新作スマホRPG『シルバー・アンド・ブラッド』先行レビュー。吸血鬼の眷属として生きる本格ゴシック・ヴァンパイアRPG。アニメ調の演出がかっこいい
 Moontonより配信予定の新作スマートフォン向けRPG『シルバー・アンド・ブラッド』。2025年3月28日より限定課金クローズドテストが開始されており、正式サービス前にいち早く本作を遊ぶことができる。

 クローズドテストと言うと、抽選応募などでプレイヤーを募ることパターンが多いが、本作は対応Android端末で、Google Playストアにアクセスするだけで参加することができ、実質オープンベータのようなテストとなっている(iOS・App Storeは不可)。

 期間は2025年4月14日(11時00分)までとなっており、サービス開始にプレイデータは引き継がれない。また、“限定課金”とあるように本テストでもコンテンツを課金して入手できるが、データ引継ぎはないので、正式サービス後に課金要素が返還されるとのことだ。

 本記事ではテスト版をプレイしてみた感想をお伝えしつつ、ゲームの魅力やシステムを紹介していこう。
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『シルバー・アンド・ブラッド』をダウンロード(Android)
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吸血鬼×中世×ゴシック

 舞台は、本作固有の神話が言い伝えられている地球とはまた別の世界・ミネクサス大陸。時代は1353年で、中世ヨーロッパあたりの中世盛期~後期がモチーフになっている。

 この世界には記憶を別の器に移し、永遠の命を宿す“血族”が存在する。血族とはいわば吸血鬼だ。血を吸われたものは眷属となり永遠の命を手に入れる。そんな世界であるとき“黒血病”という疫病が蔓延。黒血病に掛かったものは最後、人間も動物も怪物のような存在になってしまう。こちらはいわゆるゾンビのような存在。
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 物語は黒血病に掛かった主人公のノアが、教会に“銀髪の大罪人”として火あぶりの刑にされるところから始まる。記憶はなく、自分が何の罪に問われていたのか、なぜ火あぶりになったのかもわからない。だが目を覚ますと、そこは見知らぬ城の中だった。
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 主人公のノアは“月の民”と言われる存在で、血族たちの伝説の鍵となる者だった。そこで血族のひとり・エンプーサはノアを眷属として同族にし、命を助けたのだ。月の民が集まれば、一族が“月の帰還”を果たすための鍵になるのだという。
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 だが助けた代償としてエンプーサは教会に捕らえられてしまう。蘇生したノアは仲間たちとともにエンプーサを助けだすところから、運命の歯車が動き出していく。
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ストーリー重視のスマホRPG

 スマートフォン向けRPGのスタイルはいろいろあると思うが、本作はメインストーリーでプレイヤーのモチベーションを引っ張るタイプのタイトル。もちろんそこにはキャラクターたちのドラマや魅力も関係しているが、基本的には物語の魅力を前面に押し出しているように感じた。
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 基本は3Dモデルによる会話シーンで物語が進んでいくが、特筆すべきは随所に2Dのアニメパートが挟まっており、まるでテレビアニメを見ているような感覚でストーリーを楽しめる。序盤を過ぎると途中からアニメパートはやや少なくなっていくが、完全に消えていくわけではない。
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 世界観と物語も全体的にダーク寄りで、ゴシックな空気漂うファンタジー作品に仕上がっている。吸血鬼、中世ゴシックといったテーマが刺さる人にはたまらない魅力となっており、美しい雰囲気を作品全体がつつんでいる。

 全体的にシリアスな内容ではあるが、少年マンガのダークファンタジーのように多くの人に受け入れられるような塩梅に調整されている。血が絡むことから出血描写などはあるが、グロテスクなシーンなどはない(レーティングの対象年齢は12歳以上)。
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 物語の固有名詞はかなり多く序盤はとくに舞台設定や関係性などの説明を重視しているため、物語を飲み込みにくい点もあるだろう。そこは何も知らない登場人物のひとり・セティが「つまりこういうこと?」と、わかりやすくまとめてくれたりするので、読み進めやすいのも好印象。
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個性が尖った登場人物たち

 仲間となるキャラクターたちは、この世界観だからこその、美麗なビジュアルを持つ者ばかり。この手のタイトルは確実に「幅広い層を狙っているな」というキャラクターに溢れてしまいがち。本作にもその印象があるキャラクターはいるのだが、尖った見た目をしている者もかなり多い。
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 なお、仲間の男女比は女性ちょっと多め、といったくらい。女性キャラクターがすべて、またはほとんどを占めるのゲームも少なくないが、本作は男女ともにある程度のバランスを保って登場するようだ。
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シンプルでなじみやすい王道バトル

 ゲームの基本は最大5人のパーティーでバトルをクリアーしていくRPG。ユニットを配置して陣形を組み、あとは基本オートバトル。時間経過などでスキルゲージが溜まると、画面右下にあるボタンからスキルを発動できる。

 キャラクターには属性があり、3つの別属性スキルを発動すると一定時間キャラクターが強化されたり、スキル発動のコストが下がったりする。
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 スキルゲージを溜めるタイプの作品は発動するまで地味な戦闘になりがちだが、本作はゲージの溜まる速度がかなり速く、スキルをバンバン発動できるのがとても爽快。そのぶん操作はやや忙しいがスキル選択時は時間がとてもゆっくりになる。

 スキルは一部キャラクター(おもに上位レアのキャラクター)に2Dアニメのカットインが用意されており、これがとてもカッコイイ。一瞬だけズバッと決めカットを見せてくれるので、バトルのテンポも阻害されない。また、1度発動したスキルアニメはつぎから流れないようになっているのもうれしい配慮。ここはオプションで毎回演出が見れるように変更もできる。
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 倍速戦闘やオートバトルにも対応。陣形や属性の概念はあるが、基本的には準備が重要で、バトルが始まると見ているだけで進められるようになっている。昨今のスマートフォン向けRPGは「毎回戦闘で操作を必要とする」、「深い戦略を毎回自分で考える必要がある」ことも珍しくないが、本作は昔ながらの基本は放置バトルでサクサク進められ、ここぞというときに操作介入や、戦略の変更が求められるような伝統的なスマホRPGと言えるだろう。
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サブコンテンツで育成!

 育成は素材を消費して強化していくシステム。キャラクターの経験値アイテムでレベルアップがあるほか、同じキャラクターを重ねることでレベル上限を限界突破するおなじみのシステムもある(正確には限界突破用アイテム。限界突破もディアブレリーという名前)。
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 キャラクターはレア度によって限界突破できる回数が決まっていて、最高レアのSSRなら3回可能、SRなら2回限界突破できる。そのため、最終的に見ればSSRのほうが強いのだがそこに至るまでの道筋はSRキャラクターのほうが運用しやすい、といったタイプの育成方法。
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ほかのプレイヤーが使用しているキャラクター率が見れるので、単純な人気や「これが強いんだな」と確認できそうだ。
 また、装備品やスキルの強化といった要素もある。全体的に育成はシンプルにまとまっていているが、育成用の素材や装備品の入手方法は非常に多彩。
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 育成はメインストーリーとは異なるコンテンツに挑むのが基本で、ローグ系のミニコンテンツ、タワー型の攻略コンテンツ、ハード系のやり込みステージ、はたまた時間放置による報酬獲得・派遣系など非常に多彩。あらゆるスマホRPGのいいとこ取りなくらい、育成コンテンツはとても多い。
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 時間が掛かりそうにも見えるが、一部コンテンツはバトルスキップも可能なので、とてもサクサクとコンテンツに挑むことができた。メインストーリーでつまづいたら、サブコンテンツで育成し、さらに物語を読み進めていく……というのが本作の基本サイクルだ。
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テスト版でも期間限定イベントが開催されていた。正式サービス時も、おそらく同じような内容のものが実施されるだろう。
 ユニークだったのが眷属たちと会議をするコンテンツ。1日1回、最大5人のキャラクターを選び、会議を通して親密度がアップするというもの。親密度が上がると強化につながるほか、ボイスなどのライブラリが解放される。この会議の模様はとてもコミカルで、とても微笑ましかった。
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メインメニューは、物語に合わせて仲間たちが集結していく感じも、とてもよかった。

気になる人はテスト版をプレイ!

 チュートリアルはとても丁寧だが、突破するまでは多くの作品の例に漏れず、プレイ自体はかなり窮屈。丁寧がゆえに自由に遊べるようになるまでの時間はそこそこ長いが、1度抜けてしまえばかなり自由。コンテンツ解放はプレイヤーレベルではなく、メインストーリーの進行度が基本。育成さえ進めてしまえばキャラクターパワーで序盤の進行をテンポよく進められるのもポイントだ。
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自由なプレイが解放されたあとも、メインミッションをこなすだけで育成の流れを学べるのはとてもいい導線。
 ゴシックで耽美な世界観、アニメシーンも挟まるストーリー重視、シンプルな育成メインのバトルと、スマホRPGの基本的な要素がしっかりとまとめられている。そのぶん、特筆すべき点は少ないものの、“吸血鬼をテーマにした物語と、個性的なキャラクターたち”は本作ならではの魅力に溢れている。
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 もし気になる人がいたら、クローズドテストに参加してみてはいかがだろうか。ただし、冒頭でお伝えしたようにプレイデータは製品版に引き継がれない(課金要素はゲーム内で払い戻しされる)ので、「また同じことをやらなきゃいけない」と思ってしまう人は、期間中やり込みすぎないほうがいいかもしれない。
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 なお、ゲーム外の難点として本作は公式サイトが存在せず、いまのところアジア向けの公式Discordサーバーしか情報を得る方法がない。本記事で本作のことを知った人のほうが、おそらく多いのではないだろうか。正式サービスがいつから始まるのかなど、今後の続報や公式PRにも期待したいところだ。
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