所司和晴(しょし・かずはる)●将棋棋士七段。“定跡伝道師”というニックネームでも知られており、数多くの著書を出版。人気の将棋ソフト『東大将棋』や『激指』シリーズの定跡編集も手がけている。シャンチー(中国象棋)にも精通しており、国際大会でも実績を残す。将棋の普及にも尽力しており、千葉県・津田沼のカルチャー&将棋センターでは将棋教室を開催している。また、弟子にあたる渡辺明二冠(王将・棋王)が現在、王将戦(3月27日まで)と棋王戦(3月31日まで)のダブルでタイトル戦を争っていることも話題に。
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仲間と禁術の威力を検証したことがあります
――マルチプレイは結構楽しまれているのですか?
所司和晴氏(以下、所司) はい。3割くらいはマルチプレイでしょうか。将棋と同じように、人といっしょにプレイするのはおもしろいです。ふだんはオンラインにつないで自由に入れる部屋で楽しんでいますが、自分がホストになって部屋を作ることもありますよ。私自身はあまり得意ではないのですが、チャットをしながら共闘できるのもいいですよね。ホストの方が監督的な立場となって4人の動きを決めることがあるのですが、こういった組み立てをして闘うのは、将棋と似ている部分もあります。
――団体戦のようなものですか?
所司 プロの公式戦では団体戦はないのですが、アマチュアの大会では盛んになってきています。私自身も、毎年開催されているシャンチー(中国象棋)の国際大会に出場しているのですが、アジア団体戦では4人でチームを組むんです。実際に対戦するのは4人のうちの3人となりますが、監督が誰を出場させるのか決めるんです。もちろん選手どうしで話し合って、誰が何番手で出るかを決めることもあります。こういったところが『ソルサク』と似ているなと感じますね。『ソルサク デルタ』でも3つの組織が登場しますが、勢力を争うことができるんですよね。この状況は、日本シャンチー協会がチームジャパンとして国際大会でいい成績を残せるように、一丸となって頑張っているのと似ている気がします。
――マルチプレイではどのような禁術を使われていますか?
所司 サラマンダーが使いやすかったので、最初はよく使用していました。エンジェルが登場してからは、共闘するときはエンジェルを使うことが多いです。“ソルサク フレンド”の仲間と禁術の威力を検証したことがあるのですが、エクスカリバーがいちばん威力があることがわかりました。
――研究されたのですね!
所司 サラマンダーの1.5倍くらいでしょうか(笑)。人型魔物がふたりいるときはサラマンダーやエンジェルがお得なんですが、一方は倒せても、もうひとりは残ってしまうことが多い。一方を倒してから、もうひとりの魔物の体力が赤く表示されたタイミングで、エクスカリバーを使って一気に倒す方法がいいのかもしれない。きつい魔物とギリギリの勝負になるときは、エンジェルを使えば皆さんの体力を回復できるので便利ですね。いっしょに闘う仲間のレベルや魔物の強さに合わせて、禁術を使い分けるのもおもしろいですよね。
――それぞれでプレイ方法がまったく異なる魔法使いと会えるのも、マルチプレイの魅力ですよね。
所司 熟練者の方々と組めれば心強いですし、初心者の方々を助けるのも楽しい。私自身が初心者のときも、ずいぶんいろいろな方に助けてもらいましたから。
ゲームで制作者と会話しているように感じます
――ここからは『ソルサク デルタ』についてお聞かせください。配信中の“「共闘」体験版”はプレイされていますか?
所司 はい。まだあまりマスターできていませんが、やはり魔法連携はおもしろい。近接魔法がかなり有効のように感じていますが、ゲームバランスもとてもよくなっていると思います。体験版では近接魔法をメインにしていますが、『ソルサク』ではほとんど使わなかったモグラの爪が欠かせなくなりました。どの魔法も活用の幅が広がって、ほとんど使わない魔法はなくなるんじゃないかと思います。そのなかで、それぞれが自分の好みで、魔物やメンバーに合わせて魔法をセッティングするのではないでしょうか。
――『ソルサク デルタ』で注目されているポイントは何ですか?
所司 いちばんの注目は、やはり“グリム”でしょうか。グリムの登場で、ゲームがどう変わるのか、スケールがどれだけ大きくなるのか、楽しみにしています。公式サイトで、前作『ソルサク』との100以上の違いを公開されていますよね。あまりゲームはくわしくないのですが、これほどまでに次作で進化したゲームはないのではと思います。なかでも気になったのは、供物が増えることはもちろんですが、人型魔物を倒したときにもらえる供物がふたつに増えるのはとてもうれしい。組み合わせを考えることがさらに楽しくなりますよね。
――フレンドの方とも遊ばれましたか?
所司 ちょっとだけですが、遊んでいます。フレンドのあいだでは、『ソルサク デルタ』では槍魔法がよさそうだという意見があります。『ソルサク』では“均等”を除けば“魔”寄りの方が多い印象でしたが、槍魔法は“聖”寄りで強化できそうなので、『ソルサク デルタ』では“聖”寄りの魔法使いが増えるかもしれません。“右腕の斬呪血”もモーションが気持ちいいのですが、やはり実際の数値がどうなるのか、気になっちゃいますね(笑)。
――『ソルサク』から『ソルサク デルタ』に引き継げる要素も多いですから、前作のデータがムダにならない。
所司 それもうれしいポイントです。『ソルサク』ではだんだんと供物が余ってしまい、使い道がなくなってしまいましたが、『ソルサク デルタ』では噂の入手に使ったりといろいろ有効活用ができるようで、とてもありがたいです。レベルが100まで上がっていても、それを捧げて新しい刻印を手に入れられるところにも注目しています。調べていくと、早くレベルを上げる方法が用意されている。経験値が取得しやすくなる噂が用意されていたり、大量の経験値が手に入る魔物が出てくると。「なるほど、ゼロからまたレベルを100に戻すのもそれほどたいへんではないようで、これはよく工夫されているな」と感心しました。
――“代償刻印の儀式”ですね。
所司 将棋には「棋は対話なり」という言葉がありますが、『ソルサク』でもプレイしていると魔物やゲームシステムに制作者の方の意図などが感じられます。「こういうふうに遊んでほしいから、こうしているのだな」と、プレイしているだけでゲームを作っている方と会話できているような感じを受けるんですね。たとえば、DLCでケットシーが登場したときは、強くてなかなか勝てなかった。それと同時に“均等”が強化されたので、「なるほど、ケットシーを倒せるように強化されたんだな」と思いました。
新しいフレンドと出会えたらうれしいですね
――ケットシーは本当に手強かったですね。
所司 噂でさらに強くなったケットシーを倒すクエストに、オンラインでいっしょに闘った方と、魔法の選択からセッティングしている場所まですべて同じだったときがあったんです(笑)。研究を重ねて導き出した結果が、まったく同じという方と出会えたのは感動しました。
――それはスゴいですね……!
所司 セルト神とロムルス神が出てくる追加要請も苦労しました。どうすれば早く倒せるのか考えて、4人全員がベルセルクの禁術をセットして、覚悟の刻印(※編註:攻撃力が150%になるが、体力が1になる呪いを受ける)を付けて挑んだりと、いろいろ試しましたね。ベルセルクと覚悟の刻印を使って、うまく行けば3分くらいでクエストをクリアーできるのですが、成功率は低かった。こうやって試しながら組み立てていく楽しさも、将棋と共通している部分だと思います。闘いの中での咄嗟の判断が勝敗を分けるのですが、早く反応するといった俊敏さよりも、どの魔法を組み入れて準備するかのほうが重要なのは、『ソルサク』ならではの魅力ですね。
――『ソルサク デルタ』ではどの組織を選ばれますか?
所司 体験版ではアヴァロンを選択したのですが、グリムも気になります。グリムだけの供物もあるので、もうちょっとくわしいデータを待ってみます。まずはグリムを少し体験してみて、それからどの組織かに、固定しようかとも考えています。ほかにも、ものすごくたくさんの追加要素があるので、楽しみです。『ソルサク』ではDLCとともに配信される“噂”をとても楽しみにしていたのですが、今回はつねに“噂の紙片”を使っていろいろな種類の噂を扱えるようになるところもいいですよね。
――『ソルサク デルタ』で、また共闘の日々が始まりますね!
所司 私もオンラインでたくさん楽しむ予定です。イベントにも都合が合うかぎりはなるべく出かけるつもりなので、お会いできたらよろしくお願いします。新しい“ソルサク フレンド”と出会えたらうれしいですね。
――では最後に、メッセージがあればお願いします。
所司 将棋界として、第3回の“将棋電王戦”に注目していただければと思います。日本将棋連盟全体で力を入れて、今度こそコンピューターに勝とうと頑張っています。2014年3月15日の第1局を皮切りに全5局が行われますので、ぜひ皆さんも対局の模様を見ていただけるとうれしいです。