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『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』先行レビュー。シリーズおなじみの作りながら演出面が大幅パワーアップ。推理力や記憶力がますます試される内容に

byジャイアント黒田

『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』先行レビュー。シリーズおなじみの作りながら演出面が大幅パワーアップ。推理力や記憶力がますます試される内容に
 『ファミコン探偵倶楽部』の完全新作がプレイできる!

 筆者のように、胸が踊った推理アドベンチャーファンは少ないはずだ。というのも、2024年8月29日に発売予定のNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)用ソフト『
ファミコン探偵倶楽部 笑み男』は、スーパーファミコンのサテラビューで配信された『BS探偵倶楽部 雪に消えた過去』以来、じつに約30年ぶり(『うしろに立つ少女』からは約35年ぶり)となるシリーズ完全新作タイトル。プレイヤーは空木探偵事務所の探偵となり、都市伝説上の人物“笑み男(えみお)”を巡る奇怪な事件に挑むことになる。
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『ファミコン探偵倶楽部』シリーズとは

 任天堂が手掛ける『ファミコン探偵倶楽部』は、ファミリーコンピュータ ディスクシステム用ソフト。1988年に前後編に分かれた『消えた後継者』が、1989年に続編の『うしろに立つ少女』がリリースされた。

 本格的な推理アドベンチャーとして好評を博した本シリーズは、ゲームボーイアドバンスの
『ファミコンミニ ディスクシステムセレクション』や、バーチャルコンソール用ゲームとして何度か移植されており、2021年にはNintendo Switchで2作ともフルリメイク版が登場。リメイク版はファミコン版のBGMを収録するといった当時の雰囲気を大事にしながらも、ビジュアルやボイスなどあらゆる面が大幅にパワーアップしていた。
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主人公役の緒方恵美さんや橘あゆみ役の皆口裕子さんを筆頭に豪華声優陣が出演しているのも本シリーズの魅力。巧みな演技が物語をいっそう盛り上げてくれる。

 今回は、記事担当ライターのジャイアント黒田による、
『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』のプレイレビューをお届け。なお、ネタバレには十分に配慮しているが、一切の情報を知りたくないという方はご注意いただきたい。

この夏、個性が強烈すぎる“笑み男”の虜になる

 35年ぶりとなる新たな物語は、事件の発生を告げる1本の電話が空木探偵事務所にかかってくるところから始まる。主人公が調査するのは、山奥にある排水ポンプ場で男子中学生の絞殺死体が発見された事件。死亡推定時刻は午後9時ごろだが、現場は街灯も少なく、夜には真っ暗になる。さらに不可解なことに、遺体の頭には笑顔が描かれた紙袋が被せられていた――。
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 遺体で発見されたのは、南第三中学校に通う3年生の佐々木英介。彼の異様な姿は、18年前に起きた“連続少女殺人事件”の被害者と同じだった。そしてこれらの事件は“笑み男(えみお)”という都市伝説によく似ているという。

 “笑み男”は作中で語られる都市伝説上の人物。笑顔が描かれた紙袋を被った姿で、泣いている少女の前にふらっと現れる。「永遠の笑顔をあげる」と告げて少女を絞め殺したうえ、頭に自分の物と同様の紙袋を被せて立ち去ると言われている。
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 『ファミコン探偵倶楽部』の完全新作なうえに、主人公が挑むのは都市伝説“笑み男”によく似た奇怪な事件ということで、都市伝説にも目がない筆者にとって本作は、“ひと粒で二度おいしい”タイトル。

 英介はなぜ人気のない場所に向かったのか。英介や少女の遺体には、なぜ紙袋が被せられていたのか。仮に同一犯、もしくは模倣犯の犯行だとすると、犯人はなぜ18年の沈黙を破って新たな犯罪に手を染めたのか――調査を進めるたびにつぎつぎと新たな疑問が湧き、夢中になってエンディングまで駆け抜けた。

リメイク版よりも演出面がパワーアップ。プレイヤーの推理力も試される

 ここまでハマったのは、続きが気になる展開だったことに加えて、演出がますますリッチになっていたのと、どのコマンドを選べばいいかの誘導が秀逸でテンポが非常によくなっていたから。

 リメイク版よりもキャラクターのアニメーションが豊富になっており、登場人物たちの表情がコロコロと代わったり、簡単な身振り手振りも加わっていたりするため、物語の没入感を高めてくれた。さらに、シリーズ初となる演出も用意されており、
『ファミコン探偵倶楽部』の新たな可能性を体感できたのもうれしい。

 ちなみに、個人的にイチオシのキャラクターは、本作から登場する神原大輔刑事と福山翼先生のふたり。ストーリーは基本的にシリアスだが、チャラチャラしているように見える神原刑事や、爽やかな熱血教師の福山先生の登場シーンが一服の清涼剤に。ふだんはお笑い担当(?)として何度も楽しませてもらったが、最終的にはふたりとも印象が大きく変化した。本作をプレイする際は、ぜひふたりにも注目を!
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(画面左)右側にいる神原刑事はKENNさん、(画面右)福山先生は小野友樹さんが熱演。
 また、謎解きのバランスのよさも、ストーリーを進める大きな原動力に。事件の調査は、“移動する”、“聞く”、“見る・調べる”といったコマンドを使って行い、状況に応じて正しい選択をすると、ストーリーが進行していく。
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 システム的にはオーソドックスで、シリーズおなじみのアドベンチャーゲームらしい作り。よくも悪くも斬新さはないものの、先述した通り、どのコマンドを選べばいいかの誘導が秀逸だった。筆者は推理アドベンチャーを好んでプレイするものの、残念ながら肝心の推理力や記憶力はからっきし。ヒント機能のお世話になることも多いのだが、本作はあまり詰まることなく進められた。

 誘導が秀逸なぶん、従来よりもコマンドの総当たり感は薄れた印象だが、選んだコマンドに対してクスっとするような展開も用意されており、意味のなさそうなコマンドもつい試してみたくなる。調査に関係のないコマンドを通して、主人公のお茶目な一面が見られるのも醍醐味だった。
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主人公はかなり明るい性格。事件の調査は真面目に取り組む一方で、コミカルな姿を見せてくれることも。
 だからといって、謎解きが簡単というわけではないのでご安心を。プレイヤーの推理力や記憶力が試される作りになっており、しっかりと探偵気分を味わうことができた。推理力に自信のある方はお楽しみに。
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記憶力や推理力が試される場面が随所に挿入されていて、解く楽しみも増している。ちなみに、推理は間違えても大丈夫なので、気軽に遊びやすい。

“事前合同調査”(体験版)で事件の一端が明らかに!

 本作は、『ファミコン探偵倶楽部』のファンや推理アドベンチャー好きにはもちろんオススメだが、都市伝説の“笑み男”はホラーテイストの内容なので、この夏ゲームでヒンヤリしたい人にもピッタリ。

 シリーズの前作『消えた後継者』や『うしろに立つ少女』をプレイしていなくても、本作だけで楽しめる内容になっていたのも好印象。“笑み男”の正体は気になるけど、前作を遊んでいないからと尻込みする必要はない。キャラクターの豊富なアニメーションやフルボイスの会話シーンなど、アドベンチャーとしもリッチな作りなので、興味の湧いた人は体験版をぜひ遊んでほしい。

 現在配信中の“事前合同調査”と銘打たれた体験版では、ひと足早く序章から第3章までをプレイ可能。体験版をダウンロードすると、下記の日時ごとにソフトが更新され、新たな章が追加されていく仕組みだ。

調査スケジュール(体験版更新スケジュール)

  • 2024年8月20日(火)午前10時~ 序章『顔』/第1章『都市伝説』
  • 2024年8月23日(金)午前10時~ 第2章『失踪』
  • 2024年8月28日(水)午前10時~ 第3章『花言葉』

 体験版のセーブデータは、製品版に引き継げるのもうれしい仕様。事件を調査して、“笑み男”を巡る奇怪な事件の真相を解明してほしい。
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      集計期間: 2025年04月26日09時〜2025年04月26日10時