2025年にプレイステーション5にて発売予定の、オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー『Ghost of Yōtei』(ゴースト・オブ・ヨウテイ)。本作はサッカーパンチプロダクションズ開発による、『Ghost of Tsushima』(ゴースト・オブ・ツシマ)の次回作だ。
2025年4月23日には最新トレーラーが公開され、発売日が2025年10月2日に決定したことが明らかになった。本稿では、トレーラーで明らかになったことを踏まえて、サッカーパンチプロダクションズの開発陣にインタビューを実施。トレーラーで描かれていたことや、本作がどのようなタイトルになっているのかを詳しくお聞きした。
ネイト・フォックス 氏
サッカーパンチ・プロダクションズ クリエイティブ・ディレクター。(文中はネイト)
ジェイソン・コーネル 氏
サッカーパンチ・プロダクションズ アート/クリエイティブ・ディレクター。(文中はジェイソン)
蝦夷地で描かれる、篤の復讐劇
――前作である『Ghost of Tsushima』では、“武士の誉れ”をテーマに、主人公・仁の物語が語られていきました。本作『Ghost of Yōtei』では、どのようなことをテーマにしているのでしょうか?
ネイト
本作の大きなテーマは“復讐”です。主人公の篤(あつ)は幼少期に大きなトラウマを抱えてしまうことになり、その復讐のための仇討ちの旅に出ます。復讐に燃える篤ですが、ただ仇討ちをするだけではなく、物語を通してそのトラウマを乗り越えていきます。
――篤の仇討ちの相手とは、誰になるのでしょうか。
ジェイソン
トレーラーの中でも名前を挙げているのが、“羊蹄六人衆”という集団です。篤は羊蹄六人衆に恨みを持っています。彼女は羊蹄六人衆を全員斬るために、復讐の旅を始めます。生まれ故郷でもあり、トラウマを抱える原因となった地に戻った篤は、失ったものひとつひとつを噛みしめながら、復讐することが使命と感じるようになります。
――トレーラーで帯のようなものに書かれていた“蜘蛛”や“狐”などのワードは、羊蹄六人衆ひとりひとりの名前なんですね。
ネイト
そうです。あの帯が、篤のいわゆる仇討ちリストになります。羊蹄六人衆には野党などの部下もたくさんいます。彼女はそれらの無法者たちに勇敢に立ち向かっていく中で、次第に噂として“怨霊”だと広まっていきます。
ジェイソン
帯は彼女にとって非常に大事なもので、どの服装に変更してもあの帯が付いています。服装については、また続報をお待ちください。
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――今回は舞台が1603年の蝦夷地(現在の北海道にあたる地)の羊蹄山周辺が舞台となっていますが、なぜ蝦夷地を舞台にしたのでしょうか?
ジェイソン
蝦夷地に着目したのは、まず自然がとても美しい雄大な大地が広がっていて、それでいて野性的な面も持ち合わせている点でした。そして、当時の江戸幕府から見ると、辺境に位置している立地だったのが、思い描いていた物語を語るのに最適な環境でした。
本作の蝦夷地は何かしらの思惑を持って本州から移動してきた人々のほか、すでに現地に住んでいた人たちなど、さまざまな背景を持つ住民がいます。まだまだ治安も整っていない無法な環境と、大自然の美しさに危険が潜む環境を、両立する舞台にしたかったのです。
ちなみに蝦夷地の歴史として、江戸~明治時代で多くの人々が本州から移動していきましたが、歴史的には1602年の時点では、入植者がそこまで多かったわけではないことは理解しています。あくまで本作の設定として取り入れています。
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――現地の住民たち、というところでトレーラーではアイヌ民族らしき人物も登場しました。近年ではマンガ『ゴールデンカムイ』が思い浮かぶ方々も多いのかな、と個人的には感じましたが、アイヌ民族も登場するのでしょうか。
ネイト
アイヌ民族、アイヌ文化などを含む当時の表現については、さまざまなアドバイザーの協力をいただいています。また、前作同様に日本人的な文化についても考証を深めながら本作に取り入れています。
ジェイソン
アイヌ文化についても北海道に取材へ行きましたし、アイヌ文化に詳しい方々に博物館や民芸品などを紹介していただきまして、本作の世界観に落とし込んでいます。ちなみに、いっしょに山に向かい、山菜採りの経験も積ませていただきました。
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――日本人としては蝦夷地(北海道)が舞台となると、雪のイメージが先行してしまう印象があります。トレーラーにも雪の中で戦ったりするシーンはありましたが、前作同様に四季折々の本作ならではの環境を表現しているのでしょうか。
ジェイソン
前作も対馬の島全体で、物語に応じて季節が変わるというよりも、全体で四季を感じられるような景色が登場しましたよね。本作でも同じように、さまざまな四季を感じさせるような、さまざまな自然環境を用意しています。
花が咲き誇り夏っぽさが感じられる場所や、春らしさが感じられるエリアもあるでしょう。そして、やはり蝦夷地の厳しい寒さを感じさせるような雪原も登場します。
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――トレーラーでは、仲間のような狼も登場していましたが、あれはどんな存在なのでしょうか。
ネイト
物語の中で、女武芸者である篤は、物語を通してさまざまな人物と出会っていきます。その人物たちからは何かを教えてもらったり、助けてもらうこともあるでしょう。そのなかには、狼との出会いもあります。それらの出会いを経て、篤が心身ともに強くなっていくのです。
篤は、最初は一匹狼のような存在なのですが、人々との出会いで少しずつ心に変化が起きていくのです。また、新たな武器を得たり、新しい戦法を教えてもらうこともあるでしょう。
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――前作では、主人公・境井仁の、武士道を貫き正々堂々と戦うのか、それとも誉れを捨てるのか、といった葛藤を描いていましたよね。今回の主人公・篤は復讐に燃えていますから、最初から何がなんでも立ち向かう敵を斬るような戦いかたするのでしょうか。
ネイト
そういう意味では、今回は逆になるのかもしれません。最初は復讐に燃えているので、絶対に羊蹄六人衆を斬ることを目標にしていますが、人々との出会いを経て、少しずつ復讐とはまた別の生きがいがあることを、篤は知っていきます。
――前作は基本は刀1本で戦い、構えによってバトルスタイルを変更していました。前回のトレーラーにもありましたが、今回は槍や二刀流など、さまざまな近接武器が使用できるようですね。
ネイト
刀に加えて、大太刀、鎖鎌、二刀、そして槍が使用できます。ただ、やはり刀が基本のスタイルであり、我々としてもいちばん大事な武器だと考えています。そのうえで、物語の中で新たな武器の使いかたを、さまざまな先生や師匠に教わりながら強くなっていきます。
――前作では蒙古兵が使用していた武器を、暗具として利用していました。本作にはおそらく蒙古兵は登場しないと思いますが、暗具のようなものも使用できるのでしょうか?
ネイト
今回も近接武器だけでなく、弓や、投げて攻撃する武器もあります。また篤は、いわゆる武士・侍ではないので、武士の誉れを重んじているわけではありません。そのため、その場にあるものならば何でも利用して戦います。篤は、たとえば敵を倒したあと、敵が落とした武器をほかの敵に投げつけることもできるんです。
――敵が落とした刀を、そのままその場限りの投擲武器にしてしまうような?
ネイト
そうです。ただ、一部の武器に限ります。すべての敵や武器が対象ではなく、扱えるものならば扱う、といった感じです。
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――戦闘面はより進化していることが感じられますが、そのほかのゲーム要素はどのように進化しているのでしょうか?
ジェイソン
オープンワールドの冒険を体験する点では、我々が作ったオープンワールドゲーム史上、いちばんの自由度と、広大なマップを用意しています。プレイヤーが自由に旅をしながらも、羊蹄六人衆に挑んでいけるようになっています。ゲーム側からそれを指示するのではなく、プレイヤーが自分で羊蹄六人衆の居場所を探しながら、仇討ちに挑めるようなデザインにしています。
ネイト
前作同様に、日本の時代劇に強い影響を受けています。精密な剣士の動作などに焦点を当てながらも、本作は先生や師匠たちに武芸を教わり、より美しく無駄のない動きで戦いかたを学んでいくことにも焦点を当てています。いちから“武道を学ぶ”という体験も、本作で表現したかった要素です。
――トレーラーの中では、篤が三味線を背負っていましたよね。前作では尺八を吹くことができましたが、直接的には重要なアイテムではありませんでした。三味線はどういう存在なのでしょうか?
ジェイソン
三味線は非常に美しい音色を奏でられる楽器で、とても気に入っています。ゲームのBGMにも使用していますね。仁は尺八を吹いていましたが、各キャラクターにトレードーマークとなる楽器を持たせようと思ったんです。
篤にとって三味線はとても重要なもので、彼女が背負っている三味線は母親が使用していたものなんです。母の使っていた三味線とともに旅をすることが、彼女の原動力のひとつにもなっているのです。
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――前作では、あくまで時代劇として物語を描いていましたよね。ただ、その根幹には蒙古が対馬に襲来した“元寇”という、歴史にあった出来事がベースになっていました。本作の物語は、歴史的にあった事件や事象をもとにしているのではなく、おそらく完全オリジナルの物語ですよね。どのような着想を得て、物語を構築したのでしょうか?
ジェイソン
まずは、とにかく雄大で自然豊かな、北海道の景色に圧倒されたことでした。実際に見た羊蹄山はとても美しく、そしてとても大きく、感動しました。この景色を、ぜひゲームで再現して、世界中の人々にも見てほしいと思ったところから、インスピレーションを得ました。
ちなみに、北海道の松前城(福山城とも呼ばれる)にも実際に訪れました。ちょうど桜の咲く季節に訪れたこともあって、とても美しかったことを覚えています。
ネイト
本作の物語は前作同様に、あくまで我々が創造する、オリジナルのフィクションになります。その中で、蝦夷地の雄大な大自然に潜む危険、江戸初期の現地の混乱や混沌、日本の文化など、さまざまな要素を組み合わせつつも、日本の時代劇と西部劇の融合を図ったのが、本作のコンセプトとなります。
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こちらの2枚はコンセプトアート。多様な地形や景観を楽しめそうだ。