
José Ramos(ホセ・ラモス/写真左)
Behaviour Interactive バイスプレジデント兼エグゼクティブ・プロデューサー 『Dead by Daylight』のエグゼクティブ・プロデューサーを務め、プロダクト戦略や運営方針など、プレイヤー中心の施策を統括。開発チーム内で長期的なビジョンを共有できる環境づくりに注力しながら、つねに新たなコンテンツが追加され続ける『Dead by Daylight』において、Games as a Service(GaaS)としてのプレイヤー体験の継続的な改善を推進している。
Nathan Sellyn(ネイサン・セリン/写真右)
Behaviour Interactive 副最高経営責任者 2022年にBehaviour Interactiveへ入社。Chief of Staff(CoS)と戦略部門のバイスプレジデント(VP)を務めた後、副最高経営責任者(Deputy CEO)に就任。Behaviour Interactiveの企業戦略全体を統括し、ステークホルダーとの関係構築を担う。事業開発、パブリッシング、マーケティング、ライセンス事業など、幅広い領域を管掌している。
世界でもっともゲームバランスを取ることが難しいゲーム!? いかにデータを分析しユーザーの声に耳を傾けるのか?
私としては、その3つすべてが満たされるよう手助けできているとき、自分はいい仕事をしている、と感じます。この3つの柱のどれかひとつを犠牲にすることはできないんです。
――では、その“ビジョン”について、もう少し具体的に教えていただけますか?
私たちのシニア・プロダクト・ディレクターは、エンゲージメントのシステム――たとえば私たちが開催するイベントや、プレイヤーが購入したくなるよう、ストアに何を並べるか――を牽引します。
それからテック責任者(Head of Tech)がいて、私たちのゲームのテクノロジーや技術的要素、そしてゲームの基盤が非常に強固であることを確実にしてくれます。そして私が行っているのは、コアチームのすべてのメンバーと協力しながら、これらすべてをいっしょに推し進めて、プレイヤーの体験によってプレイヤーが満足できるようにすることです。究極的には私たちにとって重要なのはそこだけですからね。

つまり、たとえばキラーとして、勝利をどう定義しますか? 全員を殺したときでしょうか? 4人中3人を殺害できたとき? 場合によりますよね。サバイバーとしては、人によってはもう少しシンプルです。脱出できたか、できなかったか。でも、たとえ脱出できたとしても、必ずしもよい働きをしたとは限りません。なぜなら、たとえば仲間のサバイバーがチームメイトを助けなかったかもしれないからです。それが、『Dead by Daylight』を複雑にすると同時に、より興味深くもしているもののひとつなのです。
バランス調整について、話をどう締めくくればいいかわかりませんが、PvPゲームはどのゲームもすべて、バランス調整に課題を抱えています。とりわけ、何百時間、何千時間とプレイしてきたプレイヤーから来るものです。ですので、それはごく自然な反応なんです。だからといって、私たちが「ああ、そういうものだから仕方ない」と考えているわけではありません。
それで、ご質問についてですが、いちばん重要なことをひとつだけ選ぶのは難しいのですが、それはファンタジー(没入感・物語性)だと思います。これが何を意味するかというと、先ほどバランス調整について話しましたよね。バランス調整についてお話ししたのは、ときに一方のロールが、自分のファンタジーが失われたように感じることがあるからです。たとえばキラーの場合、サバイバーが上手すぎて、強すぎて、あなたを走り回らせては捕まらせてくれないために、自分が十分に強いと感じられない、ということがあるかもしれません。
コラボレーションという観点で私たちが見出そうとしているもの、つまり、誰と組むのか? どんなキャラクターをゲームに持ち込むのか? どんなゲームプレイのメカニクスをゲームに加えるのか? どんなゲームモードを追加するのか? バランス調整にどう取り組むのか? 私たちは、市場のほかのどんなシューターのような、完璧にバランスの取れたゲームになりたいわけではないんです。それは私たちのありかたではありません。なぜなら、勝利という単一の定義が存在しないからです。
私たちが望むのは、ファンタジーがつねにそこにあることです。キラーとしては、強いと感じる必要がある。サバイバーとしては、危機に瀕していると感じつつ、他者を助け、自分自身を助けて脱出する力がある、と感じる必要がある。それは、つねに成功するという意味ではありませんが、その状況に置かれていると感じられる、ということです。だから、ファンタジー、そして正確なデータの数値がどうあれ、私たちがそのファンタジーを尊重しようとすること……ファンタジーが満たされていれば、人々は満足します。だから、それが『Dead by Daylight』にとって何より重要なことだと、私は思います。


つぎにプレイヤーの声に耳を傾けます。つまり、コミュニティの感情(センチメント)、プレイヤーの反応を見て、そのふたつを照らし合わせようとします。そしてそれらが一致しないとき、私たちはまず自問します。なぜデータで見えるものとプレイヤーが言っていることのあいだに食い違いがあるのか? それは認識の問題なのか? それとも、データや私たちが見ているものが、じつは見るべき対象として間違っている、という実際の問題なのか?
そして最後が、クリエイティブのビジョンです。つまり、くり返しになりますが、シニア・クリエイティブ・ディレクターとデザインチームは、このゲームがどうあるべきかというビジョンを構築しています。そして、ときにデータが彼らの予想していなかった方向に進むことがある。あるいは、コミュニティが彼らの予想していなかったやりかたでゲームをプレイすることがある。そして問題は、コミュニティが望むその方向にもっと押し進めるのか、それともクリエイティブのビジョンを押し進めるのか、ということです。だから私たちは、つねにその3つのあいだでバランスを見つけようとしているんです。

でも、それは目標ではありませんでした。「サバイバーのほうが数が多いから、サバイバーに注力しよう」という考えではないんです。このゲームは、完璧なバランスがあるときに機能します。そして完璧なバランスとは、キラーがその体験の中で楽しめなければならない、ということを意味します。そして私たちは、とくに一部の地域、たとえば日本では、それがより難しいことを知っています。
私が言いたいおもな点は、私たちはそれを認識していて、そこを改善する必要があるという事実を無視していない、ということです。そして私たちは――これは個人的な見解ですが――はるかによくなったマッチメイキングが、その問題に対する大きな答えだと考えています。そして私たちはいま、新しいバージョンのマッチメイキングに取り組んでいるので、今後より改善されると確信しています。すべてを解決するのかと言われればおそらく、そうではないでしょう。ですが、キラーの体験を大きく改善することにはなります。
――プレイヤーとしての意見ですが、プレステージ100に到達したとき、それを達成した人のために、報酬か何かを作ってもらえると本当にうれしいのですが(笑)。
私が言いたいのは、ひとつのゲームにそれだけの時間を費やすというのは、そのゲームを愛しているということなんです。そして、そんなプレイヤーの人が決して行き詰まりを感じることがなく、自分の情熱を楽しむ道がつねにある、そんな方法を見つけようとすること。とくに10年が経った後では、それは大きな挑戦ですが、同時に、つぎの10年を可能にするためにこの上なく重要なことでもあると思います。プレイヤーが、ゲームの中で、これほど情熱を注いでいるものを楽しめる道が、つねになければならないんです。














