
筆者にとってWiiは、“ワクワクするアイデアを取り入れたゲームソフトがつぎつぎに登場したハード”として記憶に残っています。「Wiiリモコンというユニークなコントローラを如何にしてゲームに落とし込むか?」というお題への回答と言えるタイトルが数多く生まれ、そうした流れの中、あえて通常のコントローラでも楽しめるような普遍的な魅力を取り入れたタイトルも複数生まれました。
『マリオ』シリーズなどの定番タイトル以外で個人的に印象深いタイトルを挙げれば、『カドゥケウス』シリーズや『斬撃のREGINLEIV』、『タクトオブマジック』など。人によっては『宝島Z バルバロスの秘宝』や『パンドラの塔 君のもとへ帰るまで』などへの思い入れが強かったりするかもしれません(もちろん、それ以外にも名作はたくさんあります)。
しかし、Wiiで初めて登場したタイトルで、その後のハードでも継続的にシリーズ作品が登場したものは決して多くはありません(『ゼノブレイド』シリーズのような例外もありますが)。そういう意味でも、後年振り返るとよりいっそう“独自の生態系”を有したハードだったと感じられたのが筆者にとってのWiiというハードなのです。
だからWiiでシリーズ2作が発売されてから15年の時を経て、シリーズ3作目として『フォーエバーブルー ルミナス』が発表されたときは本当に驚きました。
前置きが長くなってしまいました。そんなわけで、シリーズ過去作との厳密な比較はできないのですが、本稿ではシリーズ新作の発売決定を喜んだゲームファンのひとりによる、2024年5月2日発売のNintendo Switch用ソフト『フォーエバーブルー ルミナス』の先行プレイレビューをお届けしたいと思います。
シリーズファンはもちろん、過去作を遊んだことがない人にこそ近い目線のレビューになっていると思いますので、本作が気になっている方々に読んでいただけるとうれしいです。
本物の海の生態系を「ギュッ」と圧縮したような“ベールド海”を、シンプル操作で泳ぎ回る
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a8cda81fc7ad906927144235dda5fdf15.jpg?x=767)
プレイヤーがダイバーとなって、潜るたびに姿を変える謎多き海域“ベールド海”を調査していく『フォーエバーブルー ルミナス』。
基本操作はいたってシンプル。左スティックで移動、右スティックで視点変更。RボタンとZRボタンで上昇、下降を行うことで、海中を自由自在に泳げます。速く移動したいときはBボタンでドルフィンキック。気になるものを見付けたときのインタラクションはAボタン。
そして海に生息する生物たちに近づいてLボタンを押せば、その生物のデータをスキャンできます。本作ではまだデータをスキャンしていない生物は青白い光のベールをまとっており、その姿を細部まで把握することはできません。注目するとダイバーがこの光を吸収するようにして生物の細部があらわになることから、この行為はゲーム内で“アンベール”と呼ばれます。本作をもっとも象徴するアクションと言えるでしょう。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a30e62fddc14c05988b44e7c02788e187.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/aae566253288191ce5d879e51dae1d8c3.jpg?x=767)
この不思議な海域の調査を進めるべく、さまざまな海洋生物をアンベールしていくのが、各種ゲームモードで共通しているゲーム全体の目的となっているのです。
複数の生物が群生している場所では、一気にまとめてアンベールが可能。すでにスキャンしたことがある種類と一度もスキャンしたことがない種類の生物が混ざっていると、後者のデータを取得するまで少しラグが生じるのですが、この時間が「今度はどんな生き物を発見したんだろう?」というワクワク感を味わえるひとときです。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a62bf1edb36141f114521ec4bb4175579.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a8df7b73a7820f4aef47864f2a6c5fccf.jpg?x=767)
植物と共生する生物が住む浅瀬やサンゴ礁に、自然の力で形成された洞穴、そしてほかでは見られないユニークな姿をした生き物たちが生息する深海……。ベールド海では本物の海に見られる生態系を参考にしつつもギュッと圧縮したように、ひとつのマップに多様な生物たちが分布しています。
中には“淡水域”と呼ばれる、河川や湖の生物が生息する区画も。さらには、すでに絶滅したはずの古代生物が生息する場所さえあります。ゲームをドラマチックに盛り上げてくれるのは、実在しない、本作オリジナルの生物たちです。前作『海の呼び声』に登場した生物は“300種類以上”だったとのことなので、本作の“500種類以上”という数には過去作のプレイヤーも驚かされるのではないでしょうか?
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a9414a8f5b810972c3c9a0e2860c07532.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/aedab7ba7e203cd7576d1200465194ea8.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/adb3a17f7bcac837ecc1fe2bc630a5473.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a85b6f89b41cae26786ac72365fff771b.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a64b8299d1597b8a5c7b9cb9c88642f6c.jpg?x=767)
ゲーム内容から想像されるような“酸素の残量”といった概念はありません。それから、サメなどの危険な生物も、この海では襲ってくる心配はありません。さまざまな発見に満ち溢れ、好奇心を刺激されるベールド海の探索を、自分のペースでのんびりと楽しみ、好きなタイミングで切り上げたり再開できるのも『フォーエバーブルー ルミナス』の大きな魅力と言えそうです。
ストーリーモードはチュートリアルを兼ねた内容。自由な探索ができるモードこそが醍醐味
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/aca538c343179bf0fbdfab6cd10469afd.jpg?x=767)
本作のおもなゲームモードは以下の3つ。
- みんなでダイビング:いわゆるオンラインマルチプレイ
- ひとりでダイビング:いわゆるシングルプレイ
- 調査本部:いわゆるストーリーモード
いわゆるストーリーモードである“調査本部”では、ベールド海の生物多様性の源と思われる“世海樹(せかいじゅ)”と呼ばれる巨大なサンゴ群を枯死の危機から救うため、さまざまな海域を調査していくことになります。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a030d7e8e966169ab4c7f67c291c333f4.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a134ce63057f068a219a0df338fb0b723.jpg?x=767)
この“調査本部”は、プレイヤーに世界設定を紹介しつつ、ゲームのチュートリアルも兼ねた内容といった趣き。チャプターごとのプレイ時間は5分~15分程度になっています。また、新たなチャプターの解放条件には“アンベール数:◯◯回”といったものがあり、この条件はほかのふたつのモードをプレイして満たす必要があります。
ゲームプレイの比重は“ひとりでダイビング”と“みんなでダイビング”での自由な探索のほうに重きを置かれていると言えるでしょう。
今回のレビューにあたっては発売前のゲームプレイをもとに書いているため、必然的にオフラインで遊べる“ひとりでダイビング”のプレイ時間が大部分を占めています。
その上で、2時間程度“みんなでダイビング”で遊べる時間を設けてもらえたのですが、本作のゲームデザインにおいていっそう豊かな体験が味わえるように設計されているのはこの“みんなでダイビング”のほうなのであろうと感じました。そう感じた理由はレビューを読み進めてもらえたら、きっとよくわかるのではないかと思います。
“ひとりでダイビング”は、時間がゆっくり流れているようなまったりした味わい
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/ae3e6f22244e557f1758d397a98734145.jpg?x=767)
“ひとりでダイビング”と“みんなでダイビング”には、ある程度共通するゲームの流れがあります。
潜るたびに姿を変えるベールド海。それらのマップはひとつひとつにIDが割り振られており、これを入力することで以前潜った海に再び潜ることが可能です(直近で潜った海は“前回のマップで続けて遊ぶ”を選べばIDを入力しなくても探索を再開できます)。
これまでとは異なる海に潜りたくなったら“新しいマップで遊ぶ”を選べば、新たなマップが登場し、これに紐付いたIDが発行される仕組み。こうして登場したマップは“ひとりでダイビング”と“みんなでダイビング”のいずれのモードでも遊ぶことができます。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/af0d0b070be593820651230120b0374be.jpg?x=767)
マップによって地形も変化するので、生息する生き物も違ってきます。発売後はSNSなどで「あのIDの海でめちゃくちゃ希少な生き物に出会えるらしいぞ!」といった情報がシェアされて、あらゆるプレイヤーがその海に押し寄せる、みたいなこともあるやもしれません。
探索でおもに行うのは未探索の地点をくまなく調査し、マップを埋めて踏破率を上げること、そして並行して生物のアンベール率を上げることです。
どこかから流れ着いたのであろうお宝を発見することも。ゲットすることで手に入るポイントはダイバーとしてのランクアップにつながるので、画面上でキラキラ光るものが視界に入ったらしっかり回収するのがよいでしょう。
ときには古代文明の痕跡が見つかることもあります。石版には“お題”のような文言が書かれていて、筆者は「無数の針をもつものをここに示せ」とのお題にフグの仲間を連れてきてみたのですが、残念ながら石版はとくに反応を示さず。このたびのプレイではほかのお題にも応えることは叶わず、情けないのですが、これに関しては発売後のネットの集合知に期待することにしました……。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a853b031a43495200d111d6f5239398a3.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/adaa79432b242c16e82493597a4d8c41f.jpg?x=767)
そうそう、アンベールした生物はボタンひとつで連れ泳ぐことができます。生物ごとに“連れ泳ぎコスト”が設定されていて、ダイバーとしてのランクを上げないと連れ泳ぎが困難な生物も居ますが、気に入った生物といっしょに探索ができるのは上記のようなゲームとしての役割を差し引いても癒しを感じられてほっこりしました。
そんな中、突発的に依頼が舞い込んでくる“緊急ミッション”では、特定の生物を探し出してアンベールするといった目標が定められます。マップは調査対象の生物の周辺が色分けされ、近くにいるときはコントローラがレーダーの役割を果たして2段階の強さで振動して知らせてくれます。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/afed1da6da79ca8f0cba2aa0c88e14d9e.jpg?x=767)
この緊急ミッションの存在が探索をメリハリのあるものにしてくれているのですが、自由な探索を邪魔するものにはなっていないという点は強調しておきたいところ。
調査対象を見付けるべく、マップやレーダーを頼りに探し回ってもよいでしょう。けれど、急かされることはないのでマイペースにマップを埋めつつ景観や生き物との出会いを楽しんでも問題ありません。誰からも急がされることのない、時間がゆっくり流れているようなまったりした味わいが、この“ひとりでダイビング”ではとくに顕著となっています。
ダイバー同士が偶然出会い、そしてまたべつの海へと散っていく……一期一会な侘び寂びを感じる“みんなでダイビング”
ゲームプレイとしてのやること自体は“ひとりでダイビング”とそこまでの違いはない“みんなでダイビング”。ですが、その体験はまったくの別物に変わります。
“みんなでダイビング”では、同じひとつのマップでほかのプレイヤーが操作するダイバーたちと協力して探索することに。探索のスタート地点はプレイヤーによってバラバラ。ほかのダイバーと合流できたときは、孤独が和らいでホッと安堵するような気持ちになります。
ダイバー同士はエモートやジェスチャーによって意思疎通が取れるので、挨拶をしたり、好意を伝えたり、珍しい生き物を見付けたときは、付いてくるように合図を送ったり……。テキストを使わない簡易的なコミュニケーションなのが、オンラインマルチプレイではあまり遊ばない筆者にはちょうどよかったですし、おそらくお子さんがプレイする際も親御さんは安心できるのではないかと想像します。
合流したダイバーとは自動的に“シェアラー”になり、それ以降は離れてもお互いがいる場所へと瞬時に移動できるように。また、珍しい生き物やお宝にエモートでタグ付けすることもできるので、探索中の海に関する知識の共有も進みます。
緊急ミッションが突発的に発生するのも“ひとりでダイビング”と同様ですが、「特定の生物を◯種発見する」といったミッションは、複数人で手分けして探索することでかなり効率的に進みます。なかなか調査対象が見付からず困っていそうなプレイヤーが居たら、このプレイヤーの側へと瞬時に移動して、いっしょに探すのを手伝うといったことも可能。
発売前のプレイでは4人程度のダイバーで協力して探索していたのですが、探索効率は単純な4倍以上のものになっていたように思います。
もちろん、ミッションクリアーには力を貸さずに、マイペースに海域探索を続けても問題ありません。マップの踏破率もいっしょに潜っているプレイヤー全員のものが共有されるので、どちらにせよお互いの調査に貢献し合うことになるわけです。このあたりの“ゆるい連帯感”は、強力なボスや敵チーム、または厳しい条件を乗り越えるために協力するようなバトル系のゲームではないからこそ得られるものかもしれませんね。
Discordなど外部のツールを用いて、気心の知れた友人たちとのボイスチャットで同じマップをやいのやいの言いながら探索するのも楽しそう……ですが、たまたま同じマップを同じ時間帯に探索していたダイバーたちが偶然出会い、そしてまたべつの海へと散っていく一期一会な感じのほうに、筆者は『フォーエバーブルー ルミナス』ならではの侘び寂びを感じます。
オンラインマルチプレイをあまり遊ばない人も、ぜひともゲームに慣れたらこの“ゆるい連帯感”を体験してほしいところです。
ヒーリング・ミュージックならぬヒーリング・ゲーム
ゲームをプレイし続けることで手に入るポイントは、ダイバーの見た目のカスタマイズや、新しいジェスチャーとの交換に使用できます。ポイントを一定数集めるたびに新たなエモートが抽選で手に入る要素も。
外見とコミュニケーション手段でひとりひとりのプレイヤーが個性を追求できて、その手段がやり込み要素になっている形です(上の画像で酸素ボンベに貼っているメンダコのステッカーがかわいくてイチオシ)。これらが強制されるものではなくあくまで自己表現の部分であるあたりも、やはり本作の“自分のペースで気ままに楽しめる”というプレイフィールに通底する魅力と言えそう。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/abaaf94542a40d7deb9a8a917acb1b150.jpg?x=767)
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/a5f5f96e221fee78568ec8daee175f851.jpg?x=767)
プレイヤーが置かれた状況によってゆるやかに変化するBGMも、ゲームプレイと相まって心地よさを感じさせてくれます。このゲーム全体がヒーリング・ミュージックならぬヒーリング・ゲームと言っても差し支えないかもしれません。これからの暑い季節にもピッタリです。自宅で、外出先で、気ままな海洋探索を楽しんでみてはいかがでしょう?
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/3964/adb8e74df8d74f3efdd249a3fd3a466da.jpg?x=767)