Netflix配信での大反響により映画館での上映が決定し、興行収入26億円を超えロングランヒット、オンラインイベント“ツクヨミ感謝祭”のクラウドファンディングも達成率5000%超と大成功を収め、2026年のエンタメ界を席巻している『超かぐや姫!』。
彩葉とかぐやの疾走感溢れる“ハッピーエンド”なストーリーと、これを支えるハイクオリティなアニメーションやボーカロイド文化をリスペクトした楽曲群が大きな話題になっています。

一方で、仮想空間“ツクヨミ”で行う3対3の対戦ゲーム『KASSEN』をはじめ、ゲーム文化からの引用が多い作品である点も、ファミ通読者の皆さんにとって注目ポイントではないでしょうか?
実際、監督の山下清悟氏は各所のインタビューでゲーム好きを公言。ツクヨミ内のキャラクターデザインを『学園アイドルマスター』のキャラクター原案でも知られるへちま氏が担当、『レイジングループ』などのamphibian氏がシナリオ制作に協力するなど、制作陣とゲームとの多様な接点があることも知られています。今回インタビューしたroom6もそのひとつ。
インディーゲームの開発とパブリッシングで知られるroom6が、なぜ『超かぐや姫!』に参加することになったのか? そして、その仕事はどのようなこだわりをもって達成されたのか? room6の代表取締役・木村征史氏と、所属クリエイターであるくえん氏へのインタビューで掘り下げていくと、京都を中心としたアニメとインディーゲームを取り巻く、さまざまな“人の縁”が見えてきました。
木村征史(キムラ マサシ)
room6代表取締役。X(Twitter)では“まさしさん”の名前で活動。
くえん
room6所属のイラストレーター/グラフィッカー。
もともとroom6社長は“大のアニメ好き”

――『超かぐや姫!』で、かぐやが月の世界から逃げるときの横スクロールアクションゲーム風のパートをroom6さんで担当したとお聞きしました。まず、room6さんに話が来た経緯を教えていただけますか?
木村
話せば長くなりますが、これは私がずっと「アニメが大好きだ!」と言い続けてきたことが発端です。私は京都に住んでいるのですが、以前から京都府で“京まふ(京都国際マンガ・アニメフェア)”を担当されている“ものづくり振興課”という部署の方々と交流があって、「アニメに関われる仕事があったらぜひ紹介してください」とアピールしていたんです。
学生さんばかりの中におっさんひとりが混ざって(笑)“アニメーターズキャンプ in Kyoto”というアニメのワークショップイベントに顔を出していたら、講師として参加されていた迫田祐樹さん(スタジオコロリド京都スタジオ"のアニメーションプロデューサー)と出会ったんです。「自分はふだんインディーゲームを作る会社をやっているんです」と話したら興味を持ってくださり、room6にも遊びに来てくださいました。
――切っ掛けは京都のネットワークだったのですね。
木村
はい。それである日、コロリドさんから「オリジナルアニメでゲームっぽいシーンを作りたいので、話を聞いていただけませんか?」と連絡があったんです。それが『超かぐや姫!』でした。2024年の秋ごろの話です。
――ところで、アニメが大好きだという木村さんがとくに好きな作品をお聞きしてもよいでしょうか?
木村
たくさんあるんですけど、パッと思いつくものだと『やがて君になる』や『リコリス・リコイル』でしょうか。あと『響け!ユーフォニアム』、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』など京都アニメーションの作品も好きで、いろいろ観ています。
――『響け!ユーフォニアム』は京都の宇治が舞台ですしね。
木村
念願のアニメーション作品に関われることになって、個人的にうれしかったですね。
ちなみに、迫田さんはほかにもいろいろな方を紹介してくれていて、その中にスクーターフィルムズさんというアニメ制作スタジオもあったのですが、数年前に「インディーゲームを作りたい」と“SKOOTA GAMES”というレーベルを立ち上げてまして。この立ち上げを手伝ったりもしています。
『超かぐや姫!』作中でかぐやが実況配信している『太ももうさぎの大撃腿』というゲームは、スマートフォンで無料ダウンロードできるのですが、こちらはSKOOTA GAMESさんが実際に開発したタイトルなんです。

『太ももうさぎの大撃腿』はAndroid/iOS向けに無料配信中。シリーズ作『太ももうさぎのスパチャくれなきゃ突撃ダイッ!!』もSteam向けにリリース予定となっている。
ボカロP・はるまきごはん氏推薦のroom6所属グラフィッカー、巡りめぐって『超かぐや姫!』に参画
――『超かぐや姫!』の企画概要に目を通したとき、どのように感じましたか?
木村
僕らに話が来たときはすでに制作がかなり進行していたと思うのですが、いただいた企画書や設定資料にはツクヨミの裏設定などがたくさん書き込まれていて、すごい作り込みでしたね。また、Vコンという映像化されたコンテがフル尺で作られていたことにも驚きました。
そのときは「いまのアニメってすごいんだな!」と思ったのですが、あとから聞いたらVコンを作れる人ってなかなかいないらしくて、山下(清悟)監督はこういうものを作れる稀有な監督なんだと改めて実感しました。

――ここまでの大ヒットは想像できましたか?
木村
ヒットするかはわかりませんでしたが、すごく魅力は感じました。企画書には“かぐや2.0”と書かれていたんです。『かぐや姫』モチーフの創作物はすでにいろいろとありますけど、中身を見るとめちゃめちゃ現代化されていて、「令和のアニメだな」と。意欲的に感じました。
――それで、room6内で担当することになったシーンを実際に手掛けたアーティストがこちらにいらっしゃる“くえん”さんだったんですね。
木村
くえんさんは、もともと“はるまきごはん”さんという、ボカロPでありながらイラストやアニメーションも手掛けるアーティストさんのお手伝いをしていて、映像やアニメーションのノウハウも持っていたので、くえんさんにお願いする流れになりました。
――くえんさんは話が来たときどのように感じましたか?
くえん
純粋に「やった!」と思っていました。グラフィック周りで関わっていらっしゃる方もお名前を見たことがある方ばかりでしたし、私個人が絵を描き始めた切っ掛けがボーカロイドだったこともあり、作品のテーマにも感じ入るものがあって、その点でもすごくうれしかったです。
――そんなくえんさんが、ゲーム会社であるroom6に所属するに至った経緯をお聞きしてもいいでしょうか?
くえん
ボーカロイドが切っ掛けで絵を描きはじめてから、絵に関わる職業に就きたい想いはずっとありました。大学でゲームに関わりたい気持ちも大きくなっていたところで、はるまきごはんさんがroom6とコラボして『幻影AP-空っぽの心臓-』というゲームアプリを作る話があって。以前から『アンリアルライフ』などのことも知っていたので、「入れたらうれしいな」と思うようになりました。
木村
はるまきごはんさんが「くえんさんというめちゃくちゃ優秀なクリエイターがいるんですが」と紹介してくださって、すでにアニメーションや3DCGの実務制作経験もしっかりあり、「それはもうぜひ!」という話になりました。
――“渡りに船”だったわけですね。もともとゲームはよくプレイされていたんですか?
くえん
小さいころから家にゲームがたくさんあったので、よく遊んでいました。いちばん最初にやり込んだのは『スーパーマリオギャラクシー2』です。スマートフォンのソーシャルゲームもよくプレイしていたのですが、高校生のころに『Downwell』をけっこうプレイしていた時期があって、そのあたりで「インディーゲームというのがあるらしいぞ」と知る切っ掛けになったんです。
――『Downwell』! 名作ですけど、難度的にはかなりハードなアクションゲームですよね。
くえん
X(Twitter)で見かけて興味を持った覚えがあります。高校生のお財布事情にも優しい価格で、スマートフォンでプレイできたので、ちまちま遊んでやり込むことが出来たんです。
――『Downwell』と今回『超かぐや姫!』で担当したシーンはピクセルアートという共通点があります。普段もピクセルアートを描くことが多いのでしょうか?
くえん
個人ではいわゆる美少女イラストっぽい絵を描くことが多くて、ピクセルアートはほとんど描いていないんです。
木村
今回の仕事に関しては、コロリドさんからのオーダーの時点でコンテに「ファミコン風」と書かれていましたね。『スーパーマリオブラザーズ』っぽいと言いますか(笑)。
――任天堂も京都の企業ですから、そこにも縁を感じなくもないですね(笑)。

“ファミコン風”とのオーダーでくえんさんが制作したイメージ画像。次項では『超かぐや姫!』本編に登場する映像の制作過程を掘り下げる。
頭身の違うかぐやが6人!
――実際に『超かぐや姫!』本編で流れたのは6秒強の映像ですが、ここまでに紆余曲折あったそうですね。
くえん
最初にコロリドさんからいただいた絵コンテを素直に反映して作ったら24秒の動画になったのですが、じっさいに使うのは5秒前後くらいとのことでしたので、この尺で展開が伝わるようにいろいろと詰め込みました。それで、かぐやが最初の想定よりかなり早足で動くようになっています。
木村
絵コンテの右端に秒数は書いてあったのですが、僕らは絵コンテを見慣れていないから見落としてしまっていたんですよね(笑)。
――完成形になるまでのやり取りはどういったものだったのでしょう?
木村
まずはかぐやの頭身をどれくらいにするのがベストなのかを、検討してたよね。
くえん
サンプルをいくつか用意して、「どれがイメージと近いですか?」と確認しました。そのときお渡しした画像がこちらなんですけど……。

――おおっ、頭身の違うかぐやが6人! 貴重な制作中の資料ですね。
くえん
決定稿の頭身は右から2番目と3番目の中間くらいになりました。
木村
SNSで「なぜ月の世界にいたころのかぐやが彩葉の黒いワンピースを着てるんだ」とツッコミが入っていたんですけど、これは私も完成した映画を改めて観たとき「あ、そういうことか」と思ったところで。このシーンは彩葉がかぐやから聞いた話をもとに、適当に脳内でイメージしている映像なんですよね。だから目の前にいるかぐやの姿でいいんだなと。
このときのかぐやはまだ最後まで成長し切っていない状態なので、頭身が低いドット絵が選ばれたのも、それが理由なのかなと思います。月人が本来の姿ではないのも同じ理由で、決定稿は天女風のデザインになりました。
――月人が天女風なのも、彩葉の脳内イメージ由来ということですね。
木村
でも、制作中はそのあたりが固まっていなかったので、本来の設定に寄せたちょっと不気味な姿の月人も描いてもらっているんです。こちらがその試作段階のドット絵です。コイツは結局出てこなかったんだよね?

本編には登場していない、試作段階で描かれた“本来の姿の月人”のドット絵。かぐやと対比するように配置されている。
くえん
出てきてないですね。もっと身体が大きな個体も描きましたが、月人たちの姿が明らかになるのがストーリーのだいぶ後ろのほうなので、それで見送ったということなのかなあと。
――初めて彩葉たちの前に姿を表したときの異物感はかなりのものだったので、そのインパクトを重視したのかもしれませんね。

実際の月人の参考資料。ツクヨミでのかぐやよりはちょっと小さめ。
木村
すごく短いカットではありますが、意外と打ち返しと試作のやりとりは多かったようです。おそらくコロリドさんもこういうカットを入れる経験はあまりなくて、お互い探り探りだったのかなと思います。
――くえんさんのこだわりポイントはどのあたりですか?
くえん
デフォルメ具合が固まってからは、“もっちゃり”とした可愛い感じが出せたらなと意識してました。一瞬のシーンなので、それがどの程度伝わったかは疑問が残りますが……。
――たしかに6秒のシーンで終わらせてしまうのはもったいないように思えてしまいますね。せっかくゲーム会社で作ったわけですし、実際に横スクロールアクションゲームとしてプレイしてみたいです。
木村
そうですねぇ。コロリドさんに作ってもいいか聞いてみようかしら?(笑)
“6秒”のシーンに込められたこだわり。
――改めて完成した映像を観てみると、天女がかぐやに踏まれて奈落の底に落ちていったり、スコアが1000点入っていたりと芸が細かいですよね。
くえん
短い時間に“ゲームっぽさ”を詰め込みました。コロリドさんからは、踏まれた天女のエフェクトなどを目立つように強調してほしいという要望をもらって反映しています。


――画面左上のゲージが減っていくと、アイコンは悲しい顔になっていきます。体力ゲージというよりも、かぐやのメンタルを表現しているゲージなんですね。
くえん
UI周りはroom6社内の助言もあってこの構成にしました。顔のアイコンを付けてメンタルゲージにしたのは私ですね。
――進行方向は左で、『スーパーマリオブラザーズ』シリーズをはじめ、横スクロールアクションゲームで広く採用される右に向かう構図とは真逆なようですが……。
くえん
左向きなのはもともとの絵コンテを反映しています。

――強大な相手に立ち向かう場合は“下手(左)から上手(右)へ”が原則ですから、月の世界に嫌気が差して逃亡するかぐやが“上手から下手へ”向かうのは直感的にも納得感があります。画面全体のドットの粗さは、キャラクターのデフォルメ感にあわせて定めていったのですか?
くえん
画面サイズは先に仕様を固めたかぐやのデフォルメとのバランスを考えて決めました。映画の画面の比率は16:9なので、最初は整数倍でフルHD(1920×1080)になるサイズを考えていたんですけど、最終的にファミコンっぽい見栄えを優先して、整数倍にはならない142×80ぐらいになりました。
――いわゆるドットバイドット(データ上の画素と画面上の画素を1対1に対応させる方式)ではなく、見栄えを優先して。粗いドットを使いつつ、かぐやの涙が流れる表現などにこだわりを感じました。
くえん
ゲームと違って1回しか出てこないので、印象に残るように派手にしようというのは、シーン全体で意識していったことですね。このあたりは、room6社内で本案件の全体ディレクション・進行をしていた高市さんが、ゲーム会社のドット絵経験者ということもあり、全体のカラーやドットの統一感をいっしょに壁打ちしながら進めました。

木村
ゲームだと何度も使うアニメーションが派手だと悪目立ちすることもありますからね。仕様などを気にする必要もないので、思い切りやってもらえたのかなと。
くえん
ゲームの場合、後工程をプログラマーの方にお願いすることになるので、グラフィックで好き放題すると迷惑をかけちゃいますから(苦笑)。今回は細かく作り込んでも、撮影まで私の責任でやれたので、その点は気楽でした。
集英社ゲームズや講談社による傑作の背後にも……。インディーゲーム業界の影にroom6の暗躍(?)あり
――そんなくえんさんの仕事がフィーチャーされている発売済みのゲームを挙げるとすれば、どのタイトルになるんでしょう?
木村
やっぱり、いちばんは『都市伝説解体センター』ですかね。
――なんと。room6がグラフィック制作で参加していることはインタビューで墓場文庫のハフハフ・おでーんさんも話していましたけど、くえんさんも参加されていたんですね。


都市伝説解体センター (C)Hakababunko / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES.
木村
カットシーンの多くは、くえんさんと、comaoさんというもうひとりのデザイナーのふたり体制で作ったアニメーションだったと記憶しています。
――『都市伝説解体センター』に『超かぐや姫!』と、話題作に立て続けに関わったことになりますね。『都市伝説解体センター』はピクセルによるアニメーションがリッチですごいと思っていましたが、なるほど……。
くえん
各エピソードごとのサブキャラクターのグラフィックの作成などもありましたけど、いちばん作業量が多かったのはカットシーン専用のグラフィックでした。それで、『都市伝説解体センター』の仕事が終わって別のプロジェクトに移ろうとしていたころに、この話が来たんです。
木村
2024年の夏ごろに最後のおかわりの依頼をいただいて、「やっと終わった!」と思ったところに『超かぐや姫!』の話が来ました。ボリューム的には小さめだったので、デザートみたいな感覚でやってもらえるかなと思ったんだけど、いろいろと勝手が違っていてそうカンタンではなかったですね(笑)。
――room6さんは自社パブリッシングのタイトル以外にもいろいろなインディーゲームの開発に参加されているんですよね。
木村
『都市伝説解体センター』の墓場文庫さんとは、やはり関西を拠点にしている開発チームということで長い付き合いになります。『都市伝説解体センター』は集英社ゲームズさんから出ているゲームですけど、講談社さんが出しているyonaくんの『ダレカレ』や、ところにょりくんの『違う冬のぼくら』のNintendo Switch移植なども、こっそりやらせていただいている事業です。

ダレカレ

違う冬のぼくら
――改めて聞くと、インディーゲーム業界でroom6が担っている役割の大きさがわかりますね。共同作業を通して、スタジオコロリドの印象はいかがでしたか?
木村
コロリドさんは、規模こそインディーではないでしょうけど、「自分たちが作りたいものを作るぜ」というインディースピリッツ的な空気を感じて、共鳴する感覚はありました。『超かぐや姫!』はツクヨミの裏設定とか、めちゃめちゃ細かく作り込まれているんですよ。そういう凝りかたもインディークリエイターさんに通じるものを感じました。
――では、『超かぐや姫!』に関わったことで、おふたりの周囲に起きた変化などはなにかありましたか?
木村
「スタッフロールにroom6がクレジットされているのを見たよ」と言ってくれる方はとても多いですね。先日、商談のアポを取ってくださった方と話してみたら「『超かぐや姫!』で名前を見かけてご連絡しました」と言っていたのにはさすがに驚きました。
くえん
私は弟から「観た。いやあよかった! 俺、映画館にも観に行ってくる!」と連絡が来ました。
――いい話ですね!
くえん
「友だちにも話したんやけど、まだ観てる奴が少ないから、みんなに観てくれって勧めてる」と言ってくれたのが、いちばんうれしかったです。
『超かぐや姫!』を観た人にオススメしたいゲームは?
――ありがとうございます。そろそろまとめに入ろうと思うのですが、『超かぐや姫!』を観てroom6が作るゲームが気になった人におすすめしたいタイトルはありますか?
木村
担当したシーンとドットの感じが近いのは、先ほども名前が挙がった『幻影AP-空っぽの心臓-』ですね。最近のものですと、歌手のやなぎなぎさんといっしょに作った『Green Light』というタイトルもあります。この2作はどちらもモバイルなどのプラットフォームで無料ダウンロードできるので、気軽に遊んでみてほしいです。ボリュームもコンパクトになってますので。
――やなぎなぎさんもボーカロイド楽曲に縁のある方ですし、そういう意味でもおすすめできそうですね。
木村
もちろんroom6らしいゲームの雰囲気を掴んでもらうなら『アンリアルライフ』もおすすめです。あと、この場にはいないのですが、かぐやの動画のコンポジットなどをやってくれているのが『MINDHACK』というタイトルを作っているチームの“紅狐”というスタッフなんです。動画制作のプロなので、その手腕が発揮されているゲームをぜひプレイしてみてほしいです。
ドット絵が楽しめるというところだと、ほかには『ローグウィズデッド』や『トロイメライの月あかり』、ウチのゲームではないですけど、もちろん『都市伝説解体センター』もぜひ(笑)。

アンリアルライフ

MINDHACK
くえん
私からは、room6のレーベルであるヨカゼでパブリッシングしている『ghostpia』を。“女たちの物語”という観点では、『超かぐや姫!』がお好きな方に刺さるのではないかと思っております。
――ちなみに僕はアニメとゲームのクリエイターのコラボつながりということで、『プリキュア』シリーズや“ずっと真夜中でいいのに。”のMVに関わっているアニメーターのはなぶしさんがhako 生活さんといっしょに開発中の『ピギーワン SUPER SPARK』を楽しみにしております。

ghostpia シーズンワン

ピギーワン SUPER SPARK(※2027年第2四半期に発売予定)
――今回のチャレンジを経て、今後のゲーム制作に活きそうなことってありましたか?
くえん
これまでUIデザインは専門の方にお願いしてきていたので、『超かぐや姫!』でUI風の部分も含めた画面づくり全体を意識できたのは大きかったかもしれません。「キャラクターの立ち絵がどうこう」みたいな、自分が担当している1点だけクオリティが高ければいいわけじゃないというのが今回の仕事では如実に出たので、“全体を見る視点”をいままで持てていなかったなと気付くことができました。
木村
プロジェクトのマネジメントをする観点で言えば、アニメとゲームのワークフローってぜんぜん違うんだなという発見がありました。『超かぐや姫!』で言えば、Vコンの時点でほぼ完成しているっていう、プリプロダクションの強さですよね。
ゲームは手触りなど、実際に触れながら調整していく面があるからこそではありますが、とくにインディーは「作りながら考えていこう」みたいなスタイルを取りがちでして(苦笑)。良し悪しありますけど、開発が長期化したり、当初の予定とはぜんぜん違うものになったりする要因のひとつになっています。強度の高いプリプロダクションからブレずに完成させることで生み出された作品の凄さを目の当たりにした想いです。
完全に真似をすることは難しいんですけど、チーム全体で「どんな作品ができるんや?」というビジョンがしっかり共有できているところから作りはじめられるのは大きいですよね。

――では、今後も『超かぐや姫!』のように、ゲーム業界という枠を超えた仕事の機会があった場合は、チャレンジしますか?
木村
僕個人の気持ちとしては、アニメの仕事は最優先のプライオリティでお引き受けしたいですね。怒られるかもしれませんが(笑)。やっぱり自分が好きなことに関われるのはうれしいです。“アニメのスタッフロールに載る”って、人生の実績解除としてすごく大きかったですから。“夢のひとつが叶った”なぁと。
ただ、じつは今回、当初はもう1シーンご相談を受けていたんです。かぐやが月から地球に戻ってこようとする場面で、『都市伝説解体センター』のカットシーンのようにドットのアニメーションで作ってほしいとのことでした。最終的にそこはコロリドさんでアニメーターさんが描いたものにドットシェーダーをかけてもらったほうがよいものができるだろうとお伝えして、辞退しているんです。ドットシェーダーを使うときの資料はお送りしましたけどね。
――積極的にチャレンジはしつつ、その作品が最高のものになるよう、自社でやることだけにこだわらない提案もしているんですね。
木村
スケジュールの問題などもありますし、無理して引き受けてご迷惑を掛けるわけにもいきませんから。そこはしっかり現実的な判断をしています。やりたい気持ちはあったんですけどね。
今後も自分たちがやれるところは全力でやっていく所存ですので、アニメーション制作会社の皆さん、お気軽にご相談ください!