
ゲームアカデミーコーナーでは、多くの学校が制作した作品が展示されていました! バンタンゲームアカデミーのブースを取材してきましたので、TGS2024当日の様子とともにお伝えしていきます。
高クオリティーの作品がズラリと並ぶ
バンタンゲームアカデミーのブースには、学校のイメージカラーでもある赤いマットが敷かれており、パッと目を引く印象。東京校、大阪校、名古屋校から計7作品が展示されていました。
没入感抜群のVRロボゲー『Robotics Protocol』ロボットの操縦をよりリアルな形で
最初はG-Lab(※)部長が個人制作していたものだったそうで、そこからG-Labチームでの制作に切り替えたという経緯があります。
ゲームのコントローラーらしいものはなく、レバーを引いたり、VR空間でタッチパネルを操作したりすることで、ロボットを操縦して戦闘します。
とくに驚いたのがタッチパネルの機能。こちらはアームトラッキングという技術を使っているらしく、手を一定の位置まで持っていくことでゲーム内のものに“触れる”という判定を作れるものだそう。
制作期間はまさかの約7ヵ月。ガジェットのひとつひとつにまでこだわって作られた本作は、東京ゲームショウという大舞台に相応しいクオリティーでした!
B.B.スタジオも「ロボ好きに刺さる!」と感じた作品。没入感を重点的にフォローアップ
――『RoboticsProtocol』を監修して感じた注目ポイント・魅力を教えてください。
専用の筐体作りにも力が入っており、アミューズメント施設用ゲームとしての側面にも踏み込んでおりましたので、TGSで体感いただくには打ってつけの作品でした。
こういった企画にありがちな失敗例としては、一般人が思い描くミリタリー感を強めた企画にするのか、現実の兵器に寄せるのか、往年のロボットアニメのSF感を強めるのかがはっきりせず、どっちつかずな内容になっていることですが、“空間に表示されるタッチパネル”、“用途に応じたレバー”、“マルチロックオン”をVRで体験できる本企画はまさに”いいとこ取り”になっているのではないでしょうか。"
――『RoboticsProtocol』を監修して感じた課題、惜しかった点はどういった点でしたか?
また、構想のすべてをやり遂げようとするあまり、仕様実装に時間を取られ、以降の作り込み・ブラッシュアップの期間が足りていない印象を受けました。各工程の工数については、やってみないとわからなかった点もあるかと思いますが、VR企画である以上、没入感に関わる作り込みをマストとして期間を確保すると、制作期間の後半で焦りを感じずに済んだのではないかと感じました。
――どのような点に重きを置いて監修されましたか?
もちろん、制作期間的に取り入れることができないアドバイスもありますし、仮に時間があったとしてもすべてをゲーム中に落とし込むかはケースバイケースですが、エフェクトや台詞のひとつひとつに至るまで世界設定と合致していないと、ユーザーにとって違和感が積み重なる……という点はお伝えしました。
今回は、機体デザインやゲーム設計、ギミックが先行しておりましたので、時間が許す限りフォローアップする方向でのアドバイスとし、プレイする際に没入感を阻害する要素についてはとくに気を付けてチェックさせていただきました。
――制作チームとは、どのようなやり取りがありましたか?
とくにこのタイトルはロボット作品への情熱を企画の根幹としていましたので、その点をチーム内で共有できているかどうかで各セクションからの成果物にプラスアルファが乗ってくるかが決まると感じたためです。
それ以外では、短時間でお手軽に満足感を得られる必要がある企画でありながら機動兵器の本格操縦も体験していただくという、ある意味で二律背反している部分について、どのようにプレイヤーをサポートしているか一点ずつ確認させていただきました。
なお、ディレクターからはそれらすべてについて淀みなく解答いただけたことをここに記しておきます。また、各セクションの方とも会話ができれば、パート別のミクロなアドバイスもできたかなと思いますが、かえって混乱させる形になったかもしれないので、逆によかったかもしれません。
――ゲームクリエイターを目指す学生へのアドバイスをお願いします。
……ですが、時間も人員も有限である以上、いつまでも仕様の追加やブラッシュアップを行うわけにはいかないことは自明です。ましてや、クリエイター自身の“楽しい”が、お客様にとっての“楽しい”と一致しているとは限りません。細部に宿らせたつもりの神が、まったく神たりえないことも往々にしてよくあることです。
ここでどのような選択をし、どのようなものを作り上げるか……それがクリエイターの個性です。チーム制作を経験した皆さんは、個性のぶつかり合いだけではなく、個性の相乗効果が織りなす爆発力も味わったかと思います。皆さんの個性が業界にセンセーションを巻き起こしてくれることを待っています!
作品情報
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/a478ed8f9a51995abcdf77c5deabb9645.png?x=767)
- 東京校 G-Lab(ゲーム制作部)制作
- 企業連携:株式会社B.B.スタジオ
ヴァンサバ系ランアクション『SoulRush』は、好きなもの×新たな可能性を組み合わせた作品
本作は『Vampire Survivors』(ヴァンパイア・サバイバー)の要素を取り入れつつ、ランアクションを主体としたゲーム。巫女の少女を操作し、ジャンプアクションで障害物を避けつつ、敵を倒してレベルアップし、ランダムで提示されるスキルを強化していきます。
制作期間は約9ヵ月。「授業や就職活動と両立しながらの制作だったので苦労した部分も多い」という声がチームメンバーから上がっていました。とは言え、プログラマーをはじめとして優秀な人材が揃っていたらしく、ほとんどの作業は急ピッチに進んでいったとか。
画面奥に向かって走る疾走感と、スキル強化によって敵をバタバタと倒していく全能感が何とも気持ちいい作品でした。
新たな組み合わせのアイデアを称賛。本作の魅力である“爽快感”を高めるためのアドバイスとは?
――『SoulRush』を監修して感じた注目ポイント・魅力を教えてください。
ジャンル自体はランゲームなのですが、ステージを疾走するスピード感に、敵を倒してコインや経験値を手に入れるという成長要素を足して、無双シリーズのようなワラワラと大量に出てくる敵を蹴散らす爽快感と派手な攻撃エフェクトによるケレン味を足したのは素晴らしいアイデアだったと思います。
また、ゲームの雰囲気にあったキャラクター、ステージ、UIといった総合的なグラフィックセンスも魅力的に映りました。
レベルアップのシステムは人気の某ゲームにそっくりではありますが、ゲームは昔から模倣と創造のくり返しで進化してきたものですので、このゲームはこの体験をさせるためにこのシステムが必要なんだな、という部分を感じ取っていただければと思います。
――『SoulRush』を監修して感じた課題、惜しかった点はどういった点でしたか?
また、ボスの攻撃はどう避けるのが正解なのか判りにくい点がありましたので、予備挙動でプレイヤーに事前に判断できるほうがいいということや、攻撃の種類によって対処方法が変わったほうがいい旨を指摘させて頂きました。
もう一点、爽快感をアップさせるうえで、“音(SE)”の重要性についても指摘させていただきました。敵を倒した音、ソウル(経験値)を手に入れた時の音、レベルアップの音など、うれしいはずの音をプレイヤーが聞き取れるようにしたほうが絶対に爽快感に繋がりますのでここが強化されていることを願います。
――どのような点に重きを置いて監修されましたか?
そのほか、作っている人にとって当たり前なことでも、初見の人は疑問に思うであろう点などは、開発者の陥りやすい罠でしたので、指摘させて頂きました。当たり前に使われている“スキル”という単語に対して、どれが“スキル”なのか説明されていない点や、シンプルデザインのため文字表記がなく、ぱっと見で“HPゲージ”がどれかわからない、といった部分はゲームを日常的に楽しんでいる方には通じますが、東京ゲームショウという場においては、そういう方だけでない旨をお伝えしました。
――制作チームとは、どのようなやり取りがありましたか?
2回目は実際にプレイさせてもらい、「初回の指摘点がどうなったか?」とか、実際に体験して気になった点を中心にやり取りをさせて頂きましたが、指摘した点については、制作チームの方も気づいていたり、迷っていた部分も多かったようですので、やりとりしたことでなんらかの気付きがあったり、参考になっているとうれしいです。
個人的には、もう少し各パートの方に深堀りした質問や指摘、単純によかった点をお伝えしたかったのですが、時間の制約もあり、伝えきれなかったのを残念に思っております。
――ゲームクリエイターを目指す学生へのアドバイスをお願いします。
ゲームを完成させないと見えてこない問題点や、チーム内外からの思わぬ意見、限られた時間での取捨選択、最後まで諦めなかった部分など、それはゲームを完成させないと得られない要素だからです。
後悔や悔しさもあったでしょうが、モノづくりの楽しさ、お客様の笑顔も同時に経験していると思いますので、それを糧に自分の武器を磨き、よきゲームクリエイターになられることを期待しております。願わくば、同じ業界や会社で働く仲間として、ときにはライバルとして、皆さんとこのゲーム業界を盛り上げていけるとうれしいです。
作品情報
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/ad8311c3e25c97b30f83b383c279fbc15.png?x=767)
- 東京校 G-Lab(ゲーム制作部)制作
- 企業連携:株式会社B.B.スタジオ
気持ちのいいアクションゲームを追求。たったの3ヵ月で多くの学科が力を合わせて制作した『MACHT MAGIA』
本作は、なんとアセットを一切使用せずに制作されています。そしてプログラム、3Dモデリング、UIデザイン、キャラクターデザイン、声優など、すべてバンタンゲームアカデミーの現役学生が担当しています。思わず自分の学生時代を振り返り、「そんな大層なことしてない気が……」と、昔の自分に対して首を捻りました。
しかも、制作の実働期間はたったの3ヵ月。多くの学科をまたいでの制作となったので、納期のすり合わせやスケジュール管理など大変な部分もあったそうですが、それにしても3ヵ月はものすごく早い。そしてこのクオリティー。ものすごいですよね。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/aca0e83ea49c7ca6120730184830e8a97.png?x=767)
回避アクションも凝っていました。ノエリアは常時浮遊しており、クルクルと優雅に回転しながら敵の攻撃を避けていて、フィールドを縦横無尽に駆け回れるのがよかったです。
ロード画面のTIPSで世界観の説明や、主人公・ノエリアのちょっとした情報が出てくるので、世界観もしっかり作り込まれていると感じました。
丁寧な作り込みや作品の持つ世界観に注目。スパイク・チュンソフトは“気持ちのいいアクションゲーム”をさらに磨いた
――『MACHT MAGIA』を監修して感じた注目ポイント・魅力を教えてください。
美しいデザインに目を引かれつつプレイを始めたところ、スタート画面のみならずUI、キャラクター、背景、モーション、エフェクトといったデザイン領域に関わるすべての分野が丁寧に作り込まれており、これらは本作のわかりやすい魅力のひとつと言えると思います。
また、簡易的ながらストーリーが存在し、ボイスも入れてあることで、作品の持つ世界観に入り込むことに一役買っていました。プログラムのレベルも高く、美麗なグラフィックが重くならずに手触りよく動いていました。
――『MACHT MAGIA』を監修して感じた課題、惜しかった点はどういった点でしたか?
次に、グラフィック偏重だったことから、ストーリーや遊びの部分がどうしても薄く感じてしまいました。世界観がしっかり設定されていただけに残念です。導入部に、簡単で構わないのでシチュエーションの説明と、ボス出現および撃破の際に少しでもイベントパートを挿入することでユーザー体験を向上できたかもしれません。
――どのような点に重きを置いて監修されましたか?
――制作チームとは、どのようなやり取りがありましたか?
そこから修正作業のために一定の期間を設け、2度目の訪問では一部改善が行われた作品を実際にプレイする機会をいただいたため、何度かくり返しプレイをしながら、追加のアドバイスを実施しました。グラフィックの質が初回から更に向上し、アドバイスした内容も短期間の中でいくつか反映できていたのは、リーダーのPM力が高かったものと感じています。
――ゲームクリエイターを目指す学生へのアドバイスをお願いします。
課題や就活、バイトに追われているとついつい原点を忘れてしまい、本来ゲームが好きでたまらないはずの皆さん自身がゲームプレイから遠ざかってしまいがちです。しかしそれでは最新の技術が駆使された作品や、最高の“遊び”が詰まっている話題作など、皆さんのお手本であり、何より“楽しさ”を得る機会を逃してしまいます。
もし当てはまると感じた人は、いま一度初心に立ち返り、最新のトレンドに触れながらモチベーション高くクリエイティブと向き合ってみてください。スパイク・チュンソフトではゲームプレイと制作、どちらも大好きな方をお待ちしています。
作品情報
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/ac088fa95cdb15f7b38ace8f9583bbcd1.png?x=767)
- 東京校 制作
- 企業連携:株式会社スパイクチュン・ソフト
大阪校、名古屋校の作品も名作揃い!
『Renegade Shooter』:ズッシリと臨場感が伝わるシューティング
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/a995d315859af0830dea8bee38aa82994.png?x=767)
- VRゲーム開発チーム 大阪校
アサルトライフルやグレネードランチャーなど、全4種類の銃を自由に切り替えて遊べるのも魅力。「この銃じゃないとこの敵は倒せない」といった縛りもないので、自分の好きなスタイルでスコアアタックができます。
『Blood Reckoning』:何回でも挑戦したくなる骨太アクション
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/aa236235a718ceff7ae0d0dba81297de3.jpg?x=767)
- 大阪校 制作
- 企業連携:株式会社アクセスゲームズ
パリィが決まったときが最高に気持ちよくて、ゲームオーバーになってしまってもすぐ「もう1回!」と挑戦したくなる中毒性がありました。
『Universe Rhythm Shooting』:リズムに乗ってエイリアンをシューティング
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/a9124bb200be0af9c192b3ed895f34bbd.png?x=767)
- 名古屋校 制作
- 企業連携:株式会社フォーチュン
『Universe Rhythm Shooting』は、リズムに乗ってエイリアンを撃ち落としていくVRライドリズムシューティング。テーマパークのライドアクションをイメージしているそうです。
メンダコやエイなど、海洋生物をモチーフにしたエイリアンたちがとてもかわいい。リズムがかちっとハマったときがめちゃくちゃ気持ちいい作品でした。
『Dragon Fishing』:戦艦で巨大ドラゴンを討伐
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/19509/a6c1fa51c68d0cb53f4499a92a18267f5.png?x=767)
- 名古屋校 制作
- 企業連携:株式会社フォーチュン
エサを撒いてドラゴンの気を引いたり、ドラゴンをクレーンで1本釣りしたりと、プレイヤーを飽きさせないように挟まる演出も魅力的でした。