2022年9月15日から18日にかけて開催される“東京ゲームショウ2022”。1996年から始まった東京ゲームショウ(以下、TGS)は、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する日本最大のゲームイベントだ。

 本記事では、1996年から2021年までに開催されたTGSを振り返り、そのなかでも注目された作品などを紹介していく。各種ハードやビッグタイトルの登場など、ゲーム業界の歴史もざっくりと振り返ることができるので、ぜひ最後まで目を通してほしい。

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1996年:記念すべき第1回開催。『バイオハザード2』が発表され、プレイステーションが大いに盛り上がった

 TGSが最初に開催されたのは、1996年8月22日から24日までの3日間。1994年には初代プレイステーションとセガサターンが、開催2ヵ月前の1996年6月にはニンテンドウ64が登場し、ゲームハード市場が大きく変化していた時期だ。

 この年には『バイオハザード2』が発表されたほか、『ワンダープロジェクトJ2』や『グランディア』、『サクラ大戦』などのタイトルが出展。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
第1回東京ゲームショウの模様。このときの会場は東京ビッグサイトだった。

1997年春:『ファイナルファンタジーVII』の衝撃後に開催された第2回。以降5年間は春秋年2回の開催に

 1997年春のTGSは、4月4日から6日までの3日間で開催。この年から2001年までの5年間は、TGSが春と秋、年2回開催されていた。1997年は1月31日に『ファイナルファンタジーVII』がリリースされ、ゲーム業界全体に衝撃を与えた年だ。

 出展作品にも3Dを売りにしたタイトルが多く、『AZEL -パンツァードラグーン RPG-』や『バロック』、『ソウルエッジ』などが登場。『バーチャロン』や『幻想水滸伝』などのPC版も出展されるなど、ところどころでPC用タイトルの姿も見られた。

1997年秋:幕張メッセに会場を移した初の回。プレイアブル出展されら『ゼノギアス』が注目を集める

 1997年9月5日から7日にわたって開催された97年秋のTGSは、イベント規模の拡大を受けて会場を東京ビッグサイトから幕張メッセに変更。以降、2019年までTGSは同会場で開催されることとなる。

 『ゼノギアス』がプレイアブル出展され大きな注目を集めたほか、『ロックマンDASH』や『機動戦士ガンダム ギレンの野望』、『サクラ大戦2 ~君、死にたもうことなかれ~』、『カルドセプト』など現在でも高い人気を誇る作品が多数出展された。

1998年春:『武蔵伝』や『メタルギア ソリッド』がプレイアブル出展。ゲームボーイが魚群探知機になる周辺機器も登場

 1998年3月20日から22日のあいだ開催された98年春のTGS。かわいい女の子たちが登場する4作のアドベンチャーゲーム“やるドラ”シリーズや『センチメンタルジャーニー』などのアドベンチャー作品が発表されたほか、『パラサイト・イヴ』制作陣によるトークショーなども開催された。

 プレイアブル出展された『ブレイヴフェンサー 武蔵伝』や『メタルギア ソリッド』も注目を集め、ハードではスケルトンセガサターンが同年4月の発売に先駆けて展示された。さらに、ゲームボーイ用周辺機器として魚群探知機の『ハンディウォッチャー(仮)』(発売時の名称は『ポケットソナー』)も登場し、来場者を驚かせた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通1998年4月10日号より。

1998年秋:ドリームキャスト、ワンダースワン、ネオジオポケット、ゲームボーイカラーなどの新作ハードが大量出展

 1998年10月9日から11日まで開催された98年秋のTGSでは、ソフトのみならずハードも多数出展。ドリームキャストを筆頭に、携帯ゲーム機もワンダースワン、ネオジオポケット、ゲームボーイカラーの3種が登場し多くの注目を集めた。プレイステーション用のデータ保存端末・メモリーカードを携帯ゲーム機にしたポケットステーションも展示され、新時代の訪れを感じさせた。

 ドリームキャスト用のソフトとしては『ソニック アドベンチャー』や『Dの食卓2』などが出展。プレイステーションでは同年7月に発売された『武蔵伝』に付属していた体験版で注目を集めていた『ファイナルファンタジーVIII』のほか、『ドラゴンクエストVII』、『玉繭物語』、『火星物語』などが出展されていた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通1998年10月9日号より。

1999年春:カプコン×SNKのドリームプロジェクトが発表。『シェンムー』や『聖剣伝説LoM』も出展されPSもドリキャスも大盛り上がり

 1999年春のTGSは3月19日から21日にかけて開催。20日には対戦格闘ゲームの大手であるSNKとカプコンがタッグを組むことが発表され、大きな衝撃を与えた。同年10月には『SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ』が、翌年には『カプコン バーサス エス・エヌ・ケイ ミレニアムファイト 2000』がリリースされている。

 プレイステーション、ドリームキャストともに多くの作品が出展され、プレイステーションでは『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』や『フロントミッション サード』、『ペルソナ2 罰』などが、ドリームキャストでは『シェンムー』や『魔剣X』、『ストリートファイター ZERO 3』などが会場を盛り上げた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通1999年4月9日号より。

1999年秋:プレイステーション2が話題を席巻。『DQVII』や『スペースチャンネル5』など現行機向けタイトルも好評を博す

 1999年秋のTGSは9月17日から19日の3日間で開催。プレイステーション2が登場したことでより一層大きな注目が集まり、約11万人が来場した第1回から数字を伸ばし続けた来場者数は16万人を優に超えた。

 プレイステーションやドリームキャストなど当時の現行機にも多くの新作が登場し、当時発売が心待ちにされていた『ドラゴンクエストVII』のプレイアブル出展をはじめ、『クロノ・クロス』や『ときめきメモリアル2』、『スペースチャンネル5』、『クレイジータクシー』などが出展された。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通1999年10月8日号より。

2000年春:『DQVII』の体験版を求めて大行列。ドリームキャストではインターネット接続用の周辺機器が発表

 2000年3月31日から4月2日まで開催された00年春のTGS。当時ニンテンドウ64向けソフトとして発表された『バイオハザード0』(のちにゲームキューブで発売)や『ファイナルファンタジーIX』、『鈴木爆発』、『東京魔人學園 外法帖』などが出展された。

 前回に続いての出展となった『ドラゴンクエストVII』はストーリー重視と戦闘重視、2種類の体験版が出展され、いち早くゲームを体験したいファンが押し寄せ大行列を成した。

 セガブースではドリームキャストのネット接続用周辺機器も発表され、国内で家庭用ゲーム機のオンラインゲーム市場を切り拓いたとも言える『ファンタシースターオンライン』も登場。改めてセガが時代の先を行っていたことを感じさせる。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2000年4月21日号より。

2000年秋:『鬼武者』が発売延期もブースは大盛況。携帯ゲーム機の新ハードや各種周辺機器も注目を集める

 2000年秋のTGSは9月22日から24日にかけて開催。プレイステーション2用ソフトとして注目されていた『鬼武者』が発売時期の延期を発表したものの、実機プレイを体験できるブースは大いに盛り上がりを見せた。

 ワンダースワンカラーやゲームボーイアドバンスなど、携帯ゲーム機の新ハードやそれらに対応したソフトも複数出展。ワンダースワンカラーでは本体と同時発売となる『ファイナルファンタジー』、ゲームボーイアドバンスでは『ロックマンエグゼ』などが注目を集めた。

 小島秀夫氏、岡本吉起氏、牛村憲彦氏によるトークバトルも行われたほか、プレイステーション2用の音声認識コントローラーやUSBキーボード、ハードディスクドライブなどの周辺機器も多数発表された。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2000年10月13日号より。

2001年春:Xbox上陸&任天堂初参戦。『ファイナルファンタジーX』の体験版や『メタルギアソリッド2』の最新映像も

 21世紀最初のTGSは、2001年3月31日から4月1日にわたって開催。Xboxにセガの『ジェットセットラジオ フューチャー』、テクモの『デッド オア アライブ3』、コナミの『エアフォースデルタ2』などが参戦することが明らかになり、日本向けのコントローラーとともに注目を集めた。

 任天堂もTGSで初めてソフトを出展し、ゲームボーイアドバンス用の『ポケットミュージック(仮題)』を発表。本作はその後『大合奏!バンドブラザーズ』としてニンテンドーDSで発売されることとなる。

 プレイステーション2では『ファイナルファンタジーX』がプレイアブル出展され長蛇の列を作ったほか、『メタルギアソリッド2』の最新映像が公開。タイトル通り蚊となって人の血を吸う『蚊』のような意欲作も登場した。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2001年4月20日号より。

2001年秋:プレイステーション2、ゲームキューブ、Xboxの3ハードが揃い踏み。携帯ハードも含め多彩なソフトが発表

 年2回での開催は最後となった2001年秋のTGSは、10月12日から14日までの3日間で開催された。プレイステーション2の『スターオーシャン3』、同年9月に発売された新ハード・ゲームキューブの『ソニックアドベンチャー2 for GC』(発売時のタイトルは『ソニックアドベンチャー2 バトル』)、Xboxの『Halo』など据え置き機3種でさまざまなタイトルが出展された。

 携帯ハードも新作が続いており、『烈火の炎 THE GAME』や『モンスターファーム アドバンス』などのゲームボーイアドバンス用ソフトや、『ロマンシング サ・ガ』、『デジモンテイマーズ バトルスピリット』などのワンダースワン用ソフトも登場。

 ドリームキャストでも『不思議のダンジョン風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!』が登場しており、非常に幅広いハードで各種タイトルが出展されていた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2001年10月26日号より。

2002年:Xboxとプレイステーション2がネットワークサービスの詳細を公開。PCでもオンラインゲームに注目が集まる

 2002年のTGSは9月20日から22日かけて開催。XboxではXbox Liveが翌年に本格始動することが発表され、プレイステーション2ではブロードバンドネットワークサービスのプレイステーションBBユニットに関する情報が公開。

 『ファンタシースターオンライン』、『みんなのゴルフ オンライン』といったオンラインタイトルに関する発表も行われた一方、PCでも『リネージュ2』や『エターナルカオス』などの韓国産MMORPGが注目を集めた。同年の5月には『ファイナルファンタジーXI』もリリースされており、国内のオンラインゲーム市場が本格的に広がっていった年と言えるだろう。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2002年10月11日号より。

2003年:スクウェア・エニックス合併後初のTGS。オンライン化が進むなか任天堂は手軽な通信要素を打ち出す

 2003年9月26日から28日まで開催されたTGSでは、同年4年にスクウェアとエニックスの合併により誕生したスクウェア・エニックスが新作タイトルを一挙に発表した。

 映像作品の『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』や『キングダム ハーツ2』、『フロントミッション オンライン』を発表したほか、TGSの前日にはフィーチャーフォン向けに『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』をリリースすることも明らかにしている。

 TGSフォーラム2003では当時任天堂の社長を務めていた岩田聡氏が基調講演を行い、そのなかでゲームボーイアドバンスで無線通信を可能にするワイヤレスアダプタを発表した。こちらは『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』に価格据え置きで同梱されており、より手軽に通信要素を楽しめるように、という他社のオンラインタイトルとは異なったアプローチが見られた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2003年10月17日号より。

2004年:大量のソフトとともにお披露目されたPSPが耳目を集める。出展タイトルの過半数はPS2の作品に

 2004年9月24日から26日まで開催されたTGSでは、プレイステーション系列初の携帯ゲーム機となるプレイステーションポータブルや、その関連タイトルが多数出展。一般に公開されたのはこのときが初とあり、来場者からも注目が集まった。

 ソフト面では出展タイトルの約7割をプレイステーション2が占め、『ドラゴンクエストVIII』や『メタルギアソリッド3』、『ラジアータストーリーズ』や『ワンダと巨像』、『デビル メイ クライ 3』に『九龍妖魔學園紀』などいまなお愛される多くの作品が出展された。

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週刊ファミ通2004年10月22日号より。

2005年:次世代ハード3種の情報で業界が湧きたつ。体験版をダウンロードして遊べるなど体験コーナーにも時代の変化

 2005年9月16日から18日にかけて開催されたTGSでは、プレイステーション3が『メタルギアソリッド4』などの映像を、Xbox 360が同年12月の発表を、そして任天堂からは新ハード・レボリューション(現Wii)のコントローラーを発表。プレイステーションとXboxが映像でマシンパワーをアピールしたなか、Wiiはコントローラーの形を大きく変えるサプライズを見せた。

 例年通り多数の体験コーナーが出展されたなか、PSPやニンテンドーDSにはその場で体験版をダウンロードして試遊できる体験版の配布エリアも登場。ネットワーク機能の浸透による変化がTGSにもあらわれている。また、同年に神奈川県や埼玉県で一部ゲームが有害図書類に指定されたこともあってか、一部の体験コーナーでは年齢を証明するために身分証明書が必要になるなどの変化も見られた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2005年10月14日号より。

2006年:次世代ハード3種が(ほぼ)揃い踏み。『モンスターハンターポータブル 2nd』がTGS史上最長の待ち時間を記録

 2006年のTGSは9月22日から24日にかけて開催。PS3、Xbox 360、Wiiの3機種が揃うこととなったが、Wiiについては『Elebits』などのタイトルをコンパニオンがデモプレイで披露するかたちになっており、プレイアブル出展となったのはPS3とXbox 360のふたつ。

 PS3では『リッジレーサー7』や『グランツーリスモ HD』、『アーマードコア4』、『白騎士物語』など23タイトルがプレイアブル出展され、映像出展も含めてさまざまな作品が登場した。Xbox 360では鳥山明氏がキャラクターデザインを務めた『ブルードラゴン』や坂口博信氏の『ロストオデッセイ』が注目を集め、どちらのハードも試遊スペースに人が溢れた。

 PSPを代表するソフトとなった『モンスターハンターポータブル 2nd』は、体験コーナーでTGS市場最長の240分待ちを記録。発売前からかなりの期待を集めていたことがわかる。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2006年10月13日号より。

2007年:『MHP 2nd G』、『メタルギアソリッド4』、『キングダム ハーツ』新作など大型タイトル勢ぞろい。レベルファイブブースでは電気を落とす緊急事態も

 2007年9月20日から23日の4日間にわたって開催されたTGSでは、PSPの『モンスターハンターポータブル 2nd G』、PS3の『メタルギアソリッド4』、携帯電話やニンテンドーDS向けに発表された『キングダム ハーツ』シリーズなど、さまざまなメーカーがさまざまな機種で大型タイトルを発表。

 Xbox 360では『Halo3』や『アサシン クリード』などの試遊台が人気を博し、Wiiは『不思議のダンジョン 風来のシレン3-からくり屋敷の眠り姫-』や『ナイツ ~星降る夜の物語~』の体験コーナーが行列を作るなど、どのハードも盛り上がりを見せた。

 多くのブースで長蛇の列が作られるなか、パブリッシャーとして初めて出展を行ったレベルファイブのブースでは、『レイトン教授』シリーズのミニストリーを収録した限定ソフトを配布していたこともあってか、開場と同時にファンが殺到。待ち時間は270分を超え、一時的にブース内の電気を落としてステージがソフトの配布が中止されるという事件を巻き起こした。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2007年10月12日号より。

2008年:『モンハン3(トライ)』が入場規制レベルの大熱狂。PS3は実質の値下げとなる80ギガバイトモデルを発表

 2008年のTGSは10月9日から12日にかけて開催。このときはPSPからWiiに舞台を移した『モンスターハンターポータブル3(トライ)』が大きな注目を集め、開場からわずか7分で約3時間待ちの行列が作られ、入場規制がかかるという人気ぶりを見せた。

 同年のカプコンブースでは『バイオハザード5』の試遊台が50台も用意され、『逆転検事』や『ストリートファイター4』、PSP版『戦国BASARA』などもプレイアブル出展され、幅広い分野で盛り上がりを見せた。

 PS3は40ギガバイトモデルと同じ値段で80ギガバイトモデルを販売する、実質的な値下げを発表。80ギガバイトモデルの同梱版も出た『リトルビッグプラネット』での発表会では、スネークやセフィロスが登場するというサプライズも見られた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2008年11月7日号より。

2009年:PS Move&PSP goが発表。整理券の配布によって『ファイナルファンタジーXIII』などビッグタイトルの試遊もスムーズに

 2009年9月24日から27日にかけて開催されたTGSでは、PS3用のモーションコントローラーであるプレイステーションムーブや、PSPをさらに小型化したPSP goが登場。上田文人氏の『人喰いのトリコ』も初めて映像出展され、上田氏みずから作品を語った。

 行列が超長蛇となる前回までの流れを考慮してか、体験コーナーでは整理券が配布されるようになり、目玉タイトルだった『ファイナルファンタジーXIII』や『キングダム ハーツ ハーツ バース バイスリープ』などの体験コーナーでも過度の混雑は避けられた。整理券の配布自体は30分程度で終了し、その人気の高さがうかがえた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2009年10月15日号より。

2010年:再びPSPに舞台を移した『モンハン』が話題を席巻。Xboxのモーションコントローラー・キネクトも登場

 2010年のTGSは9月16日から19日にかけて開催。『モンスターハンターポータブル 3rd』の体験コーナーはまたも大盛況ぶりを見せ、色を変えただけでなくアナログスティックの形状なども調整された“ハンターズモデル”のPSPが発表されると、会場は驚きに包まれた。

 同年には2009年に発売された『デモンズソウル』のスタッフが再集結した『プロジェクトダーク』(発売時のタイトルは『ダークソウル』)が動きだし、2005年に発表されて以来沈黙を守っていた『仁王』も再始動するなど、いわゆる死にゲーの潮流も動き出していた。

 また、PS3でPSムーブや3D立体視システムが打ち出されれば、Xbox 360では身体の動きや音声を認識するコントローラーのKinect(キネクト)が登場。Wiiの登場を受けてか、どちらのハードでも従来のコントローラーから一歩踏み込んだ操作形態へのチャレンジが見られた。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2010年10月7日号より。

2011年:プレイステーション Vita登場。TGS初出展となるグリーのブースにはアイテムコードを求める長蛇の列

 2011年9月15日から18日まで開催されたTGSではプレイステーション Vitaが登場し、『グラビティデイズ』や『真・三國無双 NEXT』など30本以上のタイトルが出展された。『モンスターハンター3(トライ)G』もかなりの人気を集め、一般公開日用に用意された試遊台の整理券は両日とも1時間と経たずに配布が終了した。

 Xbox 360では『ギアーズ オブ ウォー 3』の体験コーナーが120分待ちの大行列をなしたほか、『ジ・エルダースクロールズV:スカイリム』や『ロリポップチェーンソー』といった、いまなお高い人気を誇るタイトルも出展。

 この年にはグリーが初出展ながらに最大規模のスペースで登場。豊富な人気タイトルの試遊コーナーに加え、TGS限定アイテムコードの配布や多数のタレントをステージに読んだこともあり、多くの来場者が足を運んだ。

東京ゲームショウ26年の歴史をハードとソフトで振り返る。ニンテンドウ64発売と同年に始まった96年からコロナ禍を経て再びの現地開催へ【TGS2022】
週刊ファミ通2011年9月29日号より。

2012年:PS VRの前身とも言えるヘッドマウントディスプレイが登場。スマートフォンタイトル台頭の兆し

 2012年9月20日から23日にかけての4日間で開催されたTGSでは、『ゴッド・オブ・ウォー: アセンション』の試遊コーナーなどにヘッドマウントディスプレイ“HMZ-T2”が登場。

 また、センス・オブ・ワンダー ナイトプレゼンツ ヘッドマウントディスプレイ 没入快感研究所 Powered by Sonyブースではその改良版であるヘッドマウントディスプレイが登場し、いまで言うVRコンテンツを体験することができた。サイバーコネクトツー代表取締役社長の松山洋氏の体験記も掲載しているので、こちらも要チェックだ。

 2012年からはいわゆるソーシャルタイトルの勢いも増し、会場にプロレスのリングを設置したブシロードブースでも多くのスマートフォン対応コンテンツが発表。『メタルギア』シリーズからも『メタルギアソリッド ソーシャル・オプス』がスマートフォン向けスピンオフ作品として出展された。

2013年:発売直前のPS4がビジネスデイでも長蛇の列の大人気。元スクエニの作曲家によるトークコーナーも

 2013年のTGSは9月19日から22日まで開催。同年11月に発売されるPS4はどのタイトルも人気を博し、業界関係者やメディアの集まるビジネスデイでも長蛇の列ができるほど。『クラッシュ・バンディクー』シリーズや『ラチェット&クランク』シリーズを手掛けたマーク・サニー氏の『ナック』も披露された。

 スクウェア・エニックスブースの特設ステージでは、元スクウェア・エニックスの人気コンポーザー(作曲家)伊藤賢治氏、光田康典氏、下村陽子氏の3名によるトークショーも開かれた。在籍当時の思い出などが語られた様子は下記記事にてまとめられているので、こちらも要チェックだ。

2014年:ニコニコ、DMMゲームズが初出展。インディーゲームコーナーでコアな輝きを放つタイトルも多数登場

 2014年9月18日から21日にかけて開催されたTGSでは、ゲーム実況や自作ゲームの文化を軸にしたニコニコブースや、多数の基本無料ゲームを出展したDMMゲームズのブースが初登場。DMMゲームズでも人気ゲーム実況者がゲスト出演するなど、ゲーム実況の立ち位置が数年前とは明らかに異なってきたタイミングだ。

 インディーゲームのコーナーでは2D探索アクションの『LA-MULANA2』、ファミコンでプレイ可能な『キラキラスターナイト』、巨大なLEDボードをゲーム機にした『ジャンボLED』など、インディーならではの個性溢れるタイトルが並んだ。また、同年はOculus VRブースも出展され、VRという新たなコンテンツを体験すべく多数の人が押し寄せた。

2015年:コンシューマータイトルの勢いを感じさせる『ペルソナ5』や『FFXV』、『モンハンクロス』が出展。PS VRの体験コーナーも

 2015年9月17日から20日のあいだに開催されたTGS。本年より幕張メッセのイベントホールを含めた施設全体を使用するようになっており、イベントの規模はさらに大きくなっている。

 ソーシャルタイトルの勢いは変わらずといったところだが、『ペルソナ5』や『ファイナルファンタジーXV』、『モンスターハンタークロス』といった大型タイトルも出展。コンシューマーゲームのファンにとっては期待の高まる年となった。

 TGS直前のカンファレンスで名称が正式に発表されたプレイステーションVRも出展しており、ヘッドマウントディスプレイを使ってのゲームが体験できた。

 ソーシャルタイトルでは『グランブルーファンタジー』がイベント最終日にメインステージでオーケストラコンサートを開催。同作のサウンドディレクター&コンポーザーを務める植松伸夫氏が参加するトークコーナーも展開した。

2016年:VR元年に始まる新たな挑戦。映像美を追及したPS4 Proの実力も出もプレイでお披露目

 2016年のTGSは9月15日から18日にかけて開催。この年は3月にPS VRが発売したこともあり、多数のVR作品が出展されたほか、基調講演でもVRがテーマとなった。『V!勇者のくせになまいきだR』のようにシリーズとして続く作品がVRに挑戦したり、『サマーレッスン』のようにVRならではの作品が登場したりと、また新しい体験が生まれた年と言えるだろう。

 同年11月の発売を目前に控えたPS4 Proの目玉機能である4K表示やHDRのプレゼンテーションも行われ、『バイオハザード7』や『ホライゾン ゼロ ドーン』のデモプレイを通してその映像美が披露された。

2017年:『モンハン:ワールド』、『オクトパストラベラー』が登場。VR作品も引き続き多数出展

 2017年のTGSは9月21日から24日まで開催された。同年3月にはニンテンドースイッチが発売されており、先日続編が発表された『オクトパストラベラー』もこの年に発表された。王道作品のみならず、コントローラーをドラムスティックに見立てる『がるメタる!』などボタン操作にとらわれない任天堂ハードらしいタイトルも登場している。

 TGSで登場するたびに注目を集める『モンハン』シリーズは『モンスターハンター:ワールド』でも人気を博した。国内初の試遊が楽しめるということもあり、体験コーナーには多くのファンが集まった。

 前年に続き多くのVR作品も出展されており、日本初上陸となったマルチプレイシューティングの『VIVELAND』も登場。VRコンテンツも広がりを見せた。

2018年:『キングダム ハーツ3』や『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』など大型タイトルが出展。フロムソフトウェアがVRに参入し話題を呼ぶ

 2018年のTGSは9月20日から23日にかけて開催。イベントの4ヵ月後に発売することが告知されていた『キングダム ハーツ 3』で日本発の試遊台が出展され、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』の発売が正式決定したとの発表されるなど、大型タイトルの展開がゲームファンを沸かせた。

 例年さまざまな既存作品がVR化するなかで、『絶体絶命都市4Plus』のVR版も出展。ホラーゲームとはまた違った怖さを実感できるタイトルとして存在感を残した。また、『ダークソウル』シリーズなどでおなじみのフロムソフトウェアもVRタイトル『デラシネ』を出展して話題を呼んだ。

2019年:『デス・ストランディング』や『龍が如く7』とともに『原神』が登場。『十三機兵防衛圏』も存在感を見せつけた

 コロナ禍前最後のTGSは、2019年9月12日から15日の4日間にかけて開催。『デス・ストランディング』や『龍が如く7』などのビッグタイトルが登場したほか、『原神』が基本無料とは思えないクオリティで注目を集めた。

 また、セガゲームス/アトラスブースでは同年11月に発売予定の『十三機兵防衛圏』が発表。美麗なアートワークとともに展開するアドベンチャーパートの“追想編”、複数のキャラクターを使い分けて迫りくる多数の敵を倒すバトルパートの“崩壊編”披露し、新規作品として強烈なインパクトを残した。

2020年:コロナ禍により史上初のオンライン開催。配信のみながらも次世代機対応タイトルに期待高まる

 1996年の開催から24年経った第30回のTGSは、コロナ禍を受け史上初のオンライン開催に。とは言え開催期間は例年と変わらず、9月24日から27日までの4日間となった。プレイステーション5とXbox Series X|Sが同年11月に発売を控えたタイミングで、基調講演では次世代機の未来やコロナ時代におけるゲームづくりなどが話し合われた。

 『ライザのアトリエ2』や『真・三國無双8 Empires』などがPS5にも対応することが明らかになったほか、注目度の高かった『サイバーパンク2077』の特別放送では日本語版のゲーム映像も公開。

 『バイオハザード ヴィレッジ』のプレゼンテーションではゲーム画面を写さず、音声と実況プレイを担当した狩野英孝さんのリアクションのみをお届けするというユニークな手法が撮られた。

2021年:大型RPG&新規RPGの情報が相次ぐ。スマートフォンでも期待作品が続々登場

 2021年のTGSは9月30日から10月3日までの4日間開催。前回に引き続きオンライン開催となったが、ビジネスデーのみ小規模ながら幕張メッセでも出展が行われた。『ファイナルファンタジーXVI』に関する情報や『ドラゴンクエストX オフライン』の発売日告知、『真・女神転生5』の初公開映像解禁など、RPGタイトルがファンたちを沸かせた。

 さらに『ブレイブリーデフォルト』や『オクトパストラベラー』などを手掛けたスクウェア・エニックスの浅野智也氏率いる“浅野チーム”とアートディンクのタッグによる新作RPG『トライアングルストラテジー』はメディア向けに試遊会を実施。こちらもRPGファンの期待を膨らませた一本だ。

 また、スマートフォンでは『AIR』や『CLANNAD』などを手掛けたKeyの麻枝准氏が原作・シナリオを手掛ける『ヘブンバーンズレッド』の続報が配信され、大いに期待を高めた。同じくスマートフォンタイトルとして『ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー』の情報も公開され、コンシューマーに負けじとSNSを賑わせた。

2022年は3年ぶりの完全現地開催

 足早にではあるが、本記事ではTGSの歴史を振り返った。触れられていない内容は数えきれないほどあるものの、それでもそれなりのボリュームになったのには26年という歴史の重さを感じさせられる。

 明日より始まる2022年のTGSは、3年ぶりの現地開催だ。筆者は残念ながら現地に足を運ぶことができないのだが、取材に挑む記者陣も純粋に新作や新情報を楽しみに向かうファンにも、ぜひ現地ならではの空気を味わってきてほしい。

 “Nintendo Direct 2022.9.13”や“State of Play 9.14.2022”など、ホットな新情報ですでに沸き立つゲームファンたちがTGSでどんなワクワクに出会えるのか、筆者も自宅での作業を進めつつ各種リポート記事を楽しみに待つとしよう。

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