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いちゲーマーがこんなに上り詰めることある? 混乱はさておき、この画像を見てほしい。
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福富さんの運営プロデューサー就任は十分な偉業だからドキュメンタリー番組に出たっていいだろう。そんな気持ちがあふれた次第である。
写真がSNSで拡散されて、
「『ブレイドアンドソウル』の運営プロデューサーがテレビで特集されたらしい」
「そんなに話題のゲームなのか。やってみようかな」
と噂になるかもしれないので、福富さんの半生をドキュメンタリー風に追ってみよう。頼んだぞ、みんな。
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ドキュメンタリー風画像の作りかた
ゲーム会社に就職したいゲーマーは多いだろうが、好きなだけでは入社できないのがふつうだ。当時の話を聞くと、余計に疑問が広がっていく。
- 転職時点で31歳
- ゲーム業界未経験
- 『ブレイドアンドソウル』以外のMMORPG知識はほぼゼロ
- 昔から2ちゃんねるでめちゃくちゃ叩かれている
不安が押し寄せてくる。どうしたんだエヌシージャパン。つらいことがあったのなら話を聞きたい気持ちを抑えて経緯を遡ると、ある事実に行きつく。
……ひょうきんだからだ。
これをドキュメンタリー番組風にするとこうなる。
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- 写真のコントラストを強くする
- 写真のなかの1色を強調するなどして印象的に
- 画面上部の左右にロゴや内容を端的に表したテキストを入れる
- 印象的なセリフを字幕表示
すごく狭い攻略情報を書いてしまった。この小細工で福富さんの経歴をドラマティックにしていこう。ドキュメンタリー番組風にしたいので呼び捨てにします。ご了承ください。
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承認欲求の塊
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PCのオンラインFPSはおもしろいが、マッチングの待ち時間が嫌。ずっと遊べるゲームはないかと、夜勤バイト中に読んだ週刊アスキーであるゲームが目に留まる。それが『ブレイドアンドソウル』だった。
ここは気を遣って弊社の本を挙げてほしかった。そういうところだぞ、きみ。
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・正式サービス開始。月額3000円に腰が引けて3~4ヵ月で休眠
↓
・無料化。それならばと復帰
↓
・装備強化素材の多さにめまいがして休眠
↓
・門派(ギルド)仲間のスキー旅行を企画。同行したいのでふたたび復帰
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いた。
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この時点では『ブレイドアンドソウル』を盛り上げようなんて気持ちはない。100%自分のため。だが、これがよかった。この気楽で無責任な判断が、時間を越えて幸運を呼び込むことにつながる。
気象学者はここから“バタフライエフェクト”を提唱したと言われている。嘘です。
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つぎのオフラインイベントでは運営チームと飲みましょうみたいな企画があり、もちろん参加。前任のプロデューサーであるFSグラウカに声をかけてもらい、いきなり「比武大会の解説員として出演しませんか」とオファーが舞い込んだ。
うれしい半面、問題もある。比武はいわゆる対人戦だ。全職業の武功(スキル)が頭に入っていないと解説しようがない。エアプ野郎が出たら絶対に叩かれる。それなのに福富は比武を通ってこなかった。どうするべきか……。
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「知らなくても全然大丈夫ですよ」と、よくある誘い文句を鵜呑みにして、福富は出演を即決。ちなみに、その大会とは“ジャパンチャンピオンシップ2017”、つまり日本一決定戦である。会場はベルサール神保町アネックスという立派なイベントホール。
無名のいちプレイヤーを上げるステージにしてはでかすぎる。当時の運営チームもまあまあおかしい。
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スキル詳細の資料をA4用紙の束でもらい(ちょっとした辞書並みのボリューム)、頭に詰め込む日々。対人戦に詳しい仲間の教えを請い、スキル名を言い間違えないように漢字の勉強も進める。
そう、成長である。軽薄男に責任が芽生えている。誰よりも目立つため。たったそれだけのために人は本気になれる。有名になるということはイメージも大切だ。ちゃんと選手にあいさつしよう。大会当日、福富は選手の控室を訪れた。
福富「はじめまして。今日はお世話になります、ふんこです!」
選手「…………………………」
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とはいえ、詳しくない人という立ち位置も大切だ。当時は解説員がもうひとりいて、そちらは比武ガチ勢。有識者が知っている人向けに解説すると内容が難しくなる。“知らないこと”を武器に、「知らない人でも遊べるよ」と呼びかけ続けた。
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たぶん乗り切れていないが(ネット掲示板が荒れていたので)乗り切ったことにした。そう思わないとやっていられないときもある。
2019年はバトルロイヤル形式の“鉄鎖群島”が採用され、これはスキルでの攻防より状況説明が重視されるのでずいぶん楽に。
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この頃から、毎年5月にある周年記念の生放送にも呼ばれるようになり、ユーザー代表のような立ち位置に。福富は「僕のことを知らないユーザーはいないくらい」と胸を張るが、さすがにそれは言いすぎだ。
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いまの『ブレイドアンドソウル』運営にいいところはない
そしたら本当に転職が決まってしまった。とんとん拍子にもほどがある。
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2018年はジャパンチャンピオンシップの施工会社の社員として設営を担当し、翌日に解説者としてイベント出演していたそうだ。
ところで、福富のアピールはエヌシージャパンに届いていたのか。FSグラウカは当時の印象をこう語る。
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にも関わらず、5年後に事態がひっくり返る。福富のもとにFSグラウカからメッセージが届いたのだ。その日は2022年5月20日。くしくも『ブレイドアンドソウル』正式サービス8周年の記念日だった。
このとき福富は『ブレイドアンドソウル』のよくない変化を感じ取っていた。どんなに人気のオンラインゲームでも下がり目のときはあり、それはたいてい“課金アイテム”に出る。ユーザーが求めてないものを売ろうとする。
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知識はときとして邪魔になる。経験に裏付けされた無難な対応ではなく、本当のユーザーの意見がほしい。そんなことを考えるほど運営がひっ迫していたのかもしれない。ひょうきんなお調子者は起死回生のカードだった。まさに道化師=ジョーカーである。
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『ブレイドアンドソウル』はMMOアクションRPGとして高く評価されたタイトルだ。さらにグラフィックを強化し、UIやシステムを現代に合わせてリメイクしたのが『ブレイドアンドソウル NEO』。福富はどういう一手を打つのだろうか。
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ピンチ。若い子は『ブレイドアンドソウル』を知らない
チームビルディングや人を呼び込む施策を考え、YouTubeの映像を自分で編集し、ときには生配信のセッティングもする。どれもオンラインゲーム運営に役立つスキルだ。現場で覚えられたのは大きい。
その前の仕事はテレビ業界の営業マン。自社スタジオなど商品を「これを使いませんか」と売り込むのが仕事だ。コミュニケーションを図って相手の心に入り込む。よりほしい商品を提案する。
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過去の経験が、MMORPG運営の血肉になっている。現代の急がば回れだ。まさかこれを狙ったんですか! FSグラウカさん!
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まずは市場調査だ。知らない人とゲームをするのが好きで、入社前はどんなゲームのチーム募集にもすぐに突撃。イベント出演時のドヤ顔写真をアイコンにしているので、若い子から「解説とかやってるんですか?」と聞かれることも。
得意げに説明するものの、ショックを受けることも多かった。
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福富が解説をやっていたことどころか、そもそも若い子は『ブレイドアンドソウル』の存在を知らないのだ。これはまずい。
若い世代の認知は重要だ。FPSブームだからスペックの高いPCは持っているはず。そこで、もとから好きだったVTuberやマイクロインフルエンサーに目を付けた。
超人気ストリーマーもいいが、ファンコミュニティの内輪で楽しく遊んでもらいたい。そんな気持ちでストリーマーコンテストを企画したらゲーム配信をする人が増加。配信者のファンを呼び込むつもりが、ユーザーが配信者になるねじれを生み出してしまった。まあ、新しい文化が根付いたのは悪いことではない。
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移動中はつねにTikTokを見るなど、とにかく流行っているものが好き。つぎはショート動画だ。ユーザーにショート動画を投稿してもらったら、これまた悪くない反響。意外と跳ねている動画もある。
流行りに飛びつくフットワークの軽さは他部署にもいい影響を及ぼす。「いま何が流行ってる?」と聞かれたら一瞬でサンプルを挙げる。流行は取り入れたもの勝ち。いまこの瞬間にやったほうがいい。
サービスが長くなると新しい世界に足を踏み出しにくくなるが、そんなことは気にしない。
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業者を使って大がかりにする必要もない。何なら配信設備のセッティングも出演も自分ひとりでできる。ほかがやっていないから低コストで目立てそうだ。これはいい。
ノウハウがないと、とりあえず人気のインフルエンサーに頼りがちになる。だが、それだとゲーム情報が薄くなるため既存の『ブレイドアンドソウル』ファンは楽しめない。その点、自分なら質問が来てもパパっと答えられる。
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福富はこれまでの酸いも甘いもユーザーとして見てきている。「何だよクソ運営」と言ってきた側だ。ファンの気持ちを知った状態で運営プロデューサーになるということは、つまり強くてニューゲーム状態である。誰もが夢見る「僕の考えた最強のMMORPG」を実行に移すときがきた。
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サービス開始から10年が過ぎた『ブレイドアンドソウル』は中身が複雑化。MMORPG経験のない若者がいちから始めるには躊躇してしまう。そこで、福富が新たに送り出す『ブレイドアンドソウル NEO』ではシステムにメスが入れられている。
新たな装備強化のシステムはシンプルだ。インスタンスダンジョンで強力な武器をつぎつぎに入手でき、ステップアップの喜びがストレートに感じられる。これまでは何をどう強化すればいいかわかりにくかったが、武器に関しては“霊魂石”と“真言珠”を集めればいい。
UIも昨今のスマホRPGのようにわかりやすさを重視。『ブレイドアンドソウル』の新しい姿に、福富は手ごたえを感じている。
六本木という町
福富は『ブレイドアンドソウル』で人生が変わった。じつはそのほかにも大事な要素がある。六本木だ。入社したエヌシージャパンの所在地は六本木。社会人1年目に初めて入った会社も六本木。人生の節目を六本木で過ごしている。
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門派(ギルド)のチャットで相談したら仲間から「おれ、街コンの運営やってるよ」と返答があった。そのとんとん拍子、何なんだよ。
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“ぼっちのやつ、バレンタインデーに六本木に集まれ”的なイベントに門派仲間と参加した福富。また六本木だ。キャラ名の“ふんこ”で呼ばれていることが会話のきっかけにもなり、女性参加者たちと楽しく交流。オフラインで広がるコミュニティーもある。
『ブレイドアンドソウル』をやっていたから門派の仲間とつながり、その仲間がたまたま街コンに詳しかったから世界が広がった。
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最後に、ドキュメンタリー番組でありそうな質問をぶつけてみた。あなたにとって『ブレイドアンドソウル NEO』とは。
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自分の人生を変えてくれた『ブレイドアンドソウル』に恩返しをしたいのだという。恩返しの相手は運営しているエヌシージャパンではなく、もっと先。10年以上も『ブレイドアンドソウル』を支えてきたユーザーたちだ。
ユーザーが喜んでくれたらゲーム自体が盛り上がって自分も楽しいから、ある意味では自分のため。どこまでも自分勝手でお調子者の運営プロデューサーは「またこれから10年も20年も、よろしくお願いします」と笑った。