
2024年6月、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』(以下、『ハンドレッドライン』)の最初のインタビューで、小高和剛氏からゲームの説明を受けた筆者は衝撃を受けた。
以前のインタビューで小高氏は「詳細を発表したとき、トゥーキョーゲームスは正気なのか。本気でこんなゲームを作るのかと驚いてもらえるような作品にしていきます」と語っていたのだが、まさかエンディングが100個もあるとは……! 小高氏の新作をプレイするたびに驚かされてきたが、今回も感動させてくれそうだとワクワクしたのを覚えている。
そんな記事担当ライターのジャイアント黒田が、今回レビューをお届けする『ハンドレッドライン』は、2025年4月24日に発売予定のNintendo Switch、PC(Steam)向けのアドベンチャーゲーム。
小高氏が率いるトゥーキョーゲームスとアニプレックスがタッグを組んで手掛ける完全新作タイトルで、15人の生徒たちが学園生活を過ごすアドベンチャーパートと、謎の敵“侵校生”に立ち向かうシミュレーションRPGパートから構成。
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以前から本作がマルチエンディングであることは明かされていたが、そのエンディングの数が100種類あることが伝えられ、まさに「正気なのか?」という反応に近い感想が出ている状態だ。
なお、最初にお伝えしておくと、筆者は本作のエンディングをいくつか見ている。核心に迫るようなネタバレの記載はしないが、作品の魅力を伝えるにあたって、本レビューにはストーリーの構造やシステムに関するネタバレが含まれているので、新鮮な気持ちでプレイしたい方は注意してほしい。
プレイするたびに新たな発見があるストーリーの虜に
それがいくつかのエンディングを体験したうえでの率直な感想だ。「エンディングが100個あるのだから当たり前じゃん」と思うかもしれない。もちろん、文章量が多いからという理由もあるのだが、ルートによってシナリオのジャンルがガラリと変わるのもそう感じさせる大きな要因のひとつだ。
「こうなるんじゃないか」と想像しながらプレイしていると、いつの間にかミステリーモノになったり、コロシアイが始まったり……。思いもよらなかった方向にシナリオがどんどん展開していき、「え、どうなっちゃうの!?」と終始、圧倒されっぱなし。
イベントがつぎつぎと巻き起こる続きの気になる構成で、筆者は時間を忘れて熱中。シナリオのジャンルが自然に変化していく絶妙な作りになっており、ストーリーの没入感を高めてくれるので、気づけば時間があっという間に経過するほど夢中になっている。
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ルートごとに登場人物たちの新たな一面を見ることができたのも、ストーリーを進める大きな原動力になる。予想だにしない活躍でノーマークだったキャラクターを好きになる一方で、前にプレイしたルートの関係性で信頼していたキャラクターに裏切られて落ち込むことも……。登場人物たちにいい意味で振り回されっぱなしなのも、ルート分岐でシナリオのジャンルや展開、キャラクターの役割が大きく変わる本作ならではの体験だと思う。
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異なるルートをくり返しプレイしやすいように、フローチャートが用意されているのもうれしい。ルート分岐が発生する場所まで戻ることができるので、「あそこで別の行動を取っていたらどんな未来が待っていたんだろう」と、気になったタイミングですぐにやり直すといったことも可能。だからこそ、「あとちょっとだけ……」が何度も続いて、徹夜が続いてしまったのだが(苦笑)。
ネタバレを避けようとすると、伝えられることが少なくなってしまうのだが、ひとつだけ明言できる。それは、小高氏のオーダー通りに仕上がっているということだ。2025年4月5日に打越氏鋼太郎氏が公開した“『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』クリエイターズブログ Vol.12”には、100個のエンディングに関してつぎのように書かれていた。
小高からのオーダーはこうでした。
・その99個のエンディングには必ず意味を持たせてほしい。
・それらはオマケシナリオやスピンオフのように見えてはならない。
・安易なバッドエンドは避けること(たとえば分かれ道があって「右を選んだからトラップにかかって死にました…【END No.XX】」みたいなのは禁止)
・なんならメインシナリオは“真ルート”と呼ばなくてもいい。
・すべてのルートが“真ルート”と呼ばれてもいいぐらいの濃密な中身になっていること。
筆者が体験した限りで言うと、上記のオーダーは守られていると思う(少なくとも安易なものではないし、意味がある)。打越氏のブログを読んで本作への期待がますます高まっていた方は、発売をお楽しみに。「本当に?」と疑う方も、食わず嫌いをせずにプレイして、一度はエンディングを見てから評価してもらいたい。その先は絶対に続きが気になってノンストップになるはずだから。
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仲間を犠牲にして勝利を掴む背徳感がたまらない!
いちばんのポイントは、新たな仲間やシステムが増えてバトルの戦略性がますます高まる点だ。敵の注意を引き付けるタンク役のキャラクターで仲間を守る、回復が得意なキャラクターで粘り強く戦うなど、出撃するメンバーに応じて多彩な戦いかたを考えられるようになるほか、アイテムで味方を強化したり、敵の妨害をしたりすることも可能に。
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味方が行動するときに必要なAPとアイテムをうまく活用すれば、強敵のボスも格段に倒しやすくなる。ボスを集中攻撃し、ダメージを与え始めた同一ターン内に狙い通り倒せたときは、気分爽快だった。
ストーリーが進むにつれて歯応えのあるバトルが増えていくのも、シミュレーションRPG好きの筆者にとってはたまらない。バトルをやり直せる機能も充実しており、プランをいろいろ検討したうえで攻略できるのも好印象だった。
さらに、味方が倒されることでいろいろな恩恵を得られる本作は、味方を戦闘不能にすることを推奨する作りになっており、仲間の尊い犠牲のうえに勝利するという背徳感が味わえるのも特徴だ。これまでのシミュレーションRPGだと、いかに犠牲を出さずにクリアーするかを目標にしていたが、本作では積極的に戦闘不能にする血も涙もないプレイスタイルに。本作のせいで、ふつうのシミュレーションRPGには戻れない(笑)。
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アドベンチャーゲーム好きだけではなくシミュレーションRPG好きも必見!
そのうえ、100個のエンディングが用意されたシナリオはボリューミーで、フルプライスのタイトルであることを考慮してもコスパはかなりいい。100個のエンディングに気後れしてしまう方もいると思うが、小高氏はこれまでのインタビューやイベントで、「自分なりの“真エンディング”を見つけて満足したタイミングでやめてもいい」とコメントしていた。
少なくとも筆者は、小高氏が教えてくれた“全員生存ルート”(※気になる方は、2025年4月17日発売の週刊ファミ通5月1日号 No.1895『ハンドレッドライン』100ページ大特集を見てね !)を見届けるまでは、プレイし続けたい。“極限”と“絶望”を何度も体験した身としては、ハッピーエンド(そう思って大丈夫ですよね!?)があるなら、ぜひ見てみたいから。
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『ハンドレッドライン』製品情報
- タイトル:HUNDRED LINE -最終防衛学園-
- 発売時期:2025年4月24日(木)
- 価格:通常版…7,700円(税込)、デジタルデラックスエディション…9,900円(税込)
- ジャンル:“極限”と“絶望”のADV
- 対応機種:Nintendo Switch/Steam
- 対応言語:[Nintendo Switch]テキスト 日本語、ボイス 日本語 [Steam]テキスト 日本語、英語、繁体字、簡体字、ボイス 日本語、英語
- 企画:トゥーキョーゲームス株式会社
- 開発:メディア・ビジョン株式会社
- 販売:株式会社アニプレックス
- CERO:D(17才以上対象)