
このキャッチコピーを聞いたことがある人は多いだろう。筆者と同じ30~40代の方はとくに。同キャッチコピーが使われた名作『MOTHER2 ギーグの逆襲』が、1994年8月27日の発売から今年で30周年を迎える。
さまざまな30周年企画が実施される中、さる2024年6月22日(土)には、30周年記念ライブ“MOTHERのおんがく。”の配信が実施された。
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そんな『MOTHER』シリーズのライブが開催されるとあって、いてもたってもいられなくなり、配信のレポートをお届けしていこうと思う。
なお、アーカイブが見られる配信チケットは7月7日(日)18時まで販売中(視聴期限は同日23時59分)。いまならまだ間に合うので、この記事で配信を知った方や興味を持った方はすぐに配信ページへ行って、ネタバレになる前にこの最高の時間を堪能してほしい。
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カオスさが心地よく楽しい『MOTHER』のDJプレイ
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『MOTHER2』のBGMはいい意味で統一性がなく、続けて聴くことでカオスさが際立ち、それがまた楽しい。大人になったいま改めて思うが、子ども(ネス)の目には世界のこんなにも多種多様な姿が映っていたのかなと思い、違った視点から音楽を楽しむこともできた。
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いかにして『MOTHER』のおんがくは作られたのか
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『MOTHER』についてはいろいろなところで話す機会の多いメンバーだが、意外にも3人でのクロストークは珍しいらしく、あったとしてもほぼ日に掲載されているインタビューくらいだそう。
それに加え、シリーズの曲をイベントとして人前で披露することも珍しく、「聞きたいという人がいるだけでもうれしい」と、鈴木さんは視聴者に感謝を伝える。
開発当時はいまほどゲームミュージックが注目されていない時代で、「音楽アルバムに入っているような曲のゲームを作りたかった」と糸井さん。音の数もいまのように多くは使えない時代だが、それゆえにいろいろな工夫がなされ、「いまは逆にできることが多すぎるからたいへんかも」と笑いを誘った。
また、田中さんからは「夜中の2時ぐらいにへろへろになって帰ってきた糸井さんが、事務所でキーボードをへろへろ弾いてるのを聴いて、ギーグのBGMに活かした」と裏話も飛び出した。「それをおもしろいと思って使える感性がすごい」と鈴木さんが驚く気持ちもわかる。
ほかにも『MOTHER』の曲はどこか悲しさがベースであるといった話や、「大人が本気で子どもになって作ったのがよかったんじゃないか」のような鋭い視点など、”『MOTHER』のおんがく”の一端に触れられる濃いトークは必聴だ。
トーク後半には『MOTHER3』の楽曲を作った酒井省吾さんも登場。田中さんから外には出せない秘密のデータをたくさんもらったことや、『MOTHER2』とは制作環境が変わった話など、話題は尽きない。
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流れた映像は、『UNDERTALE』でおなじみのトビー・フォックスさんからのビデオメッセージだった。その内容は、『MOTHER』のおんがくがいかにみんなを楽しませているか。そして『MOTHER』のおんがくはゲームミュージック史に残るものだが、今日のライブも、それを楽しんでいるみんなもまた歴史に残るだろうというもの。ファンも含めて祝福するような温もりが感じられた。
生バンド、生歌で『MOTHER』のおんがくを味わう至高の時間
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そのまま続いて『MOTHER』シリーズの曲といえば思い浮かべる人がいちばん多いであろう“EIGHT MELODIES”、そして“SMILES AND TEARS”へと続く。シンセサイザーとトロンボーンだけの2音というシンプルな構成だったが、イントロが始まっただけで思わず目が潤んでしまったのは筆者だけではないだろう。それほど条件反射的に記憶が呼び戻される曲なのだ。
MCを挟み、3曲目は一転してシリーズの中でもトップクラスに不思議な場所であり独特の雰囲気を持つ“MAGICANT”へ。第1部のところでも触れたが、この楽曲の幅広さ、混沌さはやはり『MOTHER』の持つ音楽の魅力のひとつだと改めて感じる。
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そしてマジカントに登場する不思議ないきもの“FLYING MAN”のBGMへ移る。ゲーム中のBGMとして聞くと“MAGICANT”同様に不思議なイメージの曲だが、ボーカルが付くと印象が一転。スタイリッシュでカッコよく聴こえてくる。南国でバカンスを楽しむときに聴きたい。
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楽曲としても不安定さもそうだが、これを生演奏できる技術に驚きを感じる。楽曲の最後ではノイズに紛れながら、ほんのりと聞こえてくる“EIGHT MELODIES”。絶望の中から浮かび上がってくる希望のような演出は鳥肌ものだ。
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しかしサプライズはまだまだ終わらない。配信チケットを早めに買った人には『MOTHER2』プレイ開始時のごとく名前を聞かれる事前アンケートが行われていたのだが、ライブのスタッフロールとして、アンケート回答者の名前がズラリと並んでいたのだ。じつに10分近くも紹介は続き、いかに『MOTHER』のおんがくが、そして『MOTHER』というゲームが愛されているのかが伝わるラストとなった。
名曲は色褪せないとよく言われるが、ファミコンやスーパーファミコン時代の楽曲、それこそ30年以上も昔の曲たちにこれだけ心を動かされる、”MOTHERのおんがく”は最高だと間違いなく言えるライブであった。
冒頭のくり返しとなるが、アーカイブが見られる配信チケットが7月7日(日)18時まで販売中だ。大半が思い出語りみたいなレポートを最後まで読んでくださった方で、まだライブ未視聴ならば後悔はさせない。いますぐ配信ページへ飛んでいただきたい。筆者はこころをこめて いのった!
撮影:武井義明(ほぼ日)
セットリスト
- プロローグ PROLOGUE
- POLLYANNA (I BELIEVE IN YOU)
- EIGHT MELODIES ~ SMILES AND TEARS
- MAGICANT
- WISDOM OF THE WORLD
- THE PARADISE LINE
- FLYING MAN
- スリークのテーマ THREEK
- GYIYG
- EIGHT MELODIES
- (アンコール)SMILE AND TEARS
ライブ概要
2024年6月22日(土)20:00開演
出演者(敬称略)
第2部:糸井重里・鈴木慶一・田中宏和 「『MOTHER』のおんがくトーク」
第3部:鈴木慶一 &TONZURA MOTHER BAND「THE MUSIC OF MOTHER」
・TONZURA MOTHER BAND
鈴木慶一(ギター、ヴォーカル)
澤部渡(ギター、コーラス、ヴォーカル)
佐藤優介(キーボード、ヴォーカル)
ゴンドウトモヒコ(マニピュレーター、ホーン)
ダニエル・クオン(ヴォーカル)
坂本美雨(ヴォーカル)