にじGTAを主催し、“神”として活躍した叶さんと星川サラさん。
にじサントスとは、『GTAオンライン』のカスタムサーバーで実施された企画“にじさんじGTA(にじGTA)”の舞台となった街の名前です。バーチャルライバーグループ・にじさんじに所属する100人以上がにじサントスに集まり、2024年6月15日から25日まで10日間限定の生活を謳歌。その様子はそれぞれに配信され、毎日のようにXのトレンド入りするほどの賑わいを見せました。
そんな夢のような時間が過ぎ去り、およそ5ヵ月。筆者の心はいまでもにじサントスに囚われたままです。
絶え間なく生まれる“にじサントス”の物語
大人気だった狂蘭メロコさんの“メロクミ”。
にじGTAは“ストグラ”のサポートを受けて運営されました。ストグラは“ストリートグラフィティロールプレイ”の略。舞台となる街に多数のストリーマーたちがアクセスして住人としてロールプレイ。その様子を配信するという企画です。視聴者は神のような視点でその暮らしぶりを見守ります。
にじGTAでは、ライバーたちはにじサントスで仕事をし、交流し、食事をし、ときには事件が発生。毎日いたるところでドラマが生まれ続けました。目まぐるしく状況が変わる目が離せない展開に、期間中は夢中になりすぎて生活にも支障が出ました。
たとえば、ゲーム内の参加者の運転が荒すぎて、街中で暴走車両に遭遇するんじゃないかと身構えてしまったり……。
“デスドライブ”と恐れられた魁星さん。車は、空を飛ぶもの……。
また、街中に留められたバイクや車を拝借できるような気がしてしまったり(『GTA』ではNPCから車などを奪え……借りられます)しました。
“神殺し”を企画した卯月コウさん。泣いた。
10日間という限られた時間の中で、ライバーたちは警察官やギャング、飲食店経営など、ふだんとは違うロールを演じます。
警察隊で起きたヘリ墜落事故(たいへんそうなのにごめん笑った)。
街では事件が多発し、ギャングと警察隊が対立するなど、張り詰めた空気が漂う一方で、日常的な光景も多く見られました。
最終日の手に汗握るパシフィック銀行強盗。
それなのに、何も起こらないときも十分おもしろい。朝礼で情報共有するメカニックたちや仕事終わりにラーメンを食べに行くといったシーンからは、すごく“生活”のにおいがするのです。
“ゲーム配信を見ている”という事実を越えて、本当に誰かの人生を覗き見ているような感覚を覚えました。
にじサントスのラーメン屋“めんや加賀美”にラーメンを食べにくる常連イブラヒムさん。
リスナーは全体を俯瞰する“神の視点”でそれぞれの物語を観察でき、これこそまさに人生リアリティショー。視点を変えれば新たな物語に出会えます。別の視点で気になったライバーの視点も追いやすく、それだけでもまた新しい発見があるのです。
どこまでもバイクで駆けつける、頼りになるおまわりさん神田笑一さん(奥のふたりはスケボーチェイス中)。
特定の年齢層以下の人には伝わらない話で恐縮ですが、かつて日本テレビ系列で放送されていた“進ぬ!電波少年”の“電波少年的懸賞生活”を思い出しました。それほどに、にじGTAには衝撃を受けました。みんないい意味で人間くさすぎる……!
合コンで無双する謎の宇宙人・パープルメン。
しかも、にじGTAのようなコンテンツが怖ろしいのは、全員ライバーだということ。そんな視点が100以上あるし、それぞれの動画もひとりの視点で何十時間もあったりするんです……。
足りない……自分は神さまではないから、人の人生を観測するのに自分の時間が全然足りないのです。逆に言うと、このにじGTAというコンテンツだけでこれから一生楽しめる可能性があります。怖い!!
限定期間が生み出す“儚さ”
そしてこの“10日間限定”というのがまたエモいのです。始まった時点で、その時間が経てば終了することが決まっていました。
イベント内の人間関係はリアルには引き継がれないため、そこで生まれた物語は一時的なものです。にじサントスのクラブではさまざまな人間模様が生まれましたが、それもここだけのもの。中にはもちろん恋愛模様も含まれます。
リスナーや神も熱狂した“ライにゃん”。キャバ嬢にゃんにゃんと青年ライの関係は、にじGTAのメインコンテンツとも言われました。
ホストと新米医師の“はるダク”。
ここで紹介したのはほんの一部。ほかにもいろいろな恋愛模様のロールプレイがありました。きっとまだ自分の知らない関係があるんじゃないかな……。
公式切り抜きで色恋沙汰って書くの、ちょっとどうかしてておもしろい。
にじサントスの物語は期間内でいったん幕を下ろしました。ですが、そこで生まれた絆は、まったく同じ形というわけではないものの、しっかり引き継がれています。
CLUB.3(ギャング)の元半グレ新人組で行われたゲーム配信。
あの頃の人間関係を懐かしむメンバーが、その後もいっしょにゲーム配信をしてくれるなど、リスナーにとってもうれしい出来事があります(こちらの動画以外にもいろいろ上がっています)。にじサントスでの関係はあの場所に限られていますが、そこで築かれた絆はいまも色褪せないのです。……なんてエモいんだ……。
魅力的なライバーたちとの出会い
銀行強盗を起こし、集まってきた警察車両を爆破するミラン・ケストレルさん。
にじGTAを通じて、それまで見たことのなかったライバーの新たな魅力を知った人も多いのではないでしょうか。
救急隊のマスコット(?)もちもちのアモアス衣装でスケボーに挑戦中。かわいい。
じつは筆者、箱(プロダクションやグループの意)内で行われる好きなゲームの大会観戦などはしていましたが、それまでVTuberの配信自体しっかり見たことはありませんでした。VTuberはリアルタイムでのライブ配信を行うことが多く、だからこそアーカイブも長くなりがち。とっつきづらい印象を持っていたというのが正直なところです。
この記事で書いた内容は、長くウォッチしているファンからすると当たり前のことかもしれません。ですが、筆者にはその“当たり前”がとても愛おしく思えたのです。ここから生活に変化が見られました。
4人で手を拘束して逃走企画でクリアを目指す“変態声真似集団”の皆さん。
にじGTAを通じて長時間ライブ配信の楽しみ方がわかり、いろんなライバーを知ることができ、推しもできてメンバーシップに入り、いまに至ります。いまアクリルスタンドが家に9人います。怖いよ!!!! でも毎日楽しいです。ありがとうにじGTA……。
キャラクリと虹色に輝く“確変パトカー”が個性的な赤城ウェンさん。
VTuberをはじめ、ストリーマーの皆さんは長時間配信がふつう。毎日のように動画が上がるけど、だからといって必ずしも全部追う必要はないし、追いきれなくても適宜切り抜き動画を見てから元動画もチェックして。無理のない範囲で楽しく視聴できることに気が付けたのは収穫でした。
いま、ちょうどにじさんじ公式切り抜きチャンネルにいろいろな視点での名場面をまとめた動画が上がっています!
切り抜きを見て気になるライバーがいたらぜひその人の視点も見てみてください。いまからでも遅くないので、にじサントスで暮らす誰かの人生を観測してみてはいかがでしょうか。そして囚われよう。
突然爆発するラボ。笑いました。