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『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』実機プレイレビュー! ムチだ、拳だ、謎解きだ……インディと一体化できるFPS視点だからこその大冒険。プレイ動画と開発インタビューでその魅力に迫る

byコンタカオ

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『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』実機プレイレビュー! ムチだ、拳だ、謎解きだ……インディと一体化できるFPS視点だからこその大冒険。プレイ動画と開発インタビューでその魅力に迫る
 ジョージ・ルーカスが製作総指揮を、スティーブン・スピルバーグが監督を務めた(シリーズ4作目まで)映画『インディ・ジョーンズ』シリーズ。

 ハリソン・フォード演じる主人公の考古学者“インディアナ・ジョーンズ”(“インディ”は愛称)は、持ち前の行動力と知性、ひらめきとユーモアで、歴史に秘められた謎に挑む。その大冒険に世界中のファンが魅了され、1981年に公開されたシリーズ第1作
『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(以下、『失われたアーク』)は大ヒットを記録。これまでに『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)、『最後の聖戦』(1989年)、『クリスタル・スカルの王国』 (2008年)、『運命のダイヤル』(2023年)と、5作が公開。テレビシリーズも展開された。
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 そんな『インディ・ジョーンズ』の魅力を凝縮したゲームが『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』だ。ベセスダ・ソフトワークスよりXbox Series X|SとPC(Game Pass対応)向けに、2024年12月9日に発売される(プレイステーション5版は2025年春に発売予定)。
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 開発を手掛けるのは、『ウルフェンシュタイン』シリーズでおなじみのMachineGames。Bethesda Game Studiosで数々の名作を手掛けたトッド・ハワード氏が製作総指揮を務めることも話題となっている。自身も『インディ・ジョーンズ』のファンだという。
 これまでにも何度か本作の魅力に迫ってきたが、今回はついにハンズオンのプレビューイベントが開催された。実際にゲームを90分ほどプレイできただけでなく、MachineGamesでリードゲームデベロッパーを務めるEzekiel Virant氏にインタビューを実施。この取材を通して理解できた本作の魅力を、じっくりとお届けしよう。
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 さらに、本イベントでのプレイをもとにしたプレビュー動画を公開するので、記事と合わせてチェックしてほしい。

多彩なアプローチでインディの冒険を体験

 ハンズオンは、インディが教鞭を取っているマーシャル大学から始まった。深夜、謎の大男が大学に忍び込み、遺物を盗もうとしているところに、インディは遭遇する。

 格闘の末にインディは昏倒させられてしまう。なぜ、何の変哲もない遺物が盗まれたのか……。その謎に迫るべく、インディはバチカンへと赴く。しかし、バチカンの協力者であるアントニオ神父は「いまのバチカンは安全ではない」と伝えてくるのだった。

 これが本作の導入。大男との格闘とマーシャル大学での探索は、基本動作のチュートリアル的な意味合いを持っていた。まずはバトル。一人称視点で描かれる本作では、戦闘はシンプルな殴り合いがメインとなる。拳で攻撃し、ガードとスウェー(体勢を後ろにずらす動作)の組み合わせで敵の攻撃を避けるという、わかりやすいものだ。
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 探索も同じで、情報を集めてアイテムを使って、新たな情報を得る。ディテールにはかなりのこだわりが感じられ、なんてことのない電気のスイッチも反応するなど、一人称視点の没入感を損なわないように細部まで配慮されていることがわかる。ただ、ここはいまのアドベンチャーゲームではおなじみのポイントだろう。
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 では、本作はほかのゲームと何が違うのか。それはもう、プレイヤーがインディ・ジョーンズであることだ。プレビュー動画を観ていただければわかる通り、序盤からあのマーカス教授が登場する。インディのよき仲間であるマーカスを演じたデンホルム・エリオットはすでに鬼籍に入っており、『最後の聖戦』を最後にシリーズ作には出演していない。
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 本作の時代設定が『失われたアーク』と『最後の聖戦』のあいだであることを、ファンはこの導入部分で一瞬にして理解できる。そして、本作が『インディ・ジョーンズ』のゲームであることを痛感するのだ。まあ、単純に言えば「あのマーカスとインディが会話してる」と感動しちゃう! ということです。

 ローマに向かったインディは、アントニオ神父と合流するためにサン・ルカ城塞に潜入する。ここは探索のチュートリアルと言えるフィールドになっていた。

 インディはタフガイだが、無敵のスーパーヒーローではない。スタミナが切れたら動きは鈍くなるし、複数の敵に囲まれれば現実と同じように太刀打ちできない。相手がふたりだけだとしても、むやみに殴っているだけではあっさりと倒されてしまう。戦闘はできるだけ避けたほうが賢いわけだ。

 ここで活躍するのが、インディ=プレイヤーのひらめき。ビンを投げて敵の注意を引きつけ、そのスキを突いて移動する。そこらへんに置いてあるクワを手にして、背後から忍び寄って攻撃し、見つけにくい場所に気絶した敵を隠す。こういったステルスアクションが、探索における基本である。
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 周辺にあるオブジェクト……それこそ頼りない傘も武器になるが、インディがつねに携帯している武器は、基本的にムチとなる。ムチはおもに移動で活躍するものの、戦闘時には相手を後退させたり、相手が手にしている武器をはたき落としたり、そのまま倒れるまでふるい続けたりと、その用途は幅広い。
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 ただ、ムチは必殺の武器にはならない。ムチでひるませて油断したスキに接近して一撃を入れるなど、格闘のコンビネーションとして活用することが重要であり、それが戦闘の楽しさにつながっている。

 マップを見つけたら探索範囲が広がり、各所でスキルアイテムや新たなミッションにつながるものを発見することも多い。そこまで広くない城塞でも、探索ポイントは随所に用意されていた。
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 迷ったらいちいちメニューを開いてマップを見る必要はなく、マップをすぐに呼び出して、広げながら移動できるのもユニークで、ゲームプレイをなるべく中断させないように配慮されていることがわかった。これは音にも表れていて、後ほど紹介するギザも含めて、風や虫の声などの環境音が方向も含めて繊細に再現されており、没入感はかなりのものだ。
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フィールドで大きく変わるプレイフィール

 ということで、夜の城塞というシチュエーションからガラッと変わって、エジプトのギザを舞台にしたプレイを体験。

 ここはオープンフィールドとなっており、推奨される進行ルートはあるのだが、基本的には自由に探索できる。本作におけるインディの相棒であるイタリア人ジャーナリストのジーナは姉を探しており、その行方を追うべくギザに到着したというストーリーだ。

 とにかくギザは広い。向かうべき目標はもちろんあるので、まっすぐ進むのもいい。しかし、そこまで移動するあいだにも探索できるポイントがあちこちにあり……もはや「入れ」と言わんばかりの謎めいた穴が開いていたりする。しかも底に謎の遺体が転がっていたりして、そそられるったらない。そして、このギザを支配しているのは銃火器を持ったナチスだ。

 ローマの城塞では敵の数もそこまで多くなく、最悪でも2~3人を相手にすればよかった。しかし、ギザでは複数のナチス兵が巡回しており、気づかれるとすぐに集まってくる。自然とステルスプレイに徹することになるのだが、城塞の通路のような狭い空間ではなく、広い空間でオブジェクトを活かしたステルスで味わえる緊張感は、ローマとはまたひと味違うものだ。
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 探索ポイントも、静謐な空間でじっくりと謎解きに挑める場合もあれば、ナチス兵がうようよいる複雑な構造の発掘現場もあり、それぞれで攻略のアプローチがまったく変わる点もユニーク。

 発掘現場では兵士に発見されたらおしまいなので、とにかく見つからないように進むしかない。ムチを使って足場を移動し、ビンを投げて注意をそらし……いままでの体験を総動員して、目的へと向かう。と、ここでプレイは終了。今回は体験できなかったが、漏電を利用して敵を一斉に倒せる仕掛けもあるそうで、自分の手で攻略ルートを開拓できるおもしろさも、本作のポイントとなっているのだろう。
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 インディの能力を引き上げるスキルは、道中で入手するブックで習得できる。習得するにはアドベンチャーポイントが必要で、そのポイントはミッションクリアー時やアイテムの取得などで獲得可能だ。

 なお、本プレイで確認できたスキルは、スタミナや体力の回復時間を短縮するもの、敵を倒したときにスタミナを回復するもの、アイテム保持枠を拡張するもの、格闘ダメージを上昇させるものなど、基本的な内容となっていたが、ユニークなスキルもふんだんに用意されているそうだ。
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 用意された90分だけでは、ギザの探索にはまったく時間が足りなかった。そんな中で、本作の魅力には大きくふたつの要素があると感じた。

 ひとつは一人称視点による没入感と、それをジャマしないゲームデザインだ。情報を極力削ったユーザーインターフェース、近接戦の緊張感、ステルスプレイのバリエーションなど、オーソドックスな要素ではあるが、それぞれがていねいに作られていることがわかる。
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 もうひとつは、探索こそが主役であるということ。カメラで写真を撮ったり、何かしらのヒントを見つけ出したりと、新たな情報がどんどん“日記”に加わっていくのだが、この日記が整理されていて、情報を引き出しやすくなっている。

 探索しているうちにフィールドワークのようなサイドミッションがつぎつぎと発生するので、欲しい情報にわかりやすくアクセスできるデザインの日記はありがたかった。最初は簡素なマップにどんどん書き込みが加わっていくのも、モチベーションを上げてくれる。
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 映画のエッセンスを確実に取り込み、ゲームのフォーマットにしっかりと落とし込んだ本作は、ド直球の『インディ・ジョーンズ』ゲームであり、その節々から「『インディ・ジョーンズ』のワクワクをゲームで表現するんだ」という熱意と決意が感じられる作品となっている。『失われたアーク』をリアルタイムで体験し、『若き日の大冒険』も観て、レゴのゲームまでプレイした自分が言うのだから、そこは断言していい。

 
『インディ・ジョーンズ』を知らないという人も、システムのベースはオーソドックスであり、アクションもパズルもきちんと作り込まれたアドベンチャーゲームとなっているので、手にして損はない。『トゥームレイダー』や『アンチャーテッド』のような、現実世界を舞台にした壮大な冒険が好きなら注目しておくべき1本だ。

新たな冒険を生んだMachineGamesのキーパーソンに直撃!

 ここからは、本作の開発を手掛けるMachineGamesで、リード ゲーム デベロッパーを務めるEzekiel Virant(エゼキエル・ヴィラント)氏のインタビューをお届けする。

 FPSを得意とするMachineGamesにとって、
『インディ・ジョーンズ/大いなる円環』は挑戦だったこと、そして彼らが本作に込めた『インディ』愛が伝わるとうれしい。
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――少しゲームを触らせていただきましたが、インディのアクションやモーションに人間らしさを感じたことが、強く印象に残っています。息遣いを感じるというか……。

エゼキエル
 インディは考古学者であり、探検家・冒険家です。彼はスーパーヒューマンではなく、万能ではありません。それが彼らしさでもあり、すごいスピードで何キロも走ったり、2メートルの高さを軽く飛び越えるようなことはできない。そこは私たちも注意しましたし、そんなインディに敬意を払ってゲームを作りました。

――だからこそ、プレイヤーはインディに感情移入ができると思います。スタミナの管理が重要という点も、インディの人間らしさにつながる要素ですよね。

エゼキエル
 スタミナは戦闘や身体を酷使するような移動で消費するので、いざというときに備えて適切に管理する必要がありますね。こうしたのも、プレイヤーには自分がインディと同一化しているように感じていただきたかったからです。本作においては、人間味のある行動こそ没入感につながると考えています。

 たとえば刀を取ろうとしたら傘を取ってしまうとか、銃を向けられたら一目散に逃げるといった行動をゲームでは見せてくれる。こういったインディらしさにはこだわりましたね。

――インディの蛇嫌いがわかるギザのシーンはユニークですよね。読者には実際に遊んで見てもらいたいのですが、影だけで表現されていて。すごく映画らしいユーモアがあって、「ああ、このゲームは『インディ・ジョーンズ』を好きな人が作っているんだな」と伝わってきました。

エゼキエル
 そう言っていただけるとうれしいですね。開発チームにも蛇が嫌いな人がいるので、リアリティーがあったでしょう(笑)。

――MachineGamesといえばFPSのスペシャリストという印象が強いのですが、その知見は本作にはどのように活かされているのでしょうか?

エゼキエル
 私たちは確かにFPSの開発を得意していますが、いちばん大事にしているのは、ゲームを通してプレイヤーにどのようなストーリーを伝えたいか、どのようにすれば伝わるのか……という点です。本作においても、インディ・ジョーンズならではの多様なキャラクターや世界を活かして、プレイヤーにストーリーを楽しんでもらえることを第一に考えました。

 本作の開発にはいままでとは異なるアプローチが必要でしたし、ステルスアクションも考え直しました。もちろん銃を使ったシチュエーションもありますが、一人称視点のアクションに新しい挑戦が求められていることも理解していました。これは私たちにとってもすごくいい課題で、自分たちの力を表現するいい機会になったと思います。
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――想像していたより、ステルスアクションに特化されている印象を受けました。

エゼキエル
 ステルスアクションが本作のスタートでした。なるべく目立たずに、頭脳を活かした行動こそがインディの持ち味だと思っていましたので。もちろん問答無用で相手を叩きのめすのも、インディらしい選択肢ですが(笑)。

――それぞれの要素はすごくオーソドックスなのですが、ステルスと探索、謎解きの組み合わせのバランスがとてもよくて、気が付いたら時間が経っていました。

エゼキエル
 インディは優れた考古学者ですが、クレバーかつユーモアを持ち合わせていて、困難に立ち向かうタフさもある。まさに多様性を体現したキャラクターです。そんなインディを主人公にしたゲームらしく、戦闘・ステルスアクション・探索・謎解きのすべてがバランスよく、プレイヤーに不自然な流れを感じさせないように展開することには注力しました。
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エゼキエル
 これこそゲームのゴールであり、ここを目指して開発を進めてきました。最後にプレイヤーが「『インディ・ジョーンズ』らしいゲームだったな」と感じてもらえることが大事なんです。
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――現時点でのUIのデザインもシンプルでわかりやすく、とくに日記は読みやすくてどんどん情報で埋めたくなりました。

エゼキエル
 日記に関するゲームデザインは、私も気に入っているんですよね。ゲームに必要な情報、行った場所や見たものの情報など、すべて日記に記すという形にしていますが、プレイヤーには日記を使いこんでいくうちに、日記そのものに愛着を持ってもらいたかったんです。

 きっと最後には、すばらしい日記が読めるようになっていると思います。

――インディの行動に合わせてアドベンチャーポイントが都度入手できます。このポイントはどのような意味を持つのでしょうか?

エゼキエル
 アドベンチャーポイントは報奨のようなもので、クエストやフィールドワークをクリアーするだけでなく、何かしらの秘密を探したり、メモや写真で探索を深めていくことで入手できます。このポイントを使ってスキルの開放や強化ができるようになります。

 本作には隠された謎がたくさんあるので、それらを見つけてくれたプレイヤーへのごほうびという意味もありますね。

――今回のプレイで確認したスキルの中に、“LUCKY HAT”という倒されても一度だけ復活できるスキルがありました。そのモーションが、帽子をかぶり直してニヤリと笑うというもので……すごくインディらしくて、こちらもニヤリとしてしまいました。

エゼキエル
 これはゲームディレクターのJerk Gustafssonのアイデアですね。彼が「こんなスキルがあって、こんなモーションと組み合わせたらどうだろう」と興奮して提案してくれたのですが、最初は「どうかな?」と思っていて……。でも、実際にプロトタイプに落とし込んだら、全員が「これはいい!」となりました。

 ニヤッと笑うあの表情は、とてもインディらしいですよね。同じように、インディらしさを感じさせる細かいデザインを各所に施しているので、ぜひ注目していただきたいです。

――私のような『インディ・ジョーンズ』ファンが本作に望んでいたことです。

エゼキエル
 何より『インディ・ジョーンズ』のファンに本作を楽しんでもらえることが大事ですし、プレイヤーがインディになった気分を味わってほしいので、そう言っていただけるのはすごくうれしいですね。

 ただ“LUCKY HAT”のようにインディらしさを強調するだけではなく、それがゲームとして不自然なものではなく、きちんとゲームプレイに有用なものになるよう、バランスを考えています。決して
『インディ・ジョーンズ』ファンだけが楽しめるゲームにはなっていないので、安心してほしいですね。

――最後に、日本で本作を待っているプレイヤーにメッセージを。

エゼキエル
 このゲームにはたくさんのミッションがあります。パズルやアクションなど、その内容もさまざまです。ムチを使ったもの、頭を使わないと進めないもの、それらを組み合わせたもの……本当にバラエティーに富んだミッションを用意しています。

 先ほども言いましたが、本作はインディという人物の多様性を表現するようなゲームになっているので、インディと同じような魅力に溢れています。楽しみにしていてください。
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      集計期間: 2025年04月26日05時〜2025年04月26日06時