
ポーランドのBloober Teamがホラーゲーム『サイレントヒル 2』(リメイク版)を世界に届けるまでの軌跡
【主なセッション】
- 『Dying Light』10周年記念(10 years of Dying Light, discussion)
- アジアにおけるスラブ中世ゲーム(Slavic medieval game in Asia, discussion)
- This War of Mine、Frostpunk、Altersの日本での活動(This War of Mine, Frostpunk and Alters in Japan, discussion)


Bloober Teamの起源と初期の挑戦。『Layers of Fear』で手ごたえを感じた瞬間

「当初は完全なゲームを作る予定ではなく、単にホラーゲームの作り方を学ぶための簡単なプロジェクトでした。なぜなら、我々はそれまでホラーゲームを作ったことがなかったからです」
『Layers of Fear』はプロトタイプの時点で、環境が変化する廊下のシーンといったユニークな要素が生まれ、特別なゲームになる手ごたえを感じたそうです。そこで、もっと深いバックストーリーを考えていくなかで画家というアイデアが生まれたとのこと。
その際は、『ドリアン・グレイの肖像』といった有名な物語からもインスピレーションを得たそうです。
『Layers of Fear』で行った制作方針は、後のスタジオの成功につながる第一歩となっていきました。
『Observer』から『The Medium』へ。最高の人材を複数のプロジェクトに分散させることへの課題とメリット


ただ、それぞれのプロジェクトで異なるアプローチを試みることで、様々な視点から開発技術を磨くことができたのは大きなメリットになったそうです。
Bloober Teamならではの独自性とは?
『Observer』でも見られたように、自分たちの身近な環境やポーランドスタイルの森林を創造的に活用することで、より深みのある世界観を構築していったそうです。
また、セッションではBloober Teamがホラーゲームに取り入れている映画的要素についても話題が及びました。
Lenartさんによると、多くの映画業界の人々と出会うなか、ホラーゲームは映画とは完全に異なるものを作りたいと考えるようになり、ポーランド映画だけでなく、世界的に見ても珍しい詩的な表現を取り入れていったとのこと。
その結果、『Observer』のようにサイバーパンクとポーランドホラーを融合させたような特殊な魅力を持つ世界観・シナリオができていったそうです。
Bloober Teamには『ブレードランナー』の大ファンが多く、特にロイ・バッティというキャラクターに影響を受けたとのこと。
そのため、『Observer: System Redux』のメインキャラクターの役者を探す際、最初に思い浮かんだのはキアヌ・リーブスやハリソン・フォードではなく、ロイ・バッティを演じたルトガー・ハウアーだったそうです。
Lenartさんは、Bloober Teamならではの特徴について、こう語りました。
「私たちのゲームの独自性は、様々な要素を融合させている点です。ホラー映画であると同時にSFゲームでもあり、『セブン』のようなスリラー要素も取り入れています。
また、ポーランドを舞台にレトロフューチャリズム的なデザインを施しているのも特徴です。これまで誰も見たことがないようなポーランドの未来像を創造しています」
その言葉は、Bloober Teamのゲームを遊んだ方には納得がいきやすいものではないでしょうか。
コナミとの出会いと『サイレントヒル 2』リメイク版への道
Lenartさんは『Observer』の制作中にすでに『サイレントヒル』に関するピッチ(プレゼン資料など)をつくり、KONAMIへのアプローチを試みていたと言います。
残念ながらその当時はいい返事をもらえなかったそうですが、そこでの接触はBloober Teamというゲームスタジオを認知してもらうきっかけになったはずだと、Lenartさんは振り返りました。
その後、東京ゲームショウにブース出展を行った際、小さなブースにKONAMIから10人以上の方が挨拶に来てくれて、そこで『サイレントヒル 2』リメイク版の相談があったそうです。
Lenartさんによると、『The Medium』の成功でBloober Teamならではのサイコロジカルホラーへの独自のアプローチが評価されたことも、自分たちに声がかかった理由の1つだろうと振り返っていました。
『サイレントヒル 2』を2作目からリメイクすることはKONAMIの意向でしたが、Lenartさんも『サイレントヒル 2』はBloober TeamのDNAに最も近く、個人的にも最も好きな作品であり、2作目から扱うことに異論はなかったそうです。
“見えないものへの恐怖”を実現しているからこそ『サイレントヒル 2』はホラーゲームとしての完成度が高い

『サイレントヒル 2』においては、もっとも作品を象徴する“霧”をはじめ、“見えないものへの恐怖”を表現するための要素が多く用いられていると語っていました。
また、Lenartさんは『サイレントヒル 2』はストーリーも素晴らしく、長い年月を経てもなお独創的だと絶賛していました。
ヒッチコック映画的な心理的要素が散りばめられている部分に言及しつつ、基本的には苦痛、拘束、そして選択の物語だと語り、「(『サイレントヒル 2』の主人公である)ジェームズ・サンダーランドは、非常に複雑な人物です。彼の旅は、多くの人が様々なレベルで共感できるものだと思います」と感想を締めくくりました。
ゲーム制作は世界で最高の仕事のひとつ~クリエイティブな情熱を保つ秘訣とは?
そのうえで、「私が最も重要だと感じるのは、情熱を持ったチームと一緒に働くことです。100人全員がやっていることに対して情熱を持っていれば、その情熱が自分を正しい場所に連れ戻してくれます」と続けます。
そして、「誰にでも落ち込む瞬間はありますが、健全な環境で明確な目標を持つことが大きな助けになります。また、誰かが私たちのゲームをプレイして良い反応を示してくれた時の小さな成功体験が、前に進む原動力になります」と締めくくりました。
最後にゲーム開発者としての心構えを聞かれたLenartさんは、こう答えました。
「ゲーム制作は世界で最高の仕事のひとつだと思っています。自分が作ったものを楽しんでくれているのを見るのは、とても幸せなことです。常に大きなプロジェクトが前にあり、ゲーム業界でまだ実現できる夢がたくさんありますから。
自分はBloober Teamの一員であることを誇りに思いますし、これからも挑戦を続けていきたいです」
このトークセッションを通じて、ホラーゲーム制作の裏話や、ポーランドのゲームスタジオBloober Teamが『サイレントヒル 2』という名作のリメイクを担当するまでの道のりなどが明かされました。
独創的なアイデアや熱量をもってゲーム開発を行うBloober Teamの次なるホラーゲームも楽しみですね。
このほか、11 bit studiosのGabriela Siemienkowiczさんによる『This War of Mine』などに関するトークセッションも行われました。ホスト役はGame EnjoyerのJ-monさん(池之上ジェームス博さん)。

『INDIKA』(開発:Odd Meter)は日本ゲーム大賞 2025のゲームデザイナーズ大賞に選ばれ、大きな話題となりました。


主にポーランドにまつわる問題となり、『ウィッチャー』などゲームに関する問題もちらほら見受けられました。

メダルづくりや特殊メイクに関するワークショップが大盛況。まるで本物な傷跡に大人も子どもも大喜び!
無料のワークショップとして、狼を模した自分だけのメダルをつくって持ち帰る“メダリオン作成”コーナーが展開。万博を訪れた記念になることもあり、小さなお子さんを含めた家族連れの方々にも好評だったそうです。



ちなみに、リアルな表現のために肌をギュっと寄せてメイクを行うため、実際に体験した方にお話を聞いたところ、軽くつねられているような痛みもあったそうです。


ポーランドがテーマのコスプレコンテストを実施。『サイバーパンク2077』のエヴリン・パーカーの姿も











そもそも“デジタルドリーマーズ:ポーランドのゲーム”の内容は?
室内ショールーム①
- 7歳以上向けゲームゾーン:大人をターゲットとしたポーランドのコンピュータゲーム12作品を紹介。
- 教育ゾーン:ポーランドのビデオゲームの歴史に関する展示。












- ファミリーゲームゾーン:子ども向けスペースで、ポーランドのファミリー向けゲーム8作品を紹介。
- インタラクティブゲームセクション:プレイヤー向けのエリアで、人気の教育ゲーム『Scottie Go!』も体験可能。







- フェスティバル中心会場:ワークショップ、ミーティング、ステージアクティビティを実施。
- コスプレイヤー向けワークショップ:メインイベントはポーランドがテーマのコスプレコンテスト開催。
- ポーランドのゲーム開発者とのミーティング:英語および日本語で実施。
- 子ども・ティーン向けワークショップ:『Scottie Go!』でのプログラミング体験や、コスプレ愛好者向けのワークショップ。
- 毎日のアクティビティやテーマ別コンテスト:素敵な賞品付き。
Creative Industries Instituteとポーランドのコンピュータゲーム産業について
本研究所の使命は、知識の収集、ネットワーキング、内容面および財政面での支援、専門性の向上、プロモーション、業界のニーズに応じた実践的なツールの作成、そして他の開発・イノベーション分野との相乗効果の促進を通じて、クリエイティブ産業を支援することです。
本研究所は、文化・クリエイティブ分野を支援するエコシステムの重要な一翼を担い、他の国立機関と連携し、ポーランドにおける経済・技術・イノベーション・起業家精神の発展を推進する組織ネットワークの一員として機能しています。
ポーランドのコンピュータゲーム産業について
独立系スタジオの活躍も目立ち、RPGやオープンワールド、戦略ゲームなどジャンルも多様化。独創的なストーリーテリングやリアルなグラフィック表現が評価され、欧米やアジア市場で人気を博しています。加えて、ポーランド政府や各種団体がゲーム産業を支援しており、国際展開の基盤が整いつつある点も特徴です。
【主なポーランドのゲーム開発会社】
- CD Projekt Red
- Techland
- 11 bit studios
- Bloober Team





















