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『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』レビュー。真骨頂とも言えるドールはやはりロマンの塊。魅力や“味”もそのままに、細かな部分が遊びやすく進化

by西川くん

更新
『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』レビュー。真骨頂とも言えるドールはやはりロマンの塊。魅力や“味”もそのままに、細かな部分が遊びやすく進化
 任天堂より2025年3月20日に発売されたNintendo Switch用ソフト『ゼノブレイドクロス ディフィニティブエディション』(以下『ゼノクロDE』)。開発はモノリスソフトが手掛けている。

 本作は2015年4月29日にWii Uにて発売されたオープンワールドRPG『
ゼノブレイドクロス』のアップグレードバージョン。Wii U版からグラフィックやシステムが改良され、新たに追加ストーリーを収録した決定版と言えるタイトルだ。

 本記事では本編クリアーまで事前に遊んだ、プレイレビューをお届け。基本的に物語のネタバレはないが、内容やシステムはオリジナル版と比較したりすることもあるので、気になる人はご注意を。なお、記事の最後には、本編クリアー後に遊べる追加ストーリーについても感想のみお伝えする。
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初めてプレイする人にこそ『ゼノクロDE』はオススメ!

 『ゼノブレイドクロス』からもう10年経ったの!? とまず驚きつつ、『ゼノクロDE』として再度発売されたことにいちファンとして感謝。オリジナル版はWii Uのみでの発売で、その後長らく移植の話がなかったこともあり、遊んだことがない人も少なくないだろう。

 最初に概要をお伝えすると、物語は本作でほぼ独立している。
『ゼノブレイド』シリーズの1作ではあるが、本家『ゼノブレイド』の物語と直接的には関係がないので、シリーズ作品を遊んでない人でもご安心を(つながりに考察の余地はあるので、そういった楽しみかたも可)。
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“ノポン人”が登場したりもするが、直接的な物語のつながりはない。
 基本的にはシングルRPGなのだがオンライン要素も存在し、疑似的なオンライン協力プレイなども楽しめる。ガチガチにオンライン討伐に励んだりするのではなく、ゆるやかな繋がりに留められているので、オフラインだけでも十分だし、オンラインに手を出せばより遊びの幅が広がるようなシステムだ。なお、事前プレイではオンライン要素については体験不可なので触れていない。

 オリジナル版はダウンロードコンテンツを配信していたが、本作では最初からすべて同梱されたような状態になっている。オリジナル版のオンラインサービスはすでに終了済み。「あの遊びをもう1度味わいたい!」、「あのコンテンツを取りこぼしてしまった」といった従来のファンにもオススメできるし、これから遊び始めるならば
『ゼノクロDE』一択。
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 10年前の作品をアレンジしたということもあり、やや古さを感じる部分や“味”もそのまま残されていたりするので、いまから初めて遊ぶ人には、遊びにくい部分も多々あるかもしれない。ただ、本作の要素は好きな人にはたまらないものとなっている不思議な魅力にあふれ、とくにやり込み要素が好きな人にとっては100時間はカンタンに超えて遊べるほどに、コンテンツがたっぷりと詰め込まれている。

 筆者はサブクエストも多少こなしつつも、1度クリアーしている事前知識があったので、ゲーム内プレイ時間で約40時間でメインストーリーを終えた(追加を除く)。セーブデータの記録時間ゆえに実際にはもっと掛かっているので、追加ストーリーを早く見たい人もある程度のプレイ時間は確保しておこう。
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主役ふたりを支える主人公

 時代は西暦2054年。異星人の戦争に巻き込まれた地球人は、移民船で地球を脱出。2年間宇宙を放浪する旅を続けていたが、異星人の追撃により移民船団は壊滅。しかし未知の惑星に墜落する形で、人類はなんとか生き延びた。

 冒険の舞台となる惑星“ミラ”を第二の故郷にするべく、人類たちは“NLA(ニューロサンゼルス)”を建設。さらに、民間軍事組織“ブレイド”を設立。ブレイドたちは散らばった宇宙船の残骸を集めつつ、生態系や星に眠る謎を探っていく。
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住宅地や商業地などが小さく広がるNLA。
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自然豊かな大地が広がる惑星・ミラ。
 プレイヤーはそんなブレイド隊員のひとりで、キャラクタークリエイトによって制作する主人公を操作する。『ゼノクロDE』ではほんの少しだがよりカスタマイズできるようになり、オリジナル版より個性を出しやすくなっている。
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ボイスの声優陣も、キャスト名付きで選べるのが珍しくもうれしい。
 なお、クリアー後に解放される要素だった、見た目だけを変更する“ファッション装備”はデフォルトで使用できる(オリジナル版ではダウンロードコンテンツの導入で途中から解放できたりしたが)。最初から自分のなりたい姿になりやすく、装備集めもすぐに楽しみやすい。
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 そんな主人公が出会うのが、ブレイドのチームリーダーのひとり・エルマと、エルマチームの一員であるメカニック・リン。プレイヤーはエルマチームの一員として、ミラでくり広げられるさまざまな任務に挑んでいく。
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エルマ
 キャラクタークリエイト方式のゲームは主人公の存在感が薄いこと場合が多々あるが、はっきり言うと本作も例に漏れず主人公の存在感は薄い。主役のエルマ、その相棒であるリンの横にいるような構図で物語がくり広げられる。ストーリー上で、エルマとリンがパーティーにいるのが必須なクエストも少なくない。

 このあたりは、オリジナル版からとくに変わっていない。ちなみに操作キャラクターは主人公以外にも変更可能。序盤からエルマでプレイを進めることもできるので、たとえばエルマを主人公に見立ててプレイというのもあり。
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主人公は選択肢で感情を表現することはできるが、戦闘中以外のセリフはない。
 オリジナル版までの内容で言うと、全12章の物語が展開していく。『ゼノブレイド』シリーズは秀逸なストーリーも特徴のひとつだが、正直な感想としては本作はストーリーも薄味で、終盤まで終始任務に明け暮れるような淡々とした物語になっている。

 見せ場的なシーンも多いが、ドラマティックなストーリーはそこまで期待しないほうがいいかも。どちらかというと、ゲームシステムをメインに据えた、自分ならではの冒険のストーリーを構築していくようなゲームになっている。
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 物語はストーリークエストを受注し、達成していくことで進んでいく。ストーリークエストは一部条件があり、条件を達成するために膨大なサブコンテンツに挑むのが本作の基本となっている。いわゆるサブクエストである“ノーマルクエスト”や“キズナクエスト”などはものすごく多く、かつ見どころも多い。もしかしたら、惑星ミラに住まう者たちの日常的な物語こそ、本作の本筋なのかもしれない。
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新キャラクターも何人か登場する。
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それに合わせて新衣装も解放されたりする。

キャラクタービジュアルが進化

 グラフィックはもともとWii Uで展開していたこともありオリジナル版から美麗で、『ゼノクロDE』になってから大きく進化したわけではない。広大すぎるフィールドや、ミラの自然豊かな環境は健在で、細かい部分ではきっと向上しているかと思うが、そこまで違いは感じられない。

 一方で、キャラクターのモデリングはかなりブラッシュアップされている印象。もともとはリアルとアニメの中間ながらにアニメ寄り、といった感じだったが、どこか人形感の強い印象だった。本作はよりアニメ寄りのモデルになっており、とくにメインキャラクターのひとりであるリンはかわいさが増したように感じた。
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リン
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主役級の仲間であるラオ(ファッション装備で水着になっててすみません)。
 オリジナル版ではキャラクターの読み込みでモタつきがあったりして、それを改善するDLCなども配信された。本作ではそういったことはなく、ごくたまに「ん?」となるような表示もあったが、基本は問題なし。
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 ただ“ドール”と呼ばれるロボットで高速移動できるようになると、敵やキャラクターなどの表示が追い付かず、後から表示されるようになっていく。不満というよりは、慣れれば対処できる要素なので気にしていなかったが、突然現れた敵に襲われてしまうようなこともあった。このあたりは、ドールが速すぎるので仕方ないのかなと納得していたポイントだ。
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本作のポイントとなる“ドール”の詳細は後述している。
 また、文字はオリジナル版がとにかく小さく(というか細い)見づらかったのだが、『ゼノクロDE』はNintendo SwitchのTVモードで遊ぶことも考慮してか、全体的に大きくなってとても見やすくなったのが好印象。
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 UI(ユーザーインターフェース)もアレンジされてわかりやすくなっているのだが、ボタンのガイド表示が大きく減っている。本作はボタンの単押し、または組み合わせで多彩な機能が使えるが、細かな機能を咄嗟に思い出しにくいかも。
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 とはいえ、基本は使わない機能のガイドを減らしたイメージで、たとえばカメラを頭上に投げて周囲を見渡す“ホッパーカメラ”などは、本作でも使用できる。が、基本は使わない機能だ。
『ゼノクロDE』ではメインで使ってほしい機能のみ表示することで、わかりやすさを重視したのだろうと感じた。
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 なお、カメラは人間(インナー)状態の場合、シーンにもよるがオリジナル版よりもキャラクターにやや近づいた印象がある。カメラの近さ、遠さは変更できないが、人間状態はおもに高さのみ変更可。
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デフォルトのカメラの高さ
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高くしたカメラの位置。戦闘や探索ではこちらのほうが都合がよかった。
 ドールは相変わらず背中越しだとかなりカメラが近く、戦闘や探索で見難い場面は出てくるので、お好みで調整するといいだろう。
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ドール状態のデフォルトのカメラの近さ。
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いちばん遠くまでカメラを離すと、こんな感じ。

オープンワールドを自由に探索しよう

 さて、本作最大の特徴とも言えるのが、広大すぎるフィールドを探索していく、オープンワールドRPGとしての体験だ。ミラのあちこちを探索し、クエストをこなしたり、バトルに挑むなどしてゲームを進めていく。メインストーリーはあるが、あとはミラの中で何をしてもいい、といった高い自由度を誇っている。

 行こうと思えば、ストーリーでは後半に訪れるような別のゾーン(地域)にゲーム開始時点から向かえるので、物語そっちのけで探索しても問題なし。もちろん、絶対に序盤では行けないような場所もあるのだが、見える場所すべてが本当に訪れることのできるスポットになっているのも魅力ひとつだ。
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 フィールドの敵はそもそも、よくあるRPGのように“プレイヤーのレベル順の強さで配置”といったバランスにはなっておらず、最初に訪れるフィールド“原初の荒野”ですら、高レベルの敵がバンバン登場。そこまで細かくはないのだが、ミラの生態系が垣間見えるような作りになっていて、未知の惑星を探索している感が強く味わえる。
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 また、プレイヤーは“ジャンプ”が可能。この手のRPGでは登れない場所は絶対に登れないように塞がれていることも多いが、本作はジャンプで行ける場所ならばどんな場所でも行くことができ、ふつうは登れなさそうな坂道を無理やり登れてしまう。

 「ここ本当に行けていいの!?」といった道も活用できる自由度の高さが本作のおもしろさ。絶対にその時点では勝てない敵が道を塞いでいることもあるが、山を駆使して無視してしまうのも手。なお、ゲーム的にも確実にステルスプレイが求められるシーンも多少ある。
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 そんな広大なフィールドで何をするのかと言うと、ブレイド隊員の仕事のひとつ“惑星の調査”である。それをシステムに落とし込んだのが“セグメントマップ”だ。惑星は六角形のエリア(セグメント)に細かく分かれており、そこに何が眠っているのかある程度わかるようになっている。また、マップからファストトラベル(正式名はスキップトラベル)地点の解放なども可能だ。
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 セグメントマップは設置可能なエリアに調査機“データプローブ”を置くと、その周囲の情報が開示されるほか、データプローブ設置場所がファストトラベル地点になる。情報はそのエリアのおもなトピックであり、“お宝アイテム(トレジャー)がある”、“強力なネームドボス(オーバード)がいる”などさまざま。達成することで、そのエリア(セグメント)を攻略したことになる。

 ほかにも調査要素は多数あり、トピックに挙げられないような特筆すべきポイントもあったりはするのだが、基本はセグメントマップを解放することで、惑星またはそのゾーンの調査度が上がっていくイメージだ。調査度はやり込み要素のひとつであり、ストーリークエストなどの解放条件にもなっている。
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 もともとはWii U GamePadを使った遊びだったが、本作ではマップ情報からセグメントマップを切り替える形で表示される仕組みに。ようはふつうのマップに種類がある形になった。カーソルなども表示され、よりマップとして使いやすくなった印象だ。

進化した要素:探索

 そして『ゼノクロDE』は、探索自体がとてもやりやすくなった。まず、オリジナル版には“フィールドスキル”にまつわるややこしい要素があったのだが、それが全体的に撤廃され、より自由な探索が楽しめるように。

 たとえばオリジナル版ではデータプローブを置くにもスキルが必要だった。それが排除されており、データプローブアイテムさえ持っていれば、どこだって調べられるし、どこにでも設置可能。ただ、一部のトレジャーを取得する場合のみスキルが必要で、こちらはとあるクエストで習得できる形に変更されている。

 せっかくデータプローブを置けるスポットに来たのに「あ、メカニカルスキルが足りなくて置けない!」みたいな煩わしさがなくなったのは、とてもうれしい変更点だった。

 また、クエストなどの道筋を光で示してくれる“ナビゲーションボール”も、より使いやすくなっている。おもにクエストアイテムの収集に役立つようになっていて、オリジナル版では「クエストアイテムのこれ、どこで拾えるの!?」とガイドがなく、収集するのがたいへんだったことも。本作では、その地点へのガイドもしてくれるようになった。
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 とはいえ、何も情報がない状態ではガイドは表示されず、データプローブを置いてある程度近くのセグメントを解放しておかないと、ガイドは表示されないのがちょうどいい塩梅。“〇〇などで〇〇を取得する”といったヒントを頼りに、ゾーンの探索が必要な部分は残されている。人によっては、ゼロからゴールまでガイドしてほしかったとは思うが。

 細かな点だとループをオンにしておけば常時表示されるので、表示しながらほかの操作も可能なのがありがたいし、なによりオリジナル版は光のラインを追いにくかった。

 また、“新装備開発”などでは素材となるアイテムがどこで手に入るのか、ウィッシュリストのような形でナビゲーションアイテムとして登録しておくと、手に入るアイテムの地点がわかるようになった。そのアイテムがどこで手に入るのかもナビゲーションボールに対応している。
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 欲を言えば自分で置いたマップのマーカーへのガイドなどにも対応してほしかったところ。なお、セグメントのトピック(トレジャーやデータプローブ設置可能場所など)はガイドしてくれない。このあたりは「そこは自力で探索してほしい」といった開発陣からのメッセージだと受け止めている。

 本作初プレイの人は、とにかく探索がやりやすくなったんだなと思ってもらえればそれでオーケー。マップからクエスト一覧が開けない、マップから受注していないクエストがあった場合、その地点を自分で探さないといけないないなど、少し不便な点は残っているが、迷うことは少なくなったはずだ。
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RPGとしての変更点

 ほかにも変更点は多数存在し、たとえばゲーム内の時間を変更する際には、オリジナル版ではベンチに行ったり、フィールド内の特定ポイントに訪れる必要があった。本作ではメニュー画面からいつでも変更できるようになったので、特定の時間のみ現れる敵などを狙いやすい。
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 また、オリジナル版では仲間のメンバーを変更したい場合、その仲間がいる場所まで訪れる必要があった。本作ではメニューからいつでも仲間を変更可能となり、より快適にパーティー運用ができる。終盤、ロードしないと後戻りできない箇所があるのだが、その地点でもパーティー編成が可能だったのがうれしい。

 なお、待機メンバーにも経験値が入るようになったので、それぞれの仲間たちを個別に育てあげる必要はなくなった。クラスの経験値のみ、バトルで手に入る。
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 といった感じで、細かなRPG部分が多数改善されている。言い始めるとキリがないレベルで細かく変更されており、たとえば前述のフィールドスキルにまつわる“ブレイドレベル”が消滅。ブレイドレベルは、まあ隊員レベルといった感じだったのだが、これを上げないと不都合が多々あった。

 その不都合をなくすために探索を進めていく、という独特の探索モチベーションになっていたのだが。しかしのその代わりというわけではないが、本作ではセグメントマップは解放率によってアイテムやお金などのボーナスが受け取れる。やり込み要素でありながら、別のご褒美が用意されているのはいいアレンジ。

慣れれば楽しい独特のバトル

 ユニークかつやり込みがいのあるもうひとつの要素がバトルだ。戦闘はリアルタイムで進んでいくコマンド選択式で、事前にセットしたアーツ(技)を選択して攻撃やサポートなどをしていく『ゼノブレイド』シリーズらしいバトルになっている。

 一見、アクションゲームのようだが、攻撃を動作で回避したりすることはできず、発動すればどこにいようが壁越しだろうと、システマチックに攻撃は当たるようになっている。あくまで見た目はビジュアルといった感じで、距離感などはデフォルメされたものだと思うといいだろう。絶対に届かない空中の相手を近接攻撃できたりするし。
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メチャクチャ壁を殴っているように見えるかもしれないが、中身の敵を攻撃している。ちゃんと届く。
 ただ若干のアクション要素はあり、敵の背後や側面に回ることで効果を発揮するものや、敵の攻撃動作を中断する攻撃、または自分の動作を中断するなども一部存在する。最終的には画面下にあるアーツアイコンと位置情報しか見ないレベルで戦闘がくり広げられていくのは、ある意味本作ならではの魅力だ。

 ユニークなのが“ソウルボイス”システム。キャラクターが状況によって「いま銃撃チャンスだよ!」などと言うと、それにほかのキャラクターが呼応することで、パワーアップや回復効果を受けられる。操作キャラクターはアクションになっていて、タイミングを合わせてBボタンを押すことでソウルボイスを発することが可能。呼応する場合は、その対応アーツをくり出す必要がある。ちなみにソウルボイスは一定の確率で発動する。
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 また、おもに通常攻撃やアーツ効果で溜まる“TP(テンションポイント)”を3000まで溜めると、超必殺技的なシステムの“オーバークロックギア”を発動可能。発動中はアーツを再発動するまでのリキャスト時間が大幅に短縮され、アーツを短時間で連発できるようになる。

 このオーバークロックギアはオリジナル版ではチュートリアルで説明されず、説明書を読まないと理解が難しいシステムとなっていた。本作では多少のガイドはあるが、やはり詳しいチュートリアルは存在しない。代わりに、バトル中にオーバークロックギアで狙うためのポイントが画面右側に表示されるようになった。
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 ただ、オーバークロックギア中はものすごく忙しいので、ガイドを確認しながらくり出すのは難しい。ガイドを見ながら操作して慣れていくような、練習のための表示なのだろう。使いこなせばずっとオーバークロックを発動なんてこともでき、火力もゲーム中随一となるが、あまりにもガイドのないシステムだったため、本作から理解する人も出てくるのではないだろうか。

進化した要素:バトル

 大きな変更点であり、とてもいい要素だと思ったのが“クイックリキャスト”の追加だ。バトル中、専用の“エネルギーゲイン”を消費することで、アーツのリキャスト時間を待たずに、Yボタンを押すと好きなアーツをいつでも再発動できる。

 ソウルボイスシステムのおかげもあって、仲間のアーツに自分のアーツを合わせるのが強力だ。そのため、各アーツを好きなタイミングで使うよりも、ソウルボイスのアーツ属性を合わせるために溜める・待機させておくような立ち回りが基本的な戦いかた(とくに序盤~中盤)。

 そのため、バトル中はアーツを使わずにただただ敵を通常攻撃をする地味な時間がどうしても流れがちだった。とくにアーツが少ない序盤はそうなりがちで、アーツを自由に振りにくく、序盤であればあるほど窮屈な戦闘になってしまう。もちろん、ソウルボイスを使わなくてもいいのだが。
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画面の下側にあるアーツアイコンの、中央右下の小さな線がリキャストゲージ。
 しかし、ソウルボイスに応えるためにアーツが使用済みだったとしても、クイックリキャストを使うことで対応可能になった。これはとても大きい。この追加点によってバトルの難度はやや下がっているようにも感じたが、それでもバトルは爽快に遊びたいものだし、個人的にはアリ。頻繁に発生するソウルボイスの発動は、とてもバトルが賑やかになった。

 また、シンプルにリキャストのためだけに使ってもいい。序盤はアーツが少ないので、攻撃系のアーツをとにかく連発するだけでもバトルの手助けになるし、地味なバトルもそれなりに戦っている感が味わえる。

 テクニックとしても活用でき、たとえば自分のHPを半減してTPを1000溜めるアーツ“ブラッドギア”を3連続で発動すれば、0の状態からオーバークロックギアを発動できたりもする。もちろんリスクはあるものの、こういった感じでさまざまなアーツの使い勝手がよくなった。
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 戦闘開始時、エネルギーゲインは満タン。消費量はそのアーツのリキャスト残り時間によるので、残り10秒なら多く、残り1秒なら少ない消費で済む。エネルギーゲインは戦闘が終わると全回復するので積極的に活用しよう。なお、エネルギーゲインは探索の報酬などで得られるアイテム“エネルギーストレージ”を手に入れると、最大値が上昇する。

 ソウルボイス用には頻繁に使えるし、畳みかけたいここぞというときに残しておいてもよしと、かなり戦闘の自由度が広がっている。なお、クイックリキャストは後述する“ドール”の戦闘では使用できないので、人間体(インナー)でのバトルにより強みが付けられていると感じた。

ドールこそ最大の魅力!

 ここまでの要素は昨今のRPGに慣れていると、地味に見えるかもしれない。銃や剣で敵と戦って、広大なフィールドを駆け巡る。ド派手な要素は少ないし、オープンワールドである強みも昨今では珍しくない。探索のやり込み要素も、徒歩でコツコツ進めるのはストレスに感じるかも。

 本作随一の魅力だと筆者が思っているのは、この広大な大地の中で、乗り込み型の人型機動兵器“ドール”に乗れることだ。ドールは変形機構を持つ歩行メカ(一部例外もあり)で、手に入れるとドールでの探索、バトルが可能となる。
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 探索面では、2~4輪のバイク、クルマ、戦車などに変形でき、高速に移動が可能。また、人間よりも大ジャンプができるので高所にも登れるほか、毒沼などの危険地帯も、気にせず進めるようになる。
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 バトルでは、ドールはパイロット(インナー)とはまた別のステータス&武装を持ち、ドールの性能だけで戦える。育成は必要とせず、機体と装備さえあれば強くなれるのが特徴。逆に言えば、お金などの資産が膨大にかかるツールとなっている。筆者はレベル30帯のドール1機の戦力だけで、最後まで突っ走ってしまった。揃えればそれくらい強力になる、後半からの主戦力だ。
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装備品の名前はかなりわかりにくいのでRPGとしてはよくないが、ロボットものとしてはアリ。
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敵機体との戦いだってある!
 また、終盤には“フライトカスタム”を導入でき、ドールで高速空中飛行が可能になる。本当の意味で自由な探索が可能となり、いままで足の届かなかった山々や、行きにくかった場所へも気軽にアクセスできるようになるのだ。
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空の高いところにある足場まで飛べば……。
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実際に乗ることもできる。下に見える街にだって、飛んでアクセスできるのが本作のすごいところ。
 探索もバトルもドールに乗ってこなせるのが、ロボット好きにはたまらないところ。人に話しかけたり、細かい場所を調べる場合にはドールを降りないといけなかったりと、その細かい描写も大好き。ちゃんとドールに乗り降りしているところがイイ。ロボットではなく、そのパイロットたちを操作している感がとてもイイ。
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巨大な敵VSドールとの戦いは、本作らしい要素。
 オープンワールドタイトルで、車両変形、飛行が可能なロボットにいつでも乗り降り……。そして武装はカスタム可能で、ライフルやソード、ミサイルやビームなども発射できたりと、もう夢が詰まりまくり。もしかしたら人によってはまったくそう思わないのかもしれないが、筆者としてはココが『ゼノブレイドクロス』の真骨頂であると思っている。
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ちなみにだいたいレベル20前後の時期にドールが解放されるのだが、そこまでにはそれなりに時間は掛かる。
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対巨大ロボとのバトルだってある!

進化した要素:ドール

 ドールに関しては大きな変更点はないが、細かな追加・変更点はやはり存在する。まず新ドール“フレスベルグ”が登場。ドールに搭乗可能になったタイミングでクエストが登場し、フレスベルグにまつわるクエストが進行。クリアー後に入手可能だった。
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フレスベルグ
 フレスベルグは武装の変更できないドールで、かつ変形機構もない。特殊な運用方法となるドールだが、さらに特別な要素もあるが、内容は言わないでおこう。序盤はお金が少なくドールを揃えるのは難しいので、無料で1体手に入るのはうれしいところだ。
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フレスベルグに関する仲間も新登場する。
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ちなみにフレスベルグには専用のオプションがある。
 細かい変更点として、フライトカスタムをしたドールがジャンプできるようになった。オリジナル版はフライトカスタムをした場合、ジャンプが消滅して地上から飛行する仕組みだった。短い距離を登るには微妙に使いにくく、かつ飛行状態は燃料消費が激しいので、ジャンプを使いたい場面も多々あった。

 『ゼノクロDE』はジャンプ→飛行の2段方式になったので、フライトとジャンプの使い分けが可能に。地味ながらに待ってましたの変更点だ。もうひとつ地味なところで、溶岩などの危険地帯はホバー移動するしかなかったが、車両に変形している状態でも入れるようにもなっている。
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 なお、本作のBGMを手掛けるのはアニメ
『機動戦士ガンダムUC』や『キルラキル』の劇中BGMなどの知られる、澤野弘之氏が担当している(澤野氏がゲーム作品に関わるのは本作が初!)。澤野氏と言えばボーカル曲が特徴で、バリバリの澤野氏サウンドがゲーム全体を盛り上げてくれる。

 フライト時に流れる専用BGMは、オリジナル版とは異なりボーカル付きのアレンジ楽曲(もちろんオリジナル版の楽曲もオプションで選択可能)。アレンジ版で本作屈指のクライマックスシーンに向かうのは、曲も相まってもう気分が高揚しまくった。
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遊びやすくなった『ゼノブレイドクロス』

 全体的に見て、追加ストーリー以外は大きな追加・変更点があるわけではないものの、細かい多数の要素が見直されており、現代的になったり、オリジナル版で遊びにくかった部分が大なり小なり改善されているのが、『ゼノクロDE』だ。

 アイテム取得表示で自分の経験値取得量が確認しにくい、ダンジョン内などの一部で挙動が変わるカメラ操作など、ところどころで気になった部分はそのまま。遊びにくさやわかりにくさ、操作がしにくい部分も残っているものの、システムが完全に消えるなどの大胆な変更で全体的な完成度は大幅にアップしたように思う。

 チュートリアルの少なさは気になるところで、テキストをちゃんと読み進めなければ理解できない点(おもにバトル)は多々あるかもしれないが、唯一無二のバトルと、やり込みがいのあるオープンワールドでの体験はオリジナル版以上に楽しい。
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本作初のバトルだが、基本は右下のガイドのみで進む。
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細かくいろいろとテキストは挟まるのだが「このタイミングで?」と情報が遅かったりもする。
 基本の体験はあまり変わらないので、追加ストーリーが読みたい、もう1度ミラの大地を探索したい人にはオススメできるが、正直新鮮な部分はさほどないかも。本作で初めて遊ぶ人には、間違いなくオススメできるRPGとなっているので、ぜひブレイド隊員として活躍してみてほしい。
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そういえばこんなイベントあったな、としみじみ。
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やたらと料理グラフィックの多いゲームとなっている。大好き。

追加ストーリーのちょっとした感想

 最後に、追加ストーリーの“感想だけ”をお伝えしておこう。物語としては公式サイトでも隠されているのでボヤかしてお伝えするが、本編をクリアーした12章のあとに、続けて“13章”が登場。新たな事件が起こり、もうひとつのゾーンでの冒険が始まる。より詳しく知りたい人(おもにすでにプレイ済みのファン)は、公式サイトのこちらをチェックしてほしい。

 個人的には想像していたよりも「これが見たかったんだよ!」みたいな追加ストーリーではなかったのだが、そういった部分も含まれているので、少なくとも本編を遊んだ人は続けざまに物語をぜひ体験してほしいところ。

 また、バトル難度は本編後ということもあり、やはりそれなりに骨太。ただ、予想していたよりも入念な準備が必要かというとそうではなく、本編からある程度地続きの戦力でも個人的には攻略できた。しっかり準備期間があるというよりは、“章”として続けざまに物語を楽しめるはずだ。
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      集計期間: 2025年04月25日12時〜2025年04月25日13時