めちゃくちゃ気持ちいいゲームがある。『Spell Fragments』といい、東京ゲームショウ2024(2024年9月26~29日に千葉県・幕張メッセで開催)のインディーゲームコーナーに出展されていた。
ダンジョンを探索するTPSタイプのアクションゲームなのだが、自分で作ったオリジナルの魔法をガンガンぶっ放せるのだ。しかもローグライト、ハック&スラッシュ+トレジャーハンティング、デッキ構築……といった、人を沼に引きずり込む要素が内包されている。たまらない。
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人類の“ハマる要素”が全部入り。魔法構築が楽しい3Dアクション
ゲーム性を大雑把に言えば、最初に書いたジャンルのごった煮である。毎回ランダムに変わるダンジョンを探索しつつ、生成されるスペル(魔法)やいろんな効果がついた武具を手に入れ、それらを組み合わせつつ深層を目指していく……というもの。
雰囲気だけを理解してもらうならば、”3Dアクションになった『Noita』”と言ってしまうのがいちばんわかりやすい(もちろん違う部分も大いにあるが)。
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道中では、アーティファクトと呼ばれるアイテムなどを拾いながら自身を強化していく。何が出るかは運任せだ。
とくにおもしろいのが魔法の編集。5×5のグリッドがあり、そこに入手したスペルを当てはめていくのだが、その自由度が半端じゃない。その気になれば”3方向に分岐した後、的に向かって飛んでいくクソデカ爆発物を3連射”みたいなものが作れてしまう。つまるところが”ぼくのかんがえたさいきょうのじゅもん”である。
そんな呪文を構成するのが、このステキな編集画面。
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この画面とはずっとにらめっこすることに。赤枠で囲ってある部分は下の本文にてちょっと解説。
ここに入手したパネルを詰め込んでいく。隣接したパネル同士はつなげることができ、魔法を打つと連鎖して発動するようになる。
たとえば上にある画像の右上(赤枠)の配置だと、“前方にまっすぐ弾を飛ばすスペル→爆発してダメージを与えるスペル”という順番で発動する。これを実際に敵に向けて放つと、“敵に弾が着弾したときにその場で大きな爆発を起こす魔法”になる。
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実際に使ってみる。こうやって緑色の弾が飛んで行って……。
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敵に当たって大爆発。近い位置で爆発すると自身もダメージを食らってしまうので、こうすれば比較的安全に取り扱うことができるわけだ。
これはスペルだけをつなげた際の話で、じつは複雑な話がもう少し。スペルには、こういった魔法自体を示すもの以外にも、トリガーとオプションと呼ばれるシロモノが。オプションは、言葉の通り連結した魔法に特定のオプション(機能)を持たせるもの。威力を上げてクールタイムを伸ばしたり、弾が敵を追尾するようになったり、いろいろな種類が存在する。
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これがオプション。手前につないである爆発系スペルの威力を高めてくれる。
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今回つけているオプションは“集中”。弾をでかく威力を強くする代わりにクールタイムがとても長くなってしまう。バカでかい火球が出るのですごく派手。
おもしろいのがトリガー。こちらは名前のとおり引き金で、“どのキーを押せばその魔法が出るのか”を決めるもの。試遊版では左クリック、E、回避の3種類を確認できた。
魔法にはクールタイムの概念があり、長く複雑に連結した魔法はそのぶんクールタイムが長くなる。ちなみにクールタイムはトリガーごとに独立している。
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下に3つならんでいるのが、トリガーを設定した魔法たち。
クールタイムはトリガーごとに独立……つまり、同じ魔法に対して複数のトリガーが連結してしまえば、クールタイムを気にせず連射できてしまうのである(もちろんトリガーの数だけだが)。道中で超優秀なスペルを手に入れたり、「これしかない!」というような魔法の組み合わせを考えついたりしたなら、全部のトリガーをその魔法につなげてしまってもいいわけだ。
「そんなのあり?」って話だが、仕様上できるのだから何も問題はない。いやほら、魔法って自由だし、そういうこともある。
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この赤枠で囲った3つがトリガー。ひとつの魔法に全部ついているのがおわかりだろうか。
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連結したスペルはトリガーを起点に発動する順番が決まるので、この形だとそれぞれ別の順番で発動する。上のトリガーは黄色いスペルから(赤矢印)。左と右のトリガーは緑色のスペルから(黄矢印)。
もちろん、隣接するマスをトリガーで埋めるとそのぶんオプションや魔法の拡張がやりにくくなる。スペル全体としての拡張性を優先するのか、連射による安定性を取るのか、そのあたりを突き詰めていくのがおもしろい。試遊版ではスペルの数は少なかったが、正式版ではもっと増える予定なのだという。楽しみすぎる。
さらに、スペルはどんなときでも、たとえ戦闘中であっても組み換えが可能。「何か違うわ」と思ったらとりあえず編集できる。このあたりの手軽さも魅力のひとつだ。
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なーんか敵が多いな……。
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じゃあとりあえず爆発系のスペルにトリガーを付けて。
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爆炎でドーン! 状況にあわせて構築するのも楽しみのひとつ。
ダンジョンの雰囲気もいい。試遊版で遊べたの場所はまさに“古代の書庫”という趣きで、歩くだけでもワクワクさせられた。敵、および自キャラクターの造形もよく、グラフィック面での満足度も高い。
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キャラクターがいいんですよね。試遊版にはいなかったが、主人公以外の人間も登場するのだろうか。
ランダム要素が豊富なのもそそられるポイント。道中では魔法の威力や使用回数を高める装備品が手に入り、装備によって付属ステータスに差がある。要は「良品を引けるまでひたすら漁ろう!」という、いわゆるハック&スラッシュ+トレジャーハンティングのような形式だ。
いくつかの装備品はつぎの探索に持ち越せる。せっかく探索が終わってしまったとしても、「あの装備強かったのに……」とショゲて肩を落とすこともない。経験値などを利用して装備品自体を強化できるので、製品版ではお気に入りの装備とずっと旅をしていくことだってできるだろう。
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装備品はダンジョン内にある宝箱などから入手できる。
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最大6個まで同時に装備可能。それぞれ固有のステータスを持ち、強化することでどんどん効果が解放されていく。
キレイにランダム要素を散りばめつつ、キッチリと思考して組むおもしろさもある。全体としてすごく丁寧なゲームだという印象だ。10分程度の試遊を終えて、正式にプレイできるタイミングが待ち遠しくなった。
じつは今回の取材では製作者であるCocoro Software代表の西井裕介氏からいろいろなお話を聞かせていただいている。しかも氏の華麗なプレイを真横で見たうえで!(本記事の写真はほぼその際に撮影させていただいたものだ。ありがたい。)その際いろいろと気になることも聞いてみたので、ちょっとばかりインタビュー形式でお届けし、この記事を締めることにしよう。
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さきほどの画像も解説をうけながらプレイ中に撮影させていただいたもの。とても気さくにご対応いただきました。心の底から感謝の意を表明したい。
――スペルは何種類ぐらい実装予定なんですか?
西井 現状だと150種類ぐらいはゲーム内に実装しています。オプションやトリガー含めての数ですが。
――それだけあると調整もたいへんそうですね……。とんでもないスペルの組み合わせが見つかったりした場合、適宜調整されるのでしょうか。
西井 基本は調整するつもりはありません。こういったゲームは、自分の考えた最強のビルドを撃つのがおもしろいと思いますので。「調整して弱体化されちゃった……」というのは、ユーザーの方にもあまり体験していただきたくないですし。
――なるほど! たしかに「せっかく見つけたのに調整で消された!」ってなるの、ユーザー的には辛いですから。
西井 もちろん、バグでダメージの桁がおかしいとかはちゃんと直しますけどね。テストプレイ段階でも、正規の方法でとんでもないダメージを出すやり方とかも見つかってはいますが、まあそこはいいんじゃないかということで……あまり手を入れる予定はないです。とにかく強みを押し付けて、ゲームをぶっ壊してくれよ! って感じがこのゲームに合ってるなーと思っています。
――いろんなユーザーがぶっ壊し方を見つけるのが楽しみです。それと、スペルの性能を見ていたときに“延焼ダメージが~~”みたいな文言が気になったのですが。
西井 試遊版での属性は“自然”や“物質”などの大枠だけですが、本当はその下にサブ属性みたいなものを実装する予定でした。氷とか炎みたいな感じの。今回は手が足りずに実装できませんでしたが、今後はそれらに対応するような、特定のサブ属性を強化するアーティファクトなども含めて作っていきたいですね。
――これからも要素が盛り込まれていくわけですね。いまプレイできていない(西山氏のプレイを横で見ているため)のが悔しいぐらいにはやりたい気持ちでいっぱいです。改めて、配信されるのを楽しみにしています!