同イベントにて、設立されたばかりのUZZ(うず)による『愛よさらば』の試遊台が出展されていた。UZZは、『ロリポップチェーンソー』、『王様物語』、『シャドウオブザダムド』、『BLACK BIRD』、『勇者ヤマダくん』、『RULE OF ROSE』、そして最近では、集英社ゲームズから発売された『ハテナの塔 -The Tower of Children-』を手掛けてきたゲームデザイナーの池田トム氏が2025年に立ち上げたゲームスタジオ。『愛よさらば』は、同社の初タイトルにあたる。
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『愛よさらば』は、“AI”דお絵描き”דノベル”という3つの要素をあわせもった一作。
本作の舞台となるのは100年後の未来。その未来では絵を描くことが禁止されており、AIが世界を平和に統治している。そんな世界に反旗を翻すべく立ち上がるというのがストーリーの骨子だ。反逆の手段は“絵を描く”ということ。そしてAIに反逆するのがAIという点もユニークだ。
本作では最初に8人の絵師からひとりを選び、それぞれ個別のストーリーを進めることになる。絵師によって難易度設定があるようだ。デモ版で選べたのは3人の絵師で、記者が選んだのは“謎のロボット絵師”。“どのように作られ、何をする気なのか、謎に包まれたミステリアスなロボット”だという。絵師ごとに、描きかたも異なっていて、今回記者が選んだロボットはレーザーだが、筆になっている絵師などもいるという。
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プレイヤーは、出されたお題にしたがって自由に絵を描き、“絵ゴコロ”が評価。一定の点数を超えると先に進めるという仕組みだ。まず出題されたのが“犬を書いてください”というもの。
「犬か!」と思わずのけぞる記者。誘われるままにゲームをプレイし始めた記者だったが、そういえば絵を描くという行為はどれくらいぶりであったか……。とりあえず「こんな感じだったかしら?」と描いた絵は、それはそれはつたないもので……。ところが意外なことに採点されてみると85点と基準をクリアー。「絵のうまい下手を見ているだけではないんです」とは、ゲームの紹介をしてくれた池田トム氏で、採点には独自の基準がある模様。
そんな難問をなんとか突破すると、最後のお題として出されたのが、“自由なロボットを描いてください”というもの。ロボット! 「ロボットなんて、さらに久しく描いてないなあ……。しかも自由な?」と悩んだ記者は、脊髄反射のままにペンをさらさらと走らせる。「これがロボットだと言えるのだろうか」とも思いつつ、胸に“free”とも書いてみたものの、結果は基準点に足りずにもう一度やり直すことに。
リベンジ、とばかりに取り組んだ絵は、そこはかとなく昭和を思わせるテイストで、そんなところが評価された(?)のか、なんとか基準点をクリアー。そこでデモは終了となった。
独自の“絵ゴコロ”判定AIに自信
池田トム氏(いけだとむ)
UZZ ゲームデザイナー
AIが台頭してきたことで少しずつ仕事が奪われたりとか、時代が少しずつ変化してきたというのは、現場でゲーム作りをしてきて感じていたことでもありました。この先どうなるのかなと考えたのが、本作のきっかけです。
――いつころからそのような考えが?
――おもしろい発想ですね。なぜ絵が禁止になるのですか?
そんな中で革命を起こそうとしてAIが立ち上がります。「AIに勝つぞ」「自由を勝ち取るぞ」と。タイトルの『愛よさらば』には、AIもかけられていますね。
――愛(ai)ですね!
本作はけっこうスペクタクルな内容で、お話は過去の世界、未来の世界と、とても飛んでいきます。なぜかと言いますと、AIというのはディープラーニングしています。いろいろな知識の総合がAIなのです。縄文時代から始まり、いろいろな時代やいろいろな世界観がありまして、絵を描く象などもでてくるのですが、いろいろな絵師が出てきます。いろいろな絵師の話がキーとなって、未来のAIに影響を与えるというスペクタクルな内容です。
ですので、ゲームの内容も、いろいろな時代のいろいろな絵師のストーリーが発生します。
――まさにAIを駆使しているということですね(笑)。
――開発の進捗状況はどうなっていますか?
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――どうやってシステムを構築したのか気になるところですね。
一方で、それがすべてというわけではなくて、たとえば子どもが描いた絵とかも、すごくいい点数が出たりします。僕の娘が描いた絵は100ゴコロ取りましたね。今村孝矢さんの絵も100ゴコロでした。
――独自の判断基準がありそうですね。
僕らとしては、いろいろな判定基準を入れています。「こういうものがいいですよ」というのを、“いいね”を押しているだけですね。
――おもしろいですね。
だから、変なものをいっぱい作ってやろうと思っています。