協力から一転、裏切るのがおもしろかった
『マリオブラザーズ』は、任天堂から発売されたアクションゲーム。1983年7月から稼動していたアーケードゲームの移植作で、ファミコン初期の定番タイトルと言えば本作だろう。テレビゲームで初めて“マリオ”の名前がタイトルに使われた記念碑的作品でもある。
ちなみに、同名タイトルのゲーム&ウオッチ作品『マリオブラザーズ』が1983年3月14日に発売されているため“ゲーム”という大きな括りで言えばマリオの名を冠した初の商品はこちらになりそうだ。内容はまったく異なり、ベルトコンベアを使って荷物をトラックに運んでいくゲームだった。
ファミコン版『マリオブラザーズ』は、協力型アクションだったところも非常に新鮮だった。本作の前後に発売されたふたりプレイができるほかのタイトルを見てもよくて対戦、だいたいが交互にひとりずつプレイだったのだから、当時のゲーム好きの子どもたちは全員『マリオブラザーズ』で協力プレイの楽しさを知ったと言っても過言ではないはずだ。
ゲームはシンプルなステージクリアー制。土管から出現するカメやカニ、ハエといった敵を床下からパンチで突き上げて気絶させ、その後でフロアを上がってから蹴り落として倒すというルールだった。ふたり協力プレイであれば、突き上げ役と蹴り落とし役で作業を分担するなど、戦いかたを工夫できるのも魅力のひとつ。
ステージ中央にある“POW”ブロックを叩けば、床全体に突き上げ1回分の効果をもたらすため、まとめてひっくり返って気持ちがいい。ただし、すでにひっくり返っていた敵は起き上がり息を吹き返すため、プレイヤーが接触すると1ミスとなってしまうから注意が必要だ。
また、マリオとルイージのキャラクターどうしに当たり判定があるため、敵から逃げようとしていた相棒を通せんぼする形でミスにしてしまったり、あるいは上のフロアから降りてきた相棒が自分を踏んで跳ね返って敵に突っ込んでミスになったり。ハプニングが起きやすい仕組みにしてあったのもニクイところ。
誤操作にしろ意図的にしろ、プレイヤーの行為が切っ掛けで相手がやられると、まるでそれが試合開始の合図であったかのように突如として対戦プレイへと様変わりしてしまうのが『マリオブラザーズ』に夢中になれたポイントでもある。
最初から対戦バトルをしていた人もいたと思うが、ちょっとしたハプニングを切っ掛けに協力から対戦に切り替わるというお約束が筆者は好きだった。
昔を思い出し、いま本作で遊びたいという人はNintendo Switch Onlineに加入して、配信中のファミコン版『マリオブラザーズ』で遊ぶのが手っ取り早くておすすめだ。ファミコン版より若干リッチな作りかつ原点でもあるアーケード版で遊びたいという場合はNintendo Switchで『アーケードアーカイブス マリオブラザーズ』をダウンロード購入するといいだろう。