【漫画の裏側を語る!】『チェイサーゲーム』原作コラム 『デバッグルーム』シーズン2 第46回

半透明+物理計算で処理負荷は増大します

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 作中でも解説されていますが、やはり半透明処理と物理計算処理はゲーム内の処理負荷が明確に増大します。

 「え? いまのゲーム機って高性能でしょ? それぐらい簡単に処理できるんじゃないの?」

 わりとそういう意見や感想が出ることも多いですが、じつはここはゲーム開発者自身も気をつけなければならない落とし穴だったりするのです。

 確かに現代のゲーム機はどれも高性能です。

 昔のゲーム機と比べると格段に性能が上がっていますので、半透明だろうと物理計算だろうと全然動きますよ。

 ただね、それを過信してはいけないという話なんです。

 無駄は極力省く、そしていちばん大切なのは安定した処理負荷を保つこと。これに尽きるのです。

 「ゲーム機の性能も上がったからこれくらい大丈夫でしょ」とか考えてるとあっという間に負荷が重なって処理落ちしてしまいます。

※処理落ちというのはゲーム内の処理が追い付かずに画面全体が遅くなったりするアレのことです。

 新しいゲーム機が登場するたびに開発者は「これでもう処理負荷に悩まされることはなくなるんだー、よかったー」と思ったりもするのですが、そうやって楽になったことは一度もありません。

 結局のところ色んなものの積み重ねと掛け合わせでゲームソフトはできていますので。本当にあっという間にメモリも使い果たしてしまいますし、処理負荷も増大してしまいますので。

 絶対に油断は禁物ですし、無駄は省いて、処理負荷は安定させる、ということはつねに意識していかなければならないのです。

通常時は非表示にするのはかなり有効な手段

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 作中で新沢が提案しているように、通常時は非表示にして必殺技などの演出やカットシーンの時にだけ羽衣を表示するという手段はかなり有効な方法です。

 もちろん演出時でもちゃんと処理負荷を安定させて表示することがマストではあるのですが、これはかなりやりやすくなります。

 演出時は他の処理が動いていなくて、言うなればリアルタイム映像を再生しているだけなので処理負荷は安定しやすいんです。

 脚本家とはいえ、ベテランの人間にとってはこういう問題に何度も直面しながらそれを(アイデアによって)回避してきているので、経験に基づいた閃きがあったりするのです。

 そして、これも作中で言及されていますが、アニメ作画においても線を一本でも少なくするという考え方は非常に大事なのです。

 キャラクターデザインはそういう洗練された必要な一本の線でのみ作られるべきなんです。作画をするのはひとりではありません。

 多くの人間が作画をするのでそのコストと安定について考えることも大切です。

絵コンテ打ち合わせの苦悩は次回

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 先に言ってしまいますが、絵コンテの打ち合わせの模様に関しては次回のエピソード内で描かれます。

 私自身もこれまでに何度もアニメ業界の方々と絵コンテの打ち合わせをやったことがありますが、本当にこれがうまくいくときといかないときの差があって毎度苦労しています。

 パパっと終わる時もあればどれだけやっても終わらないときもあるということ。

 まぁ、詳しくは次回ということで。

 蓮実の苦悩はまだまだ続くようです。

松島先生の次回予告カット

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 横浜に旅立つ西川さん。ワンセットホールディングスからの連絡ということで荒れそうな雰囲気ですね。

 一方、蓮実の苦悩も続くということで、どちらの今後も目が離せません。次回マンガ『チェイサーゲーム』は2025年4月14日(月)に掲載予定です。