これまでさまざまな海賊ゲームがリリースされてきた中で、筆者の心をずっと引き付けてやまないゲームがある。それはユービーアイソフトの『アサシンクリード III』と『アサシンクリードIV ブラック フラッグ』だ。
ステルスゲームのサブ要素として生まれた海戦だったが、海賊船を操舵して敵船を攻撃し、そして乗り込んで襲撃するという海戦要素を筆者は忘れられない。近年では同社の『スカル・アンド・ボーンズ』だけでなく、SEGAの『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』もこのスタイルをオマージュしている。

もともとは『Crosswind』という名前だった『Windrose』もその系譜に連なるゲームとなっているが、船に搭乗していない陸上パートは『Valheim』らしいサバイバル要素を取り入れつつ、戦闘はソウルライト(ライクじゃないよ)も盛り込むという属性贅沢セットとなっている。
どこを切り取っても美味しい要素しかなく、トレイラーもワクワクさせてくれる内容であり、実際にプレイしても裏切らない楽しさから人気に火が付き、最大同時接続2万2396人、ウィッシュリスト登録数は100万人を超えている。
体験版で遊べる要素はすべて堪能したので、いったいどのようなゲームかお伝えしよう。
一晩ですべてを失った船長としてゼロから立ち上がれ
体験版を起動すると自分が遊ぶサーバーを決定し、キャラクリ後に難度を選択できる。残念ながら日本語非対応なのでアーリーアクセス版では対応してほしいところ。
キャラクリは男女の性別や骨格や肌色などを選べる基本的なものだが、体のあらゆるところにタトゥーを入れられる。難度調整は敵の体力調整がメイン。難度を下げれば、ソウルライトの戦闘が苦手な人でも遊びやすくなっている。

ストーリーは海賊エドワード・ティーチ(『ワンピース』の“黒ひげ”の元ネタ)が活躍していた1700年代の大航海時代のマルチバースが舞台。この世界ではティーチが悪魔に魂を売って手に入れた謎の力によりアンデッドを使役している。

プレイヤーは一廉の海賊船長として名を上げていたが、ティーチが率いる海賊に船を襲撃される。抵抗し続け謎のアーティファクトを手にしたところで、ティーチの銃撃を受けて瀕死の状態に。海に打ち捨てられたところで無人島に流れ着き、なぜか怪我もなかったかのように消え去っているという状態からスタート。

まずは陸上サバイバル
最初は拠点を作るための篝火をクラフトする。『Windrose』では篝火の範囲内に拠点を設置できるので、篝火は必要不可欠だ。

篝火を設置したあとは作業台、調理台、テントの順にサバイバルの基礎となる施設をクラフトする。このあたりはチュートリアルを兼ねたクエストに従っていくことになるが、まずは作業台を作り“Stone Axe”を生産しよう。伐採や採取に使うので必須アイテムだ。
調理台を使った料理は体力増強や追加効果のバフが発生するものもある。簡単な料理なら素材はたくさん手に入るので、お手軽バフとして料理しまくろう。
『Windrose』の建築の優秀な点は、保管庫に入れているアイテムの参照だ。 篝火の範囲内にある保管庫をすべて把握しているらしく、新しく建築するときは必要な素材を勝手に持ち出してくれる。そのため、保管庫をいくつも用意して素材ごとに綺麗に整頓する必要がない。手持ちに何もなくても必要な素材が揃っているなら建築や加工が可能。この手間がないだけで建築にかかる時間が大幅に短縮される。地味だが非常に優秀な機能と言える。

拠点に最低限の施設を構えたら探索だ。マップは自動生成だが、体験版では必ず同じ内容のクエストや探索地がマップ上に“?”で表示されている。
初期装備はサーベルとピストル。この手のゲームにしては珍しく最初から銃を使える。弾薬も最初から作ったり、貝殻から真珠を取り出して代用したりできる。ただし、火薬は体験版だと貴重品なので乱用禁止だ。筆者といっしょにプレイしたフレンドはアホみたいに撃ちまくり、つねに火薬を求めていた。

プレイヤーが装備できる近接武器はサーベルのほかに、棍棒、レイピア、ハルバード。遠距離武器はピストルとマスケット銃だ。
装備には等級があり、白<緑<青<紫<黄色の順に上がっていく。青以上は特殊効果が付与される。たとえばレイピアなら一定時間出血の持続ダメージを与え、攻撃するたびにスタック数が増えていく。そして紫になると別の特殊効果も付く。体験版で黄色武器は確認できなかったが、おそらくなにかしらの特殊効果があるのだろう。

等級以外に装備そのもののレベルがあり、武器・防具作業台で基本ステータスを強化できる。防具にも同じように等級とレベルがあり、同じセットの防具を一定数つけるとセットボーナスが発動する。
まさかのイノシシが超つよい……!
体験版ではドードー、イノシシ、アンデッド、カニがおもな戦闘相手となる。ドードー以外はどれも強敵。とくにアンデッドはさまざまな種類がいる人間タイプの敵なので注意が必要だが、序盤の最大の敵はイノシシだ。このゲームのイノシシはなかなか手ごわく、ガードとパリィをしっかり意識しないとすぐに倒される羽目になる。おそらく多くのプレイヤーがイノシシだと油断してかかり、“わからされた”ことだろう。

上位版イノシシの“Charging Boar”は突進攻撃をしてくるのだが、被弾すると『スマブラ』みたいにとんでもない距離をふっ飛ばされる。この突進はガードもパリィも無力。マルチでプレイしていると誰かに向かっていたイノシシが自分に流れてきてひどい目にあった。突進前に赤く光るので全力で回避しよう。
幸い、『Windrose』のデスペナルティは軽めに抑えられている。貴重品と装備品以外の所持品のドロップ、料理ボーナスの除去のみだ。ドロップしたアイテムは死亡地点に落ちていて触れるだけで回収できる。バンバン死亡するソウルライト系の戦闘なのでありがたい仕様だ。 製品版では装備の耐久度も関わってくるようだが、体験版では無関係。
クエストを進めてつぎの小島へ!

マルチプレイでは宝箱の中身は全員分が用意されており、開封も自分のタイミングでできるので取り逃すことはないだろう。
序盤のクエストをこなしていると、突然チュートリアルにも登場したNPCのドクターが拠点に現れる。自分の船の船医だったドクターは他の海賊に捕まっていたが命からがら逃げてきたと語る。マルチプレイだと各プレイヤーの拠点にドクターが湧くので視界内にたくさんのドクターがいるシュールな絵面になる。4つ子の船医さん。
ドクターと会話するとつぎのクエストとして別の島への移動が追加され、いつでもどこでも海岸沿いに小舟を呼び出せるようになる。まだまだ大型船には遠いがこれで新しい島を探索できる。

島の探索で欠かせないのがファストトラベル用の鐘だ。任意の海岸に置けるので、探索予定エリアの手前に設置すれば拠点の鐘との行き来を簡単にできて便利。船に乗っていればいつでもファストトラベルできるのもお手軽だ。

新しい島では船の残骸を修理して“ケッチ”という帆船を作る。これがプレイヤーが操作できる大型船になるわけだ。しかし、修理するには捕虜の船員たちが必要なので、さらに島を渡って船員救出に向かう。すべてのクエストを完了するとケッチに搭乗可能。ついに海戦が幕を開ける。

ここまでで体験版の80%は経過している。もしかしたら90%と言ってもいいかもしれない。そう、海賊ゲームなのだが体験版で遊べる海戦要素は最後の最後までお預けなのだ! 一応、海戦で戦う“黒ひげ”傘下の船は序盤から沖合に見かけるが、小舟では近づく前に大砲で攻撃されて即終了だ。
体験版だと船はちょっとだけ強化できる

船で行えるアクションは操舵、砲撃、そして歌唱だ。船は帆で速度を調整し、舵を切って操舵する。砲撃は2種類あり、正面と左右それぞれに向かって攻撃できる。ゲーム内で説明はなかったが、おそらく『アサクリ4』のように本体ダメージ特化と帆へのダメージ特化のふたつに分けられるのだろう。やっててよかった『アサクリ4』。

歌唱はこれまた『アサクリ4』と同じで、“Drunken Sailor”などを船員たちと合唱する。ここらへんのオマージュが『アサクリ4』以来飢え続けていた海戦への欲求を満たしてくれる。
そして極めつけが敵船への乗り込みだ。『スカル・アンド・ボーンズ』にはコレがなくて満たされなかった。敵船を痛めつけた後に横に付けて、乗り込んでからの白兵戦にはいつでも興奮する。ただ、 『Windrose』のちょっと残念なところは乗り込み時に専用アニメーションなどがなく味気ないので、ここはアップデートで改善してほしい点だ。

乗り込んだ後は一定数の敵NPCを倒すことで船を制圧できる。制圧するとおそらく評価を上げるアイテムや換金アイテムなどの報酬がもらえるが、体験版では使い道がないので倉庫の肥やしだ。
体験版での最後のクエストは指定されたポイントにいる黒ひげ傘下の船を討伐しろというもの。ただ、討伐後も探索や航海は続けられる。

本作は最低推奨スペックですら高めだ。その分、グラフィックは豪華になっている。とくに水と空の描写が美しい。夕焼け時の海岸は現実のそれに引けを取らない美しさだ。非常に癒やされる。
そんなグラフィックに支えられた『Windrose』の体験版は、ある意味では超豪華グラフィック版『Valheim』と言っていいかもしれない。それぐらい陸上サバイバルの時間が多いのだ。

ちょっと文句があるとしたら建築に要求される木材の多さ。『Windrose』の建築要素はかなりこだわったものが作れるはずなのだが、とにかく木材が必要だ。一度の伐採で得られる木材の数は少なめなので、こだわった建築を作ろうとするとかなりの労力が要求される。
おそらくこの不満は製品版では拠点に配置したNPCに作業させることで解消されるのだろう。でも自力で集められる木材ももっと増やしてほしいところだ。

もうひとつの不満点はアイテムの解体ができないこと。製品版では商人NPCがいるようで、不用品は売却できるようだが体験版にはそのNPCがいない。ところがアイテムを解体できないので、不用品を処分するには不法投棄するかゴミ箱という名の保管庫を作らなくてはいけない。
これも製品版では解消される問題とはいえ、もし商人NPCの登場が遅いのなら製品版でもこの問題はついて回ることになる。解体させてくれ〜。

9時間ほどプレイしたうえでの不満点はこれくらいだ。海戦パートで『アサクリ4』式ではなく、『Sea of Thieves』のようにひとつの船を数人で協力して運用するスタイルを求めていたらもっと不満は出るだろうから、『Sea of Thieves』を求めている方は注意してほしい。

筆者が好きな『アサシンクリード4』の海戦、『Valheim』のようなサバイバルと建築要素、ソウルライトで油断できない戦闘。属性盛り盛りの贅沢なゲームだが、どの要素もしっかりと作り込まれていて物足りなさはほとんどない。ウィッシュリスト100万人超えも納得だ。どれかひとつでも好きな要素がある人は、いますぐに体験版をダウンロードして遊んでみてほしい。もっと『Windrose』の感想ポストが見たいんだ!


















