第2回: MOBA概論2―実際の試合の流れってどんな感じなの?

公開日時:2013-11-12 00:00:00

 前回はMOBAの盛り上がりや他ジャンルとの違いなどを説明したが、今回はいよいよ、MOBAならではの試合の流れや要素について説明していこう。

 もちろん、同一タイトルですらモードによってまったく異なってくる部分も結構あるので、筆者が考える“現在のMOBAの大枠を説明するにあたっての一般例”ぐらいで考えてほしい。
 『LoL』を中心にしつつ、それ以外のタイトルの例も織り交ぜて説明していき、できるだけ他のタイトルでも応用できるような説明をしていくつもりなので、ご了承頂きたい。

 なお、各タイトルでは大体チュートリアルが用意されているので、実際にプレイする際はそちらをまず触ってみるといい。
 ちなみにチュートリアルプレイ後もいきなり対人戦はキツいと思うのだが、大体”カスタム戦”と呼ばれるモードがAIとだけ戦えるように設定可能になっているので、それで他人を気にせず練習できる。また、協力プレイモード(Co-op)で仲間や友達とプレイしながら学んでいくのもいいだろう。


●試合の第一歩はキャラクター選びから

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▲『League of Legends』のキャラクター(『LoL』ではChampionと呼ばれ、ゲームごとに呼び名が違う)選択画面。仲間のプレイヤーの選んだキャラクターも表示されている。また、相手チームが選んだキャラクターが表示されるモードもある(ある程度ゲームに慣れてきたプレイヤー向け)。

 MOBAでは、試合ごとにキャラクターを選択してゲームが始まる。味方や敵キャラクターとの相性の良さなどを考えながらキャラクターを選択するのは、MOBAの醍醐味のひとつだ。試合前の段階で、もうすでに戦いは始まっているのである。

 とはいえ、初心者に全キャラクターを把握して対応しろというのも無理なハナシ。まずは無料になっているキャラクターや、初心者向けとされているキャラクター(難易度のパラメータが低いキャラクターなど)を選択して、ゲームの仕組みを把握していくといいだろう。

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▲画像は『LoL』のマップSummoner’s Rift。今は自分のリスポーンポイント(左下)にいる所。対角線の反対側に相手チームのリスポーンポイントがある。

 プレイヤーキャラクターは、自軍のリスポーンポイントからスタートする。ちなみに、『Warcraft III』のModとして一世を風靡した『DotA(Defense of the Ancients)』ではリスポーンポイントに泉があったことから、この場所をFountain(泉)と呼ぶこともある。
 リスポーン(復活)ポイントと呼ばれるだけに、死亡時もここから再スタートするほか、この場所ではHPとMPを回復することもできるので、危険になったら戻ってくるといいだろう(移動スキルや移動アイテムにより、一瞬で戻ることが出来る)
 また、敵軍がここに陣取って復活するキャラクターを延々と倒す(リスポーンキル)のを防止する機能が用意されているので、敵軍側のリスポーンポイントには入らないようにしよう。

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 ゲームが始まったらまずプレイヤーがするのは、初期資金でスターティングアイテムを買うことだ。リスポーンポイントの近くにアイテムショップがあるので、初期資金でスターティングアイテムを買って戦いに備えよう。
 また、最近のMOBAにはキャラクターごとに設定されている「おすすめアイテム」(上の画像ではRecommendedと書かれているタブがそう)がある。初心者の間は取りあえず「おすすめアイテム」を買えばOKだ。


●補足:アイテムショップの違い

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▲ここでタイトルごとの個性の一例として、アイテムショップの扱いの違いを紹介しよう。『LoL』ではリスポーンポイント近くにしかアイテムショップがないが、『Dota 2』にはリスポーンポイント以外にもアイテムショップが存在し、品ぞろえもリスポーンポイントのアイテムショップとは異なる。

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▲さらに、『Dota 2』では、アイテムショップからアイテムを運搬するAnimal Courierと呼ばれるユニットを召喚することもできる。

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▲『カオス ヒーローズ オンライン』の場合は、マップのどこからでもアイテムを買うことができるので、アイテムショップに寄る必要が無いのだ。ゲームによってアイテムの購入の仕方には違いがあるので、確認しておこう。


●MOBAでよくあるマップの構造

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▲例は引き続き『LoL』のマップ“Summoner’s Rift”。

 それでは、MOBAでよくある基本的なマップの構造を見ていこう。右の画像の、上(赤線)、中(黄色線)、下(青線)の3つの大きな道をLaneと言い、上からそれぞれTop lane、Middle lane、Bottom laneと呼ばれる。
 プレイヤー間などでは、略してTop、Mid、Botと呼ばれることの方が多いので、覚えておこう(今回は3Laneのマップを例に挙げるが、Laneが1つしかないマップなどもある)。

 ゲームが始まってから少し時間がたつと、NPC兵士(CreepやMinionと呼ばれ、ゲームごとに呼び名が違う)が、この3つのLaneを通って最終目標である敵の本拠地に進行していく。
しかし3つのLaneの道中にはTowerがいくつか配置されており、いきなり本拠地まで到達することはできないので、まずはこのTowerを壊すのがゲーム序盤の目的だ。

 というわけで、ゲームが始まってスターティングアイテムを買ったら、まずは味方のNPCと一緒にTop、Mid、Botを目指す。
 ゲームによってセオリーが異なるのだが、5対5の典型的なMOBAの試合の場合、初心者の間はTopに二人、Midに一人、Botに二人といったプレイヤー配分でLaneに向かうといいだろう。
 もしかすると「みんなで行けばいいんじゃない?」と思う人もいるかもしれないが、5人全員でMidに行くなどしても、取得する経験値やゴールドが分散してしまうなど、逆に損をしてしまう可能性があるのだ(もちろんMidを2人にするとか、3人が同一のレーンに行くなど、ゲームごとに様々な戦術がある)。


 また、マップのTopとMidの間、MidとBotの間に森が存在するのが分かるだろうか? この森はJungleと呼ばれ、どちらにも属さない中立モンスター(NPC兵士と同様にして、中立Creepや中立Minionなどと呼ばれる)のキャンプがある場所だ。
 この中立モンスターを狩ることでもレベルを上げられるので、Laneに向かわずにJungleの中立モンスターを狩りながらレベルを上げていくJunglerと呼ばれるロール(役割・プレイスタイルのこと。詳細は次回)も存在する。

 ただ、このロールは必須ではないので、ゲームに慣れ基本的なプレイを覚えるまでの間は、「そういう方法もある」ぐらいで何となく覚えておくといいと思う。ただ、Jungleの中立モンスターを狩ること自体にはメリットが沢山あるので、慣れてきたらJunglerを目指さなくとも、中立モンスターの特性を覚えておくと良い。ちなみに、この中立モンスターを狩ることを“Jungling”と言う。


●それで、Laneに向かったら序盤は何をするの?

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 ゲームが始まってからしばらく経過すると、各LaneでNPC兵士(『LoL』での呼び名はMinion)どうしがぶつかり合う。プレイヤーは味方Minionや味方プレイヤーと一緒に敵Minionや相手プレイヤーと戦い、Towerの破壊を目指すことになる。

 このMinionを倒すと、ゴールドと経験値を入手することが出来る。ただし、Minionのとどめをプレイヤーが刺さなければ、ゴールドを入手することは出来ない。止めを刺すことをラストヒット(LH)と言う(経験値はラストヒットを取らなくても入手可能)。
 ラストヒットを取らなければゴールドを入手することが出来ないので、いかにして自分がラストヒットを取るか、いかにして敵プレイヤーのラストヒットを妨害し、ゴールドを入手させないかといった点で、プレイヤーの腕の差が出てくることになる。
 このラストヒットの妨害など、敵プレイヤーの邪魔をすることを“ハラス”と言う。自分のキャラクターを成長させることと、敵キャラクターの成長を妨害することを同時に考えながらプレイすると良いだろう。


 敵にやられそうになったら、移動スキル(『LoL』ではRecallと呼ばれていて、どのキャラクターでも使用可能)を使って本拠地に戻って回復したり、回復アイテムを使ったりして、やられないようにしよう。もちろん、回復のためだけに本拠地に戻るのではなく、戻ったら強いアイテムを購入しておこう。

 また、サポートタイプのキャラクターを使っている場合は、ラストヒットを味方に譲ろう。サポートタイプのキャラクターは装備の依存度が低いので、ゴールドを稼がなくてもある程度活躍することができるからだ。サポートタイプのキャラクターなど、キャラクターごとのロールなどについては、次回以降に説明していくとする。

 あくまで成長するのが大事なので、初心者の間は無理に敵プレイヤーを倒すことは考えずに、ひたすらMinionのラストヒットを取りながら、非常に強力な究極スキル(Ultimate Ability)を覚えることが出来るレベルを目指してみるといい(大抵のキャラクターはレベル6で究極スキルを覚える)。この究極スキルはキーボードの「R」に配列されるので、「Rスキル」と呼ばれたり、Ultimateを略して「Ult」と呼ばれる方が多い。

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 『Dota 2』では、味方ユニットのとどめを刺すこともでき、この行為のことを「Deny」と言う。
 なぜそんなことをするのかと言うと、Denyをすることで、敵プレイヤーにゴールドと経験値を与えるのを防ぐことができるのだ(Denyをしても多少の経験値は入る)。また、味方のCreepの数をあえて減らすことで、LaneのCreep(NPC兵士)の流れを制御できる(敵陣の奥まで行きすぎないようにする)といったメリットもある。Laneの押し引きについてはMOBAの基本戦術の一つなので、次の項でも少し解説する。
 Denyは『WarCraft III』のMod時代の『DotA(Defense of the Ancients)』から存在する伝統的な行為であるのだが、最近のMOBAではDenyが出来ないものもある。例えば、『LoL』ではDenyは出来ない。


●レベルが上がってアイテムが揃ってきた中盤戦、ゲームが大きく動き始める!

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 究極スキルを覚えるレベル6あたりから、装備アイテムも揃っていき、プレイヤーキャラクター同士のぶつかり合いが激しくなっていく。そんな中で敵プレイヤーを倒すことに成功したら、最初のTowerを壊したり、他のLaneに出張するのもいいだろう。

 敵プレイヤーを倒すためにマップを歩き回ったり(Laneを離れ、マップを歩き回ることをRoamと言う)、2対1や多対多など人数差を付けて敵プレイヤーを倒すことを「Gank」と言う。
 Gankを受けるとゲームが動きやすいので、敵プレイヤーの姿が見えなくなったらチャットで「MIA」(Missing in actionの略で、MOBAでは敵がマップから姿を消したときに使う)と言ったり、ゲーム内の機能を使って、敵プレイヤーがMIAであることを仲間に知らせよう。Gankは前述したJunglerと呼ばれるロールが得意とする行為でもある。JunglerはよくMIAになるので、Gankを受けないよう警戒しておこう。

 また、Gankを防ぐためには「Ward」と呼ばれるマップ内に設置して視界を得る(※視界を取るとも言う)ためのアイテムを買ったり(これにより、Wardを設置した周囲を敵プレイヤーが通った時に検知することができる)、Minion(NPC兵士)の流れをコントロールしてLaneを押さないようにすることも重要だ。Laneを押すことをPushと言い、敵陣の奥やTowerにMinionを押し付けることを指す。敵陣の奥に行けばいくほどGankを受けやすいので、バランスを取るのだ。

 もちろん敵のGankを警戒するだけでなく、自分もGankを狙ってみるといい。敵プレイヤーがマップから見えなくなったら、タワーを壊しに行ってみるとか、敵が寄ってきそうなLaneに自分も寄ってみるなど、自分で判断して行動するといいだろう。
 また、GankやRoamをする際は、相手に自分の位置がバレてしまうので、Wardに気を付けよう。Wardは基本的には不可視状態(Invisible)なのだが、不可視状態を突破するためのWard(普通のWardより高かったり、少し性能が違う)やアイテムなどがあるので、それらを購入して相手のWardを壊すか、さもなくば、Wardは時間経過で自動的に壊れるので、それを待つのも良い。

 レベル6になる、Towerを壊す、Gankを行う、上級装備アイテムを購入するなど、ゲームが動き始める中盤以降は5対5などの集団戦(Team Fight)がゲームの中心になる(一人で建物を壊すのが得意なキャラクターなどもいるので、例外は存在する)。集団で敵を倒しつつ、Towerを壊し、敵の本拠地を目指そう。
 また、成長すると強いタイプのキャラクターなどは、敵プレイヤーが来る可能性の低い場所でMinionを狩っておいて、終盤戦に備えて経験値とゴールドを稼いでおこう。このような行為を「Farm」と言う。


●いよいよ敵の本拠地に攻め込む終盤戦の始まりだ!

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 敵の本拠地の近くの建物(『LoL』ではInhibitor)を壊すと、敵の本拠地を攻撃できるようになるなど、大きなメリットがある(正確にはタイトルにより攻撃可能になる条件は異なる)。なので、この建物を壊すのが、終盤戦のまず最初の目的だ。
 この建物は『DotA(Defense of the Ancients)』において「Barracks(略してRaxとも)」と呼ばれていたので、他のMOBAでもBarracks(Rax)と呼ばれることがある。終盤は、このBarracksを巡っての攻防や、Jungle内にいる巨大中立モンスターを巡っての攻防がゲームの中心となる。

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▲巨大中立モンスター(『LoL』ではDragonとBaron Nashor)はチーム全員で戦わなければならないほどの強さだが、倒すと大きなメリットが得られる。もし敵軍に取られそうならば、全力で阻止しよう。

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 Barracksを壊したら敵の本拠地を攻撃できるようになると言っても、敵の本拠地は強力なTower(Last Tower)で守られているので、まずはそのLast Towerを壊すのが先決。チームメイト5人と力を合わせてLast Towerを壊したら、いよいよ最終目標である敵の本拠地の攻撃だ。ここを壊せば、ついに自軍の勝利である!
 なお、降参機能がついているMOBAもあり、劣勢を見て取った相手プレイヤーの過半数が降参に投票した場合は、本拠地を破壊しなくてもその時点で勝利となる。

 まとめよう。今回は『LoL』を中心にして、基本的なMOBAのゲーム進行について説明した。あくまで初心者を念頭に入れた説明であるため、ゲームに慣れているプレイヤーからすると様々なセオリーについて考慮していないと感じるかもしれないが、そこはご了承いただきたい。次回はプレイヤーキャラクターの”ロール”などについて説明していく予定だ。

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