こんにちは。ファミ通.comのミス・ユースケです。シーシャ(水たばこ)を吸ったりはいたりしています。『フーカーヘイズ』(Hookah Haze)がシーシャ屋さんでイベントを開催するということで、僕も体験させてもらい、この記事を書いている。
“水たばこ”という名前の通り、基本的にはタールもニコチンも含まれる(※)たばこの一種。僕はたばこを吸ったことがないので、これが人生初喫煙である。ミス・ユースケ44歳。2024年6月29日を新しい自分の誕生日とする。
※ニコチンなどが入っていないものもある。記念日なので記念写真を撮っておく。
お父さんとじいちゃんが喫煙者だったのでたばこ自体は嫌いではないのだけど、20歳を過ぎてもなぜか吸おうとは思わなかった。でも、吸ってみたいようなそうでもないような漠然とした気持ちはずっとある。
とくにきっかけもないまま歳を重ね、44歳になって出会ったのが『フーカーヘイズ』だ。ピクセルアートとBGMの雰囲気がとても好みである。
こういう雰囲気に弱い。
このゲームはシーシャを通して3人の女の子と心を通わせるアドベンチャー。記事を書く以上は登場人物の気持ちを知らなきゃなるめえと、江戸っ子みたいなテンションでシーシャ カフェ&バー“C.STAND”秋葉原店にやってきた次第である。
一歩踏み出すきっかけはどこにあるかわからない。
とてもムードのある店内。上質と大人っぽさが凝縮されている。
これがシーシャボトルとやらか。ほうほう。
やっと会えたね。
少し緊張しながら店長さんたちから吸い方を習う。
- 息をしっかりはき出す
- 出し切ったらマウスピースを加えて、長く深く吸う
- 肺に溜め込まず、口を大きく開けて優しくはく
これがシーシャのコツらしい。気怠く煙をくゆらせる姿に憧れがあるので、僕もそういう大人になりたい。なります。ならせてください。
何でも教えてくれるしセッティングもしてくれる。頼りにしてます。
マウスピースが配られた。迷わずピンクを選ぶ。
店内には『フーカーヘイズ』のBGMが流れている。ムーディーな雰囲気のなか、どきどきしながらパイプに取り付けたマウスピースをくわえる。
深呼吸をするようにゆっくり吸い、口を大きく開けて煙をはき出すと、甘い香りが鼻を抜けていった。一気に吸うとくらくらしてしまう。流れる時間を噛み締めるように、少しずつ。
シーシャはシロップに漬けたたばこの葉を炭で焼き、水をくぐらせた煙を楽しむ嗜好品だ。パイプを吸うとこぽこぽと音が鳴り、それが何とも心地いい。この音いいな。いやな予定のアラート音にして少しでもダメージを減らしたい。
「わー! いい香りー!」
よくわからない。わからないのだけど、これは何だかいいものだぞ、ということはわかる。笑ってしまった。
店長さんみたいに「ぽふわぉ……」とやりたいのだが。
煙が滞留しない。右から左に流れる空調に全部持っていかれる。
いったん目を閉じて心を落ち着かせ、もう一度。今度は味に集中してみる。
提供してもらった“ライチティーミックス”に含まれるフレーバーはアールグレイ、ライチ、ピーチ。甘さの中に果実由来の清涼感を感じて吸いやすい。フルーツ系は初心者にも向いているのだと思う。
聞けばC.STANDの取り扱いフレーバーは数十種類。コーラみたいなものもあるとのこと。コーラはスパイス味の飲みものなので、刺激的な香りを楽しめるのではないか。それいいな。吸いたい。
いやしかし、おすすめを出してもらえて助かった。自分で選んでいたら端から端まで吸いたくなっていたに違いない。こういうのはなんて言うのだろう。吸いしん坊か?
炭の温度が高すぎても低すぎてもよくないので、店長さんに調整してもらう(左)。そしてそれをわーっと撮り出すメディア陣(右)。
何度か煙を吸ってはいて、味わいも香りもたしかにすてきなのだけど、それ以上にこの時間がいいことに気づく。深呼吸と紐づいているからだろうか、雑に吸おうという気が起きないのである。
ざわざわとした雑踏から自分だけが切り離されたかのようにシーシャに集中する。呼吸ってこんなに丁寧にするものだっけ。落ち着く。喫煙者がこの時間を求めてたばこを吸うのだとしたら、その気持ちもちょっとわかる。
ちょっとした禅の世界である。
そして、何よりおもしろいのが息のうまさである。そんなことある? 古来よりファーストキスはレモンの味と言われるが、いまの僕の息はアールグレイとライチとピーチの味だ。女子中学生が考えた想像上の動物か。
イベントには抽選で選ばれたユーザーも参加。シーシャ経験者が多かった模様。
あらかじめシーシャを体験できてよかった
心地よくて忘れそうだったが、これは『フーカーヘイズ』のイベントである。プロジェクトマネージャーの中尾明恵さん(アクワイア)と制作担当の柏慎之介さん(アニプレックス)から概要を教えてもらう。
ちなみに、6月26日に公式X(Twitter)でマスターアップの報告をしたばかり。おめでとうございます。ゲーム紹介は製品版で行われることとなった。
本作では来店したお客さんにシーシャを提供して会話を進めていく。
進行をサポートするようにゲームを操作するのは公式コスプレイヤーのYuiRiさん。その間も僕らの手元にはシーシャがある。女の子がゲームするところを煙をはきながら見るってどういう状況だ。貴族の遊びか?
また、「BGMを止めてしばらく待つと環境音が流れます」という小ネタも。体験版にも実装済みの機能らしいが気付かなった。環境音がちょうどいいゲームは名作だと思っているので、帰ってすぐに試した。
舞台となるシーシャ屋“Hookah Haze”にはアクアリウムがある。BGMを切るとポンプの稼働音が聞こえてくる。アクアリウムに夢中なのはぬいぐるみ作家の古森くるみさん。小さいロッキンチェアーにぬいぐるみを座らせているのがいい。
ゲーム開始当初、常連客同士の会話はまだ他人行儀。
トークの流れで、ヒロインのひとり愛上あむのテーマソング“ヤんなっちゃう feat.リリぴ”とそのMVが新たに公開された。ゲーム主題歌の“Hookah, whoo!”と同じく、サウンドプロデュースと作詞はDECO*27さん、作曲と編曲はtepeさんが担当している。
ゲームの雰囲気とは180度違うテンションで真正面からぶん殴って来る曲である。ライブでのコールも想定しているのかもしれない。振れ幅が大きくて感情が追いつかないので、いったんシーシャで休憩させてください。
チルいテンションで聴く曲じゃないぞ。
さて。あらためて『フーカーヘイズ』のグラフィックを見て、曲を聴いて、雰囲気のよさに感じ入る。とはいえアドベンチャーゲームなので重要なのはストーリーだ。体験版に収録されているお話は本編とは別。会場のモニターには僕らの知らない物語が映し出された。
愛上あむはアイドル的な人気のあるコンカフェ店員。どうやらストーカー被害を受けているようで、切羽詰まったやり取りがくり広げられる。
主人公であるHookah Haze店長・炭木トオルはたぶん気弱な性格だ。病魔に侵されている身なので体力面にも不安がある。お客様を守りたいが、ストーカー犯が実力行使に出たらどうなるかわからない。トオルはそれでも毅然とした姿を見せる――。
シーシャを題材にしているとはいえ、ゲームの軸はあくまでも人間同士の対話。心の傷をシーシャで癒すような、舞台装置としての扱われ方が気になるところである。
何にせよ、ゲーム本編を始める前にシーシャを体験できてよかった。きっとシーシャがカギとなる印象的なシーンもあるだろう。そのとき彼女たちが感じることを想像しやすくなった気がするからだ。
登場人物たちが見ているのと同じ(似た)光景が頭にあると、想像は一段階深くなる。何かつらいことがあったとしても、シーシャの煙に包まれたら気分が落ち着くだろう。そのときにトオルが選択するのは甘い香りか、それとも強い刺激か。
登場人物たちと同じ体験をするということは、これは聖地巡礼に近い行為なのかもしれない。
静かに燃える炭を見つめるときの気持ちが、いまなら少しわかる気がする。
Steam版に引き続き、6月29日からNintendo Switchでも体験版の配信がスタート。炭木トオルたちの物語に深く潜りたい人は、まずは体験版に触れ、シーシャ屋さんにも足を運んでみてほしい。C.STANDでは8月11日まで『フーカーヘイズ』とのコラボイベントを開催中なので、僕はまた行きます。
なお、イベント終了後、シーシャを体験できたことがうれしくて奥さんにこの写真を送ったところ、
感想は「妖しい」でした。あなたの夫ですよ。
※『フーカーヘイズ』はシーシャの喫煙を推奨しているわけではありません。CERO-C(15歳以上対象)のゲームだけど、シーシャは20歳になってから。ルールを守って嗜むからかっこいい。イキってルールを破るやつはださいよ。製品情報
- タイトル:Hookah Haze(フーカーヘイズ)
- 発売時期:2024年7月11日(木)
- ジャンル:ヒューマンドラマアドベンチャー
- 対応機種:Steam、Nintendo Switch
- 販売価格:1,980円[税込](※発売後、2週間10%オフの1,782円で購入できるローンチ割引が実施されます。また、Switch版は10%オフで予約受付中)
- 対応言語:日本語、英語、中国語簡体字
- 企画・開発:株式会社アクワイア
- 販売:株式会社アニプレックス