カプコン アーケードキャビネット -レトロゲームコレクション-|ファミ通.com

ひげ丸

ひげ丸

アーケード発売日:1984年9月 1人プレイ専用

クラシックな固定画面のアクションゲーム。主人公の“モモタルー”は、迷路の壁になっているタルを武器として投げつけ、海賊ひげ丸軍団に立ち向かっていく。

ストーリー・システム説明

「ボウス率いる“ひげ丸軍団(海賊)”は、全世界の海で好き勝手に暴れまくり、海の関係者たちはほとほと困り果てていた。そんな噂を耳にした本編の主人公“モモタルー”は、ひとり“ひげ丸軍団”に立ち向かっていった。しかし“ひげ丸軍団”を退治するにも、もとより武器を持っていない“モモタルー”は、持ち前の腕力でそこら辺に転がっていたタルを持ち上げ、“ひげ丸軍団”に向かって投げつけた……。
あなたは“モモタルー”を英雄にすることができるか?!」

 画面上に置かれたタルを投げつけ、“ひげ丸軍団”を全滅させていく画面固定のアクションゲーム。画面上のひげ丸(またはボウス)を全員倒せばそのステージ(ゲーム中は“DECK”と表示)はクリアーとなる。16ステージで1周し、以降は難度が上がった状態でループする。

 ボタンを押すとプレイヤーはタルをつかむ。つかんだタルは持ち運びが可能だ。タルを持った状態で、もう一度ボタンを押すとタルを投げる。ふつうの状態のひげ丸とボウスは、タルをぶつければ倒すことができる。

 ときおりひげ丸がタルの中に入ったまま追いかけてくることがある。このときはいったんタルを当ててひげ丸をタルの中から追い出し、もう一度タルを当てれば倒すことができる。ちなみにタルから飛び出した直後のひげ丸は、ひるんでいるので接触してもやられない。ひるみから回復する前に倒そう。

 タルを持ち上げたときに出現する無敵アイテムを取ると、プレイヤーが無敵になり、体当たりだけで倒すことができるようになる。一定時間を経過するともとに戻る。

 4ステージごとに、ハイポイントエリアと呼ばれるステージが登場する。このハイポイントエリアに出現する敵はすべてボウス。ボウスを全滅させればクリアーだ。難度は高くなるが、そのぶん点数を多く稼ぐことができる。

ストーリー・システム説明 ストーリー・システム説明

▲タルを持ったまま移動できるが、敵もタルの中に入ることがあるので注意しよう。4ステージおきに、ハイポイントエリアと呼ばれるステージがやってくる。

時代の節目に登場した固定画面のアクションゲーム

 ビデオゲーム草創期の作品は、画面がスクロールせず、ひと目でフィールドが見渡せるタイプの作品が多かった。当時はハードの制約で多くのデータが用意できなかったため、スクロールするより1画面に情報を詰め込むほうが魅力的なゲームを作りやすかったのである。固定画面の代表的なゲームには『スペースインベーダー』(タイトー・1979年)、『パックマン』(ナムコ・1980年)、『ドンキーコング』(任天堂・1981年)などがある。広い意味では、本作『ひげ丸』もその系譜に連なる作品といえる。

 本作は、迷路の壁を構成しているタルを攻撃手段として使うことができる。このタイプは1982年に『ペンゴ』(セガ)という名作がリリースされていた。『ひげ丸』では、タルの中に入った敵が追いかけてくるという要素などを取り入れ、『ペンゴ』とはひと味違ったおもしろさを生んでいる。操作性に独特の難しさがあるが、各ステージの難度のバランスも取れており、良作といってよいだろう。

 しかし『ひげ丸』が登場した1984年は、スクロールするシューティングゲームなどが主流となっていった時代である。固定画面のゲームとして完成度が高くても、プレイヤーの目にはあまり触れなかったのは残念だった。当時は出回った数が少なく、プレイできた人は少なかったのではないだろうか。『カプコン アーケード キャビネット』収録作のなかでも、幻の作品といえるタイトルである。

 プレイしてみれば、固定画面のゲーム独特のおもしろさ、ゲーム性の深さを感じさせてくれる作品である。先のステージに進むと難度はぐっと上がるが、クリアーは決して不可能ではない。チャレンジしてみるとよいだろう。

基本的な攻略法

 つねにタルを持ち、確実にひげ丸を倒していこう。ひげ丸とともにボウスを巻き込めば、点数は2倍になる。タルを持って長い直線の通路に敵をおびき寄せ、一気に倒せば高得点となる。序盤は難度が低いので、最初のうちに点数を稼いでおくとよい。得点アイテムの入っているタルは光っている。できるだけ持ち上げてアイテムを入手しよう。

 プレイヤーが一定時間無敵になるアイテムがときおり登場する。このアイテムはある程度の数、タルを持ち上げると出現する。出現させるのに必要なタルの数は、おおよそ12個〜16個くらいである。

 難度の高い後半のステージでは、無敵アイテムを意図的に出現させることが大事なテクニックとなる。敵が一時的に少なくなったり、同じ場所を回っていたりしたら急いでタルを投げまくろう。そのうち無敵アイテムが登場するので、これを取れればステージクリアーが約束される。

 ハイポイントエリアに登場するボウスは、足が速いがその動きはひげ丸に比べて読みやすい。正確にプレイヤーを追いかけてくるからだ。タルを連続して拾いやすい場所にいれば、ボウスが高速で追いかけてきても倒すことができる。その後の展開を楽にするためにも、できるだけひとつのタルに多くのボウスを巻き込んで倒していこう。

 そのほかフィールド上のどの場所に行けば倒しやすいか、ステージごとに研究するとよい。そうすればクリアーの確実性が増していくはずだ。

隠しボーナスについて

 ステージには、通常のタル以外にも破壊できないドラム缶、金貨、袋などが登場する。これらの壊せないものを特定のステージで持ち上げると、その下から1UPや高得点アイテム(弥七など)が出現する。ただしステージ開始後、他のタルを持ち上げずに最初に持ち上げなければならない。余裕があれば挑戦してみるといいだろう。

隠しボーナス一覧
隠しボーナスについて 隠しボーナスについて

▲ステージ10以降は難度が一気に上がっていく。挟み撃ちにならないように、考えながらタルを投げまくろう。無敵アイテムを出現させて切り抜けたいところ。

PLAY MOVIE

(1) ゲーム開始からステージ2までをプレイ。序盤は敵の移動速度が遅い。操作にややクセがあるので、狙ったタルをしっかり持ち上げられるように練習しよう。

(2) ステージ15と16をプレイ。ステージ15は開始直後に隠しボーナス50000点を確実に入手できる。ステージ16は袋を使って通路をふさぎ、画面左端に敵を誘導するとよい。

『ひげ丸』の思い出

 当時自分は神奈川、東京を中心に多くのゲームセンターを巡っていましたが、この作品は一度くらいしか見たことがありません。非常にレアだったことは間違いなく、じつは一度もプレイしたことはありませんでした。『カプコン アーケード キャビネット』で初めてやりこんだわけです。
 序盤のうちは、かなり遊びやすい難度で好感が持てます。しかしステージ10以降になると急速に難度がアップ。ステージ15、16を最初に見たときは、クリアー不可能なのではないかと思いました。それでも不思議なことに、やりこんでいくとクリアーが見えてくるのです。この感覚は80年代のカプコンゲーム全般に共通するもの。固定画面とはいえ、やはりカプコンのゲームだな、とあらためて感心しました。

石井ぜんじ
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