波乱万丈のストーリーと高難度の戦いが魅力
ニンテンドウパワーの公式サイトにある2000年11月集計の書き換えランキングによると、『トラキア776』が堂々の1位となっているので、そこからも人気のほどがうかがえる。2000年1月21日には、改めてスーパーファミコン用のパッケージ版としても発売されている。
『ファイアーエムブレム』シリーズはいまでも難度の高い作品群として知られているが、『トラキア776』はその中でも屈指の難度との呼び声が高い。というのも敵AIがかなりの賢さを誇るためだ。戦闘中に危なくなった敵兵が“きずぐすり”を使ったり、武器がなくなれば自分で買いに行ったり。さらには積極的に捕獲を試みてきたりと、かなり戦なれしている印象。当時は敵AIの賢さもセールスポイントになっていたくらいなので、歴戦のシリーズファンたちも手こずったのではないかな。
加えて、命中率が最大で99%という鬼仕様。この1%に泣かされ、絶叫したプレイヤーも多かったことだろう。どういうわけか、シミュレーションRPGではこの1%を引き当てやすい(ような気がする)。ここぞという場面で攻撃をミスってリセット……という経験はゲームファンなら誰しもあるはずだ。
本作で初登場となった、自軍の周囲しかマップが見えない“索敵マップ”の存在も難度を高めていた要素のひとつ。敵兵はおろか地形マスすら真っ暗で見えなかったので、初めて目のあたりにした際は相当な衝撃だったに違いない。
ほかにもキャラクターの“疲労”や“体格”の概念が加えられていたのだから、本作を知らない人でもどれほどの歯応えだったか想像できるはず。しかしその分、勝利したときの喜びもひとしお。攻略の幅もいろいろとあったので、あれこれ試行錯誤したのもいまではいい思い出なんじゃないだろうか。