2024年5月9日より発売される『Animal Well』は、2Dドット絵のパズルプラットフォームアクションゲーム。対応プラットフォームはPS5/Nintendo Switch/PCで、日本語にも対応する。
そのゲーム内容は“探索&アクションパズルに特化したメトロイドヴァニア型のダンジョン探索アクション”と言えばイメージしやすいだろうか? 最初は探索可能なエリアが限られているが、アイテムなどから新しい能力を手に入れると行ける場所が広がっていくというアレだ。
『Animal Well』の表層はあんな感じに、四方八方に広がったひと繋がりのダンジョンをあっちこっち探索して、各地で新能力を得ながらより深淵を目指す……という形のゲームになっている、一応。
しかしそのチルくてかわいいグラフィックに騙されてはいけない。そのファンシーなドット絵の下には、謎が何層にもわたって張り巡らされた漆黒が広がっているのだ。
「観察」と「理解」
具体的なネタバレはできるだけ避けようと思うが、まず本作、説明が一切ない。ゲームをスタートすると花のようなものから団子のような自キャラが出てきて後はほぼ一切放置。このキャラの目的は? 動物のモチーフであふれたこの遺跡はなんなのか? プレイヤーはそういった謎を抱えたまま、とりあえず行ける場所から探索していくしかない。
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こいつは誰? 右にいるのはリス? 何すればいいの? 謎はいっぱいあるが、まずはできることからやっていこう。
『Animal Well』のほとんどすべてが何かしらの謎解きだ。たとえば新能力を与えるアイテムを入手しても、その「正しい使い方」は誰も教えてくれない。まずは自分で試して、目の前の地形を観察し「こうやって使ったらこういう場所をクリアーできるようになるのでは?」といった具合に理解を深めていくことになる。
また基本的に戦闘はないが敵対的な生物は出てくるので、そういった存在にどうやって対処するかも謎解きの一部。相手の挙動や性質を見極め、手持ちの能力でなんとかする方法を見つけ出さないといけない。こうした「観察」と「理解」は本作の2大テーマと言える。
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自キャラには“攻撃”アクションはないが、一時的に退ける手段などはある。マップに使えそうな仕掛けがないか、アイテムで何か変化を与えられないか、そもそも単に逃げたりするんじゃダメなのか? 冷静に観察しつつ、手持ちの選択肢を洗い直そう。
しかしまぁ、一度自分でわかったと思っても実は全然理解が浅かったり、先入観で誤解していたことに後で気が付かされることも多い。「え、コレできるってことは……」と、新たな発見をしてから以前行き止まりだと思っていた場所に戻ってみると、案の定その先があったりする。まぁコレが悔しいが楽しい!
しかも本作には、いたるところに隠しルートや宝箱が隠されている。これまた、何度となく通って完全に知ったつもりになっていた部屋で後からシークレットを見つけるのはザラだ。
クレジットが流れる一応のエンディングらしきシーンにたどり着くだけならそこまで手間取らないと思うが、本作はそのあともプレイ可能。そしてゲームを進めるに連れて、それはまだこのゲームに仕掛けられた謎の本当の序の口に過ぎないのが見えてくるだろう。
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左上にスイッチ、その下に謎のレバー、何やら左右に往復してるピンク色のネズミの頭っぽい何か、右端にネズミの像と宝箱らしきもの、ほうぼうで埋まっている地面。何をどうするかはあなた次第。
「マップ」と「卵」
“その先”の謎を探っていくうえでひとつの目安になるのが、各所の宝箱に収められている“卵”だ。集めた卵の数は、どれだけゲームの仕掛けを理解してマップを隅々まで探索したかと直結していると言っても過言ではない。
その数を一個、また一個と増やしていくうちに、それまで見逃していた何気ない背景オブジェクトなどにどうやら意味がありそうなのがわかってくるはずだ。
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ゲットした卵が集められる部屋。一定個数集めるごとに新たな通路が開いたりもする。
というわけで本作のプレイ中は、死ぬほどマップを見返すことになる。それはマップを眺めて「ここの空間、スペースあいてんなぁ」と思う所は大抵シークレットが隠されているぐらい作り込まれているからで、これはもう本作の開発を信頼していいレベルだ。
ゲーム中のマップ機能は最初は行ったことがある場所を表示してくれるだけだが、そのうち鉛筆ツールで書き込みしたりスタンプを押したりしてカスタマイズできるようになっていくので、何かありそうな怪しい場所や「まだ」先にたどり着けなさそうな場所などをガンガン記録していくといいだろう。
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最序盤で入手可能なマップ機能。最初は行ったことのある場所を記録してくれるだけだが、次第に機能が増えていく。
それに加えて、可能であれば物理メモやタブレットなども併用して疑問点や仮説などをメモっていけば、後から「一昨日ぐらいに変だなと思ってたアレどこだっけ?」と探し回るハメになるのを減らせる。
ちなみに本作のレビュー準備期間はかなり長めに取られていたのだが、本作に割り当てられたような各国のレビュアーたちがレビュー用Discordサーバーに集まってアレコレと情報交換しながらプレイしてなお、圧倒的多数の人が締め切りギリギリまで悪戦苦闘していたぐらいだ。
このゲームは見た目でカジュアルなゲームと捉えてしまうと完全に間違ってしまうし、(超絶精緻な操作までは求められないとはいえ)プラットフォームアクションのテクもなんだかんだ必要だ。正直かなり人を選ぶとは思う。でも「何が謎なのかもはっきりしない」ような曖昧な状態での模索を楽しめる人にはこの上ない作品となりうるだろう。