
新たな市場が誕生する転機となったアルバム
『ビデオ・ゲーム・ミュージック』は、アルファレコード(当時)から発売された日本で初めてのゲームミュージックのサウンドトラック。“Y.M.O.”ことイエロー・マジック・オーケストラの細野晴臣氏がプロデュースを務めたことで知られるアルバムだ。
聞いたところによれば、ファミ通を生み出した雑誌『ログイン』の企画で細野晴臣氏と『ゼビウス』の生みの親である遠藤雅伸氏が対談。意気投合した結果、本アルバムがリリースされる結果になったのだとか。
当初はレコードとカセットテープでのみの発売だったが、後にCD化もされている。ゲームミュージックというものがほぼ認知されていない時代にも関わらず、オリコンLPチャートで最高19位を記録しているのだから、大健闘だったのではないだろうか。
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ゲームのプレイ中に聴くだけだった音楽が、サウンドトラック化されていつでも楽しむことが可能になったのはゲーム史あるいはゲームミュージック史においても大きな転換点だったに違いない。現在ではしっかりとゲームのサウンドトラック市場が形成されているし、筆者も含めてゲームミュージックファンも非常に多い。
強く印象に残っているのはジャケットのビジュアル。当時を知る人であれば、見るといまでもすぐに思い出せる人が多いんじゃないかな。ジャケットにはネクタイをした人物が描かれているのだが、その顔は『ゼビウス』に登場する埠頭の画像に口を描いたものだったのでなかなかのインパクト。これをモチーフにした被り物をした人物が1984年ごろ、ナムコのファミコンゲームのCMで細野晴臣氏と共演していたので、そちらを覚えている人もいるかもしれない。
アルバムに収録されていたのは下記のタイトル
『ゼビウス』
『ボスコニアン』
『パックマン』
『フォゾン』
『マッピー』
『リブルラブル』
『ポールポジション』
『ニューラリーX』
『ディグダグ』
『ギャラガ』
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ナムコのアーケードゲームの代表作ばかりですさまじいラインアップとなっていた。『ゼビウス』などは特定のフレーズをくり返すBGMだったが、効果音をうまくリミックスしていておもしろい。ザッパーやブラスター、バキュラに攻撃が跳ね返される音など、さまざまな効果音を利用してアレンジしていた。
本件とは直接関係ないが、ゲームミュージックの初めてつながりの話題をひとつ。ちょうど1年ほど前の2023年4月のニュースになるのだが、『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMがゲームミュージックとして初めてアメリカ議会図書館に収蔵されて話題になっていた。特別なことなので、何だかうれしくなったのを思い出す。