GeekOutとFANYは、2024年7月30日にバーチャル体験ができる没入型プラットフォーム“Roblox”向けに、3Dアクション『NOBU 〜 信 ~』を配信開始した。
同作は、『スーパー野田ゲーWORLD』(野田ゲー)に収録されている『信 〜NOBU〜』をベースにした3Dアクションゲーム。野田ゲー版『信 〜NOBU〜』では、お笑い芸人・ノブさん(千鳥)をモチーフにしたキャラクターを操作して、ゴールを目指す横スクロールの高難度2Dアクションになっていた。しかし、“Roblox”で配信される『NOBU 〜 信 ~』は、プレイヤーたちが巨大なボスキャラクターとなったノブさんを協力して倒すというゲームに変更されている。
そんな同作の配信を記念して、開発者の野田クリスタルさんにインタビュー。『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)のボス戦に着想を得たという開発の経緯やゲームに込めた想いなどを聞いた。
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野田クリスタル(のだくりすたる)
吉本興業所属。お笑いコンビ・マヂカルラブリーのボケ担当。ゲームクリエイターとして、自身の名を冠した『スーパー野田ゲーPARTY』、『スーパー野田ゲーWORLD』を手掛けている。また、シリーズ第3弾となる『スーパー野田ゲーMAKER』を2024年に発売予定。
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野田クリスタルさん
『FF14』のボス戦をずっと遊べるタイトルを目指した
――まずは、『NOBU 〜 信 ~』の開発の経緯を教えてください。
野田
本作は、没入感のあるバーチャル体験ができるプラットフォームのRobloxで開発中のタイトルですが、吉本興業がこのプラットフォームの可能性に目を付け、こちらでコンテンツを展開することを決めたようでして。そこで、僕の“野田ゲー”に白羽の矢が立ち、これまで作ってきたゲームをベースにしたタイトルを制作することとなりました。
――Robloxでの新作開発のお話を聞いたときの心境はいかがでしたか。
野田
当時、Robloxについては名前を聞いたことがあるものの、どういうものなのかわかっていなかったので、どの程度の規模感で開発するのかも想像できず、ふわふわとした心境でした。
――開発がスタートする前に、Robloxで展開されているゲームなどはプレイされましたか?
野田
もちろんです。いくつか遊ばせていただきました。開発を行ううえでのアセットなどが揃っているようで、どのゲームも違和感なく、楽しくプレイできました。作品としては、タワーディフェンスがたくさん配信されていたので、「Robloxではタワーディフェンスが流行っているのかな?」と感じました。それと、ゲーム内容がユニークなものが多く、クリエイターさんの個性が立っているものが多い印象を受けたことを覚えています。
――その後、開発はどのように進行していったのでしょうか?
野田
まずは“野田ゲー”の中からどのタイトルをベースにするかを決めました。Robloxは3Dゲームを制作して展開するプラットフォームなので、3D化しておもしろくなりそうな『つり革』と『信 〜NOBU〜』が候補に挙がりました。
その後、まずは『つり革』を題材にゲームを考えてみたところ、すんなりとおもしろい企画が思いついたのですが、僕は当時から『FF14』にハマっていて、とくにボス戦に夢中になっていたので、ボス戦だけをずっと遊べるゲームを作りたいという想いがあったんです。
『FF14』を始めとするオンラインゲームはみんなで協力して戦うのが醍醐味であるとも感じていたので、みんなで協力して遊べるプラットフォームであるRobloxなら、そういった企画を実現するにはピッタリなのではないかと考えました。
そこから、『信 〜NOBU〜』をベースに企画を考えているときに、Robloxはみんなが主人公なので、野田ゲー版のようにノブさんを主人公にするのではなく、ボスにして全員で倒すのはおもしろいのではないかという案を思い付いたんです。
僕らプレイヤーはノブさんにとってのザコキャラで、吹っ飛ばされたりしてどんどん倒されますが、何度もリスボーンしながらがんばってノブさんを止めるのはきっと本作ならではの魅力になると考え、当時Roblox上で流行していたタワーディフェンスにもヒントをもらいながら企画を詰めていきました。
――『FF14』における討伐・討滅戦やレイドのおもしろさから着想されたと。
野田
そうですね。クリアーできたときの達成感は格別ですし、戦いを何度も経験して最適解を見つけていくのも好きだったので、僕の好きなゲームを押し付ける形で決めました。
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海外の開発チームとの制作は、ジャズのように想いをぶつけ合って早期から方向性をしっかりと定める
――その後、開発が進行していったと思いますが、これまでのゲーム開発と大きく違うと感じた点などはありましたか。
野田
いちばん違ったのは、開発がアメリカのチームだったことです。ただ、海外の開発チームだからといって、開発に苦戦したということはなく、最初からずっと意見が噛み合っていて、まるでジャズのような感覚でしたね(笑)。お互い言葉を完璧に理解できたわけではありませんでしたが、ゲームへの想いをぶつけ合ったところ、熱意が伝わったようで。
僕が本作で目指した、みんなで協力してボスに立ち向かって、打ち倒したときの達成感を共有するという点も、すぐに理解していただけて。方向性をしっかり定めたうえで開発を行うことができました。
――昨年の東京ゲームショウ2023で、初めて本作について情報解禁されました。その際、ノブさんに開発を報告する映像も流れましたが、その後、開発を進める中で、ノブさんから激励の言葉などは届きましたか。
吉本興業の担当者 マネージャーを通して開発状況は報告していますが、ノブさんご本人のメッセージは届いていません。
野田
僕らが勝手にやっているだけですからね。あ、でも、報告後に初めてお会いしたときにボソッと「世界やな」と言ったんですよ。前後の発言がなく急にボソッと言ったので、どういった意図があったかわからないですが、ノブさんにとっては「世界やな」ということらしいです(笑)。
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200種類のノブさんのボイスを収録。ド派手な攻撃モーションで視覚的にも楽しく
――世界で通ずるタイトルだと思われたのかもしれませんね(笑)。本作のベースとなった『信 〜NOBU〜』の開発が、Roblox版『NOBU 〜 信 ~』で活きている部分などはありますか?
野田
『信 〜NOBU〜』を作るときに、ノブさんのボイスを200種ほど収録したんですね。完成した後、こんなに収録する必要はなかったなと思いましたが、再びノブさんのゲームを作ることになったので、収録したボイスを全部入れることにしました。そこは、『信 〜NOBU〜』の開発が活きた点だと思います。めちゃくちゃしゃべるのでうるさいですが(笑)。
――ゲームプレイ映像を拝見していると、ノブさんに掴まれて投げられるようなインパクトのある攻撃が印象的でした。ノブさんの迫力のある攻撃パターンは複数用意されているのでしょうか?
野田
本作でノブさんは敵ではありますが、あくまで主人公として振る舞わせたいと考えていたので、視覚的にも印象に残るような派手な攻撃は複数ご用意しています。ちなみに、いま挙げていただいた掴む攻撃は、アメリカの開発チームからの提案です。ちょくちょくダイナミックな感じのボケをゲームに入れてくるのですが、それがおもしろくて、そのまま採用させていただきました。
――開発中に印象的だったことはありますか?
野田
僕はRobloxでゲームを開発した経験がなかったので、最初はどういったことができるのかまったく想像できなくて。なので、3Dで派手なアクションができるかなというくらいに思っていたのですが、まず巨大なステージができあがったことに驚きました。そして、その中にあるオブジェクトすべてに判定があり、ノブさんが踏んだりぶつかったりすると全部壊れると。
それを見たときに、「このゲームは絶対におもしろくなる!」と確信しました。僕はこのゲームでは、とにかくみんなに吹っ飛んでほしかったですが、ノブさんの動作ひとつひとつに物理演算を適用されて、プレイヤーが宙を舞う様子も再現されていて。僕が思い描いたことが丁寧に実現されていて、うれしかったですね。ほかのプレイヤーがどんな状態になっているかを見ることができるのもオンラインゲームのおもしろさだと思うので、開発チームには全力で派手なアクションを作ってもらうことにしました。
――『FF14』から着想を得たというお話がありましたが、同作のシステムを参考にした要素などはありますか。
野田
参考にしようとしてやめたものはあります。『FF14』では、範囲攻撃の予兆が表示されるAOEシステムがあり、それを取り入れようと考えました。というのも、僕は回避に対してこだわりがあり、当初は予兆を見て状況を判断しながら敵の攻撃を回避して、ダメージを受けないように攻撃を仕掛けていくゲームを目指していました。でも、攻撃の予備動作が大きければ、予兆を表示しなくても回避に意識がいくのでなくてもいいかなと思ったんです。
ただ、実際にプレイをしてみると、とにかくノブさんが暴れて、回避をする余裕がなかったので、吹っ飛ばされることを許容し、リスポーンをくり返してダメージを与えて倒すいまの形に落ち着きました。
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Robloxを初めて触れる人でも気楽に遊べるタイトルを目指した
――現在は誰でも遊べるテストプレイも実施されていますが、ユーザーから寄せられた意見で印象深いものなどはありましたか?
野田
Robloxユーザーの方は操作に慣れていらっしゃるので、ゲームの魅力を感じていただけているようですが、あまりゲームに慣れていない人や“野田ゲー”しかプレイしたことがない人たちからは、「操作方法がわからない」というような意見も出ていたので、そこはフォローしてあげられるように、わかりやすく改善していきたいと考えています。
――『信 〜NOBU〜』は高難度のアクションゲームでしたが、本作ではどのような難易度を目指されたのでしょうか?
野田
高難度に見えて、じつはRoblox初心者でも楽しく遊べるゲームを目指しています。すごく吹っ飛ばされるし、ダメージを受けますが、目的は単純で、いちばんノブさんにダメージを与えられた人が勝利になるので、Robloxを初めて遊ぶ方でもすんなりと楽しめるのではないかと思います。
――改めて、『NOBU 〜 信 ~』の魅力をお聞かせください。
野田
誰でも活躍できる可能性がある点でしょうか。テストプレイを実施中ですが(※インタビュー実施時)、まだプレイヤーさんたちは立ち回りなどを開拓中で、どのような行動が最適解となるかは研究しているところだと思います。もしかすると、僕たちが想定していないような戦いかたが発見されるかもしれないので、そこは制作者としても楽しみにしているところです。
――『NOBU 〜 信 ~』を遊ぶ方に向けてアドバイスなどはありますか。
野田
職業がウォーリアーとソーサラーの2種あり、ソーサラーは初心者向け、ウォーリアーは上級者向けになっています。ソーサラーは遠距離から攻撃ができるので、外から照準を合わせて攻撃していれば、ほぼノーダメージで戦えます。逆にウォーリアーは近づかないと攻撃できないのでダメージを受ける危険性がありますが、攻撃力はソーサラーよりも高めに設定しています。ゲームの腕に自信のある方、もしくは操作に慣れた人はウォーリアー、初めて遊ぶ人などはソーサラーを使うのがオススメですね。
個人的には、ステージ内に戦闘を有利にするアイテムが点在しているので、アイテムを回収して強化しながら遠距離で攻撃していくのが強そうだと感じています。それと、武器は 3枠分持てるので、場面に応じた使いわけることも重要になりそうです。
――『スーパー野田ゲーWORLD』では世界大会も開催されましたが、本作は視覚的にもインパクトがあるので、大会にも向いていそうですね。
野田
本作はダメージ競争なので、画面内に順位が表示されます。見た目が派手で、状況もわかりやすいので、見ている方も自然と楽しめそうな予感がしています。
それと、『スーパー野田ゲーWORLD』でもとんでもなくやり込んだプレイヤーさんがいらっしゃったので、そんな方たちによる対戦は気になりますね。Robloxユーザーの方の中にもゲーマーさんはいらっしゃると思うので、もし、“野田ゲー”世界大会の上位入賞者とその方たちが対戦したらどちらが勝つのかなど、楽しみなことがいっぱいありますね。
――現時点で、リリース後に追加したい要素などの案はありますか?
野田
たくさんあり過ぎて申し訳なくなっているほどです(笑)。ただ、いますぐその要素を追加してしまうと、できることが増えて、ユーザーさんがパニックになってしまうと思います。なので、リリース後、多くの方に遊んでいただけて、もっと時間と予算を使えるようになったら、追加を検討したいと思います。
ちなみに現時点の案としては、たえばノブさんのモーションやステージを追加したり、期間限定イベントなどで超巨大なノブさんを登場させてみたりするのもおもしろいかなと。正直、ゲーム性を考えると、いまのノブさんのサイズ感が最適なんですけど、ゲーム性が壊れるほど巨大なノブさんと戦うというのは、いつものプレイ感覚とは違って楽しそうだなと思いますね。
――ちなみに、今回はアメリカのチームと協力して開発されたということでしたが、もし野田さんがひとりでRoblox向けに開発するとしたら、どんなゲームを作ってみたいですか?
野田
日本でも流行した、鬼ごっこのようなゲームは作りやすそうですね。触れたら負けは単純でわかりやすいですし。それと、Robloxは操作も快適なので、無茶苦茶なゲーム性でも実現できそうです。それこそ、『つり革』の3D版もおもしろそうなので、作ってみたいですね。
――最後に、本作を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
野田
Robloxというプラットフォームは、世界で見るとたくさんユーザーさんがいらっしゃいますが、日本ではまだそこまで知られていません。ですが、すばらしいプラットフォームなので、日本でももっと流行していいと感じています。今後、Robloxの魅力に気づいたクリエイターさんや企業さんたちがたくさんゲームをリリースしてくださると素敵だなと思いますし、本作はRobloxがどのようなプラットフォームなのかを知ることができるゲームを目指して開発しました。
わかりやすく、みんなで盛り上がって楽しめる作品なので、ぜひ気楽にワイワイ遊んでいただけたらうれしいです。そして、皆さんの盛り上がり次第では、もしかすると世界大会などもあるかもしれません。それが実現できるように、ぜひよろしくお願いします!