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【エイトリ】ランドマークタワーも中華街もないマイナー区出身者が気付いた横浜の魅力。『18TRIP』になら栄区を任せられるのでは

by井口エリ

【エイトリ】ランドマークタワーも中華街もないマイナー区出身者が気付いた横浜の魅力。『18TRIP』になら栄区を任せられるのでは
 横浜生まれ横浜育ちの生粋のハマっ子な筆者。

 これはハマっ子あるあるだと思うんですけど、初対面トーク定番の出身地の話では「神奈川」ではなくつい「横浜」と言ってしまいます。
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 それに対して、よく「横浜の人って横浜好きだよね」、「横浜出身に誇りを持っているよね」という反応をもらうのですが、それも多少はあるだろうけどじつはそうではなく。

 
単純な話、神奈川は広い。

 鎌倉も逗子も小田原も箱根も平塚も寒川も川崎も神奈川なので、結局、「神奈川のどこ?」と二度手間になるので、はじめから「横浜」と返すのがスムーズなのです――。

 2024年5月23日、そんな近未来の横浜を舞台にしたスマホアプリゲーム『18TRIP』(エイティーントリップ。通称、エイトリ)がリリースされました。
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『18TRIP』メインビジュアル。
 メインのバトルはタワーディフェンス風ミニゲーム。ジャンルは“近未来おもてなしアドベンチャー”です。……なんて!??
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これが近未来おもてなしアドベンチャーだ!
 「お客様で混雑している……そうだ! おもてなしだ!!」というスムーズな導入で“おもてなしバトル”が始まります。賑わう観光地で困っている、たくさんのお客様をおもてなしバトルでもてなすぞ!!

 そんな『エイトリ』は未来の横浜である“HAMA18区”が舞台。
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『エイトリ』世界のHAMA18区は、現実の横浜18区と連動しています。
 このHAMA18区は実在の横浜市の18区それぞれがモチーフになっており、各区には区長がいるらしい……と、リリース前の告知から、ハマっ子で栄区出身の筆者も期待していました。

 これはもしかして、
横浜市最マイナー区・栄区(栄区出身の筆者の感想です)が、脚光を浴びる日が来てしまうのでは……!?

まさか横浜市歌ネタが出てくるなんて

 主人公は近未来の横浜がモチーフのHAMAを盛り上げる、HAMAツアーズの主任として、一癖も二癖もあるキャラクターたちのサポートをしていきます。
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男主人公と女主人公を切り替え可能。キャラクターデザインもかわいいです。
 ★3でクリアーしたバトルをオート周回する機能があり、アプリを落としていてもオートで素材を集められます。フルボイスでラジオ的に聴き進めることができるのもうれしいし、ユーザーの時間を奪い過ぎない工夫、優しすぎる……!
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バックグラウンドで実行するオート周回機能。プレイヤーに対してすごく優しい。
 実際にプレイしてみるとゲーム内に見慣れた横浜の風景が流れますし、横浜で育った人はほぼ100%歌えるであろう横浜市歌の話題など、横浜あるあるネタがたくさんあってこれにはハマっ子もにっこり。
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6月2日の横浜開港祭に合わせた限定ボイスがあるゲーム何て『エイトリ』以外にないのでは。
 横浜ネタはほかにもいろいろ。0区長のペットは犬の“しゅうまい”。
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 そして、AP回復も食べ物のしゅうまいやしゅうまい弁当で行います。これはきっと、ハマっ子が愛する崎陽軒の“シウマイ”が元ネタですよね。シウマイ弁当、横浜周辺の企業に勤めていると会議めしの定番でもあります。

ストーリー読了後の感情は「全員おれが守る」

 そして何より、いちばんの注目ポイントはストーリーのおもしろさ!!!

 HAMAを観光特区として盛り上げるため、旅を通じてHAMAの魅力を伝えようと成長するキャラクターたちを間近に感じられたり、最初は衝突することもあった彼らと絆が深まったり。“旅を通じての成長”をリアルに感じられるようになっていて、プレイしていると旅に出たくなってしまいます……! 

 たとえば、CHAPTER002のストーリーのメインは、浜あすなろ高校に通う男子高校生で構成される昼班・Day2の5人。
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昼班・Day2の5人。
 主人公は大人。最初は年下の彼らにこっぴどく拒否られます。複雑な年頃だけに何を考えているのかわからなくて、“畏れ”すら抱きました。
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「十近く年が離れている大人を『仲間』と思える気がしない」(辛辣ゥ!!!)。
 このあたりのエピソードは主人公の立場に自分を重ねてしまい、読んでいて胃が痛くなりました。社長、私にはこの子たちをまとめるの無理だよ~~~~!! びっくりするくらい心閉じられているもん~~!! 主人公は器が広く、みんなのためにがんばれるいい人だから何とかなっているけど、自分が主任(主人公)だったらメンバーをまとめられないことに無力感を感じ、泣きながら辞表出してるかも……。

 こうした大人に対する反発、そして「自分は興味ない」と大人びてクールに振舞っている感じとかもすごくリアル!!!! 筆者の同級生にクールキャラの男子がいたんですけど、卒業後に同窓会とかで話したら「あれはキャラだった。いまはちょっと後悔している」と言っていました。これ、もしかしたら男子あるあるなのかも……。
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七基「すんませんけど興味ないんで。」。本当にここから主人公への印象がよくなることある??? とすごく心配になった。
 そんな感じで最初はめちゃくちゃ拒否されていてどうなるかと思ったし、なんとかみんなを集めるんだけど物語後半に差し掛かってもまとまる気配がなく、気持ちがすれ違っているので本当にこの先どうなるんだ!? とハラハラしっぱなしです。

 そんな感じでしっかり感情移入して楽しんだのですが、最後まで青春やそれぞれが抱えるモヤモヤ、大人でも子どもでもない微妙な年頃の人生のモラトリアムなどがたっぷり詰まっていて、読み終わった後は涙が止まりませんでした。

 まさか「コンビニで買ってきたオムライスに納豆かけてんの見て、そういう食べ方してもいいんだって……!」という文で泣かされると思わなかったもん。
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納豆オムはたぶんやらないけど泣いた。
 昼班は大人っぽい子もいるけどみんな16歳という年齢で社会的には子ども。ストーリーを進めて昼班と笑ったり泣いたりした結果、最終的な感想が「この先この子たちが待ち受ける、あらゆる苦しみから守ってあげたい……。」になりました。ちなみに、昼班のほかに朝班、夕班、夜班があり、読み進めるとこの子たち全員に同じ感情を向けるようになります。怖ろしい。

“横浜らしいエリア以外”への解像度も推せる

 横浜18区それぞれが出てくると知ってはじめに抱いた感想は「大丈夫??? 横浜らしいとこって中区とか西区とかに限られるけど、そんなに取り上げられるとこある????」でした。なので、逆に言うと“横浜らしいエリア以外”は元地元民でも全然知らないので、どう取り上げてくれるのかに期待もしていました。

 たとえば、CHAPTER004の夜班・L4mpsが担当する15区、16区、17区、18区。失礼ながら横浜らしい観光スポットがあるわけではなく、緑が多めで落ち着いた、都会のベッドタウンという側面が強いエリアです。
 
 0区長の可不可の演説では、集まった観衆に「大規模な商業施設がないこと、大規模な再開発投資がされていないことが、地域の魅力の無さにつながるでしょうか? 勿論、答えは
『否』です」と語りかけます。
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CHAPTER004、夜班のストーリーの0区長可不可の演説より。
 これは実際にそのエリアに行ったことがないと出てこない言葉なんですよね。演説を聞いて震えました。“横浜らしいエリア以外”への解像度、推せる……! そうなんです。そこで暮らす人間にとっては”横浜らしい横浜”だけが横浜じゃない。このあたりから『エイトリ』になら栄区を任せられるんじゃないかと思いはじめました(重い)。

 観光特区としてのHAMAはどうなるのか、キャラクターたちは区長としてしっかりHAMAを盛り上げられるのか……キャラの解像度が上がるたびに明らかになるいろいろな事実……メインストーリーを読むためのタップが止まりませんでした。

‟みんなが想像する横浜”じゃない方の横浜

 記事の冒頭でいきなり横浜出身という話をしましたが、栄区出身の筆者は「横浜出身」と伝えることに、ちょっと騙しているような気持ちもありました。

 だって自分の育ったエリアはみんなの想像する横浜とは全然違うし、そうしたみんなの想像する横浜に行くのには1時間弱かかるし、むしろ鎌倉の方が近いし……。

 『エイトリ』ではHAMA18区として、サイケな肉まんカフェの店主である夜半 子タろ(よわねたろ)が担当する横浜市栄区。
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彼がHAMA18区区長の夜半 子タろ。
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子タろの肉まんカフェ・cafe369。
 栄区は昭和61年の行政区再編成にともない、(旧)戸塚区の本郷地区と豊田地区を中心とする地域から新設された比較的新しい区です。鉄道の駅はというと……ひとつしかありません。JR根岸線 本郷台駅のみです。
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JR根岸線 本郷台駅前。
 横浜の中でも自然が多いエリアで、38.8%(令和元年時点)という市内2位の緑被率を誇ります。瀬上池や横浜自然観察の森といったホタルが生息するような豊かな森もたくさんあります。
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緑は多いです。
 ……ということを踏まえて、ここで『エイトリ』の18区の区長、夜半 子タろ(よわねたろ)のSSRカードをご覧ください。
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 うん! めちゃくちゃ森だね!! 

 『エイトリ』の恒常の区長SSRカードの背景は、各区に実在する景色がモチーフとなっています。たとえば、横浜中華街や赤レンガ倉庫など、観光資源がたくさんの中区にあたる・HAMA4区長の鹿 礼光(るー りーぐぁん)のカード背景は横浜中華街。
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 いいですね。横浜中華街は県外の人にもよく知られている横浜らしい光景のひとつで“ザ・横浜”って感じ。

 ショッピングモールがたくさんある都筑区にあたるHAMA11区長の畔川 幾成(あぜかわきなり)。
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 都筑区にあるモザイクモール港北だ! モザイクモール港北といえば、併設された大観覧車が特徴の商業施設。観覧車もばっちり写っています。
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 保土ヶ谷区にあたるHAMA5区長の五十竹(いそたけ)あく太。背景は“ハマのアメ横”とも呼ばれる横浜洪福寺松原商店街ですね。半熟玉子カレーパンは商店街のパン屋さんの人気メニューです。

 このように、横浜に土地勘があるとより楽しめるゲームになっているわけなんですけど、ここで改めて18区長の夜半 子タろのカードをどうぞ。
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 やっぱり森だ……。というか森以外の特徴がない……。一応、政令指定都市だぞ!!!

“自然”のイメージとしての栄区

 子タろのカード背景に写るのは自然ばかりで特徴的な景色がなく、場所の特定はできないわけですが、個人的には瀬上池じゃないかと推測しました。

 というのも、子タろは手に懐中電灯を持っており、これは
栄区民のホタルを見に行くときの定番スタイル。これはつまり、子タろは栄区にホタル観賞の途中なのでは……?
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ホタルを見に行く途中なのか????
 こうして、子タろに勝手に親しみが湧いたわけなんですけど、筆者も昔はホタル目当てに森に行きました。でもけっこう大きくなってからだな……日が落ちてからの森、怖いしひとりで近づくなと言われて育ったので(まさかそんな森が聖地になる可能性が……!?)。
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こちらは筆者がわりと「栄区らしいな」と思う光景です。
 例年初夏の6月頃にホタルが見られますが、ホタルが出現するのは真っ暗な森の奥。しかも時間は日がすっかり暮れた後の夜20時とか。最寄りの駅からも遠いし、帰りのバスも限られる……。土地勘がない人が軽率に行くのは危険かもしれません。栄区の森に聖地巡礼を考えている人は、服装や帰りの交通手段など、よく考えてお越しくださいね。

 あと、子タろ。ホタルは懐中電灯の光にびっくりしちゃうから、ホタルが光りだす頃には懐中電灯はオフね!(あくまでも想像だが……)。

地元民も知らない魅力に改めて気づかせてくれた『エイトリ』

 そんな自然いっぱいの栄区ですが、正直、そこで育った自分はこの街に観光資源はあまりないと思っていました。
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都心のベッドタウンという側面が強いエリアです。
 出身区だし、もちろん栄区のことは好きなんです。横浜市なのに自然が多くて、つねに視界に山が入ってくるところとか、街から森のにおいがするところとか。夜は静かすぎるくらいに静かなところとか。街中と森のところに鉄塔がいっぱいあるところとか……あれ、もしかして出身区、魅力が自然しかない……!?

 区の紹介リーフレットでも、栄区は「そこそこ都会、ほどよく田舎」が掲げられています(
栄区紹介リーフレット「横浜 さかえ」より)。
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暮らすうえでは好きなんですけど!!
 『エイトリ』のリリース前に、ふと気になって“栄区 観光”で検索したことがあります。

 そのときに検索エンジンがおすすめしてきた結果は、ラーメン屋(まだわかる)、スーパー銭湯(わかる……?)、栄区内のスーパーの駐車場(なんで駐車場)、金沢区の動物園(別の区だから論外)という結果でした。
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そのときの結果です。駐車場、どゆこと???
 なお、最近の検索結果は、あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)、田谷の洞窟、上郷森の家などになっていて安心したので、皆さん安心して栄区に来てください!!!
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『エイトリ』のARカメラ機能を使用した子タろ栄区ショット。キャラといっしょに記念写真を撮れます。というか、ぬいぐるみ好きたちの“ぬい撮り”に近い?
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『エイトリ』にはオタクの「こういうのが合ったら嬉しい」がたくさんある~!!
 あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)は本郷台駅近くにある、不思議な形をした市民プラザ&ホールです。学生時代には勉強しに行ったりしていました。
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 久しぶりに行ってみたら建物がかっこよくてびっくりしました。身近過ぎて魅力に気づいてなかったのかも。

 田谷の洞窟はほぼ大船(隣の鎌倉市)なんですけど、ろうそくを持って全長2kmの洞窟を歩く体験が楽しくておすすめです。
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 上郷森の家は、小学校のときに学校行事で行きました。横浜とは思えない自然の中でキャンプやグランピングができる施設です。

 そんな自然いっぱいな栄区ですが、本郷台駅から横浜までは30分弱。東京までは1時間弱で出られます。住んでいたときはさらにバス利用だったので不便だな~と思っていたのですが、あれ、やっぱり恵まれているのでは……?
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いたち川プロムナードは散策にぴったり。
 自然が多い、といっても整備がされており、川沿いのプロムナードなど散策を気軽に楽しめるような自然が多いです。住んでいたときは当たり前に享受していたけど、こういうありがたさにはなかなか気づかないのかもしれませんね。

‟じゃない方の横浜”の魅力を再確認できた

 横浜というとやはりみなとみらいや横浜駅周辺の栄えたイメージを抱くと思います。そうした赤レンガ倉庫もランドマークタワーもない“じゃない方の横浜”は、わざわざほかの人に魅力を伝えるような場所ではないと思っていました。実際に出身を聞かれた際、「横浜」とは答えるけど「栄区」と区の名前を挙げることはなかったわけですし……。
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横浜(栄区)の景色です。
 『エイトリ』というゲームを通して、ずっとマイナーな区だと思っていた出身地・栄区の魅力を再確認することができました。緑区とか瀬谷区とか、きっと同じくマイナーと言われる区出身の人たちも同じ気持ちを抱いているのではないでしょうか……。
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栄区いたち川マスコットのタッチーくんかわいいよ! みんな来てね!!
 いまは栄区にたくさんの人が来てほしいし、魅力も知ってほしい。栄区、最高! そして夜半 子タろはすっかり推しになりました。栄区の魅力を気づかせてくれてありがとう『エイトリ』……。
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