
チケットは計2回の抽選販売後、会場レイアウトを見直し、追加発売されるもすぐにソールドアウト。会場には熱心な“リッジサウンド”ファン500名以上が日本全国から参加した。6時間あまり、日常では味わえない貴重かつ良質で高密度なサウンドを体で浴びまくることのできた充実の半日となった。また、来場者にはCD『RIDGE RACER NIGHT 2024 SPECIAL DJ REMIX』が配布された。
“Sampling Masters MEGA”、“Sampling Masters AYA”の両名によるDJミックス2トラックが収められたこのCDには、アーケードタイトルのサウンドでまとめられたトラック1と、家庭用ゲーム機用タイトルのサウンドで構成されたトラック2が収録されている。
とまあ堅苦しく始まったこのリポートだが、まず、参加した方々の生の声(の一部)がXのハッシュタグ( #リッジレーサーナイト2024)にまとめられている。まずそちらを追ってみてほしい。30年にわたって紡がれてきたクリエイターとファンの思いがダイレクトに感じ取れるはず。
さらに、このイベントの模様をCD5枚組にパッケージングした『RIDGE RACER NIGHT 2024 - LIVE REC』が受注生産商品(2024年7月29日23時59分受注締切)として2024年10月末から順次発売される。いますぐASOBI STOREでオーダーしてもらいたい。なので、イベントに参加できた人も、参加しなかった、できなかった人も、ぜひ! 価格は9900円[税込]。
ぶっちゃけ、このCDを買って、聴いて、楽しんでほしい! その価値のあるイベントだったから! というのがこのリポート記事の趣旨だ。
さて、『リッジレーサー』シリーズ関連の音楽イベントととしては、今回で4回目となる。
RIDGE RACER NIGHT
- 2012年3月3日開催
- 会場:渋谷・Vuenos
RIDGE RACER NIGHT 2
- 2014年6月15日開催
- 会場:渋谷・amate-raxi
RIDGE RACER FES 2017
- 2017年6月11日開催
- 会場:渋谷・clubasia
プレイステーション Vita版『Ridge Racer』の発売を記念しての販促イベントとしてスタートした“RIDGE RACER NIGHT”は収容人数を増やしつつ、シリーズ20周年記念、さらにフェス形式の有料イベントとして規模を拡大してきた。しかし、コロナ禍により急ブレーキをかけられ、イベントの再開は開催条件が緩和されるのを待たなければならなかった。
その後バンダイナムコエンターテインメントのサウンドレーベル“Bandai Namco Game Music”が2023年に開設され、2024年3月より『リッジレーサーズ オリジナルサウンドトラック』がサブスクリプションサービスやiTunes以外の配信サービスにも幅広く展開された。
そして初代『リッジレーサー』を手掛けた細江慎治氏、佐宗綾子氏が率いるレーベルSweepRecordから、歴代シリーズコンポーザーやホットなリミキサーによる30周年記念REMIXトラックを集めたCD2枚組アルバム『RIDGE RACER REMIX -30TH ANNIV. SOUNDS-』が2024年7月に一般販売されたことをきっかけに、両レーベルが協力し、“RIDGE RACER NIGHT”が“2024”と題して7年ぶりに復活したのだ(シリーズイベントとしては3年ぶり)。
- 歴代のアーケード筐体がサブフロアに勢ぞろい!
- リッジサウンドの深堀りが進み、アルバムやイベントにも活用されていた
- イベントリポート……参加することで完成する、リッジサウンドの新たな境地!
- Spinnage……ゲームの作り手からコンポーザーへ進化したクリエイターがオープニングを飾る
- 永瀬麗子……いまを体現する姿でイメージキャラクターがサプライズでDJプレイを披露!
- Sho Okada……「リッジサウンド最高!」と声が出てしまう「好き!」が詰まったステージ
- ミフメイ……リッジサウンドといまのバンダイナムコサウンドの特異点(?)を深掘りしたステージ
- sanodg……『RARE HERO』を深掘りして発見された三三七拍子のフレーズ! を実演、秘められた謎を解き明かした(?)ステージ
- ホリの周辺機器が当たる抽選会! フォロー&リポストキャンペーンも7月29日まで実施中
- Sampling Masters AYA……リミックスとオリジナル曲の畳みかけで激しい&おいしいステージ!
- J99……期待のダンサブルナンバーに未使用曲リミックスやお宝リミックスが沁みるステージ
- Hiroshi Okubo……メリハリあるリッジサウンドの楽しさを体感できたステージ
- Sampling Masters MEGA……予想を斜め上に裏切りまくるリッジサウンドの頭領、圧巻のプレイ!
- 『リッジレーサー』シリーズとリッジサウンドの今後に期待!
- ライブ音源CDが発売決定! 7月29日(月)23時59分までの受注生産!
歴代のアーケード筐体がサブフロアに勢ぞろい!
古いものは製造後30年にもなる貴重な筐体ばかりで、補修パーツの確保やメンテナンスも難しくなり、コンディションの維持はきびしい状況だが、BTTAの熟練スタッフに加え、アーケード基板の修理で豊富な経験を持つ“スタジオたからのす”の協力もあり、全台無事良好な状態での稼働を実現。来場者はもちろん、出演者も空き時間にプレイして盛り上がっていた。
また、歴代ナムコアーケードタイトルをNintendo Switch/プレイステーション5/プレイステーション4に移植している『アーケードアーカイブス』(アケアカ)を展開しているハムスターもイベントをスポンサード。フラワースタンドが入口に飾られ、来場者にアケアカラインアップカタログがプレゼントされていた。また、ゲーム周辺機器を多数開発・発売しているホリも協賛メーカーとしてステージで紹介され、来場者やX向けに周辺機器のプレゼント施策が実施された。
なお、Xのリポストキャンペーンは2024年7月29日23時59分まで実施中だ。
📣「RIDGE RACER NIGHT 2024 - LIVE REC
— Bandai Namco Game Music (@BNE_BNGM) July 9, 2024
フォロー&リポストキャンペーン」
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リッジサウンドの深堀りが進み、アルバムやイベントにも活用されていた
ちなみに時代をさかのぼると、こうした取り組みは『リッジレーサーズ』(PSP)の制作の際にも行われている。過去作のサウンドデータの権利関係の洗い直しとともに、音源データが発掘された。C352(アーケード版PCM音源IC)用に当時のROMに収められた音源データは、現在に比べると圧倒的に小さな容量のサウンドROMに収めるために、サンプリングの際にもととなる音やボイスを倍速で録音し、ビットレートを落としたデータを再生するなどの工夫がなされていたことがわかっている。
熱心なゲームのファン、サウンドのリスナーはもちろん、クリエイターにもリミキサーにも根強い人気を誇る本シリーズは、データの発掘が行われ、いまに合わせたコンテンツとして実績を残し、このイベントの開催にこぎつける動機付けにつながったのだ。
イベントリポート……参加することで完成する、リッジサウンドの新たな境地!
出演DJ(以下敬称略)
- Sampling Masters MEGA [SuperSweep]
- Sampling Masters AYA [SuperSweep]
- sanodg [DETUNE]
- J99
- Hiroshi Okubo [Bandai Namco Research Inc.]
- ミフメイ [Bandai Namco Studios Inc.]
- Sho Okada [Bandai Namco Studios Inc.]
- Spinnage
- 永瀬麗子
出演VJ(以下同)
- KAZUMiX [1st-impact]
- DeLPi
ここからは各ステージのリポートに加え、ステージを降りたDJの皆様にインタビューを行ったので、その模様もいっしょに楽しんでほしい。
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Spinnage……ゲームの作り手からコンポーザーへ進化したクリエイターがオープニングを飾る
しかしここからが違った。当時はプライベートでDJイベントに参加していたSpinnageは、いまや数々のハウスナンバーをみずからクリエイトし、海外のレーベルでリリースするコンポーザーに進化していた。「RIDGE RACER!」などのゲーム中ボイスを要所で絡めながら、自身のオリジナルナンバー『Transfer』、『Puddles』、『Hypnotized』など5曲が立て続けに軽やかに涼し気に紡がれているあいだ、フロアは人で埋め尽くされていき、早くも準備は万端といった空気が感じられた。ラストはシリーズ30周年記念アルバムからみずからがリミックスした遊び心満載のナンバー『Game over (Spinnage It Ain't Over Remix)』をプレイ。数多くの拍手とともに締めくくられた。
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Spnnage直撃インタビュー!
神々たち(本編出演者のこと)がこの後DJしますけども、その神々もこのイベントのためにめっちゃ考えてるんですよ。神々は30周年記念アルバムに新しい曲を提供してくれて、さらに考えて準備してこのステージに臨んでいるんです。だから僕もこの1週間、ずっと家でリハしていました。そこでボイスネタを使おうと思いついて、急遽機材を用意したんですよ。
――あれはクリエイターだなと感じさせる仕掛けでした。あのボイスが体に刻み込まれているんだな、『リッジ』のイベントなんだなとテンションが上がりました!
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永瀬麗子……いまを体現する姿でイメージキャラクターがサプライズでDJプレイを披露!
オープニングタイムの可憐なサプライズに、会場からは大きな歓声が上がった。3Dモデルデータは、『レイジレーサー』で彼女を生み出した有限会社ケイカの由水 桂(よしみず けい)氏がこのイベントのために『リッジレーサー7』以来、久々にモデリング&リギングを手掛けた最新作!
両腕まですっぽりと覆われたまばゆい反射光のサテン的素材と組み合わされたブランニューかつ『R4』を思い起こさせる意匠(スタイリングのバリエーションは数々のゲームにいくつか登場している)のスリムなスタイルにメタリックなヘッドフォンを装着した彼女が、バンダイナムコ研究所の技術“ELMIRAIVE AX”でリズミカルに躍動する姿に思わずため息が出てしまう。
なお、システムへの組み込みはバンダイナムコ研究所の大久保 博氏が手掛けたとのこと。
セットリストは歴代シリーズナンバーはもちろん、『R:RACING EVOLUTION』、『鉄拳2』、電音部のアキバエリアから東雲和音(声:天音みほ)、『パックマン チャンピオンシップエディション』とバンダイナムコサウンドを手掛けてきた実力派クリエイターによる多彩かつ緩急の感じられるトラックのチョイス。
そのおいしいところがウォーミングなWOMBLIVEのぶアツいスピーカーから飛んでくるのだからたまらない。まだオープニングタイムだというのに、テンションはすでにレッドゾーンの様相を呈してきた。そしてラストトラック『Planet (Select Screen Edit)』から「RIDGE RACER!」のボイスの響きとともにオープニングタイムは幕を閉じた。
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Sho Okada……「リッジサウンド最高!」と声が出てしまう「好き!」が詰まったステージ
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続いても『リッジレーサーV』から『TuiTui』、そしてPS Vita作品から『Future Driven』と新しめのテンションアゲアゲにならざるを得ないトラックを連発し、『R4』から『Your Vibe』、さらに『リッジレーサーズ』の『Motor Species Remix』、『Synthetic Life』とファンの心に深く刺さった容赦ないセットリストで攻め込んでくる……と思えば『HURRICANE HUB』でPS世代のファンにも爪痕を刻んでくる。ほかにも電音部の『麻布アウトバーン』でちょっとした遊びの要素を取り入れながらも『R4』の『Move Me』など、ああもう降参……というトラックが続く。
最初からこんなテンションで立ちっぱなしで最後まで持つのだろうか? などと考える余裕すら与えてくれない、リッジサウンド愛が詰まったステージだった。
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Sho Okada直撃インタビュー!
――ファンの立場からクリエイターになられたShoさんによる、本日のセットリストは?
――まさに世代なんだろうなというお客さんから歓声が挙がってましたね。
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ミフメイ……リッジサウンドといまのバンダイナムコサウンドの特異点(?)を深掘りしたステージ
リッジサウンドをメインに聴きに来たオーディエンスにも、同じジャンルの曲の間に“いま”のバンダイナムコサウンドの新鮮なナンバーをマシンガンのようにフロア叩き込むという構成は、クリエイターとしてのミフメイをさらけ出すような、あいさつの意図があったのかもしれないと筆者には感じられた。
そこからもシリーズナンバーに挟む形で『学マス』から『Fighting My Way』、『Tame-Lie-One-Step』、『鉄拳8』から『パックマン』、『ゼビウス』などのサウンドを巧みに組み込んだ『GameChanger』を織り交ぜつつ、自身が手掛けたリミックスナンバー『RARE HERO (ミフメイRIMIX)』も披露し、“クラブイベントというものは、新しい曲との出会いの場でもある”と観客を導くような構成を展開。
ラストは『いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ)[Massive New Krew Remix]』からバンダイナムコレジェンダリーIPやクラブ・サウンドともかかわりが深い電音部ナンバーの4連発という、これまた意外な展開でステージを締めくくった。これはいまのバンダイナムコサウンドを知っている世代にリッジサウンドを紹介し、知らない世代にはいまもリッジサウンドの志が引き継がれていることを示したようなステージだった。
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ミフメイ直撃インタビュー!
――リッジサウンドにはインスト曲が多いなか、ミフメイさんのセットリストには電音部や『学マス』などのボーカル曲も積極的に入っていたのに、聴いている自分には驚きとともにすっとなじめたのが新しい発見でした。
――曲と曲のつなぎがとてもきれいで、空気が変わった感じが自然に感じられて驚きました。それは組み立ての妙なんでしょうかね?
――ナムコサウンドらしさというのは、世代交代をしていくなかでどんどん変わっていきつつも、何か共通したものを感じるんですが、その秘密は何なんでしょうか?
お客さんが求めるものにがっつり寄り添っていると、何も新しいものを提示できないのも……。1曲でも好きになってくれる曲があればオーケーだと思っています。30周年記念アルバムの企画に呼んでいただけたのも、そういった新しいところを求められているんだなと思いましたので。
――新旧ナムコサウンドの競演に違和感がなくて不思議な気分でした。
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sanodg……『RARE HERO』を深掘りして発見された三三七拍子のフレーズ! を実演、秘められた謎を解き明かした(?)ステージ
DJイベントだというのに、毎回軽妙かつテンポよく展開するプレゼンテーションのようなトークで笑ったり感心したり勉強になったりと、とにかく異彩を放つ(といってもリッジサウンド関連イベントのみならずVRゴーグルを使ったステージングでおなじみといっていいだろう)、sanodgステージ。
今回は、自身がコンポーザーとして書いた『RARE HERO』からサルベージされたデータを深掘りしてしていくなか、自身も「なぜこのフレーズを入れたのか記憶が定かではない」という高校野球での応援団などで有名な三三七拍子のリズムをテーマにステージが展開された。『Rarehero』(ラレヘロ)Tシャツもしっかり仕込んでの登場だ(笑)。
ステージの内容をすべて書き起こすのは、どうあがいてもそのおもしろさがほとんど伝わらないと思うので、当日会場に来られなかった方や気になる方はぜひライブ盤を買って、いっしょに三三七拍子をやってみてほしい(ダイレクトマーケティング)。多分、おそらく「なるほど!」と思っていただけるはず。
それから、音を中断するタイミング、そしてトークからBGMを実演するタイミングのテンポのよさは特筆に値するものだったということも改めて記しておきたい。トークステージにリズム感を感じさせる、サウンドクリエイターらしい独特のスピーディさが心地よい、というのが個人的な発見だった。
ということで、『RIDGE RACER REMIX -30TH ANNIV. SOUNDS-』に収録された『RARE HERO FOREVER』のベースパートなどが何度も流され、フル尺でフィニッシュ。さらに『リッジレーサー』シリーズの楽曲をリミックスしたゲームミュージックアルバム『リッジレーザー』から『Grip』をアレンジした『Had Gripped』がさりげなく流されたことをここに記して、リポート後半へと続きたい。
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![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/12153/ad6a89501d3249337542c53c2304241dd.jpg?x=767)
sanodg直撃インタビュー!
――リスナーの勝手な解釈ですけれど、sanodgさんの曲をこうして手ほどきしてもらうと、音楽に詳しくなくても、sanodgさんの世界ってこうなんだと感じとれるんですよね。
――過去の“RIDGE RACER NIGHT”でトークDJとしてすっかり確立された芸風がお客さんにも浸透した感じもありますよね。sanodgステージになると、フロアが柔らかくて暖かい空気に包まれるといいますか。
しかもどんどん期待値もあがっているのに、笑いに包まれるステージがとても楽しみになっちゃってるんですよね。サブベースのカッコよさをその場で流してくれたり、本当にわかりやすい。
――sanodgさんのステージって、「楽しい!」が共感できる話題が多くて。今回の「三三七拍子」も学生時代を思い出したりして楽しくなりました。『リッジレーサー』チームへの大好きが詰まっている感を30年供給してくださる。
それで今回のステージ用にWOMBみたいな大きい箱でみんなと聴いてみたいなと。単音を大きい箱で聴く機会ってなかなかないんで。
それと、このイベントでバラバラにパーツごとに流した曲を、30周年記念アルバムで聴き直すお客さんにはある種バイアスがかかるじゃないですか。それが楽しみですね。空耳アワーみたいにね。今日を境に聞こえかたが変わるというのを体験してもらえたらいいですね。自分もそういう聴きかたが好きなんで。ぜひ。
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