第5回: [LoL]魔境観光ガイド 1―魔境民が考えるEUスタイル

公開日時:2014-08-19 00:00:00

 今回から『League of Legends(LoL)』の「魔境観光ガイド」というコーナーを始めます。「魔境ってなに?」って思うだろうから、まずは説明します。「魔境」というのはソロランクマッチにおける低レート帯を表す俗語のことです。俗語なので、その定義は曖昧ですが、「そこから抜け出しにくい」というようなニュアンスがあります。ブロンズまでが魔境だという人もいれば、存在しないという人もいます。筆者もそのような魔境民だと思っていますが、このコーナーを書いていくことで基本を確認しつつ高レートを目指していくのが目的です。

 というわけで、本コーナーはSolo/Duoルールのランクマッチ(いわゆるSolo Q)に参戦できるようになるサモナーレベル30(30が最大)であることが前提。だから、「とりあえずLoLを初めてみたい」というような人は、すでに書いた「MOBA概論」のコーナーで基本的なゲーム進行やレーンの名称などについて確認してサモナーレベル30を目指してほしい。とはいえ、「EUスタイル」はLoLの基本的なチーム/レーン構成であるし、ノーマルマッチでも必要な知識なので、応用は利きます。サモナーレベル30以下の人やランクマッチに興味が無い人が記事を読むのも歓迎です。


●ランクマッチやる前に知っておきたいことってある?

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▲ランクマッチに参戦するにはサモナーレベル30(ノーマル戦なら300~400戦ぐらいで到達すると思う)と無料チャンピオンを除く16体以上の所持チャンピオンが必要となっています。
ランクマッチはドラフトピックルールで行われ、それぞれのチームが交互にBan(使用禁止)するチャンピオンを決めてから、また交互に試合で使用するチャンピオンをピックしていくことになります。相手のチャンピオンを見てから自分のチャンピオンをピックできるので、Blind Pickルールとは異なりピック時点での戦略性が増しています。大会では相手プレイヤーが誰だか分かっているため、相手プレイヤーが特に得意なチャンピオンをBanするという「メタBan」が行われることもあり、チャンピオンセレクトの段階で既に戦いは始まっていると言えるでしょう。

 ランクマッチをやる前にまずやっておきたいのは、Rune(ルーン)の購入とルーンをRune Page(ルーンページ)にセットすること。ルーンはルーンページにセットしておいて、チャンピオンセレクトの時に選べば、チャンピオンの能力(Attack DamageやAbility Powerなど)を上昇させてくれるという便利な代物。でも、ルーンのことを知る前に、まずは”EUスタイル”について知っておいてもらいたいので、まずはそちらから。ルーンについての説明は、またいずれやる予定です。


●EUスタイルってなんぞ?テキトーにピックすればいいんじゃねーの?

 サモナーレベル30になるまでは皆テキトーにピックしていたと思いますが、現在ランクマッチやサモナーレベル30のノーマルマッチでは、「EUスタイル」という、Topに一人、Jungleに一人、Midに一人、Botに二人となるような構成が圧倒的に主流です。それぞれのレーンに使われやすいチャンピオンがいるので、ランクマッチでは基本的にはEUスタイルを守ってプレイしないと、地雷プレイヤー扱いされてしまうこともあるほどです。魔境民の筆者はEUスタイルを破る勇気はありません。そのくらいEUスタイルばっかです。それぞれのレーンの簡単な説明と使われやすいチャンピオンなどについて魔境民の考えではありますが、書いていきます。

■ガチムチチャンピオンによるタイマンでの殴り合いが多いTopレーン(ソロレーン)

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▲Topレーンのマッチアップ例。Shyvana(Fighter,Tank) vs Irelia(Fighter,Assassin)。

 Topレーンは、通常攻撃がMeleeのFighter(Tanky DPS)かTank、またはそれに対するカウンターとなる、通常攻撃がRangedのチャンピオンなどが来ることが多いレーン。大会などでは元々Botレーン担当の二人が開幕にTopまでまわってきてタレットを早期に壊したりするというレーンスワップ戦術が行われることもあるけど、魔境の試合では気にしなくていいです。
 Midと比べるとレーンが長いため、念のためGank耐性のあるチャンピオンをピックすることが好まれるようです。そのため、使われるチャンピオンはFighter/Tankなどの耐久力のあるやつが多いです。ただ、Meleeチャンピオンへのカウンターピックなどを理由としてTeemoやRyzeなどのRangedチャンピオンが来ることもあります。この場合にもTopレーン適正のあるRangedチャンピオンが好まれるので、よくわからない間はFighterかTankを使うのが無難だと思います。

 また、Dragonから最も遠いレーンとなっているため、試合中盤以降はDragonを意識しなくてはならない状況では最もGankに行きにくいレーンでもあります。TopにGankが来たら、逆に相手チームはDragonを意識するだけで人数差を付けられますからね。Topはレーンが長かったりGankに行きにくくかったりなどの理由により、一度付いた差が埋まりにくいとよく言われます。そのため、レーンがきつい状況になったら、いわゆる土下座ファーム(レーンを下げてタワー下でファームをする行為)をするプレイヤーが多いです。
 中盤以降はGankに来にくいレーンであるため、相手と1vs1をする時間が非常に長いことが多いです。また、最初のタレット(Outer Turret)を壊した後、Topチャンピオンが優位に立っている状況ならば、延々とSplit Push(チームとは離れて、単独でレーンをプッシュすること)するケースがあります。これは相手がGankに来ても1vs2で勝ったり、Topに敵を引き付けることでDragonを獲得したりと他の場所で優位を取れる可能性があるからです。Split Pushは1vs2性能、逃げ性能の高いチャンピオンなどが得意な戦術となります。

【要約すると】→ガチムチな固いチャンピオンかそのカウンターとなるチャンピオンが延々と1vs1をする孤独なレーン。対面Topと遊んでいたらゲームが終わっていた、なんてこともよくある。

Topレーンを担当することが多いチャンピオンの例

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▲Nasusの兄弟で、マナが無い代わりにFuryというシステムを持っているRenekton。レーンフェイズでは強いが、後半戦に特化したチャンプと比べると後半はそうでもない。

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▲Ctrlキー+3キーでA○B48のダンスを踊るマナ無しドラゴン娘のShyvana。防具を積んでもHP割合ダメージで火力を出せるチャンプ。Ult以外にスタンなどのCC(Crowd Control)スキルが無いのが弱点。


■中立モンスターを狩りながらGankやオブジェクトコントロールをするJungle(Jungler)

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▲レーンに行かずに、ゲーム内時間で1分55秒に登場するBuffを持っているモンスターを狩るのがJunglerの基本。画像のJunglerはSkarner(Fighter,Tank)。周りに複数のチャンピオンがいるのは、数回殴ってから担当レーンに行くことでJunglerがBuff持ちモンスターを狩るのを助けるため。

Jungleの中立モンスターを狩りながらGank、オブジェクトのコントロールなどをするのがJungle(Jungler)です。FighterやTank、Assassinが担当することが多いですが、どんなチャンピオンでも可能っちゃ可能。レベル30以下ではJunglerが存在しないことが多かったと思うけど、ランクマッチでは必須です。いや、いなかったり出来なかったりしたらおかしいレベル。
 Summoner Spellですが、ジャングリングをしやすく、DragonとBaronを倒しやすくするためにSmiteを持っていくのが基本です。開幕に敵のBuffモンスターを狩りに行く(Invade)ケースもありますが、ゲーム内時間で1分55秒に自軍側ジャングルにスポーンするAncient Golem(通称Blue Buffまたは青バフ)またはLizard Elder(通称Red Buffまたは赤バフ)を他の味方に協力(Leash)してもらって狩るのが基本的なジャングリングの始め方です。その後はレイスやウルフなどを狩ってから、もう一つのBuffモンスターを狩ったり(敵側でも)しながらGankをするのがJunglerの基本的な動きです。
 また、ジャングラーの仕事はGankだけではありません。Dragon、Baron、タワーの破壊(Siege)などのオブジェクトコントロールやワードを置くなどのマップコントロールをすることも含まれているのです。DragonやBaronを狩るタイミングなどは、敵がリコールした時やGankが成功したりなどして人数差が付いた時が基本です。どんな時も状況次第なので、これは経験を積むしかないかと。

【要約すると】→中立モンスターを狩りつつ、各レーンにGankをするLanerの奴隷。負けたらジャングラーのせい。This jungler no gank.(このジャングラーがgankしねぇからだよ)

Jungle(Jungler)を担当することが多いチャンピオンの例

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▲「イクゥ!」というアレな叫び声が特徴のマナ無しチャンプのLee Sin。プロプレイヤーの名前が由来のテクニック(inSec)があったりするテクニカルなチャンプ。

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▲Neurotoxin[Q]とVenomous Bite[RQ]の二つのHP割合魔法ダメージスキルを持つクモ女チャンプのElise。変身すろとスキルが変わる点と、方向指定のスキルが当たらないと弱い点で上級者向け。


MageやAssassinなど火力が出るチャンプがよく来るMidレーン(ソロレーン)

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▲Midレーンのマッチアップ例。Orianna(Mage,Support) vs Fizz(Assassin,Fighter)。

 魔法ダメージを出すMageか、魔法ダメージか物理ダメージ問わずAssassinが来ることが多いのがMidレーンです。Top、Jungle、BotにGank、Midタワーを壊す、などやれることが多いので、対面のMidプレイヤーに勝つのも重要ですが、マップコントロールも重要なレーンとなります。レーンはTopやBotと比べると非常に短いこともあってか、Gankへの耐性があまりないが火力の出るチャンピオンがMidで使われやすいです。
 Junglerとの連携が非常に重要なレーンで、敵Junglerが自軍の青バフ・赤バフにInvadeしてきた時など、対面Mid Lanerと戦うだけでなくジャングルに寄ったりすることも重要です。さもないとJunglerに”mid blind GG(Midが周り見えてねぇヤローだわ、おつかれ)”などと煽られてしまうぞ! また、自軍のBlue Buff(青バフ)モンスターを狩りやすいことから、マナ依存度の高いチャンピオンの場合はJunglerに自軍のBlue Buffを譲ってもらうと良いでしょう。

 Top、BotどちらにでもGankに行けるので、GankをするのはMidの重要な仕事となります。対面Mid プレイヤーが”MIA”になった(マップから姿を消した)かどうかは常に注意しましょう。そして、”MIA”になったらMIA Pingを鳴らして対面を追う、プッシュするなど行動の選択をするといいでしょう。
 また、Topと比べると、レーンの構造やチャンプの耐久力などの理由により対面プレイヤーにファームをさせない動き(ゾーニング)がしにくく、対面プレイヤーに負けてても他のレーンにGankをしたりなどで一度付いた差はTopよりは埋めやすいと筆者は感じます。ただ、Gankをしやすいので、育った対面Midプレイヤーが各地に出向いて大暴れなんてことにはならないようにしたいものです(魔境Midあるある)。

【要約すると】→Mage、Assassinなど瞬間火力の出るチャンピオンが来るレーン。対面に勝てばGankしまくってスノウボール(一度転がるとどんどん大きくなること)しやすいので超人気。育ちまくったFizzとかがRoamingしてると最悪。This mid no mia(このMidがMIAしたことを教えてくれねーからだよ)

Midレーンを担当することが多いチャンピオンの例

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▲ハサキッ!トリャー!モリアゲドーン!といった叫び声が特徴の日本風サムライチャンピオンのYasuoさん。最大の特徴は投射系攻撃を遮ることが出来るスキルを持っていること。また、Ultは打ち上げた敵に対して使えるので味方JunglerがViとかだったりすると一緒に飛んでくる(モリアゲドーン!)。

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▲爆弾を投げてロングレンジから攻撃する爆弾魔チャンピオンのZiggs。ミニオンウェーブ処理能力に優れる。


Marksman(AD Carry)とSupportの二人が担当するBotレーン(デュオレーン)

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▲Botレーンのマッチアップ例。Draven(Marksman) Morgana(Mage,Suppport) vs Vayne(Marksman,Assassin) Thresh(Support,Fighter)。

  BotレーンはMarksman(Attack Damage Carryとも。略してADC)とSupportの二人が担当するレーンとなります。ADCはMarksmanタグの付いたチャンピオンが担当するが、SupportはMageやTankタグの付いたチャンピオンなどでも可能です。ちなみに他のレーンとスワップする戦術もありますが、Topの項目でも書いたように、魔境では気にしなくていいです。
 ADCは装備依存度が高いのでBotでSupportに守ってもらいながら、しっかりとファームして後半戦に備えていくことになります。また、Dragonが近いのでDragonをJunglerと協力して狩るのもBotレーンプレイヤーの仕事。Dragonへの寄りは意識しておくといいでしょう。また、ADCは育つと通常攻撃が強くなるという性質から、タワーやInhibitorの破壊も求められています。ビルド的にチーム内で最も脆いケースが多いので、狙われやすいので気を付けよう。

 というわけで、Supportの序盤の仕事はレーンでADCがファームをするのを助けることです。助けるとは言いましたが、味方ADCを守るだけでなく対面のプレイヤーにハラスをしたりスキルをぶち込んで倒すのも助けるうちに入ります。そして、お金はSupport用の金策アイテム(Gold Income Item)を買えば貯まっていきますので、ラストヒットは基本的にADCに譲ることになります。
 金策アイテムも重要なのですが、Supportにとって最も重要なアイテムはWardを何回も設置できるSightstoneでしょう。これを購入してJunglerからのGankを防いだり、Dragonの周りの視界を確保するなどしてマップコントロールをするのが重要です。魔境SupportはWardを買わないことも多い。大概それで対面をぶっ壊せるわけでもないので、とにかくWardは買ってください。対面へのハラスやキルも重要だけど、Wardを買うのは誰でもできるはず!
 あと、集団戦でもADCを守ることが重要なので、しっかりと状況を見極めてスキルを使っていきましょう。最後に、Supportとは言いつつ、チームを守るだけではなく集団戦を開戦する役(イニシエイター)を担うことも多く、その実態は非常に攻撃的なロールでもあるということは忘れないようにしましょう。

【要約すると】→Marksman(ADC)とADCを助けるSupportが来るデュオレーン。唯一のデュオレーンなので、喧嘩が起きやすい。いくらADCがクソでもSupportをやるならADCにラストヒットは譲ってWardもちゃんと置きましょう。

Botレーン(ADC)を担当することが多いチャンピオンの例

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▲通常攻撃のレンジが長いことが特徴のシェリフであるCaitlyn。相手のCaitlynにUltを撃たれたら、HPの多い味方がボディーブロックすることで代わりに攻撃を受けることが可能なんだけれど、これにより喧嘩も含めた様々なドラマが生まれる。

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▲序盤は弱いが、3回同じ対象を攻撃するとTrue Damageになるスキルのおかげで後半戦サイッキョなBBA(ババァ)チャンピオンのVayne。敵にいる時はUltでステルスになるので、Vision Ward(ピンクワード)やTrinketのアップグレードをしていると便利。ベ○ネッタ。

Botレーン(Support)を担当することが多いチャンピオンの例

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▲サポートタンク系チャンピオンのLeona。対面よりも先行してレベルを上げてからのオールイン(ダイブして死ぬ気で戦うこと)が強いので、ただADCの横にいるだけにならないように。集団戦を開戦するイニシエイター役。

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▲敵を引き寄せるスキルと味方を引き寄せるスキルの両方を持っていることが特徴となるサポートタンク系チャンピオンのThresh。ミニオンなどが落とすソウルを拾っていくことでAR(Armor)とAP(Ability Power)が上がっていく(ソウルを集める?なんかのゲームに似てるぞ?)。


 まとめよう。今回は「EUスタイル」について簡単に書きました。第一歩になればいいと思い、自分なりの紹介を書きました。筆者も魔境民であると思っているので、我ながら怪しい部分も多々あります。「本当に魔境民ならこうしたほうがいいんじゃね」という意見などがあったら、下記の専用メールアドレスまで送ってくれると参考になってありがたいです。次回以降はランクマッチに行くなら最低限これだけは持っていてほしいような「Rune(ルーン)」と各レーンの開幕数分の動きについて書く予定です。


※MOBA研のメアドができました。「ここは説明不足ではないか?」、「こういうネタを扱って欲しい」、「自分はこの部分こう認識しているがどうか」などなど、ご意見・ご指摘をお待ちしています。mobaken@ml.enterbrain.co.jpまで忌憚のないご意見をお寄せください。

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