国家存亡の危機というものは、国家という概念ではなく、勇気ある個人やチームの戦いによって打ち砕かれる。今回は、コロラド州モントローズを中心に抵抗を続ける勇者たち、レジスタンスの最新状況をお伝えしよう。
 チーム全体を率いているのは元警察官のブーン。戦いを望まずにいる地域住民との衝突を避けられているのは、彼のリーダーシップのたまものと言わざるを得ない。この“頭脳”に対して銃を持つ両腕となっているのが、見るからに血気盛んな写真の人物コナーと、本紙1号で紹介したリアンナだ。これに、在米韓国人三世でありながら人一倍アメリカを愛するホッパーが、メカニックとしてサポートする。
 このチームに最近、元海兵パイロットのジェイコブスがくわわったことで、事態は急転。レジスタンスはKPA(朝鮮人民軍)の燃料トラックを強奪し、孤立する米軍部隊に届ける作戦を実行するようだ。ゴールデンゲートブリッジで戦闘が起きているという未確認情報も届いている。
 アメリカ最初のハンバーガーチェーンのホワイト・キャッスルに、“健康的な女の子”たちが迎えるレストランのフーターズ。この写真を見て、もはや見慣れたKPAによる占領よりも、看板に目が行くのは記者だけだろうか。巨大なハンバーガーにかぶりつき、女の子を横目にビールを流し込む。かつてどこにでもあった、取るに足らない光景だ。だが、だからこそ取り戻すべき価値がある。平和とは、そういうものなのだから。
 レジスタンスを支えるのは、地下にこっそり掘られた通路などのインフラや、DIY精神による自給自足と修繕によって維持されている装備の数々だ。彼らのアジトを始めとする市内数ヵ所に銃器が集められているほか、各種車両も打ち捨てられたガレージなどに隠されている。右写真の“ゴライアス”は、悪路を難なく走行し、外部から指定した標的に誘導ミサイルを放ち、複数の敵を一網打尽にする強力な性能を持っている。
 市内では、ジェイコブスのように強制徴用のため拘束されることもある。収容所の入り口などはセントリータワーで厳重に警備されており、内部では、KPAへの恐怖から同胞を売り渡す輩もいると聞く。
 また、本紙ですでにお伝えしているとおり、郊外の農場などに立てこもった“サバイバリスト”なる一団は、侵入者を捕らえては遊び半分に虐殺する、理性を失った行動を取っているという。恐ろしいことに、彼らの標的はKPAに限らない。警告が見えたら決して近付かないように!
藤本健二氏 Kenji Fujimoto

 現実と虚構が入り混じる『HOMEFRONT』は、完全なるフィクションなのか、それとも起こりうる未来なのか? そこで北朝鮮事情に詳しく、『北の後継者キムジョンウン』(中公新書ラクレ)、『核と女を愛した将軍様』(小学館文庫)、そして『金正日の料理人―間近で見た独裁者の素顔』(扶桑社文庫)などの著書を持つ、“金正日の料理人”こと藤本健二氏に『HOMEFRONT』のシングルプレイ序盤を見てもらい、話を聞いた。

――『HOMEFRONT』では、北朝鮮の指導者となった金正恩氏が強力なカリスマを持つ人物とされていますが、本人はどういった人物なのでしょうか。

藤本健二氏(以下、藤本氏) 遊び相手をしてくれと言われて、18才ごろまでずっと見てきたが、子どもの頃からつねにリーダーで、カリスマ性がある。兄である正哲氏が9才のときに、正恩氏は7才で、母の高英姫の妹の息子も同年代だったのだが、その3人がいて、最初に「今日は何をして遊ぼうか?」と言い出すのは正恩氏。正哲氏は「どうしようか?」と言うだけで、結論は出せない。つねに正恩氏が決め、それに後ろから付いて行っていた。

――幼少時よりリーダーシップを発揮していたと。

藤本氏 儒教の国である北朝鮮では長男の正男氏が後継者の筆頭と普通は考えるかもしれないが、それはない。私は、2003年から後継者となるのは三男の正恩氏であると言い続けてきた。高官の集まるパーティーに誰を呼ぶかは将軍(金正日氏)が決めるわけだが、正男氏は顔を出したことが一度もない。映画女優の成恵琳とのあいだに生まれた子どもだが、成恵琳への愛はしだいに薄れていったのが、彼女が体を壊してから、北朝鮮のポンハ診療所で十分な医療が受けられるにも関わらず、モスクワの病院に送られたことからもわかる。となると次男の正哲氏か三男の正恩氏が残るが、遊びひとつ取っても、自分でリーダーシップを発揮する正恩氏と、人を引っ張っていかず弟に付いていく正哲氏だ。あなたならどちらを取るか?

――自明のような気もします。

藤本氏 将軍は最高幹部の前でも「(正哲氏は)気が弱い」と嘆き、正恩氏を「どこか自分に似ている」と語っていた。彼らが好きだったバスケットボールを見てもわかる。選手も素人、審判の私も素人の状態から毎日試合をしていた。試合後に正哲氏は「お疲れさま」と解散してしまうが、正恩氏は「あそこのパスをこっちに出せば勝てた!」とやっている。

――指導力もある、と。

藤本氏 みんな年上でも、名指しで指摘する。だが、一度チームに対して非常に激怒したことがあったが、私とふたりになったら「大分怒ったが、立ち直れるかな?」と笑っていた。つまり、すべて計算尽くだ。「ご苦労さま」で終わっては、バスケットボールの腕も向上しない。それでいて、いいプレイが出ると手放しで褒めるように、操縦術にも長けている。まだ後継者としての正式な発表はないが、私は年内中に行われるのではないかと思っている。

――金正日氏の健康問題が報じられている中、空白を作らないようにしなければいけない事情もありそうですね。

藤本氏 健在のうちに後継者として指名し、張成沢氏が後見人としてガードすることになるだろう。金正日将軍、ナンバー2の張成沢氏、そして正恩氏、この3人には誰一人として逆らえない。

――コレクションとしてゲーム機があると聞いたことがあるのですが、本当ですか。

藤本氏 もちろんあるし、ゲームも好きで盛んにやっていた。中央が注文すれば調達されてくる。このゲームも届くかもしれない。

――映画好きであることは有名ですが、世界のエンターテインメントが集まっているわけですね。

藤本氏 そうだ。映画の音声を吹き替えるための声優の学校まである。ファミリーのためだけに成り立っている学校だ。正恩氏も映画が好きで、とくにアクション、なかでも『007』シリーズなどを熱中して見ていた。

――では最後にお聞きしたいのですが、こういったシナリオが実現する可能性は?

藤本氏 起こりえないとは限らない。フィクションのゲームだけれども、今日見てみて、痛快、スリル満点で、ストーリーの奥深さも持っている。正恩大将のカリスマ性もうかがえるし、スパイ性も盛りだくさんで、反響もあると思う。おもしろそうだが、自分は操作できないから、後ろで見てみたい。

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