『サイレントヒル 2』リメイク版試遊レビュー。レッドピラミッドシング戦の緊張感も健在。UIオフなど、雰囲気重視のオプション機能にも注目してほしい
 KONAMIより、2024年10月8日にプレイステーション5とPC(Steam)で発売予定のリメイク版『SILENT HILL 2』(以下、『サイレントヒル 2』)。開発はポーランドのゲームスタジオ・Bloober Team(ブルーバーチーム)が手掛けている。

 発売の2ヵ月前となる2024年8月8日に本作のメディア先行体験会が実施され、いち早くリメイク版がどんなゲームになっているのか、たっぷりと体験することができた。約4時間にわたるゲーム序盤の先行レビューをお届けしよう。
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亡くなったはずの妻を求めて

 物語の舞台となるのは、トルーカ湖を中央部に有する閑静な田舎街“サイレントヒル”。主人公のジェイムスは、死んだはずの妻から届いた手紙に導かれ、彼女に会いたい一心でサイレントヒルを訪れる。しかし、その街は不気味な霧に包まれ、さらに謎の怪物が出現する。
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主人公・ジェイムス
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サイレントヒルを訪れた途端、怪異に遭遇してしまう。
 プレイヤーはジェイムスを操作し、サイレントヒルに潜む怪異に立ち向かいながら、妻の謎を追い求めていく。リメイク作品のため、物語の根幹はオリジナル版と変わらないが、描写や演出などの多くの部分でアレンジが加えられている。

 リメイク版でも秀逸なストーリーが展開されると予想できるが、2001年に発売されたオリジナル版が世界中で人気を博したため、少し検索するだけで簡単にネタバレに触れてしまうほど、情報が溢れている。もし、オリジナル版を遊んだことがない人でも、リメイク版
『サイレントヒル 2』が気になるなら、楽しみを損なわないためには、あまり情報を追いすぎないほうがいいだろう。

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モダンになったホラーADVの金字塔

 ゲームは、ジェイムスの視点で街を探索しながら物語を進めていく。ときには謎解き要素があったり、クリーチャーとのバトルがくり広げられるなど、アクションアドベンチャー要素を盛り込んだサイコロジカルホラーに仕上がっている。

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 グラフィックはプレイステーション2の時代とは比べ物にならないほど綺麗。最新のタイトルと比べると特別に優れているわけではないが、陰影の工夫によりシリーズ特有の雰囲気がしっかりと再現されている。

 オリジナル版では見下ろし型の視点が採用されていたが、リメイク版ではジェイムスの肩越しにカメラが配置された三人称視点(いわゆるTPS)に変更されている。視点が近くなったことで、街の細部をよりじっくり観察できるだけでなく、左右や後方の視界が狭まることで生まれる独特の恐怖感も体験できた。

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 ゲーム序盤では、湖のほとりを抜けてサイレントヒルに入るまでのパートがある。オリジナル版と同様にとくに何も起こらないが、「何かが起こるかもしれない」というドキドキ感は健在。これは“ホラーゲームをプレイしている”という先入観が生み出している要素かもしれないが……。

 体感として、リメイク版では何もない場所を走るパートがかなり短くなっているように感じた。これは風景の情報量が増えたからだと思ったが、ゲームのテンポを上げるために、実際に短くしているようだ。

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 また、物語の序盤で母を探している女性・アンジェラと出会う。オリジナル版では影や不気味さを感じさせるキャラクターデザインだったが、リメイク版ではどこかやさしげな雰囲気に変更されている。少し印象が異なるが、何か意図が込められていそうだ。

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 ゲーム中は地図を見ながら、プレイヤーが自由に探索を行える。ヒントとなる情報を見つけるのがやや難しく、最初はどこに行けばいいのか戸惑うかもしれない。この難しさはオリジナル版から引き継がれた要素だが、リメイク版ではヒントとなるメモが多数追加されており、比較的迷いにくくなるよう配慮されている。

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 ジェイムスが見たり得た情報を地図に書き込むのもオリジナル版と同じ。達成した場所やその内容も詳しく記入されるため、マップがよりわかりやすくなった。また、ジェイムスがシームレスにマップを取り出してくれるおかげで、没入感が高まっている。

 アイテムや探索要素、一部の道筋がアレンジされている点にも注目したい。たとえば、物語の冒頭では、クリーチャーと出会って戦闘が始まるシーンがある。血を辿っていくとクリーチャーと遭遇する点はオリジナル版と同じだが、場所が屋内に変更されている。その間に、アイテムの取得方法や移動についての簡易的なチュートリアルエリアが挟まれているのもおもしろい工夫だ。

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 アイテムを拾い集めながら探索する要素はオリジナル版と同様だが、リメイク版では棚や引き出しなど、調べられる場所が多数追加されてる。これにより、細かい探索の重要度が大きく増している。

 クルマの中にアイテムが落ちている場合もあり、窓ガラスを割って探索することも可能。プレイヤーの選択とはいえ、止められたクルマをひとつずつチェックしてガラスを割るジェイムスには、「緊急時とはいえ、まるで車上荒らしじゃないか……」とちょっと笑ってしまった。探索も重要な要素のひとつのため、気になる人は、気になるかも。

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 また、調べることでジェイムスが隙間に入り込んだり、穴をくぐったりと、移動に使う探索ポイントが増えている。ガラスを割って移動できる場所もあり、より立体的な探索が求められるようになった。ちょっとした新要素だが、移動することを飽きさせないような工夫が感じられた。

 入れる隙間は一見わかりにくいが、よく見ると“白い包帯”が貼られていたり巻かれていたりする。この白い包帯が雰囲気を損なわない簡易的なヒントとなっているようだ。とは言え、暗い場所では包帯自体が見つけにくかった。

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壁を壊して進む場所もある。
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高いところにある穴に入ることも。
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 隙間にジェイムスが手を入れ、汚水など気持ちの悪いところからキーアイテムを取り出すシーンも。ボタンを押すたびにジェイムスが不快そうに手を突っ込み、段階を経てアイテムを入手するという新しい演出も加えられていた。

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壁の中や、便器に手を突っ込むようなシーン。ジェイムスの顔が見どころだ。
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謎解き・パズルが大幅追加

 謎解きや探索要素はオリジナル版を踏襲しつつも、大幅にボリュームアップしている。新たな謎解きやパズルが多数追加されており、道順自体はオリジナル版とほぼ同じだが、リメイク版ではアパートエリアに進むためにはより多くの手順を踏む必要がある。

 アパートの門の鍵は、取得するための手順がうまくアレンジされており、“レコードを修復してジュークボックスに隠された鍵を手に入れる”といった謎解きに。謎解き要素は、その後のアパートエリアでもさらに追加されていた。

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 謎解きの難度は、単に進むだけでは解決できず、しっかりと考えなければならないバランスになっている。一部のシーンでは、日本語テキストを見るだけでは理解しにくい場合もあるが、全体的にはほどよい難度でパズルや探索を楽しむことができた。

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ヒントや物語の鍵となるメッセージ類は、裏側に何かが書かれていることも。

 約4時間のプレイのほとんどを占めていたのは、謎解きやパズル、そして細かい探索の時間だったように思う。アパートエリアはとくに複雑にアレンジされており、アパートのベランダからしか入れない場所や、壁の隙間を見つけなければならない場所が多数用意されていたため、オリジナル版よりも難解になっていた。

 オリジナル版では街中での探索がやや冗長に感じることがあったが、リメイク版では追加された探索場所やより多く出現する敵のおかげで、「移動が長いなぁ」と思うことはなかった(オリジナル版ではそう感じることが多かった記憶がある)。

 一部のポイントではまったく説明がなく、オブジェクトを調べることでカメラが切り替わる場所がある。最後まで遊べば「あそこにはこういう意味があったんだ」とわかると思うが、初めてプレイする人には少し不思議に感じる要素かもしれない。

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アクション性の増したバトル

 バトルは大きく変化しており、リメイク版はオリジナル版よりもアクション性が向上している。ただし、過度に強調されているわけではなく、ゲームの緊張感を維持しつつ戦える程度に抑えられている点が好印象。

 基本的な操作感は一般的なTPSに近く、序盤では角材を使って敵を倒していくことになる。オリジナル版では打撃武器が強すぎて、クリーチャーを一方的に攻撃できる場合が多かったが、本作では打撃を当てても敵が殴り返してくることがあり、一筋縄ではいかなくなった。

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 また、回避アクションが追加されており、回避した方向にジェイムスがステップ移動する。クリーチャーが反撃してきそうだと感じたら、ステップで距離を取ったり、横に回避することが攻略の鍵。それほど戦略的に深いわけではないが、「2回攻撃したら反撃されそうだから回避しよう」といった、深追いしないバトルになった印象だ。

 回避アクションはかなり反応がよく、打撃の振り始めを中断(いわゆるキャンセル)しながら回避することもできる。そのため、傍から見ると機敏に動き回るジェイムスに違和感を覚えるかもしれない。しかし、プレイしているとジェイムスの姿よりも敵の動きに目がいくため、それほど気にならなかった。

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 ダウンしたクリーチャーへの追い打ちは健在で、トドメを刺せたかどうかよくわからないクリーチャーに必死に追撃するジェイムスの姿には、どこか懐かしさを感じた。

 アパートエリアに進むと、狭く暗い空間に多数のクリーチャーが出現し、戦闘の緊張感が大きく増す。さらに三人称視点になったことで、複数のクリーチャーに囲まれたときに背後から襲われる場合もあり、アクション面でホラーゲームらしい恐怖感が格段にアップしている。

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 そんなときに役立つのが、序盤で手に入るハンドガン。弾数は少ないものの、遠距離から安全にクリーチャーを倒せるため、複数のクリーチャーと戦う際には非常に重宝した。装備品はリアルタイムで方向キーを使って切り替えられるようになっている。

 デフォルト設定ではエイムアシストがあまり強くなく、しっかり狙いを定めないと当てにくいが、オプションでアシストを強化すると、ほぼロックオンのようにサポートされるため、この手のシューティングが苦手な人でも安心してプレイできる。

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いたれり尽くせりなオプション設定


 オプション設定はとても豊富で、デフォルトではアイテムの近くに行くと、取得アイコンとして白い点が表示される。デフォルト設定ではこのようになっているが、アイコンをボタン表示にしてよりわかりやすくすることも、雰囲気を損なわないように非表示にすることもできる。こういった細かな配慮がしっかりと用意されているのはうれしい。

 デフォルト設定は“雰囲気を守る”ことが重視されているため、アイテムや調べられる場所が見つけにくく、慎重に探し回る必要がある。たとえば、暗い部屋の中でライトを照らすことでようやく見つけられる隙間(白い包帯)など、かなり見つけにくいこともあった。

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白い丸点がある場所が、調べられる場所。よく見るとヒントの白い包帯がある。
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画画面の情報量が増えたため、調べられるものが少しわかりにくくなっている。そのため、UIをあまり見たくないという人も、本作ではどうしてもアイコン表示に頼らざるを得ないかもしれない(右側のテーブルに調べられる場所がある)。

 オプション設定のハイライト機能をオンにすると、アイテムやヒント要素を好みの色でハイライトすることができる(敵やジェイムスなどもハイライト可能)。この機能を使うと、見つけにくかったアイテムが発見しやすくなる。

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フラッシュライトも登場。本作は暗い場所が本当に暗いので、必須アイテムだ。

レッドピラミッドシングとの戦いも

 全体的には、やはり『サイレントヒル 2』の魅力がそのままに、よりハイクオリティーになった印象。バトルに緊張感が加わり、謎解きやパズルも追加されて、よりやり応えのあるゲームに仕上がっている。現代的なゲームとしてうまく作り直されていると感じた。

 雰囲気やオリジナル版のよさを重視しすぎた結果、ほんの少し古臭さを感じる点や、デフォルト設定での遊びにくさなどが気になった。しかし、オプション設定でプレイヤーが自分の好みに合わせて変更できるため、雰囲気を重視しないで快適に攻略を進めたい人は、オプション周りを調整するといいだろう。

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いわゆる“裏世界”は本当に進化した印象。Bloober Teamの本領発揮といったところ。
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 サウンド面については、今回3Dオーディオヘッドセットで体験したが、これがとてもよかった。あらゆるサウンドがどこから鳴っているのかがはっきりとわかり、没入感が一層高まった。
『サイレントヒル 2』の体験には、サウンドの向上が重要だと感じたので、ぜひサウンド環境を整えてプレイすることをおすすめする。

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 今回は序盤の“レッドピラミッドシング戦”までを体験したが、かなり急ぎ足でやって4時間内になんとか達成できた。もっとじっくり遊べば、より時間がかかるかもしれない。ちなみに、ボス戦はもちろん歯応えはあったが、あくまで
『サイレントヒル 2』らしく、高いアクション性が求められるわけではなかった。

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 レッドピラミッドシング戦まででの体験でも
『サイレントヒル 2』らしさは損なわれておらず、発売がとても楽しみになった。ファンとして気になるのは、一部のキャラクターデザインくらい。激しいバトルアクションがくり広げられるわけでもなく、あの雰囲気そのままに精神を少しずつ蝕むような極上のホラー体験が楽しめるだろう。

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