント黒田によるレビューをお届け。なお、下記の記事でロボットのメカタイプや戦闘演出などに触れているので、今回はストーリーや育成の魅力、そして育成を行ったうえでの戦闘の手触りを中心にレビューを行った。なお、ストーリーのネタバレには配慮しているので、最後まで安心して読み進めてほしい。

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人類とリレイヤーの戦いを軸に展開する重厚なストーリー

 メインストーリーでは、人類とリレイヤーの戦いが描かれますが、人類側も一枚岩ではありません。主人公のテラが所属しているGT Labo(重力技術開発機構)と地球上の紛争を治める地球連合政府軍は、対リレイヤーの組織であることは共通していますが、考えかたの違いから対立しています。さらに、世界三大軍事企業に数えられるATLAS社、天の川造船、Xoth社も、ステラギアの製造・開発技術を巡り、熾烈な覇権争いをくり広げる始末……。

 正直、人類のピンチに争っている場合ではないと思いますが、各勢力がそれぞれの思惑のもとに行動することで、ときに対立し、ときに共闘するドラマティックな展開に。物語が進む中で描かれる、各勢力に所属するキャラクターとの邂逅や激闘の末の別れなどは、大きな見どころとなっています。

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主人公のテラは、“スターチャイルド”と呼ばれる特殊能力に目覚めた女の子。ステラギアのアストライアを駆り、リレイヤーと戦います。相棒のアシストロボ・よだかとのコミカルなやり取りは必見!

 さらに、メインストーリーはさまざまなキャラクターにスポットが当たる群像劇としての一面もあり、登場人物たちが背負う人間ドラマも楽しめました。本作をプレイする際にとくに注目してほしいのが、主人公テラと妹のルナの関係です。

 テラやルナは、星の意志を受け止めて、特殊能力が覚醒した“スターチャイルド”と呼ばれる存在。対リレイヤーの決戦兵器“ステラギア”を操縦できることから、人類の希望のような存在ですが、なぜかルナは人類の敵であるリレイヤーに協力。しかもテラに強い憎しみを抱いており、戦場では執拗にテラを狙ってきます。

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姉のテラに対して、笑顔で銃口を向けるルナ。最初はなんてヤバい子なんだと思っていましたが……。

 ルナのあまりにも好戦的な姿に戸惑った筆者は、最初は姉のテラ派でした。ですが、ストーリーでルナの境遇や覚悟を知るうちに、ルナの好感度がグングン上昇。いつの間にか、「早く仲直りしてふたりで幸せになってくれ!」と切に願うようになりました。テラとルナに関しては、ストーリーを盛り上げるイベントCGも豊富に用意さていたので、こちらもぜひ楽しみにしながら、ふたりの行く末を見守ってください!

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女の子たちが足湯でリラックスしながら女子会を楽しむイベントも。いろいろな意味で癒やされる。

 ちなみに、本作はサイドストーリーやクリアー後のストーリーも非常にボリューミー。テラたちは、GT Labo所属の超重力航行試験艦アステリズムを活動の拠点にしていて、広大な艦内にはブリッジやロビー、格納庫といった施設が存在。これらの施設では、メインストーリーの進行に応じてサイドストーリーにあたる“人物交流”が発生し、登場人物たちのちょっとしたやり取りが楽しめます。

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たとえば、“そのコーヒーの苦味”という人物交流では、ギリアン艦長のコーヒーへのこだわりが掘り下げられています。

 人物交流を通して、キャラクターの個性や登場人物たちの関係性がより深く描かれることで、キャラクターに愛着が湧きやすくなっていると感じました。ギャラリーモードにあたる“宇宙科学資料室”で、人物交流をくり返し楽しめるのもうれしい仕様。宇宙科学資料室はデータも充実していて、あらすじやムービーのほかに、登場人物、メカ、武器、キーワードの情報も閲覧できるようになっています。

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SF作品である本作には、専門用語が数多く登場します。作中の設定やキーワードを、ライブラリーで閲覧できるのは非常にありがたい。

 また、本編クリアー後は“アステリズム航海記”がプレイ可能に。これは、全35話におよぶSF長編ストーリーで、月の誕生の秘密が紐解かれるそうです。月の誕生ということは、月の意志を宿したルナと関係があるのかも!? まだプレイできていないので、遊ぶのが楽しみです!

“スターキューブ”によるスターチャイルドの育成

 メインストーリーや人物交流で愛着が湧いたキャラクターを、とことん育成できるのもうれしいポイント。本作は、キャラクターのレベル上限が300に設定されており、レベル上げもやり込み要素のひとつとなっています。300と聞くとレベル上げをするのがたいへんそうに感じますが、レベルは上がりやすく設計されているのでご安心を。筆者はむしろレベルを上げすぎて、難易度“Normal”では物足りなくなりました(苦笑)。

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レベルアップすると、パラメーターがアップして強くなります。ちなみに、レベル82もあると終盤に見えますが、本作ではまだまだ中盤です。
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選べる難易度は、Easy、Normal、Hardの3段階。ゲーム開始時に好きな難易度を選んで始められますが、オプション画面で変更することも可能です。

 育成の中でも特徴的なのが、ジョブの育成を兼ねたスターキューブのシステムです。戦闘で入手したジョブポイントを使い、どのマスを優先して解放するのか。キャラクターの特徴や、部隊での役割などを考慮しながら選ぶのがとにかくおもしろい! さらに、初級ジョブのマスをすべて解放すると、ルート選択という新たな、そしてうれしい悩みも発生します。

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初級から中級のジョブに転職するときに、ジョブのルート分岐が発生。ルート分岐後は、上級ジョブのアビリティをすべて解放しないと、もうひとつのルートに進めません。

 中級・上級ジョブの特徴を確認しながら、キャラクターの個性を活かすルートを考えたり、徐々に増えていくパッシブスキルの組み合わせを見つけたりするのに夢中になりました。キャラクターごとに、こっちのジョブのほうが個性を活かしやすいだろうなという推奨ルートはあるものの、もちろん別のルートを選んでも大丈夫。

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たとえば、主人公のテラはアサルトタイプのキャラクター。アサルトタイプは、火力を重視したヴァンガード/ブレイバーと、隠密行動が得意なシノビ/ニンジャのルートに分岐しますが、テラは固有スキルの性質上、ヴァンガードのルートに進んだほうが真価を発揮します。

 上級ジョブのうち、片方のマスをすべて解放すると、反対ルートのマスを解放できるようになるので、最終的にはすべてのジョブを育成できます。やり込んだプレイヤーにはご褒美も用意されていて、上級ジョブの両方ともにクラスチェンジしてすべてのスターキューブを解放すると、“覚醒スキル”が習得可能に!

 覚醒スキルは上級ジョブにひとつずつ隠されており、その効果はいずれも強力。たとえば、アサルトの上級ジョブである“ニンジャ”は、敵の隣りに移動できる“ファントム”を覚えられます。これを使うことにより、離れた敵にも接近戦を仕掛けられるうえ、仲間と挟撃する特殊攻撃“バックスタブ”も狙いやすくなるというわけです。ほかにどのような覚醒スキルが隠されているのか。ジョブをマスターして発見するのも育成の醍醐味です。

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ファントム、あまりにも強い。

スキルやシステムの組み合わせで多彩な戦術を生み出すバトル

 本作の戦闘で勝敗の鍵を握ると実感したのは、タンクのヘイトコントロールです。ヘイトは、敵からの狙われやすさを示した数値で、これが高いほど敵に狙われやすくなります。序盤は、タンクを部隊の盾役としてうまく運用し、打たれ弱いスナイプやスカウトを守ることで勝利を重ねることができました。

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タンクタイプは、味方を守るのが得意なパラディン/ガーディアンと、支援能力に秀でたコマンダー/ブレイカーのどちらかにクラスチェンジできます。

 しかし、敵は少しずつ手強くなっていきます。デバフや状態異常を付与するスキルを使うようになるのですが、とくにやっかいだと感じたのが、アクティブスキルを封じる“ウィルス”の状態異常。タンクや回復役のキャラクターがウィルス状態になると、ヘイトの管理やHPの回復が難しくなり、たちまちピンチに! 味方の回復が先か。それとも敵が攻撃するのが先か。ヒヤヒヤものです。

 また、敵の状態異常には、タンクのサンが習得できるパッシブスキル“太陽の煌き”が大活躍。このスキルは状態異常を無効化できるうえ、ATKとDEFを5%アップさせる効果を持っています。タフなサンが覚えれば、まさに鬼に金棒。鉄壁の壁役として前線を支えてくれるので、ぜひ育成してみてください。

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筆者の部隊のサンは、メンバーの中でもっとも育成が進んでいるキャラクター。タンクながら、エースアタッカーとしても活躍してくれています。

 戦闘時には多彩なスキルに加えて、特殊攻撃のバックスタブやオーバーキル、必殺技のビッグバンとった特別な行動が使えることも、戦術の幅を広げてくれています。とくに、意図的に発動させやすいバックスタブは、攻撃の要として頼れる存在。行動順が近いアサルト2機で敵を挟んだり、タンクと戦っている敵に挟撃を仕掛けたりと狙いどころが多いので、しっかり使っていくのがオススメです!

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近接武器を装備したアサルトやタンクで敵を挟むと、バックスタブが発動可能に。2機による連続攻撃で、敵に大ダメージを与えられます。
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オーバーキルは、スナイプとスカウトが発動可能。ザコ敵を一撃で倒せる効果を持ち、ヘイトが高いほど発動しやすくなります。

 ただ、本作はRPGでもあるうえに、先述した通りレベルアップしやすいため、レベルを上げてのゴリ押しも通じます。筆者がこの戦術のお世話になったのは、強敵の巨大ダークギアが初めて登場する、第3章『封印』第9話のステージ。巨大ダークギアはパラメーターが高いうえに、下記のような特徴を持っています。

巨大ダークギアの注意すべき特徴

  • 1ターンに2回行動を行い、AGIに関係なくターンの最初と最後に行動する。
  • 攻撃の射程が長いうえ、あらゆる射程の攻撃に対して反撃を仕掛けてくる。
  • 3マス×7マスの広範囲、かつ高威力の必殺技“ジェノサイドバスター”を使用する。
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味方を固めて配置すると、ジェノサイドバスター”の餌食に。スナイプやスカウトがまとめて撃墜されたのはトラウマ。

 この手のゲームに慣れている方なら、いかに手強いかがわかると思いますが、これに加えてバフで自身の命中率や回避率を上昇させるのも地味に厄介です。味方の攻撃が当たりにくくるので、バフやデバフ、状態異常を駆使したうえで、攻撃が必ず命中するシノビの“忍法暁”やバックスの“シャープシュート”などを使うのが有効になります。

 これまでレベル上げをしていなかった筆者の部隊は、巨大ダークギアの前に為す術もなく敗走。あまりにも悔しくてレベル上げに夢中になった結果、リベンジ戦では難なく撃破できました(笑)。

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ゲームライターらしからぬ勝ちかたでしたが、レベルを上げて挑むのだって立派な対抗手段。勝てばいい、それがすべてだ。

 シミュレーションRPG初心者の方であれば、難しいステージに遭遇したら、先ほど紹介した難易度を“Easy”に下げてチャレンジするのも手です。逆にさらなる刺激がほしい方は、“Hard”でプレイするといいでしょう。親しみやすいストーリーや育成システム、戦闘システムが搭載されているので、興味のある方はぜひお試しあれ! 

 なお、本作は体験版も配信中。セーブデータは製品版に引き継げるので、まずはそちらからプレイしてみるといいかもしれません。

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体験版は、メインストーリー第2章終了時点までの9ステージと、バトルシミュレーターの12ステージが遊べる大ボリュームの内容。プレイステーション5とプレイステーション4で配信されています。
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