※本記事は、2022年12月6日にアップした記事を再編集したものです。
手を繋ぎ、ふたりで幾多の困難を乗り越えていく
いまから22年前の2001年(平成13年)12月6日は、プレイステーション2用ソフト『ICO』が発売された日。
『ICO』は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)から発売されたアクションアドベンチャーゲーム。当時の日本ではいまほど知名度はなく大きな話題にはならなかったのだが、その分、目の肥えたゲームファンたちの魂を鷲掴みにして離さず。その魅力は口コミで徐々に広まって最終的にはスマッシュヒットにいたった模様。ゲーム好きで知られる小説家の宮部みゆきさんが本作に感銘を受け、みずからオファーして小説版『ICO -霧の城-』を執筆したなんていうエピソードもあった。
「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。」というキャッチコピーに象徴されるように、『ICO』最大の特徴は主人公の少年イコがヒロインの少女ヨルダと“手を繋いで”冒険することにある。ヨルダはほとんど自発的には動かず身体能力も突出しているわけではないため、イコであるプレイヤーが手を引いて誘導し、目的である霧の城からの脱出を果たさなければならない。
脱出までの道中はパズル的なギミックが満載。「おーい!」と呼びかけて移動を促したり、イコが先回りして上から手を差し伸べて段差を登らせてあげたりと、ヨルダのケアが必要になってくる。ときにはジャンプしたものの落ちそうになり、危機一髪、手を引っ張り上げてやるなんて燃えるシチュエーションもあったりする。
ひどい言いかたをすれば足手まといでしかないのだが、これがどういうわけか庇護欲を掻き立てられて守りたくなってしまうから不思議。筆者は当時『未来少年コナン』のコナンとラナの関係と重ね合わせながらプレイしていたような気がする。
ヨルダは当初、宙に吊られた檻に閉じ込められており、言葉すら通じない状況。しかもたびたび黒い煙のような、はたまた影のような魔物に連れ去られそうになるなど訳ありなのは確実。そんなところが守ってあげたくなる一因なのかもしれない。イコよりも背の高いお姉さんで、存在が薄れているような儚げなビジュアルで描かれているところもグッとくる。
霧に包まれた古城にある、薄暗い回廊や目が眩むほどの高さの螺旋階段、打って変わって光に満ちている中庭など、切なげな雰囲気が漂っている幻想的な風景も忘れられない。カメラをグッと引いた視点で見る景色はとくに息を呑む美しさだった。基本的にBGMは流れておらず、ふたりの足音や風の吹く音などの環境音に限られている場面も多く、それが本作をより雰囲気あるものに高めていたような気がする。HPなどのUI表示は排除されていて不必要な情報は一切なし。そういったところも没入感を高めてくれていた。
プロモーション映像などで象徴的に使われていたメインテーマ、大島ミチルさん作曲の『ICO -You were there-』は、本作にピッタリの名曲中の名曲だ。この楽曲のファンという人もきっと多いのではないだろうか。筆者も大好きでいまでもたまに思い出しては聴いている。
2011年9月22日には、プレイステーション3用のHDリマスター版『ICO』が発売された。それ以降は何もないので、『ワンダと巨像』のように現行ハード用にも出してもらえないものか。
なお、2021年に20周年を迎えた際、週刊ファミ通2021年12月16日号(2021年12月2日発売)では『ICO』を大特集が行われた。その内容を知りたい方は、下のリンク先をチェックしてほしい。
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