Cyanは、名作アドベンチャーゲーム『Riven』のリメイク版を、PCとMeta Quest向けに2024年2024年6月26日より発売する。
ひと足先にそのレビュー版をプレイしたので、その内容をお伝えしよう。なおゲームはテキストで日本語に対応している。
謎解きアドベンチャーの代名詞的作品がフル3Dでリメイク
オリジナル版『Riven』は、謎解きアドベンチャー『Myst』(1993年)の続編として1997年に発売されたアドベンチャーゲーム。『Myst』自体がゲーム史に残る作品なのにも関わらず、『Riven』はシリーズの中でも最高傑作に挙げる人が少なくないタイトルだ。
オリジナル版ではプリレンダリングされた画像と実写映像などを組み合わせて表現されていた『Riven』を、2020年のリメイク版『Myst』のようにUnreal Engineを使ったVRにも対応するフル3Dゲームとしてリメイクしたのが本作となる。
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『Riven』の象徴的なドームも綺麗な3Dに。
ところで『Myst』や『Riven』は一体何がスゴかったのか? これはもう後世の同タイプのゲームへの影響が大きすぎて、いま細かく説明したところでリアルタイムに通っていない人はピンとこないと思う。
現在の脱出系ゲームから『The Witness』や『Talos Principle』といったパズル重視のアドベンチャーゲームに至るまで、無数の作品が多かれ少なかれ直接的・間接的な影響を受けていると言っても過言ではない、ジャンル的な様式をそこで築き上げた作品群なのだ。
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謎のデバイスを適当に動かして、その機能の意味するところを探ったりする。
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別のエリアへの移動シーンは、『Talos Principle 2』あたりも影響された部分。
そんなわけで本作は、「ミステリアスな空間・世界でパズルを解いて進んでいく」タイプのゲームだ。プレイヤーは「リヴン」と呼ばれる不思議な世界に降り立ち、その謎を解き明かしながら探索していく。
オープニングではアトラスという人物が任務の大まかな目的を教えてくれるが、彼の語る用語は意味不明なものが多く、各地で実際何をすればいいかは教えてくれない。まずはスタートエリアである“テンプル島”の周囲を探索してなにか使えそうな仕掛けを探し、それを“正しく”動かす方法を探ることになる。
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オープニングで状況説明をしてくれるアトラスさん。
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このレバーはなんなのか? 動かしてみたり、どこに繋がっているのか探ってみたりしよう。
オリジナル版からのアップグレード・追加部分について
このオープニングからリメイク版の特色は十分に感じられる。たとえばリアルタイムの3Dグラフィックで描かれるリヴンの世界は非常に美しい。プリレンダリングされた3DCGで描かれた美しくミステリアスな世界はオリジナル版の特色のひとつだったが、当時の驚きを超えることはなくとも、そのリメイクに足るビジュアルになっていると思う。
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むやみやたらに壮大になっていたりせず、建物のサイズ感などはオリジナル版とあまり変わらない。
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特に自然表現は美しい。
また当たり前といえば当たり前だが、オリジナル版がマウスやキーボード入力に応じて大量の一枚絵を切り替えていくポイント・アンド・クリック型のゲームになっていたのに対し、フルリアルタイム3D化に伴って一般的な一人称視点アドベンチャーゲームの体裁になっているのも重要なポイントだ。
自然の中に未知の文化が溶け込んだ『Riven』の風景を楽しむという点については間違いなくアップグレードなのだが、特に初見の人の場合、自由移動・自由視点だとどこに仕掛けを動かすスイッチなどがあるか気付きにくいという問題はあるかもしれない(画角が決まっている静止画なら「ここが行き止まりってことはこの画面のどこかに何かありそうだな」といった推測が働くからだ)。
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壁にあるスイッチなどを見逃さないようにしたい。
一方で、キャラクターも3Dになっている。こちらもよくできているとは思うが、個人的にはオリジナル版の「3DCGの背景の上で低解像度で圧縮がバリバリにかかった実写キャラが喋る」スタイルにあった独特な魔法が失われたように感じる。
とはいえ同じ手法をそのままやればいいというものでもないだろうし、そもそもこれは90年代のPCゲーム特有のローファイな実写表現が好きな筆者の単なる懐古趣味かもしれない。
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オリジナル版で開幕早々ちょっかいをかけてくるアイツ。
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リメイク版のアイツ。十分に綺麗なんだが、普通っちゃ普通。
さて、ほぼノーヒントで放り出された状態から、探索して仕掛けやその解法の手掛かりを見つけたりしなければいけないという部分は旧作同様だ。そうして見つけた仕掛けそのものやメモなどからリヴンに広がる未知の文化を推察し、パズルを解くことでさらに理解を深める……これがこのゲームの魅力であり、そこはこのリメイク版でも変わっていない。
ただし、ところどころ仕掛けが微妙に変わっている所もあるので、当時のメモやオリジナル版の攻略ページなどの通りにプレイしたりすると、開幕早々に「あれ、これ出来ないな?」と気づくことになるだろう。とはいえパズルのコンセプト自体はそう変わっていないので、どんな発想や理解が求められているかがわかれば基本的にはオーケーだ。
そしてもちろん、完全新規の部分もある。これがまた『Riven』の全体のトーンをちゃんと踏襲しつつリアルタイム3Dならではの仕組みになっていたりして、なかなかいい感じ。オリジナル版のコアメンバーに加えて、ファンプロジェクトとしてリメイクを目指していたグループからの助言も得ているそうなので、その辺の「間違い」はないリメイクと言えるんじゃないだろうか。
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ファンプロジェクトのチーム名である“Starry Expanse”と名付けられたエリア。
なお、オリジナル版の『Riven』PC版も日本語入りでSteamで配信中。歴史的作品をアーカイブ的に楽しみたい人はこちらをチェックするといいだろう。